死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 99
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (516ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041036211

作品紹介・あらすじ

2011年3月、日本は「死の淵」に立った。福島県浜通りを襲った大津波は、福島第一原発の原子炉を暴走させた。日本が「三分割」されるという中で、使命感と郷土愛に貫かれて壮絶な闘いを展開した男たちがいた。

感想・レビュー・書評

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  • 本としてまとまっているかはよく判らない。あの事故を知らない人が読んだら全く判らないだろう。それでいいんだろうけど。
    班目証言よりは全然客観的じゃないかと思う。
    事故の意味ではなく、その現場でギリギリの応対をした人たちのドラマ。
    どっかの首相が後でどれだけ言い繕っても、邪魔だったことは間違いなさそうだ。

  • 福島第一原発の事故から7年が過ぎた。今この本を読んで、あらためて日本という国を半分失うほどのものであったこと、吉田所長と現場で関わった東電の社員、自衛隊、官邸、それぞれの死をも覚悟した必死な思いが伝わってきた。日本人はここまでできるんだ、自分の命を投げ捨ててでも人々や国を守ろうという気持ちがいざという時、発揮できるのだと思った。吉田さんという人がその時所長でなかったらどうなっていたのだろうかと思う。彼は仏教に深く心酔し生と死というものを若くして考えていたという。
     残念だったのは、同じ日本人でありながら「現場の東電職員が所長命令に背いて撤退した」というようにでっち上げを書き上げ、世間に広めた朝日新聞社だ。なぜだ!そこまで日本を嫌いなら出て行け!とだけ言いたい。彼らの国や政府を陥れようとする報道に影響を受けることなく、何が正しいのかを私達国民は自分の目で、頭で考えていかなければならない。

  • あらすじ(背表紙より)
    2011年3月、日本は「死の淵」に立った。福島県浜通りを襲った大津波は、福島第一原発の原子炉を暴走させた。全電源喪失、注水不能、放射線量増加…このままでは故郷・福島が壊滅し、日本が「三分割」されるという中で、使命感と郷土愛に貫かれて壮絶な闘いを展開した男たちがいた。あの時、何が起き、何を思い、人々はどう闘ったのか。ヴェールに包まれた未曾有の大事故を当事者たちの実名で綴る。

  • 2011年3月11日の東日本大震災に伴って発生した福島第一原発の大事故、そのときに同原発の所長を務め、現場で陣頭指揮をとった吉田昌郎氏とそのほかの多くの当事者へのインタビューをもとに書かれたノンフィクション。
    福島第一原発事故については、原子力発電に関する専門性の高いものを含めて、様々な視点から書かれた多数の著書が出ているが、過去に例のない、日本という国の国土や歴史を大きく変えてしまう可能性のあった大事故(実際に変わってしまったとも言えるが)に直面して、その時にその場所にいた人々は、どのように考えてどのように行動したのかを綴った記録として、本書は極めて貴重なものである。
    私は原子力について詳しい知識があるわけでもなく、その時にその場所でどのような対応をするのが最も適切だったのかを自ら判断する能力は持たないが、本書に描かれた現場で必死にできる限りのことをしようとする人々の姿、「こいつなら一緒に死んでくれる、こいつも死んでくれるだろう、と、それぞれの顔を吉田は思い浮かべていた。「死」という言葉が何度も吉田の口から出た。それは、「日本」を守るために闘う男のぎりぎりの姿だった」というくだりに、涙を堪えることはできなかった。
    事故の対応に関しては、吉田氏が東京電力本店の命令に反して注水作業を続けていた件が象徴的に取り上げられることが多いが、当時原子力安全委員会委員長を務めていた班目氏は、意思決定過程に対する不信感は示しつつも、「吉田氏の判断がなければ東北・関東は人の住めない地域になっていただろう」と述べており、原発を知り尽くした現場の長としての吉田氏の判断と行動が非常に重要な意味を持っていたのである。
    極限状態の中で、リーダーとリーダーを信頼してついていく同志が日本を救った貴重な記録である。
    (2014年10月了)

  • 立ち向かう人々の勇気ある行動
    最高の作品

  • あの時イチエフで闘った人たちの壮絶な記録。決死で日本を救ったことは日本人の多くがイメージしているものの、それが具体的にどういうことだったのか、何が起こっていたのかは実はみんなよく知らない。あの時日本が北海道の一部、人の住めない場所、西日本の三つに分断される寸前まで行っていて、それを彼らにより回避されたことも知らない。公開テレビ会議と合わせて見るとよい。本当に色んなことを考えさせられた。

