二重生活 (角川文庫)

  • KADOKAWA (2015年11月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (416ページ) / ISBN・EAN: 9784041036204

作品紹介・あらすじ

大学院生の珠は、ある思いつきから近所に住む男性・石坂を尾行、不倫現場を目撃する。他人の秘密に魅了された珠は観察を繰り返すが、尾行は徐々に珠自身と恋人の関係にも影響を及ぼしてゆき――。蠱惑のサスペンス!

みんなの感想まとめ

他人の秘密を観察することから始まる物語は、主人公の大学院生・珠が思いつきで近所の男性を尾行することで展開します。彼女は不倫現場を目撃し、他人の行動に魅了されていく一方で、その観察が自身の恋人との関係に...

感想・レビュー・書評

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  • ただ単なる恋愛小説。
    「文学的哲学的尾行」という言葉は初めて聞いて興味を持ったが、実のところあまり良くわからなかった。

  • 哲学的・文学的尾行をやってみたら…と好奇心で動く珠に共感できず、なんかずっと気持ち悪さが付き纏っていました。

    ずっと下手くそな尾行をしているのに悦に入ってるし、その上タクを疑いまくりなのがキモいな〜と思いました。でも結局タクとも仲良くやっていけそうだし、石坂とも和解?しちゃって…いいの?こんなに赦されまくって良いのかしら?とちょっとモヤモヤ。

    篠原教授と珠が2人きりで尾行について話す時「恭しく箱に並べられていないところがいいですね。チョコレートというものは、こんなふうにぎゅうぎゅうに、乱暴に詰めこまれているほうが、〜」というチョコのくだりはそうそう!と思いました(笑)

  • 映画とは展開が最後の方違う

    我々は凡庸の中に生きてて
    尾行することによって違う人生の刺激を受ける

    私たちが物語を求める理由がここにある気がした

  • 思い付きで赤の他人を尾行し不倫現場を目撃してしまう学生
    これは文学的哲学的尾行だと銘打って、
    他人の秘密を知る快楽から抜け出せなくなっていく 

    尾行されているのにも気づかずに、、、

  • 大学院生の珠は、大学時代のゼミで知ったアーティスト、ソフィ・カルによる「何の目的もない、知らない人の尾行」の実行を思い立ち、近所に暮らす男性、石坂の後をつける。
    そこで石坂の不倫現場を目撃し、他人の秘密に魅了された珠は、対象者の観察を繰り返すようになる。
    しかし尾行は徐々に、珠自身の恋人との関係をも脅かしていく。

    何気なく始めた行動が、自分自身の状況にも影響を与える。この物語の場合は、不倫をしている男を尾行することにより、生々しいその現場を目にしてしまい、結果自分の恋人の女性関係をも疑ってしまうことになる。
    尾行までの極端な行動ではなくても、そういうことって案外転がってるのかも、と考えたりした。
    他人の行動やら経験やらを見ているうちに、いつの間にか自分に重ね合わせて考えてしまう。頭の片隅にその考えが入り込んでしまうと、なかなかそれを排除することが出来なくなる。
    この物語の主人公・珠は、自己洗脳みたいな状態に陥ってしまったのだ、と思う。

    サスペンス要素もあるからあまり書けないけれど、ちょっと都合が良すぎる展開かな、と思える点もいくつかあった。
    “尾行”というのが自分にとって現実的ではないせいもあるかも知れないし、実際やったことがないから分からない感覚もあるけれど、そんな風に展開することってあるだろうか?と。

    何かの調査等ではない、目的のない“哲学的尾行”。実際見知らぬ誰かを尾行してみたら…と考えたら、少し面白そうだと思ってしまった。
    人には誰しも少なからず秘密がある。行く先、会う人、知られたくないこともある。

    既に映画化している作品だけれど、石坂の役が長谷川博己って合ってるかも、と思った。デキる男に見せかけてちょっと抜けてるところもあり、何だかんだ優しくて最後の詰めが甘いところが。

