無花果とムーン (角川文庫)

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  • KADOKAWA (2016年1月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784041036235

作品紹介・あらすじ

18歳の少女・月夜の大好きなお兄ちゃんは、ある日目の前で突然死んでしまった。月夜はその後も兄の気配を感じるが、周りは誰も信じない。そんな中、街を訪れた流れ者の少年・密は兄と同じ顔をしていて……!?

感想・レビュー・書評

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  • ☆3.0
    世界観が好き

  • ここ最近ずっと桜庭一樹さんが続いています。不思議な魅力があってなかなか離れられないです。
    この小説はとても好みでした。激しいけど淡くて、切ないストーリーが好きな方におすすめです。

  • 全く入り込めなかった。そもそも月夜が好きになれず。

  • 表紙とタイトルに惹かれて借りた、もらわれっ子で紫
    の瞳をした月夜とだいすきな奈落のお話。結末で驚い
    てあって声出ちゃった。少し泣いた。
    #さよならぼくのパープルアイ

  • なかなか電波な内容。身も心もじりじりと焦がす夏の日々、アーモンドとイチゴのアイスクリーム、無花果の葉っぱで隠したもの、さよならぼくのパープル・アイ。

  • キスをした直後に義理の兄、奈落が死んだ。パープルアイを持つ«もらわれっこ»の月夜は突然の悲劇から目を背け続ける。おとうさんは月夜を現実に引き戻そうとする。そして«天才的現実主義者»の長男、一郎は非現実的なことを言う月夜を厳しく避難する。この小説はページを捲りながら、ただただ息が詰まりそうだった。私は苦しくてたまらなくなるような小説が好きで、桜庭一樹さんの文章が大好き。月夜は奈落に向けて「えいえんに大好きだからね」と言う。永遠をえいえん、と平仮名にして言葉にするところが個人的にすごくお気に入り。だって柔らかくて、丸くて、綺麗で、夢みたいな響きだと思う。おとうさんは奈落が亡くなってからの日々をどうにか«正常»に戻そうと必死だったように思える。激しすぎる悲しみに沈む月夜に怯えながら、たくさんのものを守ろうと。最後の、さよなら、ぼくのパープル・アイ。生きて、元気に暮らせ。もう逢うことはないだろう。をもう一度書くところが大好きです。

  • 独りよがりな主人公にあまり魅力が感じられなかったというか、それでいて特に反省や成長が見られるわけでもなく、周りが呆れたりするのも当然だし、そりゃあ自殺しようとすれば慌てて止めるだろうけどそれだけだし、なんだったのだろう…という感想になってしまう。

    あとがきによると能を参考にしてとのことだけど、私は勉強不足で全然知らなくて、現れた霊が「かつてあったドラマを語り、語ることによって救済されていく」という話を読んでへえと思った。好きな作家さんの本に能や人形をテーマにしてそういうものがあったな、と思い出して。
    この小説においてうまく機能しているとは、失礼ながら言い難いけども…

  • あの日突然奈落の底に突き落とされた少女は、二度と聞けることのないまま喪われた想いに踠き苦しみ続けるしかありませんでした。信じることも涙を流すことすら許されないから、自分を守る為には一人になり月夜にただ君の名を呼ぶしかなかった。何度も何度も叫んで声が枯れて壊れようとも。誰にも言えず守りたかった真相は大切な君の想いでした。永遠の19歳。無様な泣き顔晒しても抱きしめてくれた人は、誰よりも貴方を愛している。決して諦めず離さなかった力強い手は、生きて大人になれよ!と伝えていました。

