少女奇譚 あたしたちは無敵

  • KADOKAWA/角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041036396

作品紹介・あらすじ

このことは、あたしたちだけの秘密よ
朝倉かすみが挑む 少女×ふしぎの物語

 小学校の帰り道、きらきら光る乳歯のようなものを拾った東城リリア。同級生の清香と沙羅も、似たような欠片を拾ったという。ふしぎな光を放つこれはきっと、あたしたちに特殊な能力を授けてくれるものなのだ。敵と闘って世界を救うヒロイン。あたしたちは、選ばれた――。でも、魔法少女だって、死ぬのはいやだ。(「あたしたちは無敵」)
 少女たちの日常にふと覘く「ふしぎ」な落とし穴。表題作のほか、雑誌『Mei(冥)』、WEBダ・ヴィンチに掲載されたものに書き下ろしを加えた全5編を収録。

◆収録作品「留守番」「カワラケ」「あたしたちは無敵」「おもいで」「へっちゃらイーナちゃん」

感想・レビュー・書評

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  • 少女を主人公にした不思議な短編集。SFじみた出来事に巻き込まれていきながらも、青春を生きる少女の生き生きとした表情も見いだせる。
    「留守番」は最初読み終わって何が起こったのかわからない顔をしてしまった。そしてじわじわ怖かった。

  • 前回の「たそがれどきに見つけたもの」は50代前後の物語だったが、今回は10代しかも女の子ばかりの物語。
    中にはちょっとませているんじゃないのと思った部分もあったが、朝倉節炸裂のブラックなものや、不気味さが漂っていた。
    副表題作「あたしたちは無敵」は、SFっぽさがあり、また新しい一面が見られて満足。

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    このことは、あたしたちだけの秘密よ
    朝倉かすみが挑む 少女×ふしぎの物語

    小学校の帰り道、きらきら光る乳歯のようなものを拾った東城リリア。同級生の清香と沙羅も、似たような欠片を拾ったという。ふしぎな光を放つこれはきっと、あたしたちに特殊な能力を授けてくれるものなのだ。敵と闘って世界を救うヒロイン。あたしたちは、選ばれた――。でも、魔法少女だって、死ぬのはいやだ。(「あたしたちは無敵」)
    少女たちの日常にふと覘く「ふしぎ」な落とし穴。表題作のほか、雑誌『Mei(冥)』、WEBダ・ヴィンチに掲載されたものに書き下ろしを加えた全5編を収録。
    ◆収録作品「留守番」「カワラケ」「あたしたちは無敵」「おもいで」「へっちゃらイーナちゃん」
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    どれも朝倉さんらしさが存分に出ている物語である。表題作の女子たちの心の動きは、おそらく女の子だったことのある人ならだれでもわかるのではないだろうか。どこまでが現実で、どこからが妄想なのか、判然としないところが一興なのかもしれない。あの無敵感、結構解る。そしてほかの作品も、思春期の女子の微妙で複雑でアンバランスな心と躰、そして周りの大人――ことに身近な男性である父親――との関わり方の変化の描き方が、極端な部分も多々あるが、絶妙だと思う。父と娘、互いの取り扱いに困って過剰反応を起こす時期がたしかにあるのではないだろうか。最後の物語は、いささか違うかもしれないが……。自己愛にあふれつつ自虐的な朝倉流の少女の物語を堪能できる一冊である。

  • 傷ができた瞬間に断ち切られるような読後感が多かったが、それが癖になる。面白かったです。

  • 少女たちを主人公にした、少し不思議で少し不気味な短編集。テレビ番組の「世にも奇妙な物語」みたいな雰囲気で私は好き。

    幼い妹と2人で留守番中になにやら不思議な生き物を見つける小5の女の子の話、由緒正しい家柄の娘は初潮を迎えるときに顔の皮膚にも変化が現れ家に1人で籠らなければならないしきたりの話、ある日不思議な力を身につけてスーパーヒーローとなった女子高生達の話、うたた寝するたびにどんどん成長していく少女の真実の話、母が死んでから父親から姉への性的虐待が始まっていく話。

    どれも薄気味悪い後味で想像してたのとは少し違ったけど面白かった。ウーチカが最後どうなったのかが気になる。

  • 少女と不思議なお話。短編集。
    不思議すぎてなんなんだかさっぱり分からなかったり、後味良くない。
    留守番が最後まで読んだらめっちゃ怖かった。
    他のは不思議なだけで怖い話はなくてよかったです。

  • 不思議な世界観で、読みやすく私は好きだった
    オチの意味がよく分からないところも多かった

  • 短編集
    どの話もスッキリ終わらないので悪い意味でモヤッとする。
    おるすばん→たぶん最後は死んだんだろうけど謎の生き物はコックリさんってこと?
    カワラケ→お母さん、情緒不安定すぎ。カワラケが終わり自分より綺麗になる可能性のある娘が疎ましくなった?
    あたしたちは無敵→もっとリアルな話で結局特殊能力なんて嘘かと思ってたらそこはアリで能力失うタイミングがリアル。主人公が思った通りどこから間違えたのか一生後悔しそう
    おもいで→いちばんラストに納得いった話。タイトルもいい。
    へっちゃらイーナちゃん→悲惨過ぎる姉妹。イーナちゃんはたぶん存在しないから現実では父親に連れ戻されてると思う。

  • 留守番
    カワラケ
    あたしたちは無敵
    おもいで
    へっちゃらイーナちゃん

    不思議で不気味で綺麗な物語

  • 短篇集。内、二篇が特に印象に残った。

    「へっちゃらイーナちゃん」
    お母さんもお姉ちゃんも、自分の時には我慢出来ると思うのだろうな。自分さえ我慢すればと思うのだろうな。みんな悲しいけど、決断できて良かった。逃げ切れればいいな、と思う。

    「あたしたちは無敵」
    夢見がちで可愛い女の子たちの話…からのこのラストの非情さ。マヌケな決めゼリフが響く。ひどい。

    雰囲気はどれも素敵。そしてラストはどれもいろんな意味で衝撃。

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著者プロフィール

1960 年生まれ。北海道出身。04 年「肝、焼ける」で第72 回小説現代新人賞、09 年「田村はまだか」で第30 回吉川英治文学新人賞、19 年「平場の月」で第35 回山本周五郎賞受賞。

「2021年 『ぼくは朝日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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