    • miwa aime lireさん
      夜さん、こんにちは。
      こちらの小説は読んだことがないのですが、名前があがっていたソフィ・カルが自らの「尾行体験」を綴った作品(平凡社より刊...
      夜さん、こんにちは。
      こちらの小説は読んだことがないのですが、名前があがっていたソフィ・カルが自らの「尾行体験」を綴った作品(平凡社より刊行の『本当の話』に収録の「ヴェネツィア組曲」および「尾行」)を読んだことがあり、思わずコメントしました。こちらのほうは小説ではないのですが、夜さんが書いていらしたように、他人の中に自分を重ね合わせてしまう状態、さらにそのことが頭から離れなくなってしまうような状態が、写真付きでタイムラインを追うように細かく描かれていて、興味深い作品でした。(しかも「尾行」のほうは逆バージョンで、わざわざ探偵を雇って自分自身を尾行させています…。)
      ソフィ・カルの世界はフィクションと現実との境界をウヤムヤと彷徨いつつ遊んでいる感じでしたが、それをきっかけに物語を展開させた小説(こちらは完全にフィクションの世界ですね)、しかもサスペンス要素もあり、ということですっかり興味がわき、読んでみたくなりました
      2017/05/07
    • 夜さん
      miwaさん、コメントありがとうございます。とても興味深く読ませて頂きました。
      ソフィ・カルの作品面白そうですね!「二重生活」の主人公に影...
      miwaさん、コメントありがとうございます。とても興味深く読ませて頂きました。
      ソフィ・カルの作品面白そうですね!「二重生活」の主人公に影響を与えた作品、フィクションとは言えとても気になります。遂には自分を尾行させるなんて、どんな心理なのか…。
      ひとまず次に本屋に行った時に探してみたいと思います。
      2017/05/09
  • 尾行に興味はない。分野と思考は面白いと思うけど。長年のファンなので引き込まれて読みはしたけど共感はできない。尾行がばれて最初は不審だし怒りも当然なのに割にあっさり許すあたりとか、一緒に食事とか石坂が魅力的なのではなくお手軽感丸出しな気がした。

  • 映画と本の両方を比べてみた。
    個人的には本のストーリーのほうが好みだ。映画は事件をつくり過ぎていて、終わり方も暗く悲しい感じがした。小池真理子さんの短編集の贅肉を読んで、面白くて、映画化されてる本作を読んでみた。ちょっとまどろっこしい表現と感じるところもあったが、表現力は流石だと思う。
    最後の終わり方には★5つけたい。

  • 見知らぬ人の後をつける。主人公は文学的哲学的行動だが、自分の中にはこんな闇があるなあ、と思い起こしてしまった。
    なにも解決することなくストーリーは終り。こういう小説がいやでミステリーしか読まなかったけど、最近はミステリー以外も面白いと思うようになってきた。

  • 大学院生の珠は、大学時代のゼミで知ったアーティスト、ソフィ・カルによる「何の目的もない、知らない人の尾行」の実行を思い立ち、近所に暮らす男性、石坂の後をつける。そこで石坂の不倫現場を目撃し、他人の秘密に魅了された珠は、対象者の観察を繰り返す。しかし尾行は徐々に、珠自身の実存と恋人との関係をも脅かしてゆき…。渦巻く男女の感情を、スリリングな展開で濃密に描き出す蠱惑のサスペンス。

  • 尾行についてはワクワクとさせられ、これからどんな展開になっちゃうんだろう?と思ったけど、そう面白いことは起きないのが現実ですね。
    刹那的な珠のことが心配になった。

  • 映画がよかったので原作に興味を持った。
    尾行をめぐる一連の流れは映画とほぼ同じだが原作には桃子という女優が登場する。彼女と卓也の関係を疑う主人公の姿は、尾行対象者である石坂と妻、恋人の三角関係と二重写しになる。他人の秘密を覗き見るうちに自分の周囲の秘密に意識的になっていく。映画だと意味がわからなかったタイトルの意味はこれか、と合点がいった。

    一方で、主人公が第二の対象者として教授を尾行するのは映画オリジナル。このエピソードのおかげで彼の孤独が浮き彫りになったと思う。原作、映画、どちらにもそれぞれのよさがある。

    終盤、見る側にいた主人公が見られる側に回る、という展開はどちらも同じ。原作は恋人に、映画では教授に?

    大層に聞こえる「文学的・哲学的尾行」を石坂が、生活に困らない娘の道楽的な物言いで見下すのは作品のバランスがとれていてよかった。俺にはその面白さがわからない行為だったが(自分も小学生の頃に友だちと、通りすがりの誰かを事件か何かの関係者に見立てて尾行するという探偵ごっこをした記憶はあるが)主人公は取り憑かれたか覚醒したかのようでラストは性懲りもなくまたやるのだろうことが暗示される。

    石坂にせよ卓也にせよ、主人公があれこれ妄想するより現実はずっと陳腐だった、というのがいい。

  • それが他者から見てどうとか、なにに役立つのかとかそういった事はあまり重要でない、そんな気持ちはとても共感できる。 なんの関係もない人を尾行する、なんだか今すぐ自分もできそうで、そこも興味がそそられるポイントである気がする。

