ベトナムの風に吹かれて (角川文庫)

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  • KADOKAWA (2015年9月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784041034569

作品紹介・あらすじ

ベトナムの首都ハノイで働く著者は、認知症になった母を新潟から移住させ新生活を始めた。人間関係の濃い下町の旧市街や、旅先での緑豊かな山々の光景に母は昔の想い出を語る。感動の輪が広がる映画化原作!

みんなの感想まとめ

異国の地での母娘の新生活を描いたこの作品は、認知症を抱える母を引き取り、ベトナムで共に過ごす姿を通じて、家族の絆や人とのつながりの大切さを伝えています。著者は、母が新しい環境に適応し、過去の思い出を語...

感想・レビュー・書評

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  • ものすごいご決断をされたと思う、本当に。

    認知症の方の詳しいことはわからない。
    でも、おそらく…


    いろんな映画や本などの体験談を読んで思うことは、

    認知症の方でも楽しい気持ちは積み重なって心の安定に繋がるし、

    嫌な環境(入院など)にいたり、人から怒られたり否定されてばかりだと、心が不安定になるのでは、ということ。

    【出来事は忘れても、その時感じた気持ちは全て蓄積はされている】

    これが私の仮説。

    とすると、その点、小松さんはお母様を否定されることなく妄想にも付き合い、心をずっと喜ばせてあげていた。

    そのことこそが、お母様のこのパワフルさ、可愛さ、素直さを引き出す最大の要因だったのではと思う。

    大変なご苦労もあったと思うけれど、認知症の方との、素敵な関わり方を提示してくれてありがとう。

    大切な一冊になりました。

  • 実話だからびっくり。
    日本語教諭としてベトナムで暮らす著者が配偶者をなくした80代の認知症の母(Baちゃん)を引き取ることになったところから始まります。

    越後の田舎で暮らし、飛行機にすら乗ったことのない高齢のBaちゃん。
    初めての海外で、認知症にとって環境の変化は一般的に、混乱させ、認知症を悪化させる恐れがあるとされており、周囲の反対もあるものの、娘である著者は、自分の生活拠点を変えることができないため、思い切って母(Baちゃん)をベトナムへ連れ出すのです。

    ところが、ベトナムの風景は、Baちゃんにとって、その昔の日本を思い出させ、色んな事を思い出したり、一つ一つのことに感動したりと、良い刺激も与えてくれることが分かりました。

    日本に比べ、発展に遅れがあったりで不便な面もあるけれど、そこはベトナムで暮らす日本人や現地の方たちの温かな気持ちによってカバーされ、地域の方たちにも温かく見守られて、Baちゃんは活き活きと生活し、娘と旅行に出かけたりと生活を楽しむ様子がよく伝わってきます。
    Baちゃんは誰にでも方言丸出しの日本語で話しかけますが、ちゃんとそれが相手に伝わってしまうことが素晴らしい!
    理解しようと心を尽くすベトナム人に、温かい気持ちになりました。

    初めての国でいきなり暮らすことになっても、自然体で周りに溶け込むBaちゃんが素敵です。

    1人でかってに散歩に行って行方不明になったり、怪我をして入院したりとハプニングもありつつ、周りの方たちに支えられながら暮らす母娘が素敵でした。

    日本にはこういった助け合い、(自分も含めて)昔はあったのだろうけど、今は結構少なくなってきているから、読んでいて新鮮で、温かい気持ちになりました。

  • コロナ禍でカンボジアから出国できないまま3年が経過し、旅行したいなと思いながら探していて発見した本。小説と思い手に取ったらエッセイで、しかも先輩(海外在住の年上の日本人女性)の手によるものだった。
    この年齢になると、同性の年上のエッセイはとてもありがたく、近い将来の自分だったらどうするかと考えながら読むことができる。
    それにしてもこの女性の思い切りのよい判断力、情の深さ、行動力には感心するばかり。
    お母さんの順応力にも感心した。
    まだベトナムが遠い存在だったころの決断と生活、当時のベトナムを思い浮かべながら読んだ。

  • 何気なく読み始めたが、とにかくめちゃくちゃ面白い、唯一無二な本。
    読みやすいのに、中身は結構骨太な内容。

    本書は簡単に言えば
    2001年12月、日本語教師の筆者は、新潟で暮らす81歳の母、Baちゃん(要介護3)をベトナム・ハノイに迎えて同居生活を始める。

    …というもの。そもそもBaちゃんにとって初めての飛行機&海外。
    パスポートを取るのも一苦労だし、田舎の親戚からは(もちろんというべきか)反対されているし……と全然一筋縄ではいかないのだが、
    筆者は父(102歳で他界)の死から2か月ほどで母の移住に向けて着実にやるべきことを遂行していく。母と二人幸せになるために。