  • この人の書く女の子が好き。
    あの時こうしてなかったら、、
    のバージョンを読みたい。
    切ないな。お兄ちゃーーん。

    苺苺苺苺苺先輩けっこう好き。

  • 月夜の悲しさの川は奈落や家族の愛、それ以外の愛を感じて海へと流れて行った。
    それは忘れるのではなく落とし込んで浄化するような神聖さがある。
    世界のふちに立ち続けていた月夜はお兄ちゃんである奈落と居た日々が全てで輝いていた。
    お父さんの忘れることという一般論に奈落が忘れるなと叫ぶようにベルを鳴らして、
    ギリギリ世界のふちにいることでしか月夜は奈落と繋がれない姿が切ない。
    他人から見ると病んでいたとしても奈落と繋がれる世界のふちが月夜にとっては心地よい。
    血の繋がりの無い月夜は遠慮しないでいてもらうことでしか家族と繋がる術を知らない。
    だけど奈落とは兄妹以上の気持ちをお互いに持っていて、それが奈落の死ぬ原因になったと思って葛藤している。
    死者である奈落の声が月夜の本音をあぶり出し、自分でさえも語れない自分自身を露呈していく。
    奈落の月夜を死の世界に連れ去ってしまいたい思いと、生きて元気に暮らしていってほしい思いが葛藤しながら、絶対に来ない月夜との幸せな未来を想像する奈落が切ない。
    奈落のかっこよさがよかった。

  • 久しぶりの桜庭一樹。
    月夜の義理の兄・奈落の死から物語が始まる。
    血縁とか家族とかの軋轢や愛を描くのばかり読んでる気がする。

    死者を忘れるのは簡単で難しい。
    簡単に忘れて、不意に思い出して、染みみたいに残る。

    奈落みたいな男の子、モテるだろうなぁ。
    月夜みたいな子、居るよなぁ。
    生い立ちが複雑だと何もかもそこに起因している様な気がしてしまうけど、本当はもっと些細な事なんだろう。
    本人的には重大な過失の様に感じても。
    それを『18歳と19歳』で分けたり、月夜の友人らの陰口で表現していて、世界観は現実とファンタジーの狭間なのに、そこに生きている人達はリアルだ。

    密と約のセクシーな感じが伝わってきて良かった。
    2人で密約だね……。

  • あらすじを読んだ時、どういう展開になるんだろなーと考えながら読んでたけど昨日読み始めたのに後半が思ったより気になりすぎてあっという間に読了。
    まあ、どちらかと言えば主人公が周りを振り回し続けている感じだけどそれがこのお話をいい感じに持ってきてるんだろうなぁって。主人公の言い方とかそういうのにたまにはイラッときたり、だいぶ好みが別れそうなキャラではあるけど。いちご先輩の名前のインパクトもそうだけど、お兄ちゃん、だいぶ変な人?なのかな。そんな感じだったけどよかった。
    砂糖菓子……からこの本を読むと桜庭一樹さんの書き方、少しずつ分かってきて、もしかしたら好みは別れるかもしれないし、途中途中おかしいほどに文字が詰められていたけどそれでも読みたくなる。桜庭さんの出してる本をどんどん読みたいなと関心度が私の中で高まりました。

    さよなら、僕のパープルアイ……!!

  • 桜庭一樹先生感全開な作品。
    大好きです。
    死者への弔いの話と受け取ったのですが、能からインスピレーションを受けたとは驚き。
    能については全く知識がないのですが、知ってみたくなりました。

    死者の弔いは忘れることではない、思い出し続けること。
    生きている人は死者を忘れることはなく、前に進み続けなければならない。
    残酷なハッピーエンドでした。

  • 表紙の装丁画は酒井駒子女史だけど、中身はいつものYAの皮を被ったいつもの桜庭一樹でした。

  • 主人公となる18歳の「月夜」は、紫の瞳に狼のような犬歯を持つちょっと変わった少女。
    彼女は前嶋家に幼女として迎えられたもらわれっ子だった。
    優しい教師の父親、8歳年上の兄貴、そして大好きな一つ年上のお兄ちゃんこと「奈落」との4人家族。
    何故か母親は存在しない。

    物語の冒頭は、大好きだったお兄ちゃんこと「奈落」の葬式の場だ。
    「月夜」の悲しみは深く、周囲の者たちも対処に困り果ててしまう程だ。
    「月夜」が深く落ち込む理由は、コンビニの駐車場で一緒にアイスを食べていた「奈落」が、「月夜」の目の前で急死したことにあった。
    「月夜」は、「奈落」が死んだのは自分のせいだと思い込む。
    葬儀が済んんだ後、家の中で「月夜」だけが明らかに「奈落」の気配を感じるのだが、姿は見えない。
    数日後、突如「奈落」が現れ、今度は銀色のUFOに乗ってやってくるとの言葉を残して姿を消す。
    やはり「奈落」は幽霊となって存在すると、「月夜」は確信するのだが⋯。

