バベル九朔

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 1105
レビュー : 201
  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041034644

感想・レビュー・書評

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  • 他の方のレヴューにもありますが、初期の頃の“愛すべき万城目ワールド”とは毛色が異なる印象で、読み進むうちに、なんだか主人公と共にグルグルと無間に歩かされているような気持になり、少々疲れました。
    ビルのテナント名は、万城目さんらしさが出ていて、思わず「くすっ」と。。。

  • もう万城目マジックにかからなくなってしまったか? ”鬼”を見る力、想像力が乏しくなってきたのだろうか。
     いや違うな、万城目作品が変わろうとしている、そんな気がした。

     けっして「なぜ?」という質問をしてはいけないのが万城目作品の楽しみ方。「そういうもんだ」と世界観を受け入れて読み進めるもの。というか「さもありなん」と思わせる不思議な説得力があったのだが、本作に関しては主人公でさえも最後まで「なぜ?」という思いで不思議な世界を右往左往し続ける。
     読者の気持ちさえも、そんな不安定な状況に置いたまま読み進ませる、妙な方向への意欲作と読み取ればよいのか。

     半自伝的と宣伝文句にあるように、デビュー前の著者同様、雑居ビル「バベル久朔」の管理人をしながら小説家を目指す30手前の男が主人公。管理人業務やテナントとのやりとりなどは実体験に基づいているところもあるのだろう。そこに万城目ワールドな奇想天外な出来事が起こるのであるが、かつての作品ほどのバカらしさはなくひたすら重くて暗いトーンで難解な内容だった。

     万城目的に明るいユーモアを感じさせるのは店と店主の名前くらい。ビルの階数に対応したテナント主たち(4Fは四条、3Fは密村、2Fは双見・・・・めぞん一刻の住民を思い出すのは我々世代だけだろうか…)。これがきっと後半の謎解きの鍵になるのかと脳内にメモりつつ読み進むが・・・。

     かつての万城目作品であれば(ただし『…しゅららぼん』以降は未読だ)、歴史や民話、祭事、風俗風習といった現実と微妙に折り重なるように話をコジツケてある妙味があった(ウソっぽいが、フィクションとしてならあり得ると思える範囲で)。

     著者が、本作の主人公同様に会社を辞め、雑居ビル管理人をしながら執筆活動していた時期があったと著者略歴欄で知った。『鴨川ホルモー』がデビュー作で、ボイルドエッグ新人賞を獲り一気に人気作家となった経緯も知っている。 ならば、その”現実”に似た世界に繋がっていくファンタジーかと思って読んだが、繋がってはいかない(「鼻」に固執するあたりが、わずかに「ホルモー」にも反映されているかな?という程度)。

     作中、新人賞に応募する3年越しの長編のタイトルがなかなか決まらない。あぁ、これは『鴨川ホルモー』のことか。ならば何故「ホルモー」などという奇天烈な呼称を思いついたのが本書で明らかになれば楽しいなと期待して読み進めたが、そこも肩透かしを喰らう。

     廃業したテナントが架空の世界のバベル九朔のほうでは、退去の順に積み重なってビルがどんどん天へと延びていくが(そこがバベルの塔的ということなんだね)、数字にまつわる店と店主の名前と、世界観やバベル崩壊の謎とのリンクはなにもなかった(と思う)。
      ”ひとつ~めの部屋には言葉を全部閉じ込めた~♪”と『鴨川ホルモー』の主人公安倍にならって、さだまさしを口ずさんで(「博物館」)、旧作との関連性を自分で勝手に模索してみたりもしたが空しかった。

     半自伝的にデビュー前の苦悩を描いていると推察されるが、むしろデビュー10年を経て、新たな代表作が生み出せない著者の今の足掻きっぷりが記されているのではないかとさえ思えてしまう。バベルの崩壊、それは著者自身のアイディアの枯渇、作家として崩壊寸前でなんとか留まっている今の著者の姿なのではと思ってしまう。

     映像化(実写化)される作品が多い作家さんだが、現実離れした夢の中のような世界観、天空へ伸びる塔などからアニメ的だなと思った。カラスから絶世の美女に変化する「太陽の使い」は、『ハウルの動く城』の羽毛の生えたハウルの姿がチラついて、脳内に浮かぶ映像はさながらジブリアニメだった(苦笑) 著者もこのカラス女の姿は「ルパン三世」の峰不二子をイメージしたと言うから、「カリオストロの城」の不二子に黒い衣装を纏わせたキャラクター設定で凡そ遠くないのだろう。

     エッセイを読んで、文章は上手くない、感性はさほど豊かではなさそうと思ってしまったあたりから、かつてほど夢中に万城目ワールドには浸れなくなっているが、万城目ファンにとって本作品の位置付け、評価はどんなものなんだろう。