    無事ベトナムに着いてから、在ベトナム日本人、やベトナム人といった様々な人との関わりがあり、助けてもらいながら母との暮らしを営んでいく。

    お母さまが雪国から解放されてのびのび生活している様子にこちらまで嬉しくなる。
    認知症ともあって、なぜ自分がベトナムにいるのか時々わかっていないような場面もあるのだが、それでもなんだか幸せそうで、それを見守るお嬢さんである筆者も嬉しそうで。

    このエッセイは「ベトナム暮らし×海外介護」が主な軸としてあるのだと思うけど、それだけじゃない。
    「婚家からの解放」
    「戦争によって壊されたもの」
    「認知症も異文化として捉える」といった事柄もエッセイの中で語られていて、とても興味深い。

    特にこの「婚家からの解放」はこの本のもう一つのテーマではないだろうか。
    1945年5月、戦争末期に21歳年上で6人の子持ちの農家に嫁いだBaちゃん。
    「昔は猫をあげるみたいに嫁に行かされたもんだよ」といった話にはなんとも言えない気持ちになり、当時の女性たちが当然のように背負わされた苦労に想いをはせる。
    執筆当時、まだ関係者もいるだろうし、その辺りの語り口はかなり控えめで抑えられてはいると感じるものの、個人的にはBaちゃんや筆者が雪国の田舎で感じてきたであろう束縛や耐え忍んできたであろう鬱屈みたいなものがなんとなく想像できた。

    大正9年生まれの母のこれまでの人生の断片が、ぽつぽつとベトナムで語られていく、このエッセイ。
    日本ではなく、第三国でやっと自由になれたんだね、と私は思った。夫が102歳でこの世を去って、自分も認知症になっちゃったとはいえ、ようやくイエからも解放されたんだね、と。
    個人的にはBaちゃんがよく天気の話をしているのか結構印象に残っていて、雪国って本当に大変なんだろうなと思った。雪国の農家…その嫁…。

    認知症とはいえ、いろんなタイミングで昔のものごとを思い出す時がある。そして娘である筆者もそれを丁寧に受け止める。
    「この病気をあなどってはいけない。上手に付き合えば、記憶の引き出しからもっと宝物が出てくるかもしれない。」という筆者の言葉が印象的。
    筆者の考える「認知症も病ではなく、異文化として捉えたら面白いかも」という認知症への新鮮な眼差しは、日本語教師としてベトナムに住み、異文化と向き合っていたからこそだと思う。
    Baちゃん失踪事件もあってハラハラするのだが、探し回った挙句、ニッコーホテルに”届けられて”いたりとちょっと笑える。
    大変なこともあったのだろうが、Baちゃんの海外介護にはどこかカラッとした感じが漂う。これが日本だったらもっと深刻さを帯びてしまいがちというか、ウェットな感じになってしまうと思う。認知症というだけで、日本の田舎では厄介者扱いされていたが、ベトナムではちょっとしたアイドルのように愛されたり、癒しの存在となったりする様子にはほのぼのとする。

    海外エッセイとしてベトナムの香りを感じられるだけでなく、人生の締めくくりを迎えた81歳の女性の独立&ベトナム見聞録の話でもあるし、とにかく面白いのでオススメです。

  • 面白いんじゃないかなと思って読んでみたらやっぱり面白かった。認知症になったお母さんをベトナム在住の著者が引き取って一緒に暮らすノンフィクション。
    認知症の人がベトナムの温かな人々に囲まれて意外やうまくいくという痛快さ。書中でもちょっとしたトラブルや心配事は紹介されているし、本になっているのは最初の1年分ほどのようなので、その後も痛快とはいかなかったろうとは思うけど、痛快なところで読み終えることができるのは幸い。でも、その後のことまで知りたくもあり。

  • ベトナムに行ってきたので読んでみた。
    行ったばかりのハノイの地名が出てきて、情景を想像しながら読めた。
    ベトナムの人は、確かに今の日本人より親切で、親身になって世話をしてくれるかもしれない。
    それでも、娘一人でヘルパーなどに頼らず(そもそもそのような制度がないらしい)異国の地で年老いた母を介護した著者は素晴らしいと思う。
    本書は明るく楽しく書かれているが、きっと苦労も多かったと思う。
    それでも楽しくやれるのは、周りの協力と著者の知恵だろう。
    素敵な親子の素敵なお話で、素敵な気分を味わえた。

  • 当時のハノイを思い出しながら読みました。物事の背景には理由がある。言葉より先に行動する。小松さんの生き様に感動し教えられました。「ローバは1日にしてならず」や本の一語一語は同じ認知症の母を持ち母を幸せにしたいと願う息子の道標です。

  • 昭和を感じさせるベトナムならではの良さに十二分に触れられる良書。最後までお母様を看取られて親子共に幸せだったろうと羨ましくなった。
    誰もが歳をとる。どう生きるかは人それぞれだ。

