天上の葦 (下)

  • KADOKAWA (2017年2月18日発売)
4.46
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感想 : 118
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  • 本 ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041036372

作品紹介・あらすじ

失踪した公安警察官を追って、鑓水、修司、相馬の三人が辿り着いたのは瀬戸内海の離島だった。山頂に高射砲台跡の残る因習の島。そこでは、渋谷で老人が絶命した瞬間から、誰もが思いもよらないかたちで大きな歯車が回り始めていた。誰が敵で誰が味方なのか。あの日、この島で何が起こったのか。穏やかな島の営みの裏に隠された巧妙なトリックを暴いた時、あまりに痛ましい真実の扉が開かれる。
―君は君で、僕は僕で、最善を尽くさなければならない。
すべての思いを引き受け、鑓水たちは力を尽くして巨大な敵に立ち向かう。「犯罪者」「幻夏」(日本推理作家協会賞候補作)に続く待望の1800枚巨編!

感想・レビュー・書評

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  • 読み終わってしまいました。゚(゚´Д`゚)゚。
    犯罪者からここまで、本当に楽しませていただきました
    ありがとうございましたm(_ _)m



    超ネタバレです!






    物語は瀬戸内海の小さな島へと進んでいきます。
    スクランブル交差点で老人が亡くなった話からここまで物語が展開していくとは、、、


    こんなに長編なのに飽きさせることなく、
    長いからこそ細かく、丁寧に描かれているなと感じました。参考文献もすごい量でした。


    下では今までの謎が全て明らかになり、事件の全貌が見えてきます。
    ああーなるほど!!


    もう一気読みでした
    めちゃくちゃおもしろかった!!



    島での様子に結構ページを割いていただけあって、警察が島に来てからの展開からは、、泣けます

    みなさん、、、。゚(゚´Д`゚)゚。





    戦争の話もまたとても丁寧に描かれていました。みんな一生懸命なだけなんですよね。国のために。


    なのにそれを利用してくる国
    きちんと当時の様子を知るともう怒りしかありません。
    なんでこんなことになるんでしょう
    国は国民を見てないんですよね
    何を見ているのか、、、




    情報操作は本当に怖いですね
    自分が正しいと思っていた勝利の話が印象的でした




    私はコロナの時に情報の怖さを思いました。
    何が正しいのか、何が間違ってるのかわからない。

    溢れんばかりの情報が私たちを煽ってきて
    マスクで予防ができるのか、
    どうしたらうつるのか、
    ワクチンは安全なのか、
    かかったらどうなるのか、
    後遺症ってどんなものか、、、



    私は当時妊婦でもあり、マスクも全然なくて通勤も不安でした。


    あとコロナも怖いけど、当時は人の目も怖かった気がします。
    外に出るのにも人の目が気になったり
    外出を人に知られたら怖いなと思ったり
    人それぞれ考えも違っていて、
    その後の付き合い方もちょっと変わった気がします。


    本書を読んでそんなことを思い出しました


    話がそれてしまいましたが。




    島を出てからはもうスピード感がすごい!!
    体調不良なのに読む手が止まらず読み終えてしまいました
    (休みなさいよ_(┐「ε:)_)




    3作品目でやっとスッキリなラスト(*´꒳`*)
    それが余計にシリーズ終わっちゃうのか、、と寂しいです



    また3人のことを読めるのを
    いつでも待ってます!!





    次も太田さんの未明の砦へといきたいところですが、図書館本の返却期日が迫ってるのでそっちから取りかかります!!
    落ち着いたら未明の砦も読むぞー!


    • mihiroさん
      どんぐりさ〜ん、出遅れました〜(•ᴗ•; )
      読了お疲れさまでした〜♪♪
      やっぱりどんぐりさん読むの早い♡♡
      圧巻でしたよね〜!情報操作ほん...
      どんぐりさ〜ん、出遅れました〜(•ᴗ•; )
      読了お疲れさまでした〜♪♪
      やっぱりどんぐりさん読むの早い♡♡
      圧巻でしたよね〜!情報操作ほんと怖いです。。
      太田さんの作品はほんと描写が丁寧で頭に映像が浮かんでくる感じがします〜(*^^*)
      2025/03/02
    • どんぐりさん
      かなさん

