- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041038031
作品紹介・あらすじ
人が集えば必ず生まれる序列に区別、差別にいじめ。そして我々の心に芽生えるのは「上から目線」ではなく、「人を下に見たい」という欲求! 誰もが無意識に持つその心理と社会の闇を、自らの体験と差別的感情を露わにし、酒井順子が徹底的に掘り下げる。小学校時代に級友につけたあだ名の話、学歴、センス、容姿、仕事、収入、モテ度、結婚――今まで誰も気がつかなかった人間の本音の本音に斬り込む意欲作。
感想・レビュー・書評
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今さらながら、Kindle初体験中。
読み上げ機能で家事時間中の耳読を楽しんだ。
耳読初心者なので、まずは聞きやすそうな酒井順子さんの本をチョイス。
酒井順子さんの本を20代後半に読み漁っていた時期がある。久しぶりに味わう酒井さん節が「これこれ!」という感じで、楽しく、懐かしかった。
「うんうん、そうだ、確かに私にはこういうところがあるんだ」と、ちょっと立ち止まって自身の内面を整理するのにちょうど良い鋭さと軽やかさ。休日の読書にぴったりだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
シンプルでなんとかっこいい装丁。「負け犬の遠吠え」のほかは読んだ記憶がないのだけれど、装丁に惹かれて。
うわー、あるある。自分の中にある「下に見る気持ち」「下に見られたくない気持ち」が炙りだされる。おもしろおかしく書かれている内容が、ときおり、ものすごく刺さる。
「上から目線」「ドヤ顔」は、出る杭に対して「あなた出てますよ」と直接伝えられる言葉であり、背景には強い同調圧力があるのではという分析は、目から鱗。 -
本書は、「人間は皆、平等。だから『人を見下さないようにしましょう』」などという道徳的かつ愚直な本ではない。
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タイトルが気になり、たまにこの作者の本は読みます。
視点が「下に見る」なので読後感が悪く、雑誌の読み物ならば「あるあるー」だが、まとめて読むと、きつい。
作者の視点が鋭いので、うなずきながら読む自分が嫌になる。 -
酒井さんはいつも正しく、明らかにしてくれる。信頼できる。 -
酒井順子さんは、鋭いなぁとつくづく感じた。
いじめの構造をはじめ、男尊女卑、結婚、世代、ブスと様々な視点から「人を下に見る」という欲求について切り込んでいく。どきっとするところも多かった。
わたしはどちらかというと下に見られやすい人だなぁと思ったら悲しくなって本を閉じた。 -
いつもの感じと思って気軽に読み始めたらこれはすごいやつだった。
負け犬より全然刺さる。 -
これは何気に名著だな
目の付け所も文章の言い回しも絶品。
酒井順子の魅力が随所に。
感嘆しました
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P59の「センス」は秀逸。
人はそれぞれ自分が右上に
マッピングできる軸を持つ。
たとえば
「お洒落ーダサい」をタテ軸に、
「真面目ー遊んでいる」を横軸にするような
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P76
男子がいるという状況は
非日常というか非常事態というか
とにかく特別で特殊だったのだ
P81
互いが互いを見下し合っているのが
日本の男女です。
下に見る視線同士を
絡ませ合うことによって
妙な具合につがいのバランスをとっている。
日本人の男女関係に常にまとわりつく
うっすらとした不幸感の原因は
この辺にあるのではないか
P117
「何故結婚などする気になったのだろう?」
「よくやるなあ」と、
結婚する友人をびっくりしながら
眺めていたものです
P144
選民意識を持たなければやっていけないほど
大変だったのかも
P144
誰かを下に見ることによって得られる生き方
P145
(「胸突き八丁の、今のプロジェクト。
これを越えられるかは今夜の俺の頑張り次第。
やるしかない!」とSNS)
「今でもいるんだあ」
と珍獣発見気分 -
人間の本質をついてるなぁと思います。さすが酒井さん、鋭い。最後に書かれていた「ちょうど中間にいる人が他者を下に見る」というのは、なるほど〰️と思う。誰かを下にすることで自分の立ち位置を上げると。そういえば本当に周りから認められてる人は、他人に対してあれこれ言わないような気がする。