樹上のゆりかご (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
3.63
  • (3)
  • (9)
  • (12)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 143
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041037201

作品紹介・あらすじ

かつて旧制中学だったバンカラな伝統が残る都立辰川高校に入学した上田ひろみは、学校全体を覆う居心地の悪さを感じるようになっていた。合唱コンクールで代役の指揮をした美少女有理と親しくなってからは、周囲でさらにおかしなことが起き始める。合唱祭、演劇コンクール、体育祭と準備に追われる中、生徒会に脅迫状が届き相次いで事故が……。学校に巣くう「名前も顔もないもの」とはなんなのか? 何ものからも守られ、それゆえに不安定な「ゆりかご」のような場所、「学校」。そこで過ごす刹那を描いた、人気作家荻原規子の今では珍しい学園サスペンス。読みながら思わず自分の高校時代を重ねあわせていく、不思議な感覚の物語。書き下ろし短編、あとがきを収録して新たに登場!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 荻原規子さんのファンタジーは一度読んでみたいと思っていましたが
    ある日の書店でこちらを見つけて、内容はともかくとして
    著者さんの名前とカバーの写真にほぼ衝動買い。ジャケ買いでした。
    こんな表紙には目がありません♪ましてや気になっていた著者さんでしたから
    もう迷わず。^^

    そんなわけでてっきりファンタジーと思って読み始めましたら
    あろうことか方向が随分違っていて...

    旧制中学の伝統が色濃く残る高校に通う主人公・上田ひろみは
    学校全体を覆うその校風に居心地の悪さを感じている。そんななかで
    生徒会執行部に駆り出され、奇妙な出来事に巻き込まれていく――

    ミステリの絡んだ学園青春物語でした。

    こういう学園ものに出会うととても懐かしい気持ちにさせられます。

    主人公ひろみと有理の、あんなふうに共通する好きなもので
    語り合える友達関係っていいなと思う。熱い青春だなって眩しい
    気持ちになるし、歳を重ねた後になってもそういう友人関係は
    なによりにも代え難い大切で嬉しいものだから。

    ひろみと江藤くんも微笑ましくてなんかいい。
    この二人、似たもの同士なのじゃないかしら。

    鳴海クンと近衛さんの中学時代の関係が、どんなだったのか
    はっきりしていないところがちょっぴり残念でしたけど、近衛さんは
    成海クンを取り戻したいだけだったんだろうか....。
    ほんとうは鳴海くんの名を借りて、辰川高校の校風に対しての
    抗議だったのではないのかしらという気もするのです。

    このお話にも「前」があるのですね。
    読んでみたいと思います。

  • 「空色勾玉」「レッドデータガール」の萩原規子の作品。犯人Kの謎解きにかんしては、あまり感想はなく、冷静と狂気を併せ持つ人はいるだろう程度だったが、話の流れや言葉の選択などは好ましく思った。歴史のある古風な学校は、女子からみたらこんな感じなのかなと知らされた読書だった。

  • わたしの通っていた高校は男女比3:2、進学校、自由な校風、イベント重視、と共通点が多く懐かしい気持ちになれました。そこに上手く馴染めなかった自分とひろみを重ねてみたり…… 「これは王国のかぎ」は確かに忘れられない初恋になる。

  • 「これは王国のかぎ」を読んだあとすぐ読みました。主人公が同じだし、違う話だよーと書いてあっても、それなりに同じ空気感かなーと思ったら、全然違ってた。

    なんか、毎回本当上手く表現できないんですが、この人の感情表現の視点が独特で、面白いです。うーん、本人の感情なのに、客観的?とうか、視線が自分自身じゃなくて、むしろ人工物でもない、空から来る?みたいな?

