ギリギリ

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 160
レビュー : 38
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041034620

作品紹介・あらすじ

脚本家の卵である健児は、同窓会で夫と死別したばかりの瞳と再会し、彼女のマンションに居候する形で再婚。前夫の不倫相手や母親など、大切なひとを失った彼らの絶妙なバランスのうえに成り立っていた関係の行方は?

感想・レビュー・書評

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  • 駆け出しの脚本家、健児。夫の突然死の後、故郷の同級生だった健児と再婚するバリキャリの瞳。瞳の死別した夫(一郎太)の母、静江。一郎太の愛人、冴子。一郎太の影を引きずる彼らの心の内とは…。
    着眼点が独特で、相変わらず「読ませて」くれる人だな~と思いました。「原田ひ香」ワールドが心地よくて、先の読めなさがページを捲る手を止めさせてくれない。ちょっと不思議な関係性の均衡が少しずつ崩れていく過程の描写が絶妙だ。ユーモラスだけどところどころで切なくて。個人的には、ひょんなことから交流の始まった、健児と静江の関係性がほのぼのしていて好き。傍目には説明のしにくい関係ではあるが(何しろ一言では済まないし)、何となく互いを思い合い、つい頼り頼られなところが微笑ましかった。
    おっとりしていて優しい健児だが、彼も彼なりに複雑な家庭環境により心に空洞を抱えている。自身の収入が定まらないとはいえ、かつて一郎太と暮らしていた瞳のマンションに転がり込む形で再婚したことに、ある種の引け目を感じている。そして、瞳もまた亡き夫の愛人・冴子と定期的に気の進まない会食をしたりと、一郎太の存在にどこかで捉われている。亡くなったとはいえ、ストーリーが進むほどに一郎太のキャラクターの輪郭が少しずつくっきりしてくる。彼を盾にしてうやむやになっていたそれぞれの本音が明らかになっていき、心の内をさらけだしたところで、今の自分を見つめ直していく。
    ストーリーと同時進行で非常に興味をそそられたのが、健児の脚本家としての仕事シーン。原田さん自身の経験を存分に投影したのか微に入り細に入りリアルで、何度も繰り返される脚本の直しなど、ドラマとして成立するには想像以上の苦労があり、人手もかかっているのだなと今更ながら思った。静江から聞かされたエピソードがきっかけで生まれたこの健児の脚本が、瞳の心をざわつかせるきっかけともなるのだが、その絡ませ方もまた巧い。
    各章の4文字カタカナのタイトルがいいなと思っていたが、本のタイトルでもある「ギリギリ」のもう一つの意味に最後まで気付かなかった…鈍かったです。が、改めて「原田さん、お見事!」と思いました。

  • シナリオライターの健ちゃん、その妻瞳さん、瞳さんの亡き夫の母静江さん、3人の微妙な関係の物語。

    今回もまた、なんだか微妙な間柄の方たちのお話でしたね。健ちゃんと静江さんの関係なんて、普通なら有り得ないはずなのに、全然ありなのが、著者の書くストーリーなのねと、違和感なく読み進めてしまいます。
    頼りなかった静江さんが一人で立ち上がった姿を見た瞳さんが、自分の姿を見直し、今度は自分が一人で歩けるようになるためにした決断。瞳さんと健ちゃんの気持ちを思い、切なくなりました。

    著者の作品、大好きです。
    不思議な感性の女性達に、共感は持てませんが、好感を持ちました。

  • 健児と妻である瞳、瞳の亡くなった前の夫の母親の静江、三人の少しギクシャクした妙な関係。連作短編で綴られていきますが、この妙な空気感がとっても好きでした。

    特に健児と静江の関係が微笑ましく、関係ないけど関係あるし、親戚でもないけど全くの他人でもないし…、と微妙な距離感の付き合いがほっこりした気分にさせてくれました。

    クスッと笑えてちょっぴり泣けて、最後は少し淋しい気分になったけど、それぞれが前を向いて進んでいけてたし、スッキリした読後感でした。

    個人的にはこれ、続編を期待します。

  • 夫が亡くなってすぐに再婚してもいいじゃない。
    二人暮らしだったのが、一人になるって相当寂しいと思うよ。
    ただ、一緒に暮らすならちゃんと話をしないとね〜。言わなくてもわかるなんてことはないと思うもの。話さないとだんだんすれ違っていく……。
    お義母さんにも遠慮せず言いたいことが言えればもっと良い関係が築けそう。

  • なんて人との縁は脆さの上に成り立っているんだろう。
    最初のアナログで健児のやるせなさがどお〜んとのしかかってきて、スカイプのラストで静江の母の愛がたまらなくなって、だから瞳にも愛っていろんなかたちがあるからって言いたくなるけど…。
    一郎太、あんたが1番ズルい。
    みんな自由になっているようでとらわれている。
    悲しい縁です。

  • タイトルの意味が読了後にズッシリとココロに響いてくる素晴らしい作品でした。決して底抜けに明るいお話ではありませんが、どこか全体を通して、なんとも言えない陰めいた作風が原田ひ香さんの醍醐味だと思うので、ある意味期待どおりの雰囲気です。再婚した管理職の「瞳」と相手の脚本家「健児」の微妙な間柄が見事な描写です。「瞳」の義母「静江」さんが何より魅力的なキャラで、終盤に悩める「瞳」を励ますある決めセリフがサイコーにかっこよく、感動すらします。誰もが見てみぬフリをして、やり過ごそうとするリアルな描写に感服しました。

  • 蔵書なし

  • 一人の男の喪失をめぐる、人々の物語。

  • 最初は今まで読んだ本と感じが違うのかな?と思った
    短編なのかと思ったが続いていて、最後は涙が出る感じだった

    脚本家の卵
    天涯孤独の義理母
    夫に先立たれシナリオライターの卵と再婚した元嫁

  • 不思議な人間関係。
    独特な世界観。
    好きですね。
    最後もいい終わり方じゃないのに何故かほんわかしてしまう。

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プロフィール

原田 ひ香(はらだ ひか)
1970年、神奈川県生れ。2006年、NHK 創作ラジオドラマ脚本懸賞公募にて最優秀作受賞。2007年、「はじまらないティータイム」ですばる文学賞を受賞してデビュー。著書に『東京ロンダリング』『三人屋』『母親ウエスタン』『虫たちの家』『ラジオ・ガガガ』『ランチ酒』などがある。
(2018年5月10日現在)

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