マタニティ・グレイ (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 187
レビュー : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041038017

作品紹介・あらすじ

明るくおおらかなカメラマンの夫、お気に入りのマンション、そしてやりがいのある仕事。小さな出版社の女性誌編集部で働く千花子は、今の自分の暮らしに満足していた。しかし予定外の妊娠を告げられ、仕事も生活も、人生の大きな変更を迫られる。戸惑いながらも出産を決意したが、ある日下腹部に痛みをおぼえ、切迫流産で入院することになり……。妊娠・出産を機に、自分の生き方を正面から見なおし、また夫婦や自分の親との関係も洗い直していく。

母になる不安と期待、そして葛藤。仕事に燃えるキャリアウーマンの心の揺れをつぶさに描く、悩みも喜びも等身大の、新たなマタニティ小説!

文庫化にあたり、働くママたちと著者の特別座談会も収録。

感想・レビュー・書評

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  • 私自身、流産を3回経験しており、子供が欲しかったけれど、子供もキャリアも諦めた・・・という40歳主婦。

    読み始めは、どうしてこの本を手に取ってしまったのだろうとちょっと後悔をした。
    バリバリのキャリアウーマンで、子供を望んでなかったのに妊娠発覚。仕事を続けながら、マタニティライフを過ごすという内容で、読んでいて正直辛かった。

    途中で、切迫流産をして入院を余儀なくされ、同室の女性は流産してしまう。その無念さの描き方がとても良かった。

    また、父親とも母親とも親子の関係があまりよくないこと、そういう内容が盛り込まれていたからか、途中からは、とにかく、こんな繊細な内容を描けてしまう石田衣良さんはただただ、すごいなぁと感嘆してしまいました。

    女性ではなく男性であること、子供を妊娠したり出産したり実際に体験していない男性が、まるで自身の体験談のように、こんな女性の立場に立った作品を描けるなんて、本当に素晴らしい。女性の私が読んでも違和感が全くなかった。取材力だけではなく才能だと思う。

  • 仕事しながらの妊娠・出産、あの時は大変だったなぁと3回の経験を思い出しました。育児休業制度はなく、産前産後の休暇だけで復職。保育園探しに苦労している同僚の中にあって義母が見てあげると言ってくれたのに甘えて出勤していました。ちょっとは楽だったと思います。気は使いましたけどね。働きながらの子育てに社会的な援助はまだまだ足りないと思いますが、協力的な夫は少しは増えているのでしょうか

  • 子どもは嫌い、持たない、夫婦二人の生活で好きな編集の仕事をばりばりがんばるの。主人公がそんな人で始まったら、「あー、この人が予期せぬ妊娠で・・・」と想像がつく。安定の石田衣良か?とか(^^;
    その後も、思うようにはいかない妊娠生活とか、仕事との両立はどうしたらいいのか、とか、通ってきた道だけに、展開が読めてしまい、最後まで突っ込みどころ満載(^^;
    でも戸惑いながらもしっかり「母」になっていく様子はよかったな。欲を言えば、制度がしっかりしていないという弱小出版社での、制度と実際の働き方についての”開拓”のことももっとしっかり触れてほしかった。会社に何の制度がなくても労働基準法に定められていることとかも。
    あと、子どもが生まれて大団円で終わっていたけど、それで働きにくい妊娠が終わりじゃない。その先はそれまでの妊娠中に悩みながら受け入れてきた「生活の変化、働き方の変更」がもっとドラスティックに起きる。それがもっと大事。
    巻末にママたちの座談会を入れても、やっぱり現実味のない「小説」の域を出ていなかった出産と仕事のお話の続きを読んでみたい反面、このパターンだとさらに現実味がなくなりそうで、現実を知らない読者にさも「とても現実っぽい」と思われるのが怖いからイヤかも。

  • 子どもはいらないと思っていた雑誌編集者が妊娠発覚から出産までの仕事や家族、自分自身の気持ちが変化していく話。
    不安が常にたくさんあるけれども、どこかで開き直るしかないし、それでも不安なんだろう。