    ……すみません。
    よくわからないですね。

    うん。取りあえず、すごい高校の話でした。

  • 都立高校での、様々や行事を巡るあれこれや、絡み合う人間模様。
    学校行事に向き合う学生達の気持ちや温度差や問題その他は、同じ体験はしていなくてもどこかで共感できるもので(熱中した側も醒めてた側も)、ノスタルジックな気持ちになる。
    『伝統』やら性差については、学校よりも社会に出てからの方が強く感じるかなぁ。
    緊迫したシーンもあるけれど、静かで穏やかな読後感。

  • 物語の舞台の辰川高校のモデルである立川高校と同じ学校群だった高校の出身のためもあってか、旧制中学以来の伝統を誇る辰高に反発を感じた(特に女子を祭り上げる一方実事にコミットさせないところ)。最初主人公の親友に見える夢乃がボーイッシュな外見と裏腹にそうした性差別的構造をマイノリティ側から支えるタイプなのだが、途中から勝手にすねて後景に退き、代ってそうした学校の在り方にプロテストする近衛有理が主人公と親しくなるので、反発を感じるのは物語的にも順当な反応なのだと思いきや、結局有理が犯罪者で自殺未遂をはかるという結末(ではないか。ミステリ要素における結末)で、ものすごくモヤモヤした。しかも、途中、有理は夢乃に根拠なく犯人の嫌疑をかけられるのだが、そうした場合、いわれない疑いは冤罪だったというのが通常の物語の定番なので、肩透かしをくらったとともに、結局本当に犯人だった(らしい)ことで、いわれなく人を謗ることが正当化されたようで不快だった。

  • 単行本,中公ノベルズ版,そして今回の角川文庫版と3回目の読了。中公ノベルズ版の香坂ゆうのイラストに目が止まり,図書館で単行本を借りて読む。その後ノベルズ版を再読し,今回の角川文庫版へと至る。この際,単行本,角川文庫版のほか,中公文庫版も入手しようかしら。いずれにしても,はじめて読んだのは大学生くらいかしら。高校時代のなんともいえない心情を思い起こさせる不思議な作品です。なぜか,折りに触れ再読したくなります。

  • 冷めた振りをしてもイベント事に熱くなる高校生は、とても不安定な場所にいて、色んなゴタゴタを乗り越えて3年間でグンと大人に近づいていく。
    番号を気安く交換しない、べったりしない女子らしく。別々の進路を選んで、いずれ消えてしまうのかもしれないけど、上田サンと江藤クンの関係性は続くといいな。

  • ハッシャバイ、ベイビイ、樹のてっぺん
    風が吹いたら ゆりかご揺れる
    枝が折れたら ゆりかご落ちる
    赤ちゃん、ゆりかご、もろともに
    Hush-a-bye, baby, on the tree top,
    When the wind blows the cradle will rock;
    When the bough breaks the cradle will fall,
    Down will come baby, cradle, and all.
    *
    おとこのこって なんでできてる?
    おとこのこって なんでできてる?
    なめくじに かたつむりに こいぬのしっぽ
    そんなもんで できてるよ
    What are little boys made of?
    What are little boys made of?
    Slugs and snails
    And puppy-dogs' tails,
    That's what little boys are made of.
    おんなのこって なんでできてる?
    おんなのこって なんでできてる?
    おさとうと スパイスと すてきななにもかも
    そんなもんで できてるよ
    What are little girls made of?
    What are little girls made of?
    Sugar and spice
    And everything nice,
    That's what little girls are made of

  • 短編を目当てにKADOKAWA版購入。すでに単行本も中央公論版の文庫も持っているのに…

    読みたかったけど読みたくなかった、が一読しての感想。なんとなく斜陽のイメージがつきまとう。
    あれだけの密度の繋がりが、進路が分かれたりけじめとして生徒会から身を引いただけで、そんなにも希薄になるのだろうか。初読から10年近くになる。折に触れ読み返してきた読者として、彼らはその後もずっと繋がり続けていってほしいと願っていたので、その淡白さにああ、とため息をついてしまった。
    彼らとの唯一の繋がりが、例の彼というのも、特別な印象は与えるけれど、でもなあ。
    続編を待ち続けていた弊害かもしれない。

全13件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

荻原規子・東京生まれ。早稲田大学卒。『空色勾玉』でデビュー。以来、ファンタジー作家として活躍。著作に「RDG」シリーズ(角川書店)など。2006年、『風神秘抄』(徳間書店)で小学館児童出版文化賞、産経児童出版文化賞・・JR賞、日本児童文学者協会賞を受賞。

「2017年 『RDG レッドデータガール 氷の靴 ガラスの靴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

樹上のゆりかご (角川文庫)のその他の作品

荻原規子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
米澤 穂信
米澤 穂信
恩田 陸
有効な右矢印 無効な右矢印

樹上のゆりかご (角川文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする