B級恋愛グルメのすすめ (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041036273

作品紹介・あらすじ

自身や周囲の驚きの恋愛エピソード、思わず頷く男女間のギャップ考察、ラーメンや日本酒への愛、同じ相手との再婚式レポート etc.…。出産時のエピソードを文庫書き下ろし。解説は、夫の小説家・佐藤友哉。

感想・レビュー・書評

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  • 『ナラタージュ』の作者だよね・・・?なんかフランク。エッセイの方が好きかもと思ったぐらい。食べ物の描写が上手くて、味がリアルに想像できる。もっとこの人の食べ物系の文章が読みたいと思うぐらい。
    読んですぐに、作者は恋愛体質なのかなと思った。でも元々そういう企画だしそりゃそうか・・・いややっぱり恋愛体質だ(笑)と思った。
    常に周りに友達以上恋人未満な男性が何人かいる感じ。

    男性はラーメン好きだよね。というかラーメン屋が。私の周りにも一人でラーメン屋に入れる女子がいたけど、いいなと思うけど自分は絶対に無理だなと思った。店内が男性だらけだと分かっているからこそ、行けない。スイーツのお店に男性が一人で行き辛いのと一緒で。
    でも確かに、男性にとりあえずラーメンが好きと言えば、気さくにご飯に行けそうな子だと思ってはもらえると思う。

    p.15
    ふわっふわの白子の唐揚げ・・・そうそう、こんな書き方をされたら今すぐ食べたくなってしまう。日本酒と一緒に。

    p.61
    後輩柴君。歳も中身も若いんだろな。彼は色気とかではなくまず、「自分」が一番なんだろう。自分しか見えていない、矢印が内向きに向かっているタイプ。自分>他人だから、こういう人は同じように自分が一番なタイプと合うんじゃないだろうか。下手に気遣ってたらものすごく振り回されそう!
    ただのイエスマンならまだしも、人の忠告は聞かない頑固頭だし(笑)
    正義って、すぐそれを盾に人を攻撃できるから危険だなーといつも思う。正論は正しいけど武器にしてはいけないのだよな・・・。

    p.108
    ぷりぷりのレバ刺しにごま油と塩!!食べたい。でもお店でしか食べられない・・・!
    私もレバーは20代中頃まで苦手で、でもおいしく食べたいから何度も挑戦するようにしていて、ある時お店で新鮮なのを食べたら食べられた。小学生には絶対キツイだろうな。
    だから「魚が好きじゃない人は、単に美味しい魚を食べたことがない人ですよ」はよく分かる。食わず嫌いはもったいないし、挑戦できるなら何度でもした方がいい。
    だいぶ後になって美味しさに気付く人が多いから。

    読んでてちょいちょい思うのが、作家のような頭の良い人の周りには頭の良い人が集まってきて、それってすごいお得だなと思う。人生や価値観を変えてくれるような、適切なアドバイスや格言を得られたりする。それが経験や分析による合理的なものだから、従った方が得なんだよな。
    一般人の周りには、うわさやデマや詐欺や感情論等が蔓延っていて、物事を判断するのにそういったことに惑わされるから、凡人は凡人のままなんだろうなと思ったりする。
    でも中には賢くても騙される人がいるけど。
    作者の落ちた沼ってどんなものだったのかすごく気になる。

    p.129
    若いのに人生経験豊富だなぁ。付き合ったらデートより一緒に生活がしたくなるって、なんか珍しいような。もうデートはたくさん、ということなのかな。私は一人暮らしが自由で好きだったので、飽きることも誰かと住みたいと思うこともほぼなかった気がする。誰かと住んでも良いな、と思えるまでは一人で居たかった。

    p.132
    料理ができるできないとか、得意料理は何かとかいう質問、困るしよく分からない。できるできないって主観的だし、二択しかないん?て感じ。料理検定3級はいけるけど2級はちょっと、なら分かるけど(笑)
    それに料理する人だったらまんべんなく作るから、どの料理が特別得意なんてないと思う。よく作る料理ならあるけど。

    p.137
    牡蠣って、外国でも生で食べるのって何か不思議だよなと思っていた。テレビでアイラのウイスキーを本場で紹介していて、生牡蠣にレモンを絞って、ウイスキーと食べていたのを見て、なんてお洒落なんだろうと憧れた。
    外国人は生ものに抵抗があると思っていたし、牡蠣なんて生臭そうなものの筆頭だと思っていたから意外。確かに食中毒が起きる可能性があるのに排除されていないのも例外的だ。

