罪人よやすらかに眠れ

  • KADOKAWA/角川書店
3.14
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感想 : 63
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  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041037331

作品紹介・あらすじ

訪れた者は、この場所で自らの業と向き合う。それは揺らがぬ、この《館》のルール。

「この館に、業を抱えていない人間が来てはいけないんです」

北海道札幌市、中島公園のすぐそばに不思議な《館》がある。
公園と同じ名の表札を掲げるその建物に、吸い寄せられるように足を踏み入れた客の境遇はさまざまだ。
「友人と、その恋人」を連れた若者、
「はじめての一人旅」に出た小学生の女の子、
「徘徊と彷徨」をせざるを得ない中年男性、
「懐かしい友だち」を思い出すOL、
「待ち人来たらず」に困惑する青年、
「今度こそ、さよなら」をするために過去をひもとく女性……。
そして彼らを待ち受けるのは、北良(きたら)と名乗るおそろしく頭の切れる男。
果たして迷える客人たちは、何を抱えて《館》を訪れたのか?

ロジックの名手が紡ぐ、6つの謎。
まったく新しい《館》ミステリ、ここに誕生!

感想・レビュー・書評

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  • 札幌にある、中島公園ちかくの豪邸。
    そこにはなぜか、業を抱えた人間たちが引き寄せられて……。

    連作短編集。

    おもしろかった。

    広大な敷地に、何部屋あるかわからない、豪華な館。
    そこにいる人たちの抜きんでた美しさと、不可解さ。

    ちょっと話を聞いただけで、罪を見抜いてしまうのは、ややうまくいき過ぎな感はあるものの、不思議で、どこか怪しげな雰囲気が、たのしかった。

    全員が抜きんでた美形である理由とか、抱えた秘密とか、北良の謎とか。
    解かれないままだったり、匂わされた要素もあり、続きがあってもおかしくない余韻があった。

    六七質による表紙の館の装画も、ミステリアスでよかった。

  • 星3つにしているが、厳密にいえば2.5といったところ。
    カテゴリもミステリーにしてみたが、個人的には強引な導きが多かったしミステリーと言うよりはエンタメと言ったほうが良いかも知れない。

    札幌の中島公園の西側にある、大きな館『中島家』。
    そこを訪れる者は何かしらの業を抱えている…というテーマの元、6人(組)の客が訪れ、中島家の探偵役・北良という青年がその『業』を解き明かす連作集。

    訪問の仕方はそれぞれだが皆偶然。
    酔っ払って動けなくなってしまったり、道に迷ってたまたま家人と出会ったり、熱を出して動けなくなったところを家人に見つけられて連れてこられたり、近くにあったはずの友人の家を訪ねたところ行き着いたり。
    連れてこられた館内でその『業』についての解明が始まる。

    この謎解き部分は石持さんらしいと言えばそう言えるのだが、そんな些細なことで?とか、それは想像というより妄想では?と思ったりかなり強引なところもあるのだが、結果的には北良の解き明かす通りの真相が明かされる。
    肝心のその後なのだが、なんと主人の中島から『謎が解かれてしまった以上、あなたはここにいてはいけないんです。悪く思わないでください』と館から放り出されてしまう。

    一方で『罪人』の方のその後は分からない。
    タイトルからして不穏な結末が待っているのかなとハラハラしていたら『3人めの客』ではついにその一端が明かされる。
    だがそれは直接館の人間が関わったことではない。

    結局読み終えて分かったのは、
    何らかの『業』を抱えている人はこの館に引き寄せられ、その謎が解き明かされた時は館から出ていかなければならない。
    そして『中島家』にいる人々も何かしらの『業』を抱えている。
    ということだけ。

    石持さんらしい、謎解きだけに焦点を当てた、それ以外の部分は悪く言えば置き去りの作品。
    悪くはないのだが、もう少しキャラクターやミステリー部分に魅力があれば良かった。

