解毒 エホバの証人の洗脳から脱出したある女性の手記

  • KADOKAWA/角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)

作品紹介・あらすじ

幼少時から家族でエホバの証人に入信した女性の苦悩に満ちた半生と洗脳が解けるまでを描くノンフィクション。DV、2度の離婚、自殺未遂、家族との断絶を経て、どん底から彼女はアイデンティティを確立していく

感想・レビュー・書評

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  • p5
    そもそも、人生とは「辛いことがいろいろある」ということが前提にあるものなのに、人生の苦しい局面を受け入れられずに「幸せになりたい」と苦悩し、もがいている人は多い。人間は「どこかに自分の幸せがある」と考えるといろいろな場面で判断を誤りやすい。本当の幸せというのは、人生の辛い局面を乗り越えようとする中で様々な人と出会い、学びを得たり励まし合ったりするときに感じられるものだということを、私は学んだ。その体験の一つ一つを味わうことこそが、人生の醍醐味なのだと思うようになった。

  • 二世信者によるカルト宗教からの脱出記です。
    カルト宗教の信者を脱会させない巧妙なシステム(カルトのからくりを知れるだけでも価値があります)と
    信者への洗脳方法(教義の徹底理解と布教活動)を知り、身の毛がよだちました。

    脱会までに著者が、払った精神的な負担と経済的な損害、そして、多大なる時間は、あまりに代償が大きいと思います。

    人間が宗教や信仰に救済を求めるのは、ごく自然な行為です。

    不完全な自分に不安を抱き、完全なる何かに救いを求めるのは、どの時代でも当たり前にある人間の普遍的行為です。

    しかし、著者の両親は、その救いの先がカルト宗教でした。運が悪かったとしか言いようがありません。今も、もがき苦しんでいる少なくない2世信者のことを考えると、言葉になりません。

    著者が陥った状況からの、一連の脱出方法は、
    もっと喧伝されてよいかもしれません。

    著者は、脱出したいと願いながらも、
    教団の教義と脱会出来ないシステム(脱会したら、二度地家族には近づけない教義とその巧妙な救済方法)に長期間苦しめられました。

    恐ろしいのは、積極的に自から苦しむようになる、カルト宗教による信者への「洗脳のえげつなさ」です。

    たまたま著者は、理解ある精神科医に出会ったので、
    脱洗脳と脱会を段階的に行うことができました。
    脱会を一人で行うのは、非常に困難だと思います。
    少なくとも、自分ならできません。

    また、洗脳されている人を助けたいと思っても、
    信者は、助けようと思っている人をサタン=悪魔と
    判断する洗脳を教団から施されているので、
    まず他者は、対応不可能です。

    少し視点を広げて、「脱出困難な状況」に自分自身が陥った時に、どう行動すればいいかのヒントが、この著作にちりばめられています。

    困難な状況とは、個人個人が陥っている状況で千差万別ですが、

    例えば

    職場で不当な扱いを受けている人や家庭内暴力を受けている人、イジメを受けている人、ストーカー被害にあっている人などの状況です。

    これらの状況は、万人にあてはまります。
    困難な状況は、明日にでも自分に降りかかるものです。この意味で、この著者の脱出方法は、かなりのヒントになると思います。なぜなら、洗脳からの脱出は、最も困難なことだからです。

    それは、多かれ少なかれ、人は「社会的な洗脳」を受けて生きているからです。それは自分の今の「思い込み」と言って良いかもしれません。今の自分の状況を一段高く俯瞰して、自分を取り巻く現状の改善や脱出を行う上でも、この著作は非常に有益だと思います。

  • 36才まで洗脳が解けずにいたが、カウンセリングでなんとか解毒できたというお話。

    「エホバ」という宗教は輸血を拒否する宗教だ、という知識しかなかったが、子供の頃から学校の行事も何も禁止されているなんて驚いた。

    結婚相手がDVではなかったら、そのまま外の世界を知らないままであったかもしれない。

    お父さんが愛情のある普通の人でよかった

  • 無宗教であってもDV被害にあったり、親族と絶縁状態の方もいると思うので、著者の壮絶な人生が宗教のせいなのか否か、判然としなかった。新興宗教の内情を垣間見れたのは勉強になった。

  • 産まれた家庭がエホバだった筆者。
    疑問を抱きながらも「愛されたい」一心で、ずっと活動を続けてきた。
    二度の結婚で心身共に壊れ、治療を受けて徐々に解毒していく。