    福島第一原発のこと
    かつて陸軍飛行場として特攻隊を送り出す場所が、何の因果か原発となり街を破壊するまで。終戦とともに飛行場は国土計画の元で塩田になり、その後松林になり、これまで外国人などいなかったところにGEの外国人たちが村を作り、原発ができ、最後は町がなくなった。冬場になると都会に出稼ぎしていたり役場に金がなかったりした貧しい町はの財政はよくなり、医療費は無料になり、地域の雇用を生み出した。この地域で東電に就職して原発に勤めるのはいかに誇り高いことであり、いかに東電がこの地域に深く溶け込んでいたか。地域の雇用を生み、いかに地域に溶け込んでいたか。そして最後の危機を死を覚悟して救ったのもまた、多くがこの地域の人間であったか。

    そのとき起こっていたこと
    情報の錯綜、混乱する現場、という表面的な言葉だけではなく、何がそこで起こっていたのか。全電源喪失して刻一刻と迫る圧力上昇とメルトダウン。何も見えない真っ暗闇のなか、余震と津波と水素爆発と放射能の恐怖に手動ベントしに死を覚悟しての突入。線量が上がり中操と免震重要棟に入ったら出られなくなる隔離状態。誰を死なせ誰を逃がすかの極限を超えた判断。700人ほどが立錐の余地もない不眠不休の中床に所狭しと倒れ込む免震重要棟。装備がどんどん尽きて来る様子。水がなく血尿で一杯になったトイレ。菅総理の対応については、東電に覚悟を決めさせたという1点を除いてはひたすら混乱を大きくし対応を遅らせたの一言。

    人間について
    自分が死ぬかもしれないと分かったとき、人は何を考えて何をするのか。家族のために避難する者、故郷を守るために命を投げ打って復旧に打ち込む者、それぞれ。また命を投げ打った者たちについて、また故郷というものがいかに人間を突き動かすのか。

    家族について
    死んで行くものは何を思うか、残された側は何を思うか。それが自分だったらと思うとどうか。

    仕事について
    本当に人の役に立つ仕事というのはいかにも当たり前にそこにあるものを、当たり前にそこにあらしめる為の仕事で、感謝されることも注目されることもない。目立つ仕事や華やかな仕事がちょっといい事言ってもてはやされるが、そんなものは小さい事だ。本当に尊い仕事とは大して金も良くないが何かあれば何よりも先に世の中を支える仕事であろう。

    他にも色々思ったけど、とりあえず以上。

  • 2011.3.11福島第一原発で実際に何があったのか。ぼんやりとしか知らなかったが、この本が分かりやすく教えてくれた。誰も想定していなかった事態が起きて東京がパニックになっていた時、原発の現場で自らの命を捨てることを覚悟して、こんなにたくさんの人が懸命に戦ってくれていたことに言葉を失う。時系列で何が起き、どのように対処していったのかが素人にも分かるように書いてくれているので、読み始めるとのめりこんでしまう。格納器が破裂して東日本が住めなくなるような事態まであと少しだったということがよく分かり、改めて怖くなった。

  • 待ちに待った文庫化。東日本大震災の大津波により福島第一原発は全電源を喪失し、後に日本全土を震え上がらせた未曾有の事態に陥る。果して、あの時の真実は…様々な書籍、報道などで述べられていることは真実なのだろうか…

    本書を含め、何冊か福島第一原発事故関連の書籍を読んだが、信じるに値するのは原発事故を防ぐために最後の最後まで命を賭けて闘い続けた吉田昌郎所長をはじめとする福島第一原発で働く多くの方々だということだ。

    騒ぐだけ騒ぎ、肝心なことは国民に伝えず、福島第一原発に対して何ら有効な支援をしなかった同時の菅直人内閣にこそ、未曾有の大惨事をここまで悪化させた原因があるのだ。未だに激昂し、暴走しまくる沙悟浄みたいな菅直人や、直ちに影響は無いという嘘ばかりを繰り返す猪八戒みたいな枝野の姿を見ると吐き気がする。

    それにしても、福島第一原発が太平洋戦争末期の陸軍の航空訓練基地の跡地に立っていたとは。戦争と原発、何という因果だろう。

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プロフィール

1958年高知県生まれ。中央大学法学部卒業後、出版社勤務を経てノンフィクション作家に。政治、歴史、司法、事件、スポーツなど幅広いジャンルで執筆。2010年『この命、義に捧ぐ――台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡』(角川文庫)で第19回山本七平賞を受賞。主な著書に『甲子園への遺言――伝説の打撃コーチ高畠導宏の生涯』(講談社文庫)『なぜ君は絶望と闘えたのか――本村洋の3300日』(新潮文庫)『死の淵を見た男――吉田昌郎と福島第一原発』(角川文庫)などがある。

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