    • やまさん
      fukuさん
      おはようございます。
      いいね!有難う御座います。
      fukuさん
      おはようございます。
      いいね!有難う御座います。
      2019/11/09
    • fuku ※たまにレビューします さん
      やまさん
      いつも楽しくレビューを読ませていただいています。
      これからも宜しくお願いします。
      やまさん
      いつも楽しくレビューを読ませていただいています。
      これからも宜しくお願いします。
      2019/11/09
  • 業をもった人物のみ入れる館。各々の業が暴かれていく過程が面白くて、一気に読んでしまいました。

  • 連作短編集。6編。
    札幌市にある中島公園の近くに建つ、大きな館の「中島」邸。困った状況になった人々がこの館に招かれるが、実は皆何かしらの業を抱えている。住人の北良青年が、会話の中からその秘密を明らかにしていくと・・・
    鋭い推理にもかかわらず、お客のその後も描かれず。読後感はすっきりとしない感じ。

  • 連作短編集。札幌、中島公園近く、高級住宅街でもひときわ大きな屋敷がある。前を通りかかったり、住人に声をかけられたりして中に案内される人々。彼らにはそれぞれ秘密があった。屋敷主人の中島夫妻、娘、メイド?しつじ?、謎の美青年北良。彼らは訪れる人々の真実を明るみに出していく。

    友人が通り魔だと知った男。女の同級生がらみ。
    殺人を、目撃した小学生
    息子のひき逃げを隠そうとする、夫
    幼なじみをスーツケースに隠してしまった女の子
    年上子連れと付き合う男性
    通り魔殺人に巻き込まれ、研究者の恋人を殺された女


    一瞬で読めた。設定とか題材は面白かったから、もうちょっと深みがあればよかったなー。多分記憶には残らなそう。

  •  業を背負った人を招き入れるという館を訪れた人々の短篇集。
    テーマはおもしろいけど、どの話も途中までの展開が似たような感じでちょっと飽きてくる。ミステリとしても腑に落ちない話が多い。館の住人たちは裏がありそうで気になるけど、最後まで詳しくは語られない。続編を見越して書かなかったのかもしれないけど、もう少し掘り下げてほしかった。色々と後一押しが欲しい作品。

  • 業を持った者が迷い込む札幌の屋敷で、そこの美形な住人にその業を暴かれる短編集。
    どれもスッキリしない終わり方だった。中途半端に暴かれ最後は放り出され、はっきりとした結末が描かれていないものが多かったし、後味の悪い話が多めだった。

  • この作者のこの手の短編集は面白く読める。ただし、あまりにも強引すぎる推理には、えってなる。四人目のスーツケースに隠れて亡くなる、五人目の母親が亡くなったこと、六人目のデータのねつ造まで、推測つくはずないよ。

  •  前作『凪の司祭』は、一応ファンのつもりだった石持浅海という作家と、絶縁を検討するほど酷い作品だった。怒りが収まらないうちに、早くも新刊が出たわけだが…。

     札幌のとある場所にある館。全6編、それぞれに「業」を抱えた人間たちが、この館に迷い込む。そして、「業」の真相が、謎の美青年により白日の下に晒される、というパターンである。「館」と聞いたとき、また連続殺人かと思ったが…。

     さいしょの客。酔いつぶれた友人と、その恋人。そんな些細なことからばれるとは。というか、通報しろよっ!!! 2人めの客。少女にはあまりにも酷な真相。少女は責められない。解決になっていない気がするが、こうするしかないのか。

     3人めの客。親としてどう振る舞うべきか。子も子なら、親も親。現実にありそうな事例だな…。4人めの客。転校によって、親友と別れざるを得なかった人は多いだろう。でもさ…ここまでするか? どうやって後始末したのやら…。

     5人めの客。子持ちの女性と交際してはいけないわけではない。しかし、子の立場で見ると、どうなのか。救いがないオチだ…。さて、ここまで割とあっさりした読み口だったが、さいごの客。ようやく本領発揮と言えるだろうか。

     無差別殺人で8人が殺され、恋人を失った女性。もやもやを抱えたまま3年が経ったが、その真相は…。この方の過去の作品にもあった通り、目的のためには、人命はそんなに軽いのかという、おなじみの展開でした。チャンチャン。

     客自身に非がある場合とない場合、色々だが、石持作品らしい自己中心的な人物のオンパレード。『凪の司祭』を読む前なら、それらを突っ込んで楽しめたのだろうが、『凪の司祭』の後遺症が重すぎたようだ。館の住人たちも、何だか鼻につくし…。

     一言だけ。やすらかに眠っていい罪人なんか、出てこないだろうがっ!!!

