マタニティ・グレイ (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041038017

作品紹介・あらすじ

明るくおおらかなカメラマンの夫、お気に入りのマンション、そしてやりがいのある仕事。小さな出版社の女性誌編集部で働く千花子は、今の自分の暮らしに満足していた。しかし予定外の妊娠を告げられ、仕事も生活も、人生の大きな変更を迫られる。戸惑いながらも出産を決意したが、ある日下腹部に痛みをおぼえ、切迫流産で入院することになり……。妊娠・出産を機に、自分の生き方を正面から見なおし、また夫婦や自分の親との関係も洗い直していく。

母になる不安と期待、そして葛藤。仕事に燃えるキャリアウーマンの心の揺れをつぶさに描く、悩みも喜びも等身大の、新たなマタニティ小説!

文庫化にあたり、働くママたちと著者の特別座談会も収録。

感想・レビュー・書評

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  • フリーカメラマンの旦那と結婚し、生涯子どもも作らず、仕事を生き甲斐として生きていこうとしていた主人公。奇跡的に妊娠が発覚してしまい、今後のキャリアや家族形成、マンションのローン、さらには会社の産休制度が整っていないことにお先真っ暗になってしまう。

    ストーリの題材は、とてもよかったのですが、中身が少し軽く、次々と比較的簡単に問題解決していくところが、あまり面白味を感じませんでした。また、お金の不安があるにも関わらず、外食などの浪費のシーンが多く見受けられ、ちょっとリアルな話の展開ではなかったので、少し残念でした。

    ただ、前向きに取り組む主人公の姿勢には勇気をもらえました。

  •  1人目の時も臨月に読んだので今回も再読。産休育休の制度を会社に導入させたりまでは良いが、カフェイン断ちは徹底するのに1杯だけと言ってアルコール飲んだり、破水したかもなのにシャワー浴びたりと、あり得ない行動を取りすぎる主人公に共感できない。出産方法も普通じゃなさすぎて、よく取材はされているものの妊婦の共感をあまり得られない点が残念。著者の女性主人公の話は、女性心理の面でいい線ついてると思いはするが好きになれない。

  • 私自身、流産を3回経験しており、子供が欲しかったけれど、子供もキャリアも諦めた・・・という40歳主婦。

    読み始めは、どうしてこの本を手に取ってしまったのだろうとちょっと後悔をした。
    バリバリのキャリアウーマンで、子供を望んでなかったのに妊娠発覚。仕事を続けながら、マタニティライフを過ごすという内容で、読んでいて正直辛かった。

    途中で、切迫流産をして入院を余儀なくされ、同室の女性は流産してしまう。その無念さの描き方がとても良かった。

    また、父親とも母親とも親子の関係があまりよくないこと、そういう内容が盛り込まれていたからか、途中からは、とにかく、こんな繊細な内容を描けてしまう石田衣良さんはただただ、すごいなぁと感嘆してしまいました。

    女性ではなく男性であること、子供を妊娠したり出産したり実際に体験していない男性が、まるで自身の体験談のように、こんな女性の立場に立った作品を描けるなんて、本当に素晴らしい。女性の私が読んでも違和感が全くなかった。取材力だけではなく才能だと思う。

  • 仕事しながらの妊娠・出産、あの時は大変だったなぁと3回の経験を思い出しました。育児休業制度はなく、産前産後の休暇だけで復職。保育園探しに苦労している同僚の中にあって義母が見てあげると言ってくれたのに甘えて出勤していました。ちょっとは楽だったと思います。気は使いましたけどね。働きながらの子育てに社会的な援助はまだまだ足りないと思いますが、協力的な夫は少しは増えているのでしょうか

  • 子どもは嫌い、持たない、夫婦二人の生活で好きな編集の仕事をばりばりがんばるの。主人公がそんな人で始まったら、「あー、この人が予期せぬ妊娠で・・・」と想像がつく。安定の石田衣良か?とか(^^;
    その後も、思うようにはいかない妊娠生活とか、仕事との両立はどうしたらいいのか、とか、通ってきた道だけに、展開が読めてしまい、最後まで突っ込みどころ満載(^^;
    でも戸惑いながらもしっかり「母」になっていく様子はよかったな。欲を言えば、制度がしっかりしていないという弱小出版社での、制度と実際の働き方についての”開拓”のことももっとしっかり触れてほしかった。会社に何の制度がなくても労働基準法に定められていることとかも。
    あと、子どもが生まれて大団円で終わっていたけど、それで働きにくい妊娠が終わりじゃない。その先はそれまでの妊娠中に悩みながら受け入れてきた「生活の変化、働き方の変更」がもっとドラスティックに起きる。それがもっと大事。
    巻末にママたちの座談会を入れても、やっぱり現実味のない「小説」の域を出ていなかった出産と仕事のお話の続きを読んでみたい反面、このパターンだとさらに現実味がなくなりそうで、現実を知らない読者にさも「とても現実っぽい」と思われるのが怖いからイヤかも。

  • 男性の書いた出産小説という感じは否めないけど、仕事や夫婦関係の妊娠のバランスは自分と被るところもあり、面白かった!
    全体がサクサク進むので読みやすい!

  • こう言うんもなんだけど、
    この経験の無い/することの無い人が書いたとは、
    びっくり

  • 仕事に生きる女が出産を通じて成長する話。すごいなー、お母さんになるって本当にすごい。出産のシーンとか痛みの表現がリアルで驚いた。(といってもわたしは出産未経験)絆に涙した作品でした。

  • 妊娠9ヶ月の時期に育児本を探してる際、タイトルに惹かれて手に取った。

    主人公が自分勝手で最後まで好きになれず。旦那さんも配慮が足りないかな。朝ご飯なに?とか言われたら私だったらきれる。

    アルコールを飲む描写や寿司を食べる描写もあったのが気になった。10年ほど前の書だからか?
    産休、育休の期間も異なった。

    切迫早産のところは胸にくるものがあった。妊娠、出産は人それぞれで同じものなんてない。これから迎える出産が怖くもあり、我が子に会えるのが楽しみでもある。

    妊娠中でなければ手に取らなかったかもしれないが、この時期に読むことができてよかった。

  • 女性ばかり夢やキャリアを諦めないといけないような社会で、女性にばかり母親という理想像を求め押し付けられ、本当に生きづらい!!!主人公の気持ちは痛いほど分かります。
    ただ妊娠期間を通して母親になっていく姿や、仕事を諦めず自分だからできることをやっていく姿は勇気づけられるものでした。パートナーとの関係を築いていく様子も良かったです。
    作者の方をてっきり女性かと思っていましたが、男性と知り驚き。細かい描写や心情なんかがとても丁寧に描かれていて圧巻でした!

    男女ランダムで妊娠するような世界だったらもっと色々と平等になるんじゃないだろうか。神様早くアップデートよろしくお願いいたします!!

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。代理店勤務、フリーのコピーライターなどを経て97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEEN フォーティーン』で直木賞、06年『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞、13年 『北斗 ある殺人者の回心』で中央公論文芸賞を受賞。他著書多数。

「2022年 『心心 東京の星、上海の月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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