いつかの人質

  • KADOKAWA/角川書店
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感想 : 74
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  • Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041037249

作品紹介・あらすじ

幼い頃に連れ去りにあい、失明した愛子。借金を残し失踪した妻・優奈を捜す、漫画家の礼遠。行方をくらました優奈は、誘拐犯の娘だった。事件から12年、魔の手が再び愛子を襲う! 戦慄のサスペンス・ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 失踪した人気マンガ家の妻。妻の母親が連れて変えてしまった少女が再び誘拐される。イヤミスの大家が描くクライムサスペンス。
    誘拐事件のホワイダニットを考えると、プロット自体はあまり裏切りのない感じはしましたが、動機や情念がすごくて読ませるミステリだと感じます。

  • 人って怖い。
    犯人は裏のある人物なのかと思いきや、本人にとってのありのままの思考なだけで、とんでもない事件を起こすことを思いついたのが、怖い。
    人って怖いし、難しいと思うことがある。

  • 幼児誘拐事件の犯人となった母と娘の優奈。優奈が夫から姿を消し、夫が優奈を探す中、前回と同じ子が再び誘拐される。

  • 3歳の頃、母親の前から姿を消した愛子。誘拐?戻ってきた時には視力を失っていた。その愛子が15歳になり、再び親の前から姿を消した。そして犯人からの身代金要求。600万って金額の意味することは?しかも犯人は3歳の頃に誘拐した女の娘?なぜ?

    とまぁ、こんな不可解なことは現実的にはなかなかないだろう。でもこの芦沢さんのリーダビリティのなせる技か、違和感なく受け入れられる2度目の誘拐。これは警察の仕事ぶりに一石を投じた作品なのか?ハラハラしてヒリヒリしてドキドキしてハッとさせられる作品だった。言葉の表現が下手ですいません。(笑)

  • 「警察が本気で探すのは、刑事事件の容疑者ぐらいだから」

    あまりに短絡的で、ありえない。
    それが動機なら、なにも傷つける必要はなかったはず…。

    愛子が、かわいそうでね…。
    最初の事件では障害を負わされ、そしてまた…。
    なぜに、ここまでひどい目に合わなくてはいけないのか?
    暗闇の中で、死の恐怖と闘いながら、
    弱音をはくどころか、今までの自分が、いかに親に頼っていたことかと…。
    それを成長というには、あまりにつらい。

    最後、犯人には憤りしか覚えませんでした。

    せめて愛子の未来に、少しでも明るい光が差して欲しい。

  • 12年前、誘拐された少女。そして発生した二度目の誘拐事件。
    目の見えぬ少女は何故、再び狙われたのかー。


    3歳の時に連れ去りにあった愛子。
    その時の事故が元で失明してしまった。
    あれから12年愛子は明るく元気に健やかに育っていた。
    いつも外出時は母・麻紀美が付き添っていたが、
    初めて親の介助なしで友人達で出掛けたアイドルのコンサート会場。
    その会場から愛子は誘拐されてしまう。

    借用書五百万程と、離婚届を残し半年前に失踪した妻・優奈を探す人気漫画家の礼遠。
    行方をくらました優奈は、愛子の誘拐犯の娘だった。

    愛子の誘拐事件を追う捜査と、礼遠の優奈捜しが並行して描かれている。
    プロローグの誘拐するつもりなど微塵もないのに誘拐犯になってしまった
    優奈親子のシーンにそんな事ってあるの…って思いながらも引き込まれました。
    しかし、二度目の誘拐事件の犯人や動機は早い内に見えてしまった。
    でも、まさかそんな事で…と思う自分もいましたが…やはりそうだった。
    動機がそれだったら、何故愛子はそんなに乱暴に扱われなければならなかったのだろう。
    怖い思いをさせられたのだろう…。
    愛子が監禁されているシーンが、読んでてとても辛かった。
    両親、特に父親の心理描写も読んでて辛い。
    犯人には、怒りしか湧かなかった。

    優奈と礼遠どちらにも共感する事も出来ず、理解も出来ない。
    ラストもただ腹立だしかっただけだった。
    愛子の健やかさや強さだけが救いだった。
    愛子に幸せになって欲しい!