      そうですよね_(┐「ε:)_

      スマホ触ってるよりいいかと思って、本読んでました(どっちもダメか笑)
      かなさん

      そうですよね_(┐「ε:)_

      スマホ触ってるよりいいかと思って、本読んでました(どっちもダメか笑)
      2025/03/02
    • どんぐりさん
      みひろさん

      こちらにもコメントありがとうございます♪

      本当に映像が浮かびますよね(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
      下はスピード感も増し...
      みひろさん

      こちらにもコメントありがとうございます♪

      本当に映像が浮かびますよね(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
      下はスピード感も増し増しで、読むスピードも上がりました♪( ´θ`)ノ
      2025/03/02
  • 失踪した公安警察官山波の捜索のため、鑓水、修司、相馬は瀬戸内海の離島曳舟島にたどり着く…。山波とスクランブル交差点で絶命した正光が接点を持っていたことが判明し、正光が戦時下を一緒に過ごした「白狐」を訪ねてのことだった…。島に暮らす正光と同年代の老人達、彼らは苦しくも悲しく凄惨な戦時中の記憶を抱えていた…。山波の目的は?「白狐」は誰か?その裏にある事件の真相は??

    上巻を読み終え、すぐに下巻も読まなきゃっ!いや、読みたいと、一心不乱に読み続けました!!読み切ったあとの、満足感、半端ないです。戦時中の描写に関しては読んでて辛くなりほど、忠実にかつ詳細に描かれています。情報操作って、今も戦時下も恐ろしいです…。正光と「白狐」との間の友情…友情とひと言で言ってしまっていいのか迷いますが、最期まで2人の目指すところは一緒だったんだと思うと、何とも言えない読後感を得られます!読み切っちゃった…続編、熱烈期待します(^^)

  • 老人と山波の繋がりを追ううちに、たどり着いた曳舟島。
    島の老人達から改めて知る、戦争での酷い出来事。
    家族の前でもうかつな事は何も話せない時代。
    戦後数十年経った今も、政治の圧力により握り潰される事実。
    どうなってしまうのかハラハラしっぱなしで読み進める。
    どんな窮地に陥っても、間一髪助かってきた三人だったが鑓水が捕まった時は終わったと思った。
    修司、相馬、今回は鑓水の過去がわかり、益々作品のファンに。
    映画化しないかな~。

  • 久々の上下巻、期限内に読み切るかなと不安だったけど、全くの杞憂だった。登場人物が多くて混乱する場面はあったにせよ夢中で読んでしまった。とにかく面白い。一級のミステリー。

    この作品は面白いだけじゃなくて完全に社会派ミステリー。
    根底には作者の強い危機感が流れている。
    ここ数年、秘密保護法や共謀罪の成立をめぐってメディアで大きく取り上げられたりデモが繰り返し行われた。
    正直、私は実害を感じることもなく対岸の火事のような思いで、きちんと目を向けることもなかった。
    むしろ、なぜメディアは大騒ぎしているんだろうと。

    この本を読んで完全に考えが変わった。なるほど、そういうことだったのかと。
    小さな火のうちに消しておかないと取り返しのつかないことになる。太平洋戦争の時に日本で何が起こっていたのか。自由にものが言えない結果どうなってしまったのか。

    他のレビューでも書かれているとおり、いささか戦時下の描写が長すぎる気もする。しかしこのくらい詳細に描かないと伝わらないのかもしれない。
    作中にもあるように、戦争体験をしてきた人はみな高齢になっていて、直接話を聞く機会も格段に減っている。
    だからこそ今のうちに書いておかなければならないのだろう。

    その他の描写は全くだれることもなく手に汗握る展開の連続。それぞれのキャラクタの人間味あふれる個性が緻密に計算しつくされたプロットに相まって、どんどん引き込まれていった。
    最後の最後の手紙がこれまた泣かせるんだな・・・。
    この小説に心わしづかみですよ(笑)

    太田愛さんて初読みだったけど、なるほど脚本家なのねー。
    納得です。もちろん小説家としても一流ですね。
    東野圭吾なんかより断然面白いんじゃないの?
    この作品、シリーズものらしいので他のも全部読みますよ。
    あの主人公たちにまた会いたい!
    できることなら映像かも是非!

