私のサイクロプス

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
3.82
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本棚登録 : 230
レビュー : 38
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041037270

作品紹介・あらすじ

出ては迷う旅本作家・和泉蝋庵の道中。荷物もちの耳彦とおつきの少女・輪、三人が辿りつく先で出会うのは悲劇かそれとも……。怪談専門誌「幽」の人気連載に書き下ろし「星と熊の悲劇」を加えた九篇の連作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 前作において、とても哀しみ深い内容で綴られた輪が、
    冒頭から登場したので少し嬉しくなりました。
    とにかくおどろおどろしくてグロテスク、なんですけど、
    笑いを誘ったり、切なかったりして物語に引き込むところが、やっぱり乙一ワールドなんだなって思います。
    耳彦は本当にどうしようもないキャラですが、今回もやっぱ憎めない人物です。
    もうちょっと和泉蝋庵の活躍が見たかったかな。

    エムブリヲ奇譚のほうも同様に、装丁が素晴らしいです。
    本棚に飾る楽しみもありますヨ♪

  • 和泉蝋庵と耳彦と倫、三人の旅の道中はいつも道に迷ってばかり。そしてその都度、怪異に巻き込まれるのもまたいつのものことで…

    シリーズ第二弾の今回の作品も、主に耳彦が踏んだり蹴ったりどころじゃない目に遭う話ばかりですが、相当ひどい人格の彼なのでかわいそうとはあまり思えないのは貫録と言っていいかもしれない。

    それはともかくグロさは乙一名義含めてトップクラスなので、駄目な人は駄目でしょう。けれども血や臓物などの描写が目立っても、どこか詩的な雰囲気も生まれているのは作者らしさといえるのはないかなと思います。

    表題作の化け物と倫の関係性、四角いしゃれこうべの村の抒情性、死んだ夫のとあるものを持ち続ける妻の愛情…。

    どれもがどこかいびつで、異常であるのは間違いないのだけれど、人が持つ情念の尊さには変わりがない。

    そのあたたかさが容赦のない物語の中にも垣間見えて、ただただ残酷描写のインパクトだけではない深みを感じたのでした。

  • シリーズ2作目。蝋庵先生と耳彦、そこに輪も加わって三人旅となった今回。輪と耳彦の掛け合いが増えて楽しい道中の反面、行きつく先では、相変わらず奇妙な出来事に巻き込まれる彼ら。特に、耳彦はひどい目にあってばかりです。でも、彼のダメさ加減を思うと、なんか同情しづらいところも・・・。まぁそういうのも含め、この蝋庵道中記には、なくてはならない人物なんですけどね。

  • 迷いこんだ土地で出会う怪奇譚。不気味で食欲なくすけど、癖になる文章力。

  • 物の怪短編集。
    登場人物は3人だけだか迷い癖のある旅本作者とその一行は迷うたびに怪異な目に会う。
    江戸時代だからこそだろう、至る所に怪異が有り、妖怪が住まい、物の怪が彷徨っている。日常の中の非日常に簡単に入りこめてしまう時代背景が面白い。
    輪が彷徨う表題作「私のサイクロプス」が一番面白い。」だいだらぼっち伝説を上手く消化している。次点で最後の「星と熊の悲劇」これだけちょっと長いが。
    全編殆どは耳彦という旅一行の荷物持ちが必ず迷って酷い目に会う。
    必ず前振りがあって、博打ですってんてんになる、無銭飲食をする等、そんな目に会うのも当然と言う阿呆な事をするのだが、ややワンパターン。
    最初の面白さを持続できていたら、もっと良かったのに。
    もうちょっと輪に酷い目に会って欲しかった。もっと面白く描けるのではないかな。続編希望。

  • この不思議話は好きな部類。続編期待!