    牡蠣を食べに誘ってくる年上男性との関係はなんなんだろうと気になる。突然わいてくる訳ないし。あと、オイスターバーのカップル?も。バブルかトレンディドラマの頃のやり取りみたい、知らないけど。

    p.153
    作家合コンなんてあるんだな、すごい。なんか癖が強そうな、でも面白そうな。現代ではそういう縁を繋ぐ人って有難いし、どんどんやれば良いと思う。
    同じ人と再婚は、私はないなと思った。私が離婚するときは、もう相手が絶望的に理解不能な生き物に見えているだろうから。価値観や方向性がバラバラになると無理だな。

    p.160
    地震が起きたら一人で避難させないで欲しい。心細いのもあるし、どっちか無事でどっちかが死んだりしたらなんであの時離れた!?となるはず。店内が安全だと思ってるから逃げないのに奥さんだけ外に避難させるのも、な・・・なんで?

    p.186
    私も一時、一人で趣味を楽しみたくて、できそうなことは挑戦しようとしてみた。カフェ、映画、読書会、スポーツクラブのプール・・・までは何とか行けた。けど思い切って一人ライブに行ってみたら、圧倒的に孤独を感じてしまい、もう一人は無理だと悟った。手持ち無沙汰と共感し合う人がいない為に感情の行き場がなくて。だからどこまでも行ける人は羨ましいなと思うけど、流石にリゾート地まで行くと人目が気になるんだ。


    p.202
    やっぱり年を重ねると立場も変わって、付き合う人がガラッと変わる。独身と既婚、こども有り無し、家は・・・とかで話題がずれたり、気を遣ったり自慢したり嫉妬したりで、離れた方が良い関係もあったりする。マイペースそうな作者でさえ、付き合う人が変わるんだから、そうなるものなんだと納得。

    p.210
    旦那さんのあとがきで難題が突きつけられるとは。ひとはなぜ結婚するのか?そう言われると分からない。
    私も昔から、結婚や結婚生活に憧れも興味も全くなく、一人で生きていくんだろうなと自覚することもなくその道を歩んでいたけれど、でも、好きな人は欲しいし、結婚するなら(条件で選んだ何とも思ってない人でなく)この人と結婚したい、結婚しても良いと思える人とする、とは決めていた。
    そのカケラみたいな思いが私を結婚させたとしか言えない。私は私を試した。
    そして恐らく、ずっと独身であろうがそれはそれで納得していただろうな。だから振り返っても、結婚がしたい!と思ってした訳ではなく、一言では言えない経緯で、意志で、タイミングで今ここにいる。

    p.211
    島本さんも自分の立場や環境で作風が変わるほど、人生って唐突に変化する。この場合は作風を変える為に人生を変えたのか。
    人の考えは変わる、こともある。付け足したり、入れ替えたりしてアップデートしていく。だから付き合う人や環境は大事だなと思う。良い人生には良い人付き合いが大切で、もちろん相手もそう思うのだから自分の振舞いも省みる必要がある。
    自分の中身もより良い方向に柔軟に変わっていけたらなぁ。

    20231002

  • 島本さん、小説でも初期の作品と今の作品とでは空気が違うけれど、エッセイは真逆の明るさと気の抜けた感じがして好きです。面白かったです。
    たくさん食べる作家さんがわりと好みなんだなと気付きました。エッセイなどで拝見するごはんが美味しそうな方の小説は、食べる描写もかなり巧みなので、美味しいものの小説やエッセイを好む時に重点的に選ぼうと思いますこれからは。
    島本さん自身がかなり恋愛に重きを置く人なんだなと思いました。一人で行動する事も多いけれど、旦那さんの佐藤友哉さん(2度ご結婚されたのは存じていました)を始め、友人M氏(書籍タイトルググったら海猫沢めろんさんらしい)や柴君、女友達さんたちとのエピソードも面白いです。
    一人で行動するのは楽しいし楽だけれど、ごはんは誰かと食べる方が美味しいし楽しい。つくづくそう感じました。出来ればお出かけも誰かとしたいけれども…お出かけは長時間相手の時間を貰わなきゃいけないせど、ごはんなら短時間でも気楽に誘えるからもうちょいやってみよう。
    ふふっと笑ってなんだか元気になりました。

