- Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041034712
作品紹介・あらすじ
天文九年(一五四〇年)の師走。毛利元就の居城、郡山城に尼子軍の怒濤の侵攻が押し寄せようとした時、一万の兵を率いた援軍が現れた。まだ二十歳の美しき軍師の名は、陶隆房。大内義隆の重臣にして、援軍の大将を務める男だった。隆房の見事な戦略により尼子軍の侵攻を打ち破った隆房は、毛利元就の戦友として、親交を深めていく。だが、隆房の真の敵は、外部だけではなかった。翌年、出雲に侵攻した隆房の軍は、内部の統制も取れずに敗走を余儀なくされる。大内氏内部での文治派の台頭、君主大内義隆の戦離れにより、武断派の隆房は追い詰められることに。さらに大内義隆の文化への傾倒と浪費は、天役(臨時徴税)を連発することになり、領民を苦しめていくのだった。迫り来る隣国の侵攻、疲弊する大内氏を立て直すため、隆房はついに決断を下す。書き下ろし歴史長篇。
感想・レビュー・書評
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評価としては3.5くらいかなと
興味深く読んだことは間違いない。今まで知らなかった武将について、そして中国地方の覇権争いについて大枠を知ることができた。
また敵方となる武将との心の交流とすれ違いも切々と心に迫るものがあった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大内の衰亡から毛利への転換の時代が陶の視点からまとまっていて、面白く読めた
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戦国時代の陶晴賢の人生を通じ、現代社会にも共通する人間関係の難しさ、世の中の理不尽さが描かれていて、読んでいて感情移入し、大変身に染みる。
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中国地方全域から九州北部にかけて絶大な影響力を持った大大名大内義隆の筆頭家老にして主君の寵童であった陶隆房が、いかにして下剋上を起こさねばならなかったのか。
戦友にして親交の深い毛利元就とは、どこで生き方が変わってしまったのか。
非常に面白かった。 -
一本木な陶さんの一生涯。フィクションとして面白かった。
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中国地方で覇を争った大内家の筆頭家老、陶隆房の話。
それほど興味がない大内家だったんだけど、隆房に気持ち入りまくりました。
一冊完結系の歴史本にしては、よかったです。
隆房が一生懸命大内家を支えようとするんだけれど、その気持ちは主君の義隆には伝わらず、諫言を繰り返すために鬱陶しがられてしまう。
あんなに優しかった主人はどこにいってしまったのかと、その面影を求めて、苦しむばかり。さすがに衆道の関係にあっただけに、恋愛に近い感情がある。
そして、志を共にしてきたと思った毛利元就にも最終的に裏切られてしまう。毛利側の気持ちも、隆房の気持ちもよく分かるだけに切ない。
隆房のために最後まで働く部下あり、裏切っていないのに主人に疑われて処刑されてしまう部下あり、この時代の武士たちの男同士の友情や忠誠心に胸が痛くなりました。
どの人も生き抜くために必死な時代。誰も悪いなんて思わない。ただ、隆房の失敗の原因は、信念をしっかり持ち、それを貫かず中途半端に終わらせてしまったことかな? -
大内家に仕える陶隆房(晴賢)と毛利元就の戦いの物語だが,大内義隆が息子の春持を亡くしたことや文官の相良武任の唆しなどで治世が混乱するなかで,数々の諫言で義隆を盛り立てていく隆房.元就は尼子との合戦で隆房の力量を評価する.武任の策略で混乱する大内義隆に手を焼いた隆房は主君義隆を自死に追い込む.その中,隆房と元就との間に隙間風が吹くようになり,元就が離反し,厳島の戦いで晴賢が敗れる.ある程度の事前の知識があったので,楽しく読めたが,人を束ねていく難しさが全編に渡って頻出する話だった.地元の広島と山口の地名が数多く出てくるが,ほぼ位置がつかめたのでさらに楽しめた.
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面白かった―――。
陶さん、ぶっちゃけ、某大河での陣内さんしか出てきませんでしたが、読了後は、なるほど!!という気分です。
毛利元就と心の友なのが好!
にしても。ちょっと思ったのが、毛利はタイミングがよかったんだなーと。今の真田丸見ていると、余計にそう考えてしまいます。
勢力を拡大していくその時に、朽ちていく大国が隣にあるというのは、運とか巡りあわせだと思う。
地味に吉川元春格好いい(笑) -
西国大内家の重臣として活躍した陶隆房について書いた本です。
この本では、毛利元就の居城である郡山城を尼子家が攻めた郡山合戦から陶隆房改め陶晴賢が厳島合戦で自刃したところまでが描かれています。
陶隆房は主君である大内義隆に謀反し、主君を殺した人物で、その後に毛利元就に討たれてしまうことから、明智光秀のようなイメージもありましたが、この本のタイトルにもある、悪名を残してもやりたかったことが何か?、がよく分かるような作品でした。
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