無花果とムーン (角川文庫)

  • KADOKAWA/角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041036235

作品紹介・あらすじ

18歳の少女・月夜の大好きなお兄ちゃんは、ある日目の前で突然死んでしまった。月夜はその後も兄の気配を感じるが、周りは誰も信じない。そんな中、街を訪れた流れ者の少年・密は兄と同じ顔をしていて……!?

感想・レビュー・書評

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  • 全く入り込めなかった。そもそも月夜が好きになれず。

  • 表紙とタイトルに惹かれて借りた、もらわれっ子で紫
    の瞳をした月夜とだいすきな奈落のお話。結末で驚い
    てあって声出ちゃった。少し泣いた。
    #さよならぼくのパープルアイ

  • なかなか電波な内容。身も心もじりじりと焦がす夏の日々、アーモンドとイチゴのアイスクリーム、無花果の葉っぱで隠したもの、さよならぼくのパープル・アイ。

  • キスをした直後に義理の兄、奈落が死んだ。パープルアイを持つ«もらわれっこ»の月夜は突然の悲劇から目を背け続ける。おとうさんは月夜を現実に引き戻そうとする。そして«天才的現実主義者»の長男、一郎は非現実的なことを言う月夜を厳しく避難する。この小説はページを捲りながら、ただただ息が詰まりそうだった。私は苦しくてたまらなくなるような小説が好きで、桜庭一樹さんの文章が大好き。月夜は奈落に向けて「えいえんに大好きだからね」と言う。永遠をえいえん、と平仮名にして言葉にするところが個人的にすごくお気に入り。だって柔らかくて、丸くて、綺麗で、夢みたいな響きだと思う。おとうさんは奈落が亡くなってからの日々をどうにか«正常»に戻そうと必死だったように思える。激しすぎる悲しみに沈む月夜に怯えながら、たくさんのものを守ろうと。最後の、さよなら、ぼくのパープル・アイ。生きて、元気に暮らせ。もう逢うことはないだろう。をもう一度書くところが大好きです。

  • 独りよがりな主人公にあまり魅力が感じられなかったというか、それでいて特に反省や成長が見られるわけでもなく、周りが呆れたりするのも当然だし、そりゃあ自殺しようとすれば慌てて止めるだろうけどそれだけだし、なんだったのだろう…という感想になってしまう。

    あとがきによると能を参考にしてとのことだけど、私は勉強不足で全然知らなくて、現れた霊が「かつてあったドラマを語り、語ることによって救済されていく」という話を読んでへえと思った。好きな作家さんの本に能や人形をテーマにしてそういうものがあったな、と思い出して。
    この小説においてうまく機能しているとは、失礼ながら言い難いけども…

  • あの日突然奈落の底に突き落とされた少女は、二度と聞けることのないまま喪われた想いに踠き苦しみ続けるしかありませんでした。信じることも涙を流すことすら許されないから、自分を守る為には一人になり月夜にただ君の名を呼ぶしかなかった。何度も何度も叫んで声が枯れて壊れようとも。誰にも言えず守りたかった真相は大切な君の想いでした。永遠の19歳。無様な泣き顔晒しても抱きしめてくれた人は、誰よりも貴方を愛している。決して諦めず離さなかった力強い手は、生きて大人になれよ!と伝えていました。

  • この人の書く女の子が好き。
    あの時こうしてなかったら、、
    のバージョンを読みたい。
    切ないな。お兄ちゃーーん。

    苺苺苺苺苺先輩けっこう好き。

  • 月夜の悲しさの川は奈落や家族の愛、それ以外の愛を感じて海へと流れて行った。
    それは忘れるのではなく落とし込んで浄化するような神聖さがある。
    世界のふちに立ち続けていた月夜はお兄ちゃんである奈落と居た日々が全てで輝いていた。
    お父さんの忘れることという一般論に奈落が忘れるなと叫ぶようにベルを鳴らして、
    ギリギリ世界のふちにいることでしか月夜は奈落と繋がれない姿が切ない。
    他人から見ると病んでいたとしても奈落と繋がれる世界のふちが月夜にとっては心地よい。
    血の繋がりの無い月夜は遠慮しないでいてもらうことでしか家族と繋がる術を知らない。
    だけど奈落とは兄妹以上の気持ちをお互いに持っていて、それが奈落の死ぬ原因になったと思って葛藤している。
    死者である奈落の声が月夜の本音をあぶり出し、自分でさえも語れない自分自身を露呈していく。
    奈落の月夜を死の世界に連れ去ってしまいたい思いと、生きて元気に暮らしていってほしい思いが葛藤しながら、絶対に来ない月夜との幸せな未来を想像する奈落が切ない。
    奈落のかっこよさがよかった。

  • 表紙の装丁画は酒井駒子女史だけど、中身はいつものYAの皮を被ったいつもの桜庭一樹でした。

  • 主人公となる18歳の「月夜」は、紫の瞳に狼のような犬歯を持つちょっと変わった少女。
    彼女は前嶋家に幼女として迎えられたもらわれっ子だった。
    優しい教師の父親、8歳年上の兄貴、そして大好きな一つ年上のお兄ちゃんこと「奈落」との4人家族。
    何故か母親は存在しない。

    物語の冒頭は、大好きだったお兄ちゃんこと「奈落」の葬式の場だ。
    「月夜」の悲しみは深く、周囲の者たちも対処に困り果ててしまう程だ。
    「月夜」が深く落ち込む理由は、コンビニの駐車場で一緒にアイスを食べていた「奈落」が、「月夜」の目の前で急死したことにあった。
    「月夜」は、「奈落」が死んだのは自分のせいだと思い込む。
    葬儀が済んんだ後、家の中で「月夜」だけが明らかに「奈落」の気配を感じるのだが、姿は見えない。
    数日後、突如「奈落」が現れ、今度は銀色のUFOに乗ってやってくるとの言葉を残して姿を消す。
    やはり「奈落」は幽霊となって存在すると、「月夜」は確信するのだが⋯。

    「月夜」が「奈落」の遺した銀色の自転車に乗って走っていると、銀色のトレーラーの群団が走り去って行く中に、一台の真新しい銀色のトレーラーが異音を鳴らして突如停止した。
    そのトレーラーの運転席から降りてきた「蜜」と名乗る青年の姿は、まさに「奈落」そのものだった。
    そして年に一度の街が主催する「UFOフェスティバル」に纏わる夏休みの不思議な出来事が綴られる。
    はて、「蜜」は「奈落」なのだろうか⋯。

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著者プロフィール

1971年島根県生まれ。99年、ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー。2007年『赤朽葉家の伝説』で日本推理作家協会賞、08年『私の男』で直木賞を受賞。著書『少女を埋める』他多数

「2023年 『彼女が言わなかったすべてのこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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