バベル九朔

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
2.85
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本棚登録 : 1105
レビュー : 201
  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041034644

感想・レビュー・書評

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  • あれ、理解できない..

  • 万城目学の作品はいつも奇想天外だけど、同時に娯楽性も高く登場人物も個性的でキャラものとしても読めるから、どんなに奇想天外な設定でも最後までぐいぐい面白く読めた。がしかし、本作。奇想天外はいつものことながら、どうも娯楽性が低い。会社勤めを辞めて作家を目指しながら、祖父が残した雑居ビル「バベル」の管理人をしている主人公の性格が、どうも中途半端に現実逃避的で感情移入しにくく、応援する気持ちになれない。

    それでも中盤、異次元のようなバベルという世界が出現し、ひたすら塔を上りながらテナントを遡ってゆくあたりはそれなりに面白かったけれど、終盤のぐだぐだ感がひどい。もとの世界に戻れたと思ったらまだ違った・・・くらいのどんでん返しは1回で十分。なぜ時間軸までずれたのかご都合主義すぎて、最後に主人公のしたことになんの意味があるのか全然わからなかった。少女とおばさんが同一人物なのかもスッキリしない。

    世界観はキライじゃなかったけど、初期の村上春樹をやろうとして失敗した感じ。エンタメから純文学に移行しようとしてるのだろうか。万城目学の転換期の作品としてターニングポイントになりそうではあるけれど、単純に読み物としてつまらなかった。

  • 斬新な設定は著者ならではの持ち味が発揮されるものの、話としてはどうなのだろうか?端的に言うと、あまり面白くなかった。

  •  とにかく、すらすら読めない。
    不気味でミステリータッチな序盤、何なんだろうこの世界、何でこうなるんだろうっいう事ずくめな中盤、そして怒涛の終盤。序盤の成り行きのカラクリがわかる終盤はすごく面白かったけれど、ラストでぱつん、と切られているように感じた。え、これで終わり?どうなったの、どうなるの?なままの放置プレイ。
    全てが上手くいって、現実の世界(序盤)にループしてるのか?!

     万城目さんの初期の作品でみられる、読後スッキリ爽快(痛快)な作風ではない。それは前作でも感じたけれどー。ラストの印象で、一気にそういう風に持っていかれる。

     どう考えても「バベル」存在のルールが特殊で、わかりにくい。少なくとも、私にとっては。
    え?待って待って、と何度も止まって考えた。
    結局バベルの管理人になった主人公は、大九朔とは違って現実に今も生きている人間だから、現実の世界でも生きていられて?バベルの管理人もやれるってことなんでしょうか。バベルが崩壊して現実世界に混乱が起きないよう、現実とうまく調和させるために管理人になった。でもその作業途中で物語は終わってるような・・・。
    大九朔がバベルの管理人の段階でバベルの世界に留まったら、主人公はただの影になってしまったり、清算されて元の世界には戻れなかった?

     うーん、モヤモヤします。
    読みながら、世界観やストーリーの流れ、意味する事を理解するのに何度も立ち止まる必要にせまられて、楽しめなかった。
    わかりやすい物が良くて、難解なのはダメだなんて思っていないけれど、どこかこう、いまひとつでした。

  • もう万城目マジックにかからなくなってしまったか? ”鬼”を見る力、想像力が乏しくなってきたのだろうか。
     いや違うな、万城目作品が変わろうとしている、そんな気がした。

     けっして「なぜ?」という質問をしてはいけないのが万城目作品の楽しみ方。「そういうもんだ」と世界観を受け入れて読み進めるもの。というか「さもありなん」と思わせる不思議な説得力があったのだが、本作に関しては主人公でさえも最後まで「なぜ?」という思いで不思議な世界を右往左往し続ける。
     読者の気持ちさえも、そんな不安定な状況に置いたまま読み進ませる、妙な方向への意欲作と読み取ればよいのか。

