- Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041037331
作品紹介・あらすじ
訪れた者は、この場所で自らの業と向き合う。それは揺らがぬ、この《館》のルール。
「この館に、業を抱えていない人間が来てはいけないんです」
北海道札幌市、中島公園のすぐそばに不思議な《館》がある。
公園と同じ名の表札を掲げるその建物に、吸い寄せられるように足を踏み入れた客の境遇はさまざまだ。
「友人と、その恋人」を連れた若者、
「はじめての一人旅」に出た小学生の女の子、
「徘徊と彷徨」をせざるを得ない中年男性、
「懐かしい友だち」を思い出すOL、
「待ち人来たらず」に困惑する青年、
「今度こそ、さよなら」をするために過去をひもとく女性……。
そして彼らを待ち受けるのは、北良(きたら)と名乗るおそろしく頭の切れる男。
果たして迷える客人たちは、何を抱えて《館》を訪れたのか?
ロジックの名手が紡ぐ、6つの謎。
まったく新しい《館》ミステリ、ここに誕生!
感想・レビュー・書評
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札幌にある、中島公園ちかくの豪邸。
そこにはなぜか、業を抱えた人間たちが引き寄せられて……。
連作短編集。
おもしろかった。
広大な敷地に、何部屋あるかわからない、豪華な館。
そこにいる人たちの抜きんでた美しさと、不可解さ。
ちょっと話を聞いただけで、罪を見抜いてしまうのは、ややうまくいき過ぎな感はあるものの、不思議で、どこか怪しげな雰囲気が、たのしかった。
全員が抜きんでた美形である理由とか、抱えた秘密とか、北良の謎とか。
解かれないままだったり、匂わされた要素もあり、続きがあってもおかしくない余韻があった。
六七質による表紙の館の装画も、ミステリアスでよかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
星3つにしているが、厳密にいえば2.5といったところ。
カテゴリもミステリーにしてみたが、個人的には強引な導きが多かったしミステリーと言うよりはエンタメと言ったほうが良いかも知れない。
札幌の中島公園の西側にある、大きな館『中島家』。
そこを訪れる者は何かしらの業を抱えている…というテーマの元、6人(組)の客が訪れ、中島家の探偵役・北良という青年がその『業』を解き明かす連作集。
訪問の仕方はそれぞれだが皆偶然。
酔っ払って動けなくなってしまったり、道に迷ってたまたま家人と出会ったり、熱を出して動けなくなったところを家人に見つけられて連れてこられたり、近くにあったはずの友人の家を訪ねたところ行き着いたり。
連れてこられた館内でその『業』についての解明が始まる。
この謎解き部分は石持さんらしいと言えばそう言えるのだが、そんな些細なことで?とか、それは想像というより妄想では?と思ったりかなり強引なところもあるのだが、結果的には北良の解き明かす通りの真相が明かされる。
肝心のその後なのだが、なんと主人の中島から『謎が解かれてしまった以上、あなたはここにいてはいけないんです。悪く思わないでください』と館から放り出されてしまう。
一方で『罪人』の方のその後は分からない。
タイトルからして不穏な結末が待っているのかなとハラハラしていたら『3人めの客』ではついにその一端が明かされる。
だがそれは直接館の人間が関わったことではない。
結局読み終えて分かったのは、
何らかの『業』を抱えている人はこの館に引き寄せられ、その謎が解き明かされた時は館から出ていかなければならない。
そして『中島家』にいる人々も何かしらの『業』を抱えている。
ということだけ。
石持さんらしい、謎解きだけに焦点を当てた、それ以外の部分は悪く言えば置き去りの作品。
悪くはないのだが、もう少しキャラクターやミステリー部分に魅力があれば良かった。-
2019/11/09
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やまさん
いつも楽しくレビューを読ませていただいています。
これからも宜しくお願いします。やまさん
いつも楽しくレビューを読ませていただいています。
これからも宜しくお願いします。2019/11/09
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業をもった人物のみ入れる館。各々の業が暴かれていく過程が面白くて、一気に読んでしまいました。
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連作短編集。6編。
札幌市にある中島公園の近くに建つ、大きな館の「中島」邸。困った状況になった人々がこの館に招かれるが、実は皆何かしらの業を抱えている。住人の北良青年が、会話の中からその秘密を明らかにしていくと・・・
鋭い推理にもかかわらず、お客のその後も描かれず。読後感はすっきりとしない感じ。 -
業を背負った人を招き入れるという館を訪れた人々の短篇集。
テーマはおもしろいけど、どの話も途中までの展開が似たような感じでちょっと飽きてくる。ミステリとしても腑に落ちない話が多い。館の住人たちは裏がありそうで気になるけど、最後まで詳しくは語られない。続編を見越して書かなかったのかもしれないけど、もう少し掘り下げてほしかった。色々と後一押しが欲しい作品。