    エホバも統一教会もヤマギシ会もそう。
    結婚によって皆やられる。


    アタリのないくじ引きと同じ。

    筆者は非常に賢い。
    自分の力を信じることは大切だな。

  • カルトにハマる人って盲信しちゃうところが不思議だなーと思った。
    母親はバリキャリっぽいし、裕福そうだし、それでも宗教に依存しちゃうんだな。
    育った環境が複雑だったりというのでハマってしまうんだろうけど、自分の活動や思想と矛盾がありそうなのに、どういう思考回路なんだろ。

    作者は二世で親は選べないし大変だと思う。
    でも、何も疑問に思わず考えず気が付かなかったら幸せなのかもしれない。

  • 毎週必ず視聴している大好きな「激レアさんを連れてきた。」で紹介され俄然気になって読んでみた。エホバの証人の輸血拒否で子供を死なせた事件は、当時かなりのセンセーションで新興宗教の恐ろしさが日本でもかなり認知されたと記憶していた。エホバの証人の2世信者として幼少時から洗脳・刷り込みされてきた著者の第2の生を取り戻すまでの半生記録。兎に角、洗脳の恐ろしさ・不気味さが私の理解力を大きく超えて押し寄せてきて、まさに圧巻というしかない。読書の醍醐味のひとつは、自分の人生で体験できないことを疑似とはいえ追体験できることだと思っているが、あまりにも壮絶な体験が次々と、しかも淡々と綴られていて本当に恐ろしくなった。洗脳・刷り込みの破壊力が本当によくわかる。

  • NHK『逆転人生』で板根さんとこの本を知り、読みたくなりました。無宗教の私の知らない世界、“二世信者”の壮絶な半生に共感し、いつか板根さんのもう1つの夢が叶うと良いなぁと強く思いました。

  • 5)そもそも人生とは辛い事がいろいろあるのが前提なのに苦しい局面を受け入れられずに幸せになりたいともがいている人は多い。どこかに自分の幸せがあると考えるといろいろな場面で判断を誤りやすい。本当の幸せというのは辛い局面を乗り越えようとする中で様々な人と出会い学びを得たり励ましあったりする時に感じられるもの。その1つ1つを味わうことこそが人生の醍醐味なのだ。
    217)女性が実力そのものを認められ評価される事は相当に困難である。女性側が性の対象としての価値を社会に差し出す事が少なからず求められる。'07.4施行の改正男女雇用均等法によってセクハラに関する規制が強化されてからも女性の尊厳を傷つける事件が激減したわけではない。女性は生活やキャリアを質に取られているため事を荒立てない事が多い。
    10)心に不安や悩みを抱えている人が勧誘されるままに会館を訪れると温厚そうな信者からの歓迎を受け感情が揺さぶられる。これはマインドコントロールのテクニック。カルト宗教は組織に関心を示す人に愛情を注ぐ。
    33)エホバの証人の信者が必ず陥る白黒思考。身の回りに起きる出来事全てをエホバからの祝福とサタンからの攻撃という2つのカテゴリーに分類する。
    122)DV加害者は時と場所と相手を意識的に選んで暴れる。ヤクザに乗り込んで暴れたりはしない。
    224)家庭内で父親は裁判官の役割を果たしている。男であれ女であれ何歳になっても父親の期待に応えたいという気持ちが内在している。父親からの良い評価が得られないと子供は苦しむ。
    274)全ての人に誠実さを求めていたら日が暮れる。全ての人間関係が真剣、誠実でなくても良い。暇つぶしのための関係もワンサカある。人間関係を終わらせることに慣れる必要がある。人を利用する事もあれば利用される事もある。そもそも人間の本性はそんなに綺麗なものではない。

  • 978-4-04-103709-6  279p 2016・1・25 初版

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著者プロフィール

1977年、東京都生まれ。物心がついたころには家族ぐるみでエホバの証人に入信していた。エホバの教育を受けて育ち、21歳でエホバ信者と結婚するがDVに苦しみ離婚。その後、エホバではタブー中のタブーである再婚をしたことで「排斥」という処分を受け、家族と引き裂かれることに。2度目の結婚でもDVを受け、離婚。ストレスでアトピー性皮膚炎を発症し入院。それでも洗脳が解けず一人で集会に通い続ける。しかしあることをきっかけに洗脳が解け、アイデンティティを取り戻していく。

「2016年 『解毒 エホバの証人の洗脳から脱出したある女性の手記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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