  • 訪れた者は、この場所で自らの業と向き合う。それは揺らがぬ、この《館》のルール。

    「この館に、業を抱えていない人間が来てはいけないんです」

    北海道札幌市、中島公園のすぐそばに不思議な《館》がある。
    公園と同じ名の表札を掲げるその建物に、吸い寄せられるように足を踏み入れた客の境遇はさまざまだ。
    「友人と、その恋人」を連れた若者、
    「はじめての一人旅」に出た小学生の女の子、
    「徘徊と彷徨」をせざるを得ない中年男性、
    「懐かしい友だち」を思い出すOL、
    「待ち人来たらず」に困惑する青年、
    「今度こそ、さよなら」をするために過去をひもとく女性……。
    そして彼らを待ち受けるのは、北良(きたら)と名乗るおそろしく頭の切れる男。
    果たして迷える客人たちは、何を抱えて《館》を訪れたのか?

    ロジックの名手が紡ぐ、6つの謎。
    まったく新しい《館》ミステリ、ここに誕生!



    中島公園というのは、札幌のどこにあるのか分からなくて、ググってみたらなかなか素敵な公園ぽかった。そして、そんな素敵な公園の近くに住んでるなんてお金持ちなのねって思ってしまった(実際には知らんが)。まぁ、実際にすごく大きな館に住んでるんだからお金持ちなのだろうな。だが、業を抱えている人しか入れない謎の屋敷…


    業ってなんだろうって思っていたら、本当にすごいまさかの秘密だった。ちょっと想像がつかなかったことが、館を訪れた人たちに起こっていた。最初の若者が知ってしまった友人の秘密や叔母の家に遊びに行ったはずの女の子が目撃したこと、徘徊をする中年男性の理由、忘れていた同級生との思い出、待ち合わせに来ない恋人の子どもが待ち合わせ場所にいた理由、極限状態にいた恋人の行動の意味。本当にすごかったし、屋敷を出たときはどこか重い荷物を下ろしたような雰囲気なのに、最後まで読むと全然そうじゃないのが怖かった。特に、大事な友だちのことを忘れていた女の人の最後が…またそのセリフを言うの??懲りてないの???ってなった。




    しかし、読んでいくうちに「この北良さんって何者なの?」となっていく。業を抱えた人しか入れない館で、業がなくなった人は出ていく。そんな館で、恐らくこの屋敷の親族でも使用人でもない謎の人物。最後の章で北良さんの正体に近づいたようなかんじもあったけど、真相までは分からずじまい。気になる。でも、彼女が推理したとおりの正体だったら、北良さんを匿ってる?中島家はどうなってしまうのか…でも、きっと大丈夫なのだろうな。


    業は抱えたくない。だけど、自分が自覚してない業があって、それをあの屋敷が呼び寄せるのかな…怖いな、あの屋敷とあの屋敷に住む人たち…


    2024.6.8 読了


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著者プロフィール

1966年、愛媛県生まれ。九州大学理学部卒。2002年『アイルランドの薔薇』で長編デビュー。03年『月の扉』が話題となり、〝碓氷優佳シリーズ〟第1弾となった05年『扉は閉ざされたまま』(祥伝社文庫)が 「このミステリーがすごい!」第2位。同シリーズの最新作に『君が護りたい人は』(祥伝社刊ノン・ノベル)。本作は『Rのつく月には気をつけよう』(祥伝社文庫)の続編。

「2022年 『Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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