    でもどうしてこんな面白いのに本屋大賞ノミネートされてないの?不思議ー。

    • vilureefさん
      LUNAさん

      こんにちは。お返事遅くなりました。

      なんと、前作2作の方が面白いとは!
      これは読まねばなりません(*^^*)
      ...
      LUNAさん

      こんにちは。お返事遅くなりました。

      なんと、前作2作の方が面白いとは!
      これは読まねばなりません(*^^*)
      おすすめの順に読んでみたいと思います。

      私、東野圭吾は「白夜行」を超えるものがどうしても見つけられず、最近は全然読んでません(;'∀')
      ファンの多い宮部みゆきもどうも苦手で、ミステリーの大家とはどうも相性が悪いようです・・・。

      LUNAさんの本棚、ミステリーたくさんありますね♪
      参考にさせていただきます。
      2018/04/10
  • 上巻に続き、週末はほぼソファーから離れず読書。家事も仕事も放棄したいくらいにのめり込んでしまった。

    シリーズ初巻から読まなくても、話は分かりやすく、登場人物がわけがわからないとかないので、淡々と読めた。

    3人の登場人物も一生懸命に働いてくれました。序盤の渋谷交差点での老人の死の謎を解き明かす。何人もの殺人とか密室とかないミステリー物。邪魔する物もたくさん悪い奴出てきます。お偉いさんってどうしてこんなに悪どい事をするのやら。
    謎解き続ける3人組もしまいには、容疑者扱いで指名手配までなったり。逃亡者ですね。そして、逃亡を助けてくれるご老人たちもとても90代とは思えぬ賢さと行動力にあっぱれ!下巻中盤は展開が面白すぎて読み手止まらず(^^;;

    後半に明かされる老人の死の謎には、過去の戦争と真実を闇に隠蔽しようとする大きな組織。東京大空襲の模様もリアルに表現されており、恐怖さえ感じた。
    そして、行方不明の山波と社会を及ぼす出来事に制裁果たす。スッキリ!
    ハラハラドキドキがびっしりで面白かった!

    太田愛先生にハマってしまった!
    次は、シリーズ初巻を読もう!

  • 感想は上巻に。

    ダ・ヴィンチ2017.4月号「天上の葦」インタビュー(部分)
    https://ddnavi.com/news/355618/
    執筆には時間がかかったというが、政権政党から公平中立報道の要望書が出されたり、その当時政府によるメディア統制のような空気があり、これは今書かねば、と思ったということだ。


    太田愛公式HP
    https://www.ai-ota.jp/

    太田愛ブログ
    https://ameblo.jp/gralphan3/

    ブログ2017.3.2にインタビューを受けたとの記事
    https://ameblo.jp/gralphan3/entry-12249755517.html

    「ブック・バン」文庫版の解説・町山智浩氏が公開されている
    https://www.bookbang.jp/review/article/607063

    法学者・水島朝穂氏HP(早稲田大学)2017.6.12
    介入と忖度・・水島朝穂氏と太田愛さんの対談
    (「世界」2017.6月号)
    防空法と疎開の記述について水島氏の著作から多大なる示唆を受けた、と太田氏が記しているので対談が実現。
    http://www.asaho.com/jpn/bkno/2017/0612.html


    2017.2.18初版 2018.5.20再版 図書館

  • 公安の執拗な追跡を逃れ、今行われようとしている陰謀を暴こうと、3人組は協力者の助けを借りながら、縦横無尽の活躍をする。
    もはや絶体絶命だと思わせながらも、彼らはそんな危機を再三にわたって乗り越える。読者は、その活躍に爽快感を感じながら読み進むことができる。著者の筆の冴えは、作品ごとにグレードアップするようだ。
    しかし、この作品は、そんなハラハラドキドキの面白さばかりではない。
    この書は、著者が脚本家として、テレビあるいは報道の現場でそのアンテナに引っかかったある兆しを、小説の形式で書き下ろした、現代への警告の書として読むこともできるのではないだろうか。(むしろ、著者の意図はこちらか)
    「ひとつの国が危険な方向に舵を切る時、その兆しが端的に現れるのが報道です。報道が口を噤み始めた時はもう危ないのです」
    「しかし、いいですか、常に小さな火から始まるのです。そして闘えるのは、火が小さなうちだけなのです。・・・大火となればもはやなす術はない。もう誰にも、どうすることもできないのです」
    戦時下、大本営の報道に携わった元軍人が、後悔の念に駆られながら慙愧の思い出語りかける。
    そして我々の時代に目を向けた時、戦時下に類似した行為が、今どこかで進められていないだろうか。
    小説が時には、時代を先行してそれを暗示する。

  • 山波と白狐を探しに曳舟島に渡った三人

    白狐が正光の遺言を受けて山波を匿っていると考え、山波の行方と白狐を探す三人だが、
    「もしかすると、この島ではもっと複雑なことが起こっているのかもしれない」
    という鑓水の言葉に否が応でもページを捲る手が逸る