  • とても面白い。サクサク読める。小説のときの島本さんと雰囲気が違って一気に親しみがわいた。個人的に柴くんの話が好きだなと思った。

  • 島本さんの小説は何作か読んでいますが、エッセイを読むのは初めて。小説は繊細で触ると壊れそうな不安定さが魅力のひとつなのに、何ですかこの馬鹿らしさ(褒めてます)。深夜にすっぴんでラーメン食べに行ったり、フランス映画は『水戸黄門』だという持論を展開させたり、意外すぎる。そして食べ物の描写が上手すぎる。エッセイ開始当初はバツイチだった島本さん、元夫の佐藤友哉さんと再婚するにあたり、再婚式をあげるくだりも面白くて、個性的なお母様の話でリアルに噴き出しちゃいました。巻末の佐藤さんの解説も含めて、ごちそうさまでした。

  • 島本さんって、おとなしくて真面目な感じなのかなって勝手に思ってたんですが、こんなに面白い人やったん?!ってイメージが覆りました。
    とにかくユーモアのある言い回しで、いろんな経験をしておられて、クスッと?いやハハッ!って感じで笑いながら読みました。特にご主人とお母様のエピソードは、かなりぶっ飛んでてオススメです!(解説はご主人が書かれています)
    島本さんって、とても芯がしっかりされていて、自分の気持ちに正直に生きておられる方なんだろうなと思いました。そして、内に秘めてある爆発力みたいなのが、すごい人なんだと思います。
    ラーメンをはじめ島本さんの好きなものや、小説に出てくる食べ物のお話など、いろんな視点からグルメを捉えたエッセイ。
    どんな方でも楽しめる内容だと思います!

  • 小説とのギャップがすごかった笑
    後輩柴くんエピソード爆笑した

  • 小説ばかり読んでいたが、こんなに砕けた文章も書くのだと親近感が湧く。一人旅の話、そこで寂しくなってでもまた一人で出かけるっていうのが共感できる。

  • 電子版

  • とっても読みやすかった。波乱万丈をたのしむ島本理生さんに元気をもらえた。

  • 題名に惹かれて

    男女で恋愛相談できる彼女が素敵
    そして すなおに聞ける柴君がすごい
    男の人 なんで そんなに ぬけてるのー
    って思うが すんなりできる人も怖いなあ


    一生平行線なんだろうな これって
    (だから乙女男子 素敵と思うが
     恋にはおちないもんなのかな

    バレンタイン現金事件が すごく怖かった
    それって あげなくても いいのでは
    びっくりでした

    再婚と出産の話は ちょこっとでした
    彼女はエッセイでは 内面があまり垣間見れない
    小説とは 繋がっていかない 人物でした
    かわいい女子 だなー 普通の

  • 雑誌のコラムを読んでいる感じでスルスル読める。
    しかし、軽いネタなのかと思いきや、作者の人生がガラッと変わる展開でびっくり。まあ、人生何があるかわからないなぁと変に現実味を持って納得した(もちろん、作家さんなので、普通の人?より変わっている所はあるのだろうけど)。

    何回か登場した、男の後輩くんの話は面白かった。ダメダメすぎて笑

  • 島本さんの本を初めて読んだ。

    わたしの愛してやまない作家の共通事項は、
    「食」への執着と貪欲さ(いい意味)

    「食」にまつわるシチュエーションの表現が上手な作家さんは、
    他のシチュエーションでも、これでもかこれでもかと言わんばかりに、こちらをぐいぐいひっぱる力を感じる。

    島本さんの作品にも同じものを感じた。

    また、わたしの好きなバンドや作家さんの名前がたくさん出てきたことも、
    島本さんの他の作品を読んでみようと思ったきっかけになった。



    「一緒にご飯が食べられないっていうのはね、心の奥底で相手を拒絶してるからなんだって。美味しくご飯が飲み込めるっていうのは、目の前にいる相手を受け入れてるってことにもつながるんだよ」





    「二十代前半の夏、年上の男性に「海のほうへ岩牡蠣を食べに行きませんか」と誘われたことがあった。
    一見控え目なわりに、さらっと先回りするのが上手な人だった。」

  • 2017/04/21

  • 島本理生のエッセイを初めて読んだ。この人の小説が10代の頃から好きで、小説は割りとずこーんとダークサイド寄りだけど、エッセイは意外と軽妙&明るくてちょっぴり自虐的。小説のトーンからは結びつけにくい位にラーメン好き&酒好きな一面がわかって楽しい。ラストはあまり例がなさそうな再婚式に向かう。