  • 初めて読んだ作家の本。
    感想としては良くも悪くもなく・・・。
    読んでいる時はそれなりに引き込まれるけど、結末を見てしまうと色々と無理があるよな~と思ってしまった。
    その無理を納得させてくれる結末なら良かったんだけど・・・。

    3歳の時に誘拐され、それが元で失明してしまった少女。
    誘拐した方は彼女を連れて行くつもりはなく、遊園地で泣いている彼女に声をかけ、ぬいぐるみをあげるだけのつもりが、あわただしさの中、気が付いたらその子を家に連れて来てしまったという形。
    12年後、加害者の娘が被害者家族を訪れ謝罪と共にあの時の事をマンガにしたいと言ってきた。
    被害者家族は憤慨し、作品にする事は許さないと言う。
    そんな事があった後、誘拐され失明し、成長した少女が再び誘拐されてしまう。
    誘拐した犯人の残した証拠品からあの日謝罪に来た加害者の娘の指紋が検出されるが、彼女は離婚届と借金を残し失踪していた。
    その借金額というのが誘拐の身代金と一致してー。

    読んでいる時、犯人は?その動機は?
    という思いから次々と読み進めてしまう。
    だけど、それだけ惹きつけられた結末を知った時、「あ~あ・・・」となってしまう。
    どうしたって動機としては幼稚だし、犯行についてもかなり無理があると思う。
    これが動機なら2回も誘拐される少女があまりに可哀相すぎる。
    しかも、その少女や家族のその後がおざなりな点も気になった。
    しっかり書いている所とそうじゃない所の差があるように思った。

    ただ、細かい人物描写がしっかりしていて、話にそれほど関係ない人物の描写ー自分は人からふりおとされる人間じゃないからこういう場所が好きなんだ、みたいな描写は「なるほどな~」と思った。
    その辺り、作者の繊細な感覚を感じるし、文章も読みやすい。
    ただ、内容は浅かった。

  • 初めて読む作家さんの作品だったが、面白かった。
    3歳の頃誘拐され(実際は誘拐ではなく間違って連れて行ってしまったのだが)、その時階段から落ちるという事故があり、失明してしまった少女が、誘拐事件から12年後に、また誘拐されてしまう。偶然なのか必然なのか。
    文章が上手なので中だるみすることなく一気読み。
    なぜ誘拐する必要があったのか、また、その突拍子もない行動に出ることも、彼ならばなんとなく納得できた。
    最後も前に向いて進んでいけそうな感じ、いや、また同じことの繰り返しなのか、そこは人それぞれ感じ方が違うと思うが、個人的には良い終わり方だった。
    エンターテインメント性もあり題材もよく、ミステリとしても良かったが、☆5をつけてしまうともっと良い作品に出会った時困るので、☆4

  • 妙にリアリティのある気持ち悪いキャラクターだけがよかった、というのはこの作品に対する自虐なのか?と思っちゃう

  • 読み物としては大変読みやすいが、ミステリーとしては途中から薄々犯人の目星が付いてしまったのが残念であった。
    ただし、犯人の愛子を手荒く扱う所作が普段の人物像とかけ離れており、確証に至らないまま終盤を迎えたため、作者のあえての思惑だったのかもしれない。
    犯人を含む登場人物の殆どが自己中心的な思考をしており、その思考が絡み合い話が展開されていく。その点が綺麗事ではないリアリティさを本書に与えており、読み応えがあった。

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著者プロフィール

1984年東京都生まれ。千葉大学文学部卒業。出版社勤務を経て、2012年『罪の余白』で、第3回「野性時代フロンティア文学賞」を受賞し、デビュー。16年刊行の『許されようとは思いません』が、「吉川英治文学新人賞」候補作に選出。18年『火のないところに煙は』で、「静岡書店大賞」を受賞、第16回「本屋大賞」にノミネートされる。20年刊行の『汚れた手をそこで拭かない』が、第164回「直木賞」、第42回「吉川英治文学新人賞」候補に選出された。その他著書に、『悪いものが、来ませんように』『今だけのあの子』『いつかの人質』『貘の耳たぶ』『僕の神さま』等がある。

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