  • 登場人物のキャラクターがたっており、短編の物語も先の予想が全くできない切り口で飽きさせない。

    続きが読みたい。

  •  山白朝子とは、乙一さんの別名義の1つである。この名義で刊行された『エムブリヲ奇譚』に、続編が出るとはねえ。舞台は江戸時代。紀行作家の和泉蝋庵と、荷物持ちの耳彦が、あんな目に遭っておいて、懲りずにまた旅に出る。

     蝋庵はすさまじい迷い癖の持ち主であり、一本道でも迷うという。耳彦は耳彦で、博打癖の持ち主であり、勝手に首を突っ込む癖も変わっていない。そんな2人に、新たなメンバーが加わった。書物問屋から送り込まれた娘・輪(りん)。彼女の役目は、財布の紐を握り、しっかり締めること。だが、蝋庵と一緒で余計な出費がないわけがない…。

     「私のサイクロプス」。おいっ、最初から輪が災難に遭うのかよっ! はぐれた輪を救ったのは…。心根は優しいだろうに、人間の欲というやつは。「ハユタラスの翡翠」。言うこと聞かない耳彦が悪いんだから、放っておけよ。みんな優しいねえ。

     「四角い頭蓋骨と子どもたち」。迷い込んだ廃村には、おぞましい秘密があった。どうしてこういうところにばかり辿り着く? 「鼻削ぎ寺」。また耳彦の自業自得…と言ってしまっては気の毒か。悪人にしては勉強熱心だな。平然と旅を続けていた蝋庵と輪…。

     「河童の里」。河童を売りに観光客を集めていた村。しかし、その実態とは…。耳彦の無鉄砲さが、悪事を暴いたと言っておこう。「死の山」なんてそのままズバリなタイトルだな。というか、なぜ迂回しないっ! 人が悪いよねえ、あんたたち…。

     「呵々の夜」。またまたはぐれて、怪談の会に飛び入り参加する耳彦。こえぇぇぇぇぇ! 結局、真相はどうだったのか。「水汲み木箱の行方」。酒に酔ってぺらぺら話してしまう耳彦が悪いだろっ! 女将は気の毒だが、何より、あの一家の幸せを願うよ。

     「星と熊の悲劇」。絶対下りられない山に迷い込んだ一行。そこに熊が襲ってきて、嗚呼、阿鼻叫喚…。黒乙一全開の山白朝子作品、今回も突っ込みどころだらけで最高だった。中田永一ファンにはお薦めできないが。それにしても、この人たち、まだ旅を続けるのであろうか。

  • やっぱりこのシリーズ(と言ってもいいのね)好きだわ。
    何がイイって、人間も動物も自然も妖も全て、命の前では等しく恐ろしいものなんだと感じるところ。
    期待値マックスのまま1冊読み終えることが出来る作品なんてほんとありがたい。あー気持ち悪かった恐かった。
    本作から新メンバーの「輪」が登場して相変わらずの耳彦のダメダメさを輪目線で共有することによって笑える箇所が増えた。蝋庵先生の活躍が少なく感じたのは贅沢な不満かもしれない。
    「幽」や「Mei」で掲載していたんですね、知らなかった。
    けれどまとめて読める単行本はステキ。
    エムブリヲと同じに髪の毛みたいな栞と、妖ムードたっぷりの装丁も楽しめる。

  • エムブリヲ奇譚の続編。
    前作以上に耳彦受難の巻。
    それも輪に言わせれば「自業自得」なのだろうけど。(自分も半分くらいはそう思う)

    前作で自分的にお気に入りだった輪がレギュラーメンバーになっているのが嬉しかった。耳彦との掛け合いも楽しい。
    だけど前作の流れからするとやがてこの人生も終わり、最終的には地獄堕ちを選択するのかと思うと…ちょっと切ない気もする。
    最後の書き下ろしではなんだかしんみりしてしまった。
    耳彦にもやっとダメ人間脱出の時が来たかと思ったのに…
    幸せに手が届きそうで届かない。変われそうで変われない。
    人生って案外そんなものなのかも知れません。

    ところでカバーの麗人は輪と蠟庵先生でしょうか。
    あんなに活躍(?)しているのに耳彦がいないというのも、いっそ耳彦っぽくてよろしいかと。(笑)

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著者プロフィール

怪談専門誌『幽』で鮮烈デビュー。著著に『死者のための音楽』『エムブリヲ奇譚』がある。趣味はたき火。

「2018年 『私の頭が正常であったなら』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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