- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041037324
作品紹介・あらすじ
2004年に怪談専門誌『幽』でスタートした〈深泥丘シリーズ〉。今夏、シリーズ完結篇となる第三集『深泥丘奇談・続々』がついに刊行。本格ミステリ作家が「謎→解決」の枠組みにとらわれない創作怪談に挑んだことで、第一集刊行時には大きな話題となった本シリーズ。作中の京都・深泥丘界隈に住む作家の「私」は、相も変わらず奇天烈な怪異体験とその忘却を繰り返しています。もはや「怪談」の枠組みにさえとらわれない、奔放な、前代未聞の「奇談」の数々――! とりわけラストに収録された「ねこしずめ」は、奇抜な発想、豊かな幻想味、文章の妙などがあいまって生まれた、およそ類例を見ない傑作小説。綾辻行人のさらなる新境地。
ブックデザイン:祖父江慎 イラスト:佐藤昌美 ◇初出:「幽」「文芸カドカワ」連載
感想・レビュー・書評
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深泥丘奇談の3作目。やっぱり前作から続けて読めてよかったと思います。綾辻さんの紡ぐ不可思議な世界…現実なのか、架空のことなのか…よくわかないままに読み終えてしまいましたが、その時々で楽しめました。今回の装丁もやっぱりいいですね!こうしてブクログの本棚に並べられるもありがたいです。
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今回も装丁がうっとりする程素敵。
カバー下まで凝った作りで、これは電子書籍では味わえない楽しみですね。
前2作同様、読んでいるうちに夢が現実か分からなくなるような不思議な感覚が心地良い。
『猫密室』…ミステリ作家というのはこういう風にプロットを組み立てていくのかと分かって面白い。是非この短編を書いて欲しい(笑)
『ねこしずめ』…想像するとシュールなんだけどちょっと可愛い。
『海鳴り』…奥さまの著作のあのタイトルが並んでいて、嬉しい発見あり。
短編同士が繋がっていたりするものもあり、読み返すのも面白そうです。 -
ホラーではない、なんだか不思議な怪異譚「深泥丘」シリーズ第三弾にして最終巻。
相変わらずの薄ぼんやりした幻想的な風景と暮らしっぷりが読んでいて別世界に迷い込んだような心地よさが。でもさすがに3冊目ともなるとその幻想世界にも幾分慣れてしまった感もありましたが。
でもこれで終わりかー・・・それはちょっと寂しいなあ。 -
このシリーズ、落語系ホラーと個人的に呼んでます。だってイチイチ落ちがついてるから(笑)
今回も猫柱に笑ってしまった。
とりあえずこれで連載は一段落だそうです。 -
これで一区切りだそう。寂しい。
けけけのコドモ、こわい。こわすぎる。
実話なんだっけ違うんだっけ、と曖昧になる。
アレ眩暈が… -
どの話も思い返したら途中までは思い返せるのに肝心なオチが思い起こせない不思議。
続と続々は地元の図書館でなく県図書で借りた物で、再度借りるのが遠かったり手間だったりするからもう一周読んで返そう。 -
つねにあいまいで、特に大きなストーリーがあるわけでもない(あっても「私」は忘れてるのでなかったのと同じ)/いつまでも読んでいられる、もっとも好みのタイプなんやけど、とりあえずこれが最新巻なんであとがなくて残念。できれば、続編あると嬉しい。マンネリ化が心地よいタイプの世界やと思うんで。ちちち、とか、ケケケをまた聞きたいものです。単行本は挿絵いっぱい。読むなら単行本やったなあ。
■深泥丘についての簡単な単語集
【秋守】古馴染みの編集者。今は『文芸Q』編集長。
【蒼馬町】この町は空襲をほとんど受けなかったが皆無ではなかった。その最初の被害地が蒼馬町。
【石倉(一)】深泥丘病院医師。脳神経科が専門だが状況によっては内科も担当する。左目にウグイス色の眼帯をしている。
【石黒(二)】深泥丘病院医師。消化器科が専門だが状況によっては内科も担当する。右目にウグイス色の眼帯をしている。
【石黒(三)】深泥丘病院医師。歯科医。眼帯はしていないがウグイス色の四角いフレームの眼鏡をかけている。
【石倉(四)】Q***ホテル四階のクラブの責任者。
【石倉カンタ】小学四年生くらいの男の子。石倉医師たちの誰かと関係があるのかどうかは不明。奇術「送り火当て」に立候補した。
【井上奈緒美】三十四歳。正確に発音するのが難しい「*****」が憑いたらしい。
【S氏】真佐木先生の患者。深泥丘三地蔵の一つ目の地蔵の目が開くところを見ておかしくなりこの街のようでこの街でない場所の地図を書いている。
