- 本 ・本 (1088ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041034538
作品紹介・あらすじ
1924年、世界初のエヴェレスト登頂を目指し、頂上付近で姿を消した登山家のジョージ・マロリー。登攀史上最大の謎の鍵を握るマロリーのものと思しき古いコダックを、カトマンドゥで手に入れた写真家の深町誠だが、何者かにカメラを盗まれる。行方を追ううち、深町は孤高の登山家・羽生丈二に出会う。羽生が狙うのは、エヴェレスト南西壁、前人未到の冬期無酸素単独登攀だった。山に賭ける男たちを描いた、山岳小説の金字塔。待望の合本版!
感想・レビュー・書評
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とにかく登山家たちの登頂への思いは想像するより遥かに強い。
エベレストに三度挑んだジョージ・マロリーが登頂できたのかは、マロリーが亡くなって何十年も経った今でも謎のままである。
ネパールの地で、マロリーのカメラの謎と羽生という登山家を追う深町。
ある意味山岳ミステリーとも受け取れる作品。
主人公の深町自身は、ちょっと情けないというかふがいないというかそんな印象を受けるが、その経験を通して強く成長していく。
そこら辺も見所のひとつだと思う。
マロリーが残した名言「そこに山があるから」は、正確には「そこにエベレストがあるから」である。
なぜか日本語ではエベレストを山と訳されるのだが。
実在の登山家マロリーを題材にしたこの作品を読んだら、マロリー登頂の謎が余計気になってきてしまった。
映画化もされてるようなので、そのうち観てみようと思う。 -
山に取り憑かれた男が、未達の無酸素単独南西壁に挑む迄の流れを丁寧に作り込み、エヴェレストに対する登山家の憧れ恐れが良く分かります。そして、圧倒的で緻密な描写でエヴェレストの迫力が伝わり、その尋常では無い過酷で死と隣り合わせの登山を読みながら体験する事が出来ました。
ジャンル問わずお勧め出来ます。 -
夢枕獏の描く山岳小説。
1924年、マロリーとアーヴィンがエヴェレスト頂上付近で行方不明になり、登頂を果たしたかどうかがずっと謎となっています。
その謎に、正面から挑んだ作品です。
2016年には映画化もされましたね。
映画館まで見に行きました。
なかなか面白い映画でしたが、やはり原作にはかなわないですね。
山岳小説というと、とっつきにくい印象がありますが、この本は読みやすく、専門用語を知らなくても楽しめます。 -
作者、夢枕獏さんはあとがきで、こう書いた。
「書き残したことはありません」
全てをだしつくした1000ページにおよぶ大作は、ガツンと直球の山岳小説だった。エヴェレストに立ち向かう主人公には実在のモデルがあり、ノンフィクションでありながらも実話だと錯覚してしまうほどのリアルさ。
エヴェレスト頂上付近で姿を消し、「果たして彼は登頂したのか」と謎を残した実在登山家ジョージ・マロリー。ある登山家カメラマンが、彼のものとおぼしきカメラをチベットでみつけたことから始まる。そのカメラを巡って出会う登山家は、森田勝がモデル。ライバルの登山家は長谷川恒雄がモデル。もうこれだけですごい物語が始まる予感満載である。
勿論高度8,000mは体感したことはないが、終始想像力を掻き立てられる文章と展開で息苦しくなるぐらいの恐怖をおぼえた。
人はなぜ山に登るのか。根底にあるテーマはこの言葉のみであろう。1ミリの足場にアイゼンを食い込ませ、岩に張り付く彼らの姿に釘付けになり、昔から何度も繰り返し問われてきた質問をしたくなる。「震えるほどの恐怖に立ち向かい、指を失ってもまた登り、愛する人を捨ててもまた挑み、なぜそこまでして山に登るのか」と。ストイックな世界にまったく目が離せない、あっという間の1000ページだった。 -
さすがに合本版となると1000ページを超える物凄いボリュームに圧倒される。再々読になるのだが、何度読んでも面白い。数ある山岳小説の中でも、群を抜いた傑作であろう。
1924年にエヴェレスト頂上付近で姿を消した登山家のジョージ・マロリーの物と思しきカメラを手に入れた深町誠。カメラの謎を追う深町は孤高の登山家・羽生丈二と出会い、羽生のエヴェレストに賭ける想いに感化されていく…
背筋が寒くなるような迫力のある山の描写と登山家マロリーに関するミステリーを織り交ぜた面白いストーリー、羽生丈二、深町誠の生き様に魅了される。
この作品を原作に谷口ジローの作画した作品も面白かっただけに、2016年3月ロードショーの映画化作品も楽しみだ。 -
孤独な登山家
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ビカールサンは自分が心を許した人に対してはわかりにくいけれどとても深い愛情を持っていて、本当は誰よりも傷つきやすくて、繊細なんだろうな。
それでも、どんなに大切で大事な人がいたとしても何もかも捨ててでも目指してしまうエベレストの頂とは一体どんな魅力があるのだろう。きっと本気で挑戦した人にだけわかるんだろうなあ。
そして、それをやってのけるところがさすがビカールサンだと思った。
後書きで加藤文太郎を主人公にする案があったと書いていたがそれもかなり見てみたかったなあ! -
極限の状況下での登攀の物語。本書は過酷な登攀シーンを読みたいが為でしたが期待どおりに終盤、主人公であり、読者目線の人である深町を通して堪能できました。分厚い本の、もっと多くの割合で生死の狭間から、ビバークなり一時の休息が繰り返させるシーンをもっと読みたかったです。
中盤のマロリーのカメラを巡るクライムサスペンス要素は過酷な登攀シーンを待ちわびる心境から正直どうでもいいという気持ちになりながら読みました。羽生の元恋人との絡み要素はいいですね。
ともあれ、山岳小説はいいですね。小説の内容とは関係ないですが、合本版は重くて好きになれません。 -
エヴェレスト南西壁の冬期無酸素単独登頂を狙う男の物語。10年も前に読んだ本だが、読んだ時の気分の昂揚は忘れられない。ヒリヒリするような描写で、共に挑んでいるかのような気持ちにさせられる。
著者プロフィール
夢枕獏の作品






大作ですねぇ…1058ページもの作品!
ページ数から言っても、
さすが世界最高峰の「エヴェレ...
大作ですねぇ…1058ページもの作品!
ページ数から言っても、
さすが世界最高峰の「エヴェレスト」ですね!!
山は神聖な場所なんでしょうから
懐を借りるような感じなんでしょうか…。
連休も今日でおしまい、
明日からまたお互いに頑張りましょう(^^)/
お返事遅くなりましまm(_ _)m
長かったですが、それ以上に読み応えありました( •̀ •́ゞ)ビシッ!!...
お返事遅くなりましまm(_ _)m
長かったですが、それ以上に読み応えありました( •̀ •́ゞ)ビシッ!!
山岳物ってまだ数冊しか読んでないんですが、結構のめり込めるんですよねぇ。
という訳で、日本の山岳物と言えばの「新田次郎」作品を数冊購入しようかと^^;
これ以上積読増やしてどうするの!って突っ込んでやってください(笑)
今日は気持ち良いお天気、絶好の読書日和ですね(笑)