  • 素晴らしい。認知症も異文化もおんなじだってところ、すごく納得した。読むだに異国での介護は大変だろうなと思いつつ、なぜか笑顔になる。

  • 日本以外の介護の実態を知りたい、と手に取った本書。
    ベトナムでの介護記録は面白くもあり、壮絶でもある。
    元々ベトナムで暮らしていた娘(著者)の周りに、助っ人がたくさんいることに驚く。
    大家さん家族、父親に命令されてきた娘、カフェのバイトの休憩時間に助けてくれる女の子、著者の出張時に寝泊まりしてくれる知人。
    みんな優しい。
    一方、救急車や医療機関の対応はやっぱり日本の方が良いなぁとも思う。
    日本とベトナム、それぞれに良いところと良くないところがある。
    改めて、介護する苦労を実感。

  • ベトナムの住みやすさや人情をいくつも伝えてくれる。
    まわりの人のことにそこまで気にしない感じ。
    オフィス街の普通の会社でトイレを借りられるとか。
    迷子になっている日本人のおばあさんをセオムがしっかり日航ホテルに送り届けてくれることとか。

    数十年むかしの日本みたい、というベトナムの感じも、年老いた日本人にはちょうどいいのかもしれないな。
    おばあちゃんが少し若返っていくような感じが素敵。
    とはいえ13年もすごすとは!とその行動力と覚悟には驚くが。

    認知症の人への接し方も勉強になる(子育てみたいな感じ?)。認知症を「異文化」と捉えるという、なんとかなる、楽しまないと、という感じもいいし、
    全体的に、案ずるより産むがやすし、というスタンスもとても良い。

    ※少し前のベトナムのことだということに、注意は要するか。(オペラ座の前に水牛、1992年、とか。第一次投資熱、1995年、とか。)

  • 認知症の母とハノイで暮らすなんて
    母は幸せだっただろうなー
    周りの人たちがあたたかい!

  • 2020年8月読了。

  • 2018.11.10

  • 終始ほっこり

  • 認知症の80過ぎの母親をベトナムへ
    「ベトナムでロングステイ」にも出ていた著者の本。
    文庫あとがきでは母親死去、13年暮らしたそう
    映画化されたので、そちらも見る

    「おしん」※117p
    祭壇に紙銭、ドル紙幣の方が人気高い。p69
    信心深い人々

    雪が降らなくていい
    文廟、孔子廟のこと。

    遺産分割協議書、印鑑証明が取れなくなるので拇印。
    アンコールワット訪問も。

    迷子になる
    転んで?腰。骨の靱帯はずれ全身麻酔で手術

  • 新潟出身の筆者と、その母(認知症、新潟県堀之内在住)のベトナムライフ。これが本当のダイバーシティか。でも、寛容と甘やかしとわがままは違うし。難しい。

  • 痴呆症の母親とともに、ベトナムで生活をする話。
    様々なトラブルが発生するが、周りの人は皆優しく、助けてくれる。

    ほのぼのとしたエッセイ。

  • 認知症、介護か、、、と少し躊躇したのですが
    帯に映画で母娘の役をされた
    松坂慶子さんと草村礼子さんの笑顔が
    自然で引き込まれて、手に取ったのです
    読んでよかった~
    母親を大切にする気持ち、感謝の気持ち
    ちょっとイラッとすること、素直でやさしく、飄々として
    読んでいて、忘れちゃいけないことがたくさん書かれていて
    幸せな気持ちになりました
    映画も見たいなぁ

  • 母をこんなに幸せにできるか、私は自信がない。
    そういう状況になってみないと、わからないということもあるけど。
    でも、Baも何だか幸せそうだし、ベトナムという国だから良かったのかも。

    私もついこの前、ハノイに旅行して、ベトナムの田園風景を見て、日本みたいだなーと思って眺めていたから、親近感がわく。

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著者プロフィール

1947年新潟県北魚沼郡堀之内町(現・魚沼市)生まれ。中学卒業後に上京、共立女子短期大学卒。出版社、法律事務所勤務を経て、1992年にベトナムの首都ハノイに日本語教師として赴任。2008年よりベトナム社会主義共和国国営ラジオ局VOV「ベトナムの声」放送局勤務。
これまでに3冊の著書を出版。
認知症の母親をハノイで介護したエッセイ『越後のBaちゃんベトナムへ行く-ラストライフを私と-』(2B企画/2007年・絶版)、そして『ベトナムの風に吹かれて』(角川文庫/2015年)は、同年に松坂慶子主演による日越合作映画となった(アルコ・ピクチャーズ)。
太平洋戦争後にベトナムに残留し、現地で家族を持ったのちに引き裂かれた日本兵と今も夫や父の帰りを待ち続ける家族を追った『動きだした時計 -ベトナム残留日本兵とその家族-』(めこん/2020年)。
天皇皇后両陛下のベトナムご訪問時に、ベトナムに残された家族を紹介する際の案内役を務めるなど、日本とベトナムの相互理解の促進に貢献した数々の功績により、2017年に外務大臣表彰を受ける。
2022年3月に帰国。

「2025年 『翔んでベトナム30年 私の肩書きは、私』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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