【海老子】大学以来の友人。同業者。既婚、子どもなし。健康。
【乙骨】Q大奇術研究会会員。「深泥丘魔術団」のメンバーでもある。
【会長】深泥丘病院が属している医療法人再生会会長。深泥丘魔術団のトップでもある。ミイラのような老人。
【鍵】《「何に使うか分からない鍵」というのは、その存在自体がどうも気分を落ち着かなくさせるものである。》p.191
【神屋/かみや】黒鷺署刑事。五十年配で小柄。
【カンタ】→石倉カンタ
【Q製薬】その実験農園が近所にある。Q製薬はインフルエンザの薬タマミフルを作っている。
【Q**ホテル】老舗ホテル。米国人建築家H・ウェストが設計した。四階にプール「Amphibian」とか何かがある? 「私」には子供だった昔、449号室に大叔父とともに宿泊したことがあるようなおぼろげな記憶が残っている。
【蟻良々坂/ぎららざか】近所にある坂。
【熊井】刑事。若くて大柄。
【黒鷺川】小さい川だが雨が続くと氾濫を起こすのでとある儀式が必要。
【紅叡山】「私」の自宅の背後にそびえている。
【古代の夢】如呂塚遺跡のみやげ。遺跡発掘セット。カプセルトイみたいなもん。砂を固めたキューブからブツを掘り出す。
【理】解説の森見登美彦さんによると《理に落ちることから上手に逃げ続けるのは難しいのである。》p.311
【咲谷】深泥丘の看護師。左腕に白い包帯を巻いている。
【咲谷歯科】猫目島にある歯科医院。主人公が旅行中にかかる。
【サムザムシ】どうやら歯科医療にかかわるらしい。
【歯科治療】《一般に行われる虫歯の治療は、まあ云ってみれば土木工事ですからな。》p.167
【正体不明】《そもそも「正体不明」を「正体不明」のままに受け入れて気にしないでおくという、この態度には相当な精神力が要求されるものでもある。》p.283
【白蟹神社】祀ってある神様が謎。「きめんさい」なる儀式が秋祭りで行われ「忘却の面」というオオネコメガニという絶滅した動物のアルビノの殻で作られた面が登場する。
【ちちち…】あるものの鳴き声? 古賀新一さんの『のろいの顔がチチチとまた呼ぶ』を思い出しました。包帯とか眼帯とかそれっぽいし。そういえば猫目島も古賀新一さんっぽいネーミング。
【妻】由伊という名前らしい。よその土地(南九州の猫目島)出身だが夫よりいろいろ知っているらしい。《わたしよりずっと長くこの町に住んでいるくせに》p.63
【土地の記憶】《土地が持つ記憶というのは、住む人間の心に浸透するものなのです》p.71
【如呂湖】鬼ヶ洞(おにがほら)の伝説があり鬼が棲むと言われていたが最近の噂では棲むのは「******」ではないかとされている。
【如呂塚】如呂塚古墳や如呂湖がある。
【如呂塚遺跡】六十年ほど前に発見された。それを契機に町のいろいろが変化したようなフシがある。
【猫目島】妻や咲谷の故郷。南九州にある。
【パターン】まず何かが起こっているらしい状態が描かれ、次にそれまでの経緯が描かれ、現在に戻り決定的な何かが起こる、というパターンが多いようだ。
【病気】解説の森見登美彦さんによると《自分が病気であることと世界が病気であることは一つである。》p.310。たしかに。
【宝月清比古】霊能者。容貌は住人並。むかし大失恋したことがあるらしい。
【本格推理小説作家】《どれほど不思議な出来事も奇怪な謎も、すべては論理的に解決されるはずであり、そうあらねば困るのである。》p.23
【真佐木】Q大付属病院精神科教授。「心の闇」を発見した。
【ミスター外戸】深泥丘魔術団のメンバー。
【深泥丘三地蔵】なにかある。
【深泥丘魔術団】「会長」が主催する奇術愛好者たちの集まり。乙骨くんや咲谷さんもメンバー。
【ムカデ】人の幽霊などは存在しないがムカデの幽霊は存在するという説が最近は有力。
【森月】お向かいの夫婦。
【ヤッちゃん】妻の友人。猫目島出身で岡山在住。
【由伊/ゆい】妻の名前。
【六山】五山の送り火はたまに六山になるらしい。
【***】コネコメガニはこれの仲間らしい。
【*****】名前を正確に発音するのが難しい水妖の一種らしい。うっかり真の名を発音できてしまうと取り憑かれるらしい。
【******】如呂塚の地底だか如呂湖の湖底だかにいるかもしれないとされている。
【*******】火妖らしい。水と仲が悪い。 -
少し不思議な話が続く短編集。
どの話も読みやすくお勧めです。
個人的には『死後の夢』が面白かったです。
他の著作も読んでみたい。
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文庫版に感想があります。
著者プロフィール
綾辻行人の作品