  • 軽快な文章で楽しくサクッと読むことができました。
    本当にどうかしていて面白い人だなあと思いました(笑)

    エピソード一つ一つが短いので空き時間にちょうどいいですよ。

  • 食べ物の描写が相変わらず上手い。出てくる食べ物はラーメンなどB級グルメなのだけれど和やかな気持ちになれる。そして他愛もない話をしながら誰かとご飯を食べたくなるのだ。自分以外の人とご飯を食べるのが当たり前のようで実はとても幸せな事だと改めて気づかせてくれる。

  • 一緒にご飯が食べられないっていうのは心の奥底で相手を拒絶してるからってのが、まさしくだなーと思った。美味しくご飯を食べられることに感謝。

  • 読み進めていくとまさかの展開@私生活!よく食べる女性の話は読んでいて気持ちいいです、こんなに落ち着いた文章なのにまだ筆者お若いんですね。

  • 帯では美食と食べ物系エッセイを推しているけど、食べ物メインではないです。再婚に比重が多いような…
    とてもさらっと読めるので、今はどっしりしたものは読みたくないけどなにか読みたい。という時にはいいかも。

  • はっきり言って期待外れだった。
    このエッセイが特別下手だというわけではないのだけど、私の期待値が高すぎたのだろう。

    ナイーブな内面を繊細にすくい取る文章力と構成の巧。
    彼女の小説を読んで、才能の発露は年齢とは無関係なのだと思い知らされたこともあり、異常にハードルを上げてしまったのかもしれない。

    武田百合子の「富士日記」のように、無邪気なくらい素直なまなざしと、物事の本質をとらえる鋭い視線を感じさせるような。
    または、よしながふみの「愛がなくても喰っていけます」のように、食に対する妥協を一切持たないような。
    そんな文章を期待していた。(よしながふみはマンガだけれど)

    いや、ゆるい。
    っていうか、中途半端。
    恋愛小説家ってことに縛られ過ぎだったんじゃないの?
    恋愛小説自体にもあまり興味がない私は、ましてやエッセイで全然知らない他人の恋愛事情なんか知りたくもない。
    食だけでいけなかったのかなあ。
    食と恋愛を結び付けるのに、無理やり感がぬぐえなかった。

    そして何よりも残念だったのは、適当に書き流したかのような文章。
    本職は小説家だもん、という気持ちがなかっただろうか。
    小説での繊細さはみじんも感じられなかった。

    けれど、東日本大地震の日の、その時の光景を書いている部分だけは違った。
    そこはやはり、辛く哀しいことを思い出してしまう人にもきちんと配慮して、とても丁寧な文章になっている。
    ということはやはりそれ以外の部分は…と思ってしまうのだ。

    例えば大阪の町をひとりで歩いているときに、職探し中だと勘違いされた話。
    “(ちなみにお水系ではなく、ごく普通の飲み屋でした)”
    そもそもごく普通の飲み屋も水商売では?

    そして傷心の北海道旅行。
    札幌駅から小樽行きの列車に乗った時のこと。
    “駅からちょっと離れると、白い平原と雑木林だけが延々と続いている。まっさらな雪にキツネの小さな足跡が点々と付いていた。”
    札幌小樽間にこのような場所ありましたっけ?
    札幌市内だと、住宅が途切れたところに雑木林が見える場所はあるけれど、平原はないでしょ?
    小樽市に入ったらほぼ海と山に挟まれているし…。
    これは脳内のイメージ映像なのではないでしょうか?
    野生の鹿もクマもいるけど、キツネは見かけたことないしなあ。

    全体的に、彼女に対する信頼が一方的に下がった一冊。
    “『少年のような男性』と『子供化する男』というのは、似て非なるようである。”
    というところだけは、なるほど!と思ったけれど。

  • この夫婦の小説に対する愛情や、
    二人がお互いの話をするのが楽しい。
    どちらの小説も好きで、どういう環境で作られているのか気になる。

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著者プロフィール

1983年東京都生まれ。2001年「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞。03年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞を受賞。15年『Red』で第21回島清恋愛文学賞を受賞。18年『ファーストラヴ』で第159回直木賞を受賞。その他の著書に『ナラタージュ』『アンダスタンド・メイビー』『七緒のために』『よだかの片想い』『2020年の恋人たち』『星のように離れて雨のように散った』など多数。

「2022年 『夜はおしまい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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