    「月夜」が「奈落」の遺した銀色の自転車に乗って走っていると、銀色のトレーラーの群団が走り去って行く中に、一台の真新しい銀色のトレーラーが異音を鳴らして突如停止した。
    そのトレーラーの運転席から降りてきた「蜜」と名乗る青年の姿は、まさに「奈落」そのものだった。
    そして年に一度の街が主催する「UFOフェスティバル」に纏わる夏休みの不思議な出来事が綴られる。
    はて、「蜜」は「奈落」なのだろうか⋯。

  • パープルアイと聞くと「闇の」を付けたくなるのは、世代でしょうか。苺苺苺苺苺先輩のインパクトがすごい。

  • 独特の文体、リズム感、あぁ〜桜庭一樹さん全開だ〜って本でしたね。
    主人公の月夜が確かに芝居染みててイライラするの、わかるぞ!と思いつつ、お兄ちゃんの“奈落”って名前の付け方どうなのよと思ったり…
    とっ散らかってるような話に見えて、最終的には支社と向き合う生者の話という一貫したテーマがあって興味深かったです。

  • もらわれっ子の月夜には二人の兄がいる。
    だけどある日、片方の兄・奈落は死んでしまう。残された月夜は、奈落の幽霊の気配を感じ始める。

    早々にオチが読めたこと、月夜の芝居がかった一人称口調がきつくて、密が出てきたあたりから飛ばしまくって読んでしまった。
    中学一年生とかそれくらいの時に読んだらハマったかも……。いやそんな若い頃に読んだら月夜の影響を受けてだるい喋り方とか真似して黒歴史生み出してたかもしれないから、分別つく大人になってから読んでよかったかもしれない。

    あの日月夜がアーモンド味を食べてなければ、月夜が食べてたアイスがアーモンドだったと気付いていれば、キスをしなければ。
    奈落が死なずに済んだ選択肢がたくさんあって、それなのにたまたま最悪の行動を選び抜いてしまい呆気なく死んでしまった。月夜と共に生きる未来もあったはずなのに、負の偶然によりすべてがなくなった奈落が、単純に可哀想だと思った。

  • 浜坂の花火大会の待ち時間で読み終えたのが、めちゃくちゃエモだった。波音、喧騒、たまらないね。
    お盆にピッタリって感じの内容だった。

  • 思っていた結末とは違った。

    本の最後の方まで、月夜は兄の死をきっかけに統合失調症か鬱病を発症して幻覚や幻聴に悩まされ、周りの人もそれに巻き込まれているのだと思った。周囲の人間から本気で大事に思われているのに、自分に都合の悪いことを切り取って悲観して、病的な態度で優しさをはねつけている月夜は少し気持ち悪かった。しかもそこから回復したあと、兄の幽霊のおかげで回復したのだと書いてあって、自己中心的すぎないか?と思った。

    現実でも精神疾患にかかった人は幽霊に取りつかれたかのように手に負えないことがあるから、そういう話なのかもしれないと思ってしまう。

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著者プロフィール

桜庭 一樹(さくらば・かずき):1971年鳥取県出身、小説家。1999年、「夜空に、満天の星」で第1回ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞し、翌年デビュー。『GOSICK』シリーズが注目され、さらに04年発表の『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』が高く評価される。07年に『赤朽葉家の伝説』で第60回日本推理作家協会賞を、翌08年に『私の男』で第138回直木賞を受賞。おもな著書に『少女を埋める』『紅だ!』『彼女が言わなかったすべてのこと』『名探偵の有害性』など、またエッセイ集に〈桜庭一樹読書日記〉シリーズや『東京ディストピア日記』などがある。

「2025年 『読まれる覚悟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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