     半自伝的と宣伝文句にあるように、デビュー前の著者同様、雑居ビル「バベル久朔」の管理人をしながら小説家を目指す30手前の男が主人公。管理人業務やテナントとのやりとりなどは実体験に基づいているところもあるのだろう。そこに万城目ワールドな奇想天外な出来事が起こるのであるが、かつての作品ほどのバカらしさはなくひたすら重くて暗いトーンで難解な内容だった。

     万城目的に明るいユーモアを感じさせるのは店と店主の名前くらい。ビルの階数に対応したテナント主たち(4Fは四条、3Fは密村、2Fは双見・・・・めぞん一刻の住民を思い出すのは我々世代だけだろうか…)。これがきっと後半の謎解きの鍵になるのかと脳内にメモりつつ読み進むが・・・。

     かつての万城目作品であれば(ただし『…しゅららぼん』以降は未読だ)、歴史や民話、祭事、風俗風習といった現実と微妙に折り重なるように話をコジツケてある妙味があった(ウソっぽいが、フィクションとしてならあり得ると思える範囲で)。

     著者が、本作の主人公同様に会社を辞め、雑居ビル管理人をしながら執筆活動していた時期があったと著者略歴欄で知った。『鴨川ホルモー』がデビュー作で、ボイルドエッグ新人賞を獲り一気に人気作家となった経緯も知っている。 ならば、その”現実”に似た世界に繋がっていくファンタジーかと思って読んだが、繋がってはいかない(「鼻」に固執するあたりが、わずかに「ホルモー」にも反映されているかな?という程度)。

     作中、新人賞に応募する3年越しの長編のタイトルがなかなか決まらない。あぁ、これは『鴨川ホルモー』のことか。ならば何故「ホルモー」などという奇天烈な呼称を思いついたのが本書で明らかになれば楽しいなと期待して読み進めたが、そこも肩透かしを喰らう。

     廃業したテナントが架空の世界のバベル九朔のほうでは、退去の順に積み重なってビルがどんどん天へと延びていくが(そこがバベルの塔的ということなんだね)、数字にまつわる店と店主の名前と、世界観やバベル崩壊の謎とのリンクはなにもなかった(と思う)。
      ”ひとつ~めの部屋には言葉を全部閉じ込めた~♪”と『鴨川ホルモー』の主人公安倍にならって、さだまさしを口ずさんで(「博物館」)、旧作との関連性を自分で勝手に模索してみたりもしたが空しかった。

     半自伝的にデビュー前の苦悩を描いていると推察されるが、むしろデビュー10年を経て、新たな代表作が生み出せない著者の今の足掻きっぷりが記されているのではないかとさえ思えてしまう。バベルの崩壊、それは著者自身のアイディアの枯渇、作家として崩壊寸前でなんとか留まっている今の著者の姿なのではと思ってしまう。

     映像化(実写化)される作品が多い作家さんだが、現実離れした夢の中のような世界観、天空へ伸びる塔などからアニメ的だなと思った。カラスから絶世の美女に変化する「太陽の使い」は、『ハウルの動く城』の羽毛の生えたハウルの姿がチラついて、脳内に浮かぶ映像はさながらジブリアニメだった(苦笑) 著者もこのカラス女の姿は「ルパン三世」の峰不二子をイメージしたと言うから、「カリオストロの城」の不二子に黒い衣装を纏わせたキャラクター設定で凡そ遠くないのだろう。

     エッセイを読んで、文章は上手くない、感性はさほど豊かではなさそうと思ってしまったあたりから、かつてほど夢中に万城目ワールドには浸れなくなっているが、万城目ファンにとって本作品の位置付け、評価はどんなものなんだろう。

