ヘブンメイカー スタープレイヤー (2)

著者 : 恒川光太郎
  • KADOKAWA/角川書店 (2015年12月2日発売)
4.00
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  • レビュー :60
  • Amazon.co.jp ・本 (492ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041034668

作品紹介・あらすじ

気が付くと殺風景な部屋にいた高校二年生の鐘松孝平。彼は横須賀にむかってバイクを飛ばしている最中に、トラックに幅寄せされ……その後の記憶はなかった。建物の外には他にも多くの人々がおり、それぞれ別の時代と場所から、「死者の町」と名付けられたこの地にたどり着いたという。彼らは探検隊を結成し、町の外に足を踏み出す。一方、片思いの相手を亡くし自暴自棄になった大学生の佐伯逸輝は、藤沢市の砂浜を歩いていたところ奇妙な男に勧められクジを引く――。いつのまにか見知らぬ地に立ち、“10の願い”を叶えることができるスターボードという板を手渡された。佐伯は己の理想の世界を思い描き、異世界を駆け巡ってゆく……。先住民や来訪者、そしてどんな願いを叶えることのできるスタープレイヤーが共存する広大な異世界で、人間の本質を描きあげる。興奮と感動をよぶ、渾身のファンタジー長編、第二弾!

ヘブンメイカー スタープレイヤー (2)の感想・レビュー・書評

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  • 「スタープレイヤー」シリーズの2冊目は、願いを叶う力を得た青年の愚かしく道を誤りながらひとつの業をなし得ていくパートと、死からよみがえった青年たちの冒険譚のパートが交互になってつづられていきます。

    そのふたつのまったく違うような物語が、やがてひとつに寄り添っていき、その意味が解明されていく過程は、まさしく「世界の創生」の過程をみるような感慨を得ました。

    それをなし得たのは、自己中心的な欲望を叶えようとして挫折した青年。彼のその「馬鹿だなあ」という行動からのバベルの創生へのたった一人で歩んでいくプロセスは、人間のこれまでの愚かしい歴史を歩みなおしているかのよう。かくも人は愚かで、けれど見捨てきれない温かみのあるものか。ラピとのぎこちないふれあいのはぐくみを思い、そう、感じもしたのでした。

    物語はとてもときに冷酷に、さばさばと切り捨てるように進んでいきます。ラストの青年の姿は、あまりにも切なく孤独の極致のようにも感じました。だからこそ、人が育んでいく世界というものの危ういバランスとかけがえのなさを、思い知ることもできた、と思います。

    物を語る、世界を語る、人を語る。
    語る力に満ち満ちた、
    ただの異世界ファンタジーではない、
    フィクションの醍醐味を感じた小説でした。

  • 面白い!!
    前作「スタープレイヤー」より、第二作のこちらのほうが断然面白いです!!
    こんな分厚い本なのに、思わず3度も読み直しました。
    滅多に自分が読む本は買いませんが、こちらは購入しようか検討中。


    スタープレイヤーは読まなくてもいいので、こちらの「ヘブンメイカー」をおススメします。
    恒川光太郎さんはホラーが好きで、ずっとホラーを描いて欲しい!と思っていましたが、
    ヘブンメイカーを読んだら、こちらの続編も読みたくなりました(苦笑。

    • LUNAさん
      これは凄まじい名作でしたよね!個人的には2017年の読書(340冊中)で年間2位(1位は辻村さんの『かがみの弧城』)でして、
      図書館で読んだ後購入しました(^-^*)/

      まさか1作目が単なるSFだったのに、2作目がこんなに化けるなんてたまげましたし、
      何らかの大きな賞を取ったり、もっと評価されるべき神作だと思います(^-^*)/
      2018/02/20
    • みつきさん
      >LUNAさん
      (*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)名作ですよ!
      ビックリしました。
      前作とは趣きもスケールも違ってて。
      これはもっと宣伝して、いろんな人に読まれ、
      評価されるべきですよねエ。
      (でも恒川さんのホラーもまた読みたいなぁ・・・(#^.^#)
      2018/02/20
  • ランダムに何らかのクジを引き当選した人間は、『スタープレイヤー』に選ばれ一方的に異世界に召喚される。
    異世界の文明は中世時代辺りで、そこには先住民と、様々な『スタープレイヤー』や、スタープレイヤーが地球から呼び寄せた人たちもいる。

    スタープレイヤーはノートPCのようなスターボードを与えられ、文章にて願いを書けば10回まで願いが叶えられる。
    ただし願いは細かく具体的なものでないとダメだし、元の世界に戻りたいという願いはスタートより100日後でないと叶えられない。
    代わりに願いは、文章で細かく書けば1回の願いで何十何百個という願いを同時に叶える事が可能。

    大まかには以上のルールの元、スタープレイヤーに選ばれた人間の生き様を描いた作品で、1巻の『スタープレイヤー』は異世界の2つの国の戦争を治めようとする冒険物(☆4)でしたが、
    この2作目の『ヘブンメイカー』は主人公の状況が、
    学生時代に好きだった女子同級生と成人後に再会。何度か会ううちに告白したら「私もあなたが好きだけど、実は今、別れたい恋人がいる。きちんと別れてから付き合いたいから、今夜きちんと別れ話を切り出してくる」 と告げた彼女は、別れ話に暴走したストーカー気質の恋人に殺されてしまい、

