- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041037942
感想・レビュー・書評
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タイトルに惹かれて買ってみた。
私らから少し上の世代にとって、007シリーズはある種共通の思い出として残っている映画ではないかと思う。
殺しのライセンスを与えられたスパイという存在、かっこいい車、意表を突いた小道具、水着の美女、魅力的な悪役…。
今でもBSで時々やっていたりするのをつい見てしまうけど、初期の作品はどれを取っても一級のエンタテインメントだった。
私は少し出遅れて、初めて映画館で観た007シリーズは3代目ボンド、ロジャー・ムーアの「黄金銃を持つ男」で、その頃は初期のものから多少路線がズレてきて、より漫画チックの大仕掛けな電気紙芝居の様相が強くなって来た頃だったけど、それでもお約束も含めて一定の楽しさを与えてくれた。
そんな007シリーズの新作に日本が取り上げられ、香川県の直島もそのひとつの舞台となり、それを機に、島の人々が寂れた島を活性化するために映画のロケを誘致しようと奮闘する、実話を基にした物語。
直島は私には仕事で少し関係した三菱マテリアルがある場所として馴染み深いけれど、一般的には今やベネッセを中心としたアートの島として有名で、だけども、ここに至るまでは三マテも環境破壊の元凶のように扱われ、ベネッセもまた酔狂にしか見えず、直島はコンビニも病院もそのほか何にも無い島でしかなかったということだったよう。
日本が舞台になった作品には1967年の「007は二度死ぬ」があり、浜美枝がずっとビキニ姿で動き回るクライマックスは今見るとセクハラそのものと思えるけれども、それは置いといて、当時の007のヒット振りからして日本でのロケがどれほど盛り上がったかは想像に難くない。
その夢よ再びと、最初は県から押し付けられた態ながら、いつの間にやら我がこととして動き出す島の人々。往時の輝きを知る世代としては入れ込む気持ちが良く分かり、その時代への名の懐かしさも相俟って興味深く読める。
活動の最後は切ない結果に終わるけど、それもまた、ジェームズ・ボンドと言えばダニエル・クレイグのこととなり大人のための見世物から正統なハードボイルドになったシリーズに取り残された世代には、作品に相応しいペーソスに感じられた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なんという話だろう。
直島に007の映画を誘致しようだなんて、読んだ最初は「無理でしょ」と思い読み進めていくうちに、直島の写真の人たちのひたむきさに「実現するかも」と「ジェームズボンドはこない」と、わかっているのに期待してしまった。実話ということで随分とキツイ状況にもなり、役所の非情さも浮き彫りになる現実だったけど良い本だった。
007映画が見たくなる -
これ人名以外は実話なのな。なかなか面白かったなー詐欺師出てきたり元から実現できない話だったりと実話ならではのしょぼい展開がリアルだった。しかしうまいこと小説にするもんだからテンポよく楽しく読めた。これが実話って事は同じ断りが書かれてたヒトラーの試写室も実話なんだなって後から思ってそこそこ驚いた。
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実話を基にしたという作品。
香川県の直島を舞台に、映画誘致活動を通して主人公・遥香と、島の人々の変化や成長が描かれています。
目標は、「007」の映画ロケを誘致し、島を経済的に豊かにすること。
10代の遥香は、ただただ都会的なかっこよさに憧れ、映画のロケが実現すれば自身の住む島もカッコイイものになるのでは、という子供らしい純粋な気持ちから誘致活動に参加する。
島の大人たちはそれぞれの事情から病院すらない直島を、暮らしやすい島にしたいという思いから経済的発展を祈って誘致活動を行う。
初めは手探り状態だった誘致活動が必死の署名活動等を通し、徐々に規模が大きくなり、ついにはマスコミも直島に押しかけ、映画ロケの誘致は、決まったも同然かのようなところにまで達するが―。
誘致活動が大きく前進した瞬間は、さすが実話を基にしているだけあり、読み手の私も鳥肌が立ちました。
また、誘致活動を続けながら様々な経験を通して大人になっていく遥香も大変魅力的に描かれており、爽やかな青春小説としても楽しめる作品です。
東京生まれ・東京育ちの両親のもとに生まれ、関東の田舎町で育てられた私には地元愛というものが、全くありません。
かと言って東京が故郷かというと、そういう感情もありません。
ですので、個人的にはこの作品に登場する、直島の人々の故郷への想いが大変印象に残ると同時に、羨ましいと感じました。
映画のロケは実現しなかったけれど、遥香島の人々が起こした、小さいけれど素晴らしい奇跡には目頭が熱くなりました。
2015年11冊目。 -
007が好きという理由だけで目に止まったこの本。
2004年前後、当時流行ったもの(電車でGO!、倖田來未、AKB48オーディション…)が散りばめられていて、そんな時代よねぇ、と懐かしく淡い気持ちになった。007ファンとしても、ピアースブロスナンからダニエルクレイグに代替わりした件やシリーズの映画名がちょこちょこ出てくるあたりも心をくすぐられる。
島の人たちの温かさ、素直さ、おおらかさを感じながら、要所要所でクスッと笑える要素もあり、読んでいてほのぼの、ちょっぴりハラハラ。最後は爽やかな気持ちで読み終えた。
直島がアートの島と言われるようになった経緯を知ることにもなって、素直に「読んでよかった」と思える。
ダニエルクレイグ直筆サイン入りポスターを見に、007記念館、行ってみたいなぁ。 -
島に行ってみたくなった。青春。
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007には全く興味がなかったのだけど、現実は小説よりも奇なりとでもいおうか、なんだかドラマチック。
映画誘致の奮闘と、ビジネス社会の裏と、少女の成長と。
ちょっと泣けた。
以前の007と最近のじゃまったく趣向が違うらしく、先日の映画見ておけばよかったなぁ。
確かにダニエル・クレイグ、、カッコイイ。
別の意味で「黄金銃を持つ男」も気になる(笑)