     「無駄を見ている」というバベルの存在意義というか創始者の大九朔(主人公の祖父)の思いは、効率重視の現代への素敵なアンチテーゼだとは思った。

  • なんとか読んだけど、後半?3分の2の展開はひどい。

  • 大九朔のところ、最後の時間を繰り返すところがいまいちよくわからない。

  •  すっとことんでトンデモなファンタジーが魅力の著者。新作の情報は追っかけてたつもりなのに抜け落ちいてたこれ。なんでかな、デキがいまいちで話題にならなかったのか。バベル九朔という雑居ビルの管理人に納まってモノにならない小説を書いている主人公。その日常を達者な筆運びでコミカルに描いているうちはいいが、カラス人間が現れて額縁の絵の中の世界へ逃げ込んだところから尋常ではないストーリーに一気に転換する。バベルのビルはバベルの塔となっていや高く屹立し、その源にはエネルギーを吸い上げる祖父大九朔、という筋書きを書いても不毛だ。なんなんだか意味がよくわからないうちに至った結末ってこれどうなってるの。説明不足なのか前衛的すぎるのか、これでは新人賞は無理だろう。

  • 「バベル九朔」
    万城目学の作家人生10周年記念長編。


    作家志望の「夢」を抱き、 雑居ビル「バベル九朔」の管理人を務めている九朔の前に、ある日、全身黒ずくめの「カラス女」が現われ、問うてきた。「扉はどこ? バベルは壊れかけている」。巨大ネズミの徘徊、空き巣事件発生、店子の家賃滞納、小説新人賞への挑戦。心が安まる暇もない九朔がうっかり触れた一枚の絵。その瞬間、なぜか湖で溺れていた。そこで出会った見知らぬ少女から、「鍵」を受け取った俺の前に出現したのは雲をも貫く巨大な塔「バベル」だった。


    押しの強い叔母、売れない探偵、カラス女、オノヨーコっぽい少女、そして死んだはずの祖父。「鴨川ホルモー」「偉大なるしゅららぼん」のような世界観だと思っていたばっかりに、これら個性の強いキャラクターが巻き起こすコメディー/ファンタジーものだと思っていた。


    しかし、「バベル九朔」はどちらとも言えないもののようだ。売れない探偵である四条さんのキャラクターを踏まえるとコメディー感を感じる。また、久朔がカラス女に襲われ、バベルがある世界に引き込まれる辺りから一気にファンタジーになっていく。


    そして、問題はバベルに隠されている秘密である。この秘密のおかげで複雑性が増している気がする。バベルは伸長し続けているのだが、この秘密には久朔が小説を書き続けているということが大いに関係している。小説を書き続けた結果、つまりは夢の達成を実現した自分をバベルで見ることになる久朔は、その世界にそのまま居続けるのか、現実世界の雑居ビル「バベル久朔」の管理人として、また叶うか分からない小説を書き続けながら、害虫処理や家賃回収をする業務に追われるのかを迫られるのだ。


    そして、久朔は決断を下し、ある行動を起こす。果たしてその結果、九朔がどうなったかまでは分からない。九朔は小説家という夢を叶える為にこれからも時間とエネルギーを注ぎ込むことを決断しただろうか。


    前半はネズミ奮闘記を始めユーモラスであるが、途中から一気にファンタジーに展開する作品。個人的には中だるみを感じてしまい、最後までこれぞ!の面白さを掴み切れずに終わってしまった。

  • テナントビル「バベル九朔」の管理人であり、作家志望の貧乏青年?が、謎のカラス女に追われ、不思議な世界へ。二転三転する話の展開に、見覚えのある謎の少女、ついつい気になって急いで読んでしまったが…なんだこりゃ。始めはもしかしてホラーかと思ったが、一応ファンタジーか。最後の展開についていけず、結局先延ばししてどうするのかとか、バベルって結局なんなんだとか、ちょっとおいてけぼり感がある。

著者プロフィール

1976年大阪府生まれ。京都大卒。2006年ボイルドエッグズ新人賞を受賞した『鴨川ホルモー』でデビュー。『鹿男あをによし』『プリンセス・トヨトミ』『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』『とっぴんぱらりの風太郎』『悟浄出立』が直木賞候補になる。他の著書に『ホルモー六景』『偉大なる、しゅららぼん』など。

「2016年 『バベル九朔』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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