     「無駄を見ている」というバベルの存在意義というか創始者の大九朔(主人公の祖父)の思いは、効率重視の現代への素敵なアンチテーゼだとは思った。

  • デカい!読み始めた時点ではこんなにデカい話にたどり着くとは思いもしなかったです。いやぁ、デカい物語を描いちゃいましたね、万城目さん!
    いままで、マキメさんの描く「自分の世界と地続きの魔訶不思議な物語」をゲラゲラ笑いながら楽しんできたのに、これはもう壮大過ぎてめまいがしちゃいました。めまい、まさに、めまい小説ですね、これは。
    これまであまり出てこなかったヒトの世の暗い部分がじわじわと滲み出ているようで、一気に世界が深くなった気がします。

  • なんとか読んだけど、後半?3分の2の展開はひどい。

  • コレは凄いなー。

    以前の作品よりは分かりづらいし、
    登場人物の魅力に欠ける印象は残るけど。

    うん、読んだなーって満足感。

  • 大九朔のところ、最後の時間を繰り返すところがいまいちよくわからない。

  •  すっとことんでトンデモなファンタジーが魅力の著者。新作の情報は追っかけてたつもりなのに抜け落ちいてたこれ。なんでかな、デキがいまいちで話題にならなかったのか。バベル九朔という雑居ビルの管理人に納まってモノにならない小説を書いている主人公。その日常を達者な筆運びでコミカルに描いているうちはいいが、カラス人間が現れて額縁の絵の中の世界へ逃げ込んだところから尋常ではないストーリーに一気に転換する。バベルのビルはバベルの塔となっていや高く屹立し、その源にはエネルギーを吸い上げる祖父大九朔、という筋書きを書いても不毛だ。なんなんだか意味がよくわからないうちに至った結末ってこれどうなってるの。説明不足なのか前衛的すぎるのか、これでは新人賞は無理だろう。

  • +++
    万城目ワールド10周年。新たな幕開けを告げる、最強の「奇書」が誕生! !

    俺を追ってくるのは、夢か? カラスか?
    作家志望の雑居ビル管理人が巻き込まれた、世界の一大事とは――。

    作家志望の「夢」を抱き、 雑居ビル「バベル九朔」の管理人を務めている俺の前に、ある日、全身黒ずくめの「カラス女」が現われ問うてきた……「扉は、どこ? バベルは壊れかけている」。巨大ネズミの徘徊、空き巣事件発生、店子の家賃滞納、小説新人賞への挑戦――心が安まる暇もない俺がうっかり触れた一枚の絵。その瞬間、俺はなぜか湖で溺れていた。そこで出会った見知らぬ少女から、「鍵」を受け取った俺の前に出現したのは――雲をも貫く、巨大な塔だった。
    万城目学、初の「自伝的?」青春エンタメ!
    +++

    夢なのか現なのか、いつもながらに曖昧過ぎてめまいがしそうである。ここにいる自分が現実だと思っている世界とは軸がずれたパラレルワールドが存在し、そこには現実世界の影が溜め込まれ、バベルと呼ばれる塔がどんどん成長していく。その大本は、現実世界のバベル九朔という雑居ビルの管理人である俺の祖父であり、バベル九朔を建てた「大九朔」が造ったものらしい。カラス女に襲われたり、異世界に迷い込んだりと、存在の危機に脅かされながら、何とか生き延びたらしい九朔だったが、そのすべてが夢か、あるいは自身の小説の中の出来事なのかもしれないとも思わされて、読者はなおさら迷路に迷い込まされたような気分になる。自分がいる場所を見失いそうになる一冊だった。

  • なかなか面白いと思った。万城目作品は好きだが、これはなかなか印象的な作品だった。また読みたい。

  • 今は亡き祖父の雑居ビルの管理人の傍らで小説家を目指す青年の、ビルにまつわるファンタジー
    設定は万城目学というよりは森見登美彦っぽい?
    まぁ、セリフとかは万城目さんだけど

    誰が味方なのかわかりにくくなっているけど、エンターテイメントの定番としてはどんでん返しがあると思っていればまぁ心構えとしては十分

    ってか、さんずいの一族ってしゅららぼんのアレ?
    源爺のところかな?
    それともまた別のところ?


    お話とは関係ないけど、なかなか店が安定しない場所ってあるよね
    しょっちゅう入っている店がかわるところ
    個人的に「こんな業種ならいけるんじゃないか?」とか「こんな店だったら嬉しいなぁ」とか思うこともあるけどなかなか難しい
    そこで長く続けている店ができたりすると、「ここにはこの店が合ってたのかぁ」とちょっと感慨深くなる

    でも、飲み歩いたりしなくなった(できなくなった?)から、ずいぶんとそんな感覚は体験していないけどね

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著者プロフィール

1976年大阪府生まれ。京都大卒。2006年ボイルドエッグズ新人賞を受賞した『鴨川ホルモー』でデビュー。『鹿男あをによし』『プリンセス・トヨトミ』『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』『とっぴんぱらりの風太郎』『悟浄出立』が直木賞候補になる。他の著書に『ホルモー六景』『偉大なる、しゅららぼん』など。

「2016年 『バベル九朔』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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