  • 一言でまとめると、女子大生が純粋な観察目的で見知らぬ他人を尾行するようになるが、その対象者に気づかれて最終的には仲良くなる話。

    見知らぬ他人を尾行する、というモチーフが興味をそそったので読んでみた。特に謎もサスペンス要素もなく、ただただ!女子大生の日記を読んでいるようだった。
    尾行する自分、尾行されている男の不倫、女子大生の恋人、など何となく不穏な雰囲気を醸し出しているのだが、特に問題も起きずどんでん返しもなく、自由研究のレポートみたいな小説だった。

  •  短編でも長編でも、小池氏の物語の主人公は比較的中年層の人物が多いのだが、本作品の主人公は25歳の現役大学院生である「珠」。その点でも新鮮味があって楽しめたし、珠の当て所なく街を歩く描写やカロリーオーバーになってることに気付きながらも食事を進める姿には、当時大学生だった自分自身と重なるところがあり、個人的には親近感を覚えた。
     物語は安定の小池節が炸裂し、日常風景に潜む心理サスペンスに見事に惹きつけられた。
     中盤の展開は、ページをめくる手を止められないほど夢中で読み進められたが、その分期待が大きくなり過ぎてしまったのか、ラストはやや消化不良に感じた。
     馴染みある鉄道会社の名前が出てきた為、本当にすぐそこで起こっているかのようなリアリティさがあり楽しめたし、フランス文学にも興味が湧いた。

  • 「文学的・哲学的尾行」の物語。
    この話を読んで、実際に全く知らない人を、
    ただただ尾行する楽しさは確かにありそうだなと感じた。
    人の生活の一部を安全な場所で覗き見ることは
    好奇心をそそられ、若干の優越感を得られると思う。

    「結局のところ、人は秘密が好きなのだ。
    彼が失いたくないのは、特定の誰か、ではなく、秘密そのものなのではないだろうか。」

    このフレーズは、秘密を抱えた人間は誰しも少しは考えることではないかと思った。

    秘密を抱えている人間は相手に対して猜疑心を持ちやすくなったり、
    尾行相手と自分の取り巻く環境の共通点を見出すと、自分は同じルートを辿っているのではないかと不安にかられるという点は、納得できるものがありました。

    結末がどうなるかハラハラして最後まで一気に読めました。
    人間の知りたいという好奇心をついた興味深い作品でした。

  • 他人の生活を尾行によって覗き込むような感覚がいつの間にか、そこに心を置いてしまって自分と重なる部分に注目置いてしまう

    この本の中で卓也だけ秘密を持たないように書かれているけど、
    誰しもが秘密を抱えて過ごす中で卓也も同様ではないかと思った
    卓也の言葉に安堵する珠も表面だけ見えてる

    私自身疑い深いからか、珠を自分に置き換えて考えても尾行の終始、自分から相手が見えて観察している限り相手から自分も筒抜けだと思う、から上手く誤魔化せたと表現してる珠は間抜けに思えたし思慮浅いと思った

    でも、人を疑い深いのは普段から私が周りに対して何かしら秘密を抱えて過ごしているからで
    相手にも自分自身同様に見えていない部分があるのでは?と考えるからだと思う


    珠の行動は奇妙だと思ったし、もし私の生活に詮索入れる人が居れば、石坂同様に気味が悪い人物だと考えるけど
    一目入った他人の生活を詮索してしまうことが私にもあるし、SNSで流れてきた他人の私情を知ることもあるから
    結局は私も一緒かなと思った、

    考え浅い私にとって考え込んでは、難しい、、


  • 「文学的・哲学的尾行」の話。
    いつも冷静で、取り乱さずありたいと願いそれを実践する珠だけど、本当は人並みに?それ以上に?いつも不安で、秘密の裏にある真実が気になって。
    ありもしない妄想をもくもくと膨らませてしまうの、めちゃ気持ちわかる

    210206

  • 全作品読んでいる小池真理子さんの長編小説です。

    大学院生・白石珠が講義の中でジャン・ボードリヤールの書籍のある一文に魅了される。
    それをきっかけに「文学的・哲学的尾行」が始まりそのターゲットとして近所に住む50代男性石坂、その不倫相手が選ばれる。

    かつて読んだ事がない斬新な内容で、派手な盛り上がりはないけれど登場人物の描写が丁寧で最後まで興味深く読み進める事が出来ました。

    今までの小池さんの作品とは毛色が違い面白く読み応えがありました。

  • さすがの小池真理子。独特の温度感があった。女心の描写も鋭い。

  • ミステリーって書いてたのに日記で拍子抜けした。

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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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