二階の王

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
3.10
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本棚登録 : 136
感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041035573

感想・レビュー・書評

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  • ぼぎわんに載っていた賞の選評でクトゥルフ神話ものと書かれていたので気になって読んでみました。
    引きこもりの兄をもつ妹を中心とした、閉塞感が溢れる世界のパニックホラーといった趣の話でした。
    この閉塞感が半端ない。
    妹もそうだし、もう一方の主人公でもあるへんなものと戦っている集団も、戦っているからといってカタルシスを感じれるわけでもなく世間から爪弾きにされただひたすら息苦しさを味わっているという底知れない絶望感と悲壮感と閉塞感がありました。
    世界がものすごく狭いところで完結していて、それがどうしようもできなくて八方塞がりって感じがひしひしと伝わってきて胸を締め付けられます。
    話自体は確かにクトゥルフだーと思いましたし普通に面白かったのですが、期待していたほどのインパクトはありませんでした。ただ鬱々としているような印象。最後盛り上ることは盛り上がるんですが個人的にはもうちょいなんか気持ちよい感じがあってもよかったなあと。ちょっと肩透かしくらって残念。
    人物造形もなんかちょっと個性をつけているわりには薄く全く好きになれなかったです。
    ただオチはすごくびっくりしました。
    ああだから「二階の王」なんだな……ってなりました。

  • なんというか、小説より漫画向きのお話。

    引きこもり 悪果 悪因 従者…

    獣や昆虫じみた姿で悪臭を振りまく、一見普通の人々。

    ガンツとか、テラフォーマーズ系の漫画原作になると生きてきそうな設定。

    オチが弱いというか、ぽぎわんのインパクトと比べたらそりゃ…

  • 「ぼぎわん」の選評から優秀賞のこの作品も手を伸ばしてみた。登場人物のページから面白そうだと期待。ひきこもりの兄のくだりの重く狭苦しい雰囲気から始まって、「悪果」「悪因」「従者」「王」ん?なんだ?なんだ?ラストに向けて世界規模のスケールになっていった。神話みたいな所はあまり理解できなかったけど、スピード感のある面白い作品だった。

  • ひきこもりの兄を持つ八洲朋子は、文具売り場でアルバイトとして働いている。彼女の働くショッピングモールでは、ニート枠として元ひきこもりの掛井も働いている。
    特殊能力をもつ掛井たちは人々を邪悪な存在の「悪果」に変え世界に破滅をもたらす「悪因」の探索を続けていたが、仲間の急死に伴い、世界が破滅に向けて動き始める。

  • 日本ホラー小説大賞優秀賞受賞作。
    引きこもりの兄を抱えて苦労するヒロインと、よからぬ者の存在を感知する「悪因研」を巡るホラー。壮大な神話めいた邪悪を内包しつつも、読みやすい印象の作品。邪悪なもの……案外とそのあたりに溢れているのかもしれません。感じ取れなくて幸い、なのかも。
    奇妙な設定にも引き込まれて、ぐいぐい読めます。ラストの盛り上がり部分、意外な真相も相まって一気読みでした。

  • まず、タイトル・表紙・帯が良い。外見だけで100点。“邪神”(宮部みゆきのコメント)ってww
    ひきこもりの兄をどうにかしたいという家の中での小さなドラマと、世界の滅亡を阻止するという大き過ぎるドラマが絶妙に絡み合う。バトルものとしてはしょぼいんやけど、音楽の使い方や人物関係、〈悪果〉たちの設定が面白い。タルトくん、素敵です。伊高の描写はもっと欲しかったかな。

  • ホラー大賞の『ぼぎわんが、来る』が面白く
    その大賞と甲乙つけがたいという選評を読んで買ったけど
    『ぼぎわんが、来る』の方が心理的に怖く面白かった。
    『二階の王』はB級ホラー映画って感じ。
    引きこもりの兄を抱えて悩む朋子。
    家族のお荷物状態の兄をなんとかしたいと日々悶々していた。
    その頃『悪因研』のメンバーが"悪果"に染まった人々の調査をしていた…。
    発想は悪くはないけど
    『悪果』に侵された人達の描写がねB級映画で、
    引きこもりの兄から壮大な話にまで膨らむあたりがこれまたB級ぽい(笑)
    漫画で読んだ方が面白いかも?

  • 142/10000
    「二階の王」 名梁和泉
    毎年楽しみにしている日本ホラー大賞の第22回優秀賞受賞作品です。
    何年も二階に引きこもり家族にその姿も見せようとしない兄を持つことに引け目を感じている妹。そして人々の中に異形の存在を感じ取る能力を持ち探索を続ける元引きこもりの男女のグループ。そして二階を見上げ「王様」とつぶやく子供。それぞれが交錯するとき世界が一変する。
    年末に読み終えるつもりが年をまたいでしまいました。一気読みするはずだったんですが、意外と時間がかかってしまいました。風呂敷が広がり過ぎて非常に説明しにくい作品ですが娯楽作品としては中々面白かったです。

  • クトルー系。文章がもう少し練れるといいな。

  • ぼぎわんの最後のほうの選評で「ぼぎわんがなければ二階の王が・・・」と書かれていたのでこちらも読むことに。
    なるほど、かなり面白かった。
    たしかにぼぎわんがなければコレが大賞だろうなという感じであった。
    それだけ面白いのであるが、怖くはなかった。
    ほかの賞ならいいのだがホラー大賞では致命的だな。
    ぼぎわんは得体の知れない怖さが非常に恐怖感を増したのだが、こちらは描写しすぎじゃないかと思った。
    悪果たちの姿が鮮明に描かれすぎてまったく怖くも気持ち悪くもない。
    ホラーという括りでなければ最高に面白かったと思う。

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著者プロフィール

(なばり・いずみ) 1970年、東京都生まれ。明治大学卒業。現在、会社員。本作『二階の王』で第22回日本ホラー小説大賞〈優秀賞〉を受賞し、デビュー。ほかの著書に『マガイの子』『噴煙姉妹』がある。

「2023年 『七人怪談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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