    スタープレイヤーに選ばれた主人公は、自分と彼女が住んでいた街を再現&亡き彼女を蘇生させます。ただし怖い思いを思い出させたくないからと殺される前の状態の彼女を蘇生させた点と、他に住民がいない二人きりの世界が醸し出す違和感が生まれ、
    ある日、他のスタープレイヤーが訪れて外の世界=二人きりではない世界に触れるうちに彼女は主人公に完全反発。

    そこから様々な出会いと学びと反省の果てに、理想の平和な国=天国を作ろうとした主人公の生きざまを描いた作品で、
    先住民たちの中にある階級制度・生まれつきの差別文化等、生まれと育ちの中であまりにも異なる価値観がある場合、全人類の平和なんて簡単には口には出来ないと感じる哲学的な作品でもありました。

    これを読む事で、自分の中の価値観や生き方や平和に関する考えが1つ大きく広がり、この作品に出会えた事が人生の1つの財産と言える程の壮大な作品で、
    誰にでも人生の中で必ずいつか読んで欲しいと切望する神作品ですO(≧∇≦)o
    ちなみに1巻を読まなくても話は理解出来る作りなので、いきなり2巻を読んでも大丈夫です。

  • こっちの方が俄然面白かったじゃないの!

    スタープレイヤーの続編。今回の主人公はずっと片思いだった幼馴染の女の子をストーカーに殺されてしまった絶賛絶望中の大学生男子。

    初期の主人公は彼女をスタープレイヤーの世界で復活させるべく,故郷の町を丸ごと作ったり,結構な無茶をやらかす。

    もう一人の主人公はバイクで事故にあって死んだはずの高校生男子。気づけばスタープレイヤーの世界に転送されてて,そこで同じように転送されてきた数千人単位の死んだはずの人たちと共同生活を始める。

    話は交互に語られていって,まあ最終的にはつながるんだけれども,一方のスタープレイヤー男子のほうは呼び出した彼女とだんだんギクシャクしだしたり,いろいろな出会いがあるほどに歯車が上手く回らなくなっていく。

    他方死んだはずの高校生男子のほうは,周囲の人と協力して現地の生き物や植物を発見したり,新聞作ったり,あるいは周辺を探検したりして,大変ながらに前向きに楽しく社会を作っていく。

    結局最後は二つの物語が収束するんだけれども,1よりも面白かった理由はいろいろなことがそれなりにすっきり解決したからだとおもう。1でもあった,地球での犯罪者に対する復讐も,スタープレイヤー男子の最後のお願いも,対立する現地の部族の争いごとの行く末もしかり。

    もとはホラーを書く人なんですね。このシリーズの続きが出たらまた読みたいなあ。

  • 前作がいまひとつな印象だったけれど、
    今回はけっこう楽しく読み切った。

    なんでもありな願いを10個叶えるという
    途方もないお話なので、
    今回もその規模が途方もなかった。

    なんでもできるって、その責任を取るという意味でも
    (周りを巻き込むという意味でも)
    すごくたいへんなことなんだな。

  • 【昔読んだ本】
    首を長くして待っていた続編。
    タイトルがまた秀逸やなあ。
    単純に前作の続きだと思ってたら、前作も程よく絡めつつの時代も登場人物も全く別の話とは。
    面白すぎて何度も読んだ。
    続きはでないんでしょうか…
    なんか最近ブログも見れないし…泣

  • 日本人大学生が「かなり」なんでも叶う10個の願いを手に、異世界とか異星っぽいところに転移させられる話。

  • 『スタープレイヤー』の続編は単なる続編ではなかった!
    読み終わってみると、このタイトルの意味についてしみじみ思い巡らす。

    今回運命の籤引きで1等を引き当てた「スタープレイヤー」は男子大学生の逸輝(いつき)。
    逸輝の物語と並立して進む、不可思議な「ヘブン」の物語。
    この二つの物語が徐々に重なる時、ある事実に驚かされた。

    「幸せとは主観であり、本人がどう感じるかではないのか」
    幸せとは結局のところ何なのだろう?

    第2弾は第1弾を上回る面白さだった。
    第1弾でモヤモヤしていたことも、実に爽やかに解決!
    ラストの彼女の旅運を願いながら、第3弾にも期待したい!

  • スタープレイヤーの続編。第一作の登場人物が出てきたりして懐かしい。人間の様々な欲望と望みが織りなす物語に今回も引き付けられた。でも、人の心だけはどうにもならないんだなとやはり思う。そのことは慰めでもあり、絶望でもある。

  • 前作の前章の話のようだ。
    スターボードの使いこなしの幅広さと、微妙な使いづらさについてより分かった。前作をあんまり覚えていないので、また読もうかな。
    ところで、華屋の復活の願いは解除されているのだろうか。個人的に「火の鳥」を読んでから、永遠の命というものが怖くて仕方ないのだが、それから解放されているのだろうか。それともまた続きがあって、そこに絡んでくるのだろうか。

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