  • 予期しない妊娠への戸惑いと変化

  • 男性が描く妊娠に纏わる長編小説ということで、あまり期待はしていなかった。しかし、読んでいる最中は男性が書いているとは思えなかった。妊娠したことがない私でも、これだけ引き込まれるのだから、経験者はもっと響くだろう。妊娠すると様々な選択や困難が待っている、そういう時に信頼して一緒に闘える相手と結婚しなければ意味はない。共に闘える同士が必要(67頁)という本文の言葉が頭の中で何度も反芻した。
    また、仕事と妊娠に関しても考えさせられた。自分が産休を取ることで迷惑を書けるのではないかと思う女性も多いだろう。そんな時に助けられる言葉が「妊娠は喜ぶべきこと。戦力ダウンとかそういう問題とは一切関係ない。みんなで助け合ってカバーする。引け目は感じる必要はない、自分の就業時間の中でベストを尽くして下さい」というものだ。社会にこういう考えが浸透すれば良いと思う。

  • 子どもなんかに興味なかった夫婦に子どもが授かり、「ザマァ」って思った。
    お腹の中で発育していくうちに、母親らしくなる、子どもと一緒に成長する。

  • 自身が妊娠中なので、手に取ってみた本。

    正直、主人公に全然感情移入できなかった。
    子供は欲しくない!要らない!と思っていたくせに、きちんと避妊をしておらず、それで妊娠して「どうしよう」と泣く32歳。
    カフェインは断っているのにアルコールは飲む。
    切迫流産になってまず心配することが費用のこと。そのくせ千疋屋の果物だのデパ地下の惣菜だの高いものは買う。
    体重制限がかかっているのにカロリーの高いパンを3つも食べる。
    安定期前からばんばんセックス。
    両親に対する態度もおかしい。
    陣痛が始まっているのにカフェに食事に出掛ける。
    ????と思うことが多々あった。

    しかしやはり石田衣良。
    テンポが良く、いつの間にか読み進んでしまう不思議な本だった。
    職場の産休や育休制度がないという点は、自身も同じ環境だったので、これに関しては頷けた。

  • タイトル通りの内容です。石田衣良さんのおしゃれな登場人物はいつも通り。経産婦の方はどう読んだかなと思ってしまいます。

  • もともと石田衣良さんの作品が好きで、色々読んでいるんですが、この作品は…経産婦としてはつっこみたい所がいくつかあります。
    まず、主人公が切迫流産で入院する場面で『子宮収縮剤』の点滴を受けていますが、子宮収縮剤は微弱陣痛や産後の子宮の戻りを早くするために使われるもので、切迫流産の時に使ってしまうと流産を促進してしまうのでは…??というのが一番。
    また、主人公は一週間の入院が決まり、そんなに長く入院するなんて!と嘆いていますが、妊娠中のトラブルで一週間の入院で済むなら短いほうです。
    私は出産後も含め約1ヶ月半入院しましたし、もっと長く入院せざるを得ない方はたくさんいらっしゃると思います。また、読んでいて助産院で産むことが一番良いように感じられるのですが、トラブルにより総合病院産まなければ母子ともに助からないかもしれないという場合もあります。現に私がそうでした。ほかにも性交渉についてなどの疑問もありますが、とにかく、リアリティが足りないというか、妊娠出産をテーマにするのであればもっと取材を綿密に行ってから描いてほしかったなあ…といち母親として思いました。

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著者プロフィール

石田 衣良(いしだ いら)
1960年東京生まれの小説家。フリーター、広告代理店でのコピーライターを経て、36歳のときに一発祈念して執筆活動を開始。
1997年、『池袋ウエストゲートパーク』で第36回オール讀物推理小説新人賞、2003年『4TEEN フォーティーン』で第129回直木賞、2006年『眠れぬ真珠』で第13回島清恋愛文学賞、2013年『北斗 ある殺人者の回心』で第8回中央公論文芸賞をそれぞれ受賞。
多くの作品がドラマ・映画化されている。代表作に、ドラマ「池袋ウエストゲートパーク」「下北サンデーズ」、映画「アキハバラ@DEEP」、「娼年」。
2015年にウェブ個人誌『小説家と過ごす日曜日』を創刊するなど、メディアをまたにかけて活躍を続けている。

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