- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041035962
作品紹介・あらすじ
沖縄の危機は日本の民主主義の危機。「米軍基地の辺野古移設問題」に際し、なぜ安倍総理は知事に会おうとしなかったのか? なぜ「民意」は置き去りにされるのか? この国の地方自治や安全保障の在り方などを問う。
感想・レビュー・書評
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いまはもう亡き翁長さんが沖縄県知事だったときの本。保守政治家の家に生まれ育ったことで、沖縄にあっては肩身の狭い思いをしながら自民党の県議や那覇市長として実績を積み、知事になってからは保守でありながら、沖縄を一顧だにしない自民党政権に反旗をひるがえし、米軍基地の県外移設を求めて活動した人。
この本はそのまっただなかの頃に出た本だと思う。保守と革新の融和をなして「オール沖縄」体制を確立した人でもある。政権に対してでもあるし、本土の人たちに対してでもあるだろう、少しでも沖縄のことに思いを馳せてほしいというふつふつとした思いが伝わってくる気がする。
自分の回りの沖縄出身の人のなかにも「沖縄は基地で食ってるからしょうがない」みたいなことを言っている人がいたけど、それでいいのだろうか。一面では真実だろうけど、一面では真実ではないのだろうと思う。実は基地がなくなったほうが沖縄経済が潤うという試算もあるし沖縄振興予算の実際とかも表層の印象とは違うことにも触れられている。それなのに、ただ、沖縄に基地を押しつけておきたいから……いや、押しつけておきたいとまで思わず、自分たちの所に基地がやってこないようにと無意識に思い、無意識のうちに沖縄への押しつけを見て見ぬふりをしているのが日本の姿だと思う。
とても滑らかにすらすら読めてしまうところからもやり手だったんだろうなと思わせる。正直なところ、ライターの手も入ってのことだろうけど、あまりにもすらすら読め過ぎて知った気になってしまうのが怖くすらある。もっと、疑問をもったり読みあぐねるつらさがあったほうがよかったのでは。
翁長さんはこの本が出てからほどなくの2018年にがんで亡くなってしまった。オール沖縄の精神は現玉城知事にも受け継がれているけど、翁長さんも生きていたらと思わせる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
尊敬できる政治家に初めて出会った。
県民のモヤモヤした気持ちが
翁長氏によって言葉にされている。
だから県民はついてきたのだ。
本当に惜しい人を早くに亡くしてしまった。 -
「翁長知事と沖縄メディア」のあとに読んだ。どうみても翁長知事に同情はできない。悪い人ではないのだろうが。
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東2法経図・6F開架 318.2A/O65t//K
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「中国のスパイ」だとか、「娘が中国に留学、中国当局に便宜を図ってもらった」などの噂が絶えない人ですが、実際よく知らないよなー、と思って読みました。
近頃まったく不勉強なので、あまり関連書籍や新聞記事も読んでおらず、これ一冊で翁長知事のことを知ったつもりになるのはよくないと思いますが、なんとなく見聞きしていた『噂』とは違う翁長知事の姿が見えて、面白かったです。
沖縄が抱える問題についても、知っているようでちゃんと知ってはいなかったと思いました。 -
保守政治家の一家で育った翁長さんが
その半生を交え語る。かつての政治家
(野中、後藤田、橋本など)とは対談
ができたが、小泉首相以来沖縄は置き
ざりになってきたなどのエピソードも
興味深い。基地が沖縄にあることで対
中国の抑止力があるのではという論調
が強まっているが、実際には基地には
抑止力はないと考えられることなど、
翁長さんが分かりやすく語る。「沖縄
はまだ抗議を続けるのですか」とまる
で沖縄だけの問題とされるように取り
上げる「本土メディア」を通してでは
わからない視点で、沖縄の問題は日本
の未来を決める問題と納得。 -
沖縄県知事自ら思いを語る。
保守の翁長雄志知事は今も保守のままである。保守というイデオロギーより沖縄というアイデンティティを重視したからこそ今のような行動に出ていることが伝わってくる。
沖縄は基地で潤っているのではないか? 中国が行動したらどうするのか? この本ではこういった問いにしっかり応えている。
基地が存在しなければならない理由は沖縄にだけ基地が集中している理由にはならない。
翁長知事は平和運動としてではなく、地方自治や沖縄のアイデンティティとして基地問題を訴えている。
沖縄の問題を改めて理解を促す一冊。 -
沖縄県知事、翁長さんの想いを語る一冊。
みんながわかっているように、中央官僚(東京)の意のままに、札束で沖縄もてあそんでいる。
そんな事実に立ち向かう翁長さん。
いかに感情的にならずに沖縄の想いを表明していくのか、その葛藤や、沖縄が19世紀からどのような国々に属していたのか、初めて知る事実も記述されている。
沖縄に思いを馳せる内容だ。