    ほとんどが老人ばかりの島で、みんな示し合わせたかのように話題が戦争のことになると口をつぐむ

    戦争に行かなかった人間は、自分たちがされたことを覚えている。肉親や多くの大切なものを奪われたことを忘れない
    戦争に行って生きて帰ってきた人間は、自分たちがされたことと、自分たちがしたことを、生きて帰ってこれなかった者らのことを覚えている
    我々がその最後の世代。もう何年かのうちに、ひとり残らず、この世からいなくなる

    夜の海を見ながら語る喜重の言葉がずしんと私の胸に響いた
    どれだけ平和な世の中になっても戦争を体験した人は
    戦争を忘れることはできないのだということ
    戦争を体験した人が日本からいなくなったら、どうなるのだろう
    本当の戦争の恐ろしさを語り継いでいけるのだろうか
    いろんな不安が押し寄せてきた

    戦時中の描写の細かさ詳しさに読んでいて胸が痛くなったと同時に、報道と事実とのあまりの乖離にこれほどまでだったのかと唖然とした
    国民は騙されていたのだ

    前島たちの標的は、単に一ジャーナリストを潰すことにあるのではなく、もっと大きな狙いがあったこと
    それを勢いづけているのは、有力政治家への忖度であること、ついこの間ニュースを騒がせていた官僚の総理大臣への忖度云々を否が応でも思い出してしまった

    最後、曳舟島の喜重から三人への手紙で、正光が渋谷の交差点で最期に指差していたものが語られた
    たくさんの人の犠牲の上に成り立った今の平和を二度と奪われてはならない、守っていかなくてはならないのは
    我々国民一人ひとりの役目なのだと強く感じた

    太田愛さんの鑓水、修司、相馬のトリオ三部作読了!
    どれも文句のつけようがない面白さだった
    警察物や政治の裏話的な話が大好きな夫にも勧め、夫も三部作すべて読了
    もっとたくさんのひとに読まれてもいいのになと思った
    私が知らなかっただけなのだろうか

    これからもこの人の作品を追いかけていきたい

  • 「犯罪者」が修司の物語ならば、「幻夏」は相馬の物語。そして、この「天上の葦」は鑓水の物語。
    渋谷のスクランブル交差点で、老人が空を指さして、亡くなった。その時、老人が見ていたものが何だったのか?鑓水は因縁の相手から、依頼を受ける。
    一方、公安の刑事の動向を探っていた相馬だったが、鑓水の追っていた件と繋がり、いつしか公安から追われるようになり、老人と繋がりのあった「白狐」と言う人物を探しに、ある島にたどり着く…
    島での話がかなり長く、少し飽きてしまったが、老人たちが重い口を開いた時、それまでの描写の意味が理解出来た。
    奇しくも、この作品を読んでいたのが、お盆中で戦争について、深く考えていた時期で、太平洋戦争を語り継ぐ大事さ、戦争を「やめよう」と言えなかった時代背景の答えの一端が作品の中に見えた気がした。戦後72年経って、兵役経験者が90歳を超える時代。やっと口に出来る人の気持ちも伝わり、思わず涙が溢れた。
    サスペンスとしての魅力は前2作には劣るが、違う意味で、作者の力量を感じた一冊。

  • ものすごく面白かった。

    私の「お気に入り小説ベスト3」は長い間変化がなかったが、今日2位が変わった。
    いきなりの初登場2位!

    戦争、報道、公安警察
    最後に参考文献にたくさんの書籍名が並んであって
    この本を書くにあたって作者はものすごく準備したんだな!とそれだけで胸が熱くなった。

    名前も知らないブロガーさんにこちらの本がおすすめされてあって読んだが
    本当に感謝したい。おすすめしてくれてありがとう。

    しっかし公安ってどの本でも悪じゃのう。

    なんしか面白かった!

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著者プロフィール

香川県生まれ。「相棒」「TRICK2」などの刑事ドラマやサスペンスドラマの脚本を手がけ、2012年、『犯罪者 クリミナル』(上・下)で小説家デビュー。13年には第2作『幻夏』を発表。日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)候補になる。17年には上下巻の大作『天上の葦』を発表。高いエンターテインメント性に加え、国家によるメディア統制と権力への忖度の危険性を予見的に描き、大きな話題となった。

「2020年 『彼らは世界にはなればなれに立っている』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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