悪名残すとも

著者 : 吉川永青
  • KADOKAWA/角川書店 (2015年12月25日発売)
4.07
  • (4)
  • (8)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
  • 本棚登録 :34
  • レビュー :8
  • Amazon.co.jp ・本 (373ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041034712

作品紹介

天文九年(一五四〇年)の師走。毛利元就の居城、郡山城に尼子軍の怒濤の侵攻が押し寄せようとした時、一万の兵を率いた援軍が現れた。まだ二十歳の美しき軍師の名は、陶隆房。大内義隆の重臣にして、援軍の大将を務める男だった。隆房の見事な戦略により尼子軍の侵攻を打ち破った隆房は、毛利元就の戦友として、親交を深めていく。だが、隆房の真の敵は、外部だけではなかった。翌年、出雲に侵攻した隆房の軍は、内部の統制も取れずに敗走を余儀なくされる。大内氏内部での文治派の台頭、君主大内義隆の戦離れにより、武断派の隆房は追い詰められることに。さらに大内義隆の文化への傾倒と浪費は、天役(臨時徴税)を連発することになり、領民を苦しめていくのだった。迫り来る隣国の侵攻、疲弊する大内氏を立て直すため、隆房はついに決断を下す。書き下ろし歴史長篇。

悪名残すともの感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 一本木な陶さんの一生涯。フィクションとして面白かった。

  • 中国地方で覇を争った大内家の筆頭家老、陶隆房の話。
    それほど興味がない大内家だったんだけど、隆房に気持ち入りまくりました。
    一冊完結系の歴史本にしては、よかったです。

    隆房が一生懸命大内家を支えようとするんだけれど、その気持ちは主君の義隆には伝わらず、諫言を繰り返すために鬱陶しがられてしまう。
    あんなに優しかった主人はどこにいってしまったのかと、その面影を求めて、苦しむばかり。さすがに衆道の関係にあっただけに、恋愛に近い感情がある。

    そして、志を共にしてきたと思った毛利元就にも最終的に裏切られてしまう。毛利側の気持ちも、隆房の気持ちもよく分かるだけに切ない。

    隆房のために最後まで働く部下あり、裏切っていないのに主人に疑われて処刑されてしまう部下あり、この時代の武士たちの男同士の友情や忠誠心に胸が痛くなりました。

    どの人も生き抜くために必死な時代。誰も悪いなんて思わない。ただ、隆房の失敗の原因は、信念をしっかり持ち、それを貫かず中途半端に終わらせてしまったことかな?

  • 大内家に仕える陶隆房(晴賢)と毛利元就の戦いの物語だが,大内義隆が息子の春持を亡くしたことや文官の相良武任の唆しなどで治世が混乱するなかで,数々の諫言で義隆を盛り立てていく隆房.元就は尼子との合戦で隆房の力量を評価する.武任の策略で混乱する大内義隆に手を焼いた隆房は主君義隆を自死に追い込む.その中,隆房と元就との間に隙間風が吹くようになり,元就が離反し,厳島の戦いで晴賢が敗れる.ある程度の事前の知識があったので,楽しく読めたが,人を束ねていく難しさが全編に渡って頻出する話だった.地元の広島と山口の地名が数多く出てくるが,ほぼ位置がつかめたのでさらに楽しめた.

  • 作家読み。吉川永青さんの主人公チョイスを毎回楽しみにしてる。陶晴賢のイメージが正直自分の中にうっすらとしかなかったので普通に物語として楽しめた。逆に陶晴賢=悪名がしっかり根付いた状態で読んでいたらもっと意外性とかを楽しめたのかもしれない。陶隆房の大内家を思う真っ直ぐな気持ちを思うと悪名とは言えないなぁ。義隆死後の陶晴賢はなんだか狂い気味で辛いのに最後は思いの外爽やかにしまったなぁとちょっとびっくりした。

  • 面白かった―――。
    陶さん、ぶっちゃけ、某大河での陣内さんしか出てきませんでしたが、読了後は、なるほど!!という気分です。
    毛利元就と心の友なのが好!

    にしても。ちょっと思ったのが、毛利はタイミングがよかったんだなーと。今の真田丸見ていると、余計にそう考えてしまいます。
    勢力を拡大していくその時に、朽ちていく大国が隣にあるというのは、運とか巡りあわせだと思う。

    地味に吉川元春格好いい(笑)

  • 西国大内家の重臣として活躍した陶隆房について書いた本です。

    この本では、毛利元就の居城である郡山城を尼子家が攻めた郡山合戦から陶隆房改め陶晴賢が厳島合戦で自刃したところまでが描かれています。

    陶隆房は主君である大内義隆に謀反し、主君を殺した人物で、その後に毛利元就に討たれてしまうことから、明智光秀のようなイメージもありましたが、この本のタイトルにもある、悪名を残してもやりたかったことが何か?、がよく分かるような作品でした。

    ↓ ブログも書いています。
    http://fuji2000.cocolog-nifty.com/blog/2016/02/post-a24d.html

  • 代々大内家に仕える陶隆房は、主君を註し下剋上を成し遂げる。
    しかし、その後毛利元就に敗れ、悪名のみを残すことになる。

    謀反を起した理由は、大内家を慕い大内家中をまとめ上げ、そして大内家が西国の覇者として、やがては天下人となることを願ったためであった。
    しかし、大内家にはそこまでの器量はなく、己の分を知り域内の安定を図った、知将毛利元就によって討たれることとなる。

    ちょうどいま放送されている大河ドラマ、真田丸を観るように、戦国時代の武将の腹の探り合いが描かれている。
    実際表に出る、戦い、領地をめぐる争いのほかに、そこまで至る、各武将との腹の探り合い、そして、相手の動きに呼応する武将たちの動きによって、さらにその真の意味を探る。
    その行動は、二重三重の意味を持ち、相手がどこまで見切るかによって、その力量が試される。
    読者は、それを俯瞰することによって、全体の面白さを感じる。そんな作品だった。
    だが、知力にすぐれた陶隆房が、時として簡単にその知力を捨てるような場面があり、筋書きを優先させたと思われてしまう残念さが少しあった。

  • 陶隆房というと猛将のイメージがあり柴田勝家のような感じだと思っていたが美男子でしかも大内義隆の寵童だったとは。イメージが変わりました。陶隆房は謀反人のイメージしかなかったが明智光秀のように謀反を起こす理由があるのだと思うと興味がある人物である。陶隆房と毛利元就が盟友でお互いを認め合う仲なのに宿敵として西国の覇権を争うのは面白かった。また大内義隆と陶隆房の思惑の違いもよくわかった。大内義隆も暗愚なイメージがあるが実際はそうではなく政治方面に向いている父祖代々の地を広大な領土を守ってきたのが義隆というのは頷けるものである。主君大内義隆を想い、慕い続ける陶隆房の考えが章を進んでいくごとに変わっていく感じがよくわかった。大内氏の家臣やその方針、陶家の家臣まで良く分かった。とても面白い作品であった。

全8件中 1 - 8件を表示

悪名残すとものその他の作品

吉川永青の作品

ツイートする