二重生活 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
3.06
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本棚登録 : 456
レビュー : 59
  • Amazon.co.jp ・本 (401ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041036204

作品紹介・あらすじ

大学院生の珠は、ある思いつきから近所に住む男性・石坂を尾行、不倫現場を目撃する。他人の秘密に魅了された珠は観察を繰り返すが、尾行は徐々に珠自身と恋人の関係にも影響を及ぼしてゆき――。蠱惑のサスペンス!

感想・レビュー・書評

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  • 大学院生の珠は、大学時代のゼミで知ったアーティスト、ソフィ・カルによる「何の目的もない、知らない人の尾行」の実行を思い立ち、近所に暮らす男性、石坂の後をつける。
    そこで石坂の不倫現場を目撃し、他人の秘密に魅了された珠は、対象者の観察を繰り返すようになる。
    しかし尾行は徐々に、珠自身の恋人との関係をも脅かしていく。

    何気なく始めた行動が、自分自身の状況にも影響を与える。この物語の場合は、不倫をしている男を尾行することにより、生々しいその現場を目にしてしまい、結果自分の恋人の女性関係をも疑ってしまうことになる。
    尾行までの極端な行動ではなくても、そういうことって案外転がってるのかも、と考えたりした。
    他人の行動やら経験やらを見ているうちに、いつの間にか自分に重ね合わせて考えてしまう。頭の片隅にその考えが入り込んでしまうと、なかなかそれを排除することが出来なくなる。
    この物語の主人公・珠は、自己洗脳みたいな状態に陥ってしまったのだ、と思う。

    サスペンス要素もあるからあまり書けないけれど、ちょっと都合が良すぎる展開かな、と思える点もいくつかあった。
    “尾行”というのが自分にとって現実的ではないせいもあるかも知れないし、実際やったことがないから分からない感覚もあるけれど、そんな風に展開することってあるだろうか?と。

    何かの調査等ではない、目的のない“哲学的尾行”。実際見知らぬ誰かを尾行してみたら…と考えたら、少し面白そうだと思ってしまった。
    人には誰しも少なからず秘密がある。行く先、会う人、知られたくないこともある。

    既に映画化している作品だけれど、石坂の役が長谷川博己って合ってるかも、と思った。デキる男に見せかけてちょっと抜けてるところもあり、何だかんだ優しくて最後の詰めが甘いところが。

    • miwaさん
      夜さん、こんにちは。
      こちらの小説は読んだことがないのですが、名前があがっていたソフィ・カルが自らの「尾行体験」を綴った作品(平凡社より刊...
      夜さん、こんにちは。
      こちらの小説は読んだことがないのですが、名前があがっていたソフィ・カルが自らの「尾行体験」を綴った作品(平凡社より刊行の『本当の話』に収録の「ヴェネツィア組曲」および「尾行」)を読んだことがあり、思わずコメントしました。こちらのほうは小説ではないのですが、夜さんが書いていらしたように、他人の中に自分を重ね合わせてしまう状態、さらにそのことが頭から離れなくなってしまうような状態が、写真付きでタイムラインを追うように細かく描かれていて、興味深い作品でした。(しかも「尾行」のほうは逆バージョンで、わざわざ探偵を雇って自分自身を尾行させています…。)
      ソフィ・カルの世界はフィクションと現実との境界をウヤムヤと彷徨いつつ遊んでいる感じでしたが、それをきっかけに物語を展開させた小説(こちらは完全にフィクションの世界ですね)、しかもサスペンス要素もあり、ということですっかり興味がわき、読んでみたくなりました
      2017/05/07
    • 夜さん
      miwaさん、コメントありがとうございます。とても興味深く読ませて頂きました。
      ソフィ・カルの作品面白そうですね!「二重生活」の主人公に影...
      miwaさん、コメントありがとうございます。とても興味深く読ませて頂きました。
      ソフィ・カルの作品面白そうですね!「二重生活」の主人公に影響を与えた作品、フィクションとは言えとても気になります。遂には自分を尾行させるなんて、どんな心理なのか…。
      ひとまず次に本屋に行った時に探してみたいと思います。
      2017/05/09
  • 大学院生の珠は、大学時代のゼミで知ったアーティスト、ソフィ・カルによる「何の目的もない、知らない人の尾行」の実行を思い立ち、近所に暮らす男性、石坂の後をつける。そこで石坂の不倫現場を目撃し、他人の秘密に魅了された珠は、対象者の観察を繰り返す。しかし尾行は徐々に、珠自身の実存と恋人との関係をも脅かしてゆき…。渦巻く男女の感情を、スリリングな展開で濃密に描き出す蠱惑のサスペンス。

  • 見知らぬ人の後をつける。主人公は文学的哲学的行動だが、自分の中にはこんな闇があるなあ、と思い起こしてしまった。
    なにも解決することなくストーリーは終り。こういう小説がいやでミステリーしか読まなかったけど、最近はミステリー以外も面白いと思うようになってきた。

  • 2019 3/12

  • 小説としても面白いし、東京の知っている場所が舞台なのでより臨場感を持って読めた。
    ともすれば特殊な感情と受け止められがちなストーカー行為について、人間の本質的な欲求という側面からの研究として紐解くような感覚が導入となるが、徐々に研究だけにとどまらない感情が芽生えていってしまう話。

    自分がコントロールできなくなっていく描写がリアル。

  • 見知らぬ他人を尾行し、その人間の人生を理解する「文学的・哲学的尾行」。それに魅せられた大学院生の物語。
    彼女の行動は常軌を逸しているし、他人に理解されない。でも、そこに潜むとてつもない魅力は感じられた。
    そもそも、映画や文学、漫画といった物語は他人の人生(架空であっても)をもっと知りたいという欲求で成り立っている。本作では尾行を自分の境遇と重ね合わせたというミスを犯した。だが、その欲求をうまく活かした物語だった。これといった盛り上がりも事件も起きない話にのめり込んでしまったのは、私がその欲求を刺激されたってことなのだろう。

  • 友人のおすすめ。
    ソフィカルがもとになってるらしい。

  • 微妙

  • 女子大学院生が中年男性を尾行する話。

  • 珠は同棲している彼と果たしてうまくいくのか
    尾行がバレてまた元の生活に戻った球は「退屈で虚無だ」と思ってしまっている

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著者プロフィール

小池真理子(こいけ まりこ)
1952年東京都生まれの作家。成蹊大学文学部卒業。89年「妻の女友達」で日本推理作家協会賞(短編部門)、96年『恋』で直木賞、98年『欲望』で島清恋愛文学賞、2006年『虹の彼方』で柴田錬三郎賞、12年『無花果の森』で芸術選奨文部科学大臣賞、13年『沈黙のひと』で吉川英治文学賞を受賞。その他の著書に、『二重生活』『無伴奏』『千日のマリア』『モンローが死んだ日』などがある。
2019年1月6日から、『モンローが死んだ日』がNHK BSプレミアムでドラマ化。主演は鈴木京香、草刈正雄。

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