真実の檻

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
3.56
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本棚登録 : 133
レビュー : 33
  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041038215

作品紹介・あらすじ

大学生の石黒洋平は母の遺品整理の際、本当の父親が元検察官で『赤嶺事件』と呼ばれる殺人事件を犯した死刑囚であることを知る。父の無実を信じる洋平は、雑誌記者の夏木涼子と『赤嶺事件』を調べ始めるが……。

感想・レビュー・書評

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  • 真犯人については途中で察しがついたが、その犯人探しが物語の終着点ではないと、途中で気づいた。果たして真実は明かされるのか、それとも曖昧に終わるのか。もしすべてが明らかになれば主人公の人生はどうなるのか。こんなことを心配しながら読み進む。

    しかしそんな思いは杞憂に終わった。主人公が想像よりもはるかに逞しかったからだ。現代人は自分も含め、安易な方向へ行きたがる。真実を曲げても周りの平和を優先させた方がいい、と考えてしまう。世の中には真実を見ようとせずに生きる例が多いと思う。

    本書はそんな傾向に警鐘を鳴らしている。主人公の人生に対する決断が、虚構の世界とはいえ、現実の明るい未来に思えた。気持ちの良い読後感だった。これも「物語ゆえ」なのだが。

    司法関連の膨大な資料も、ぎっしりと詰め込まれ、その方面にも関心が持てた一冊である。

  • #読了。
    母親が亡くなり遺品の整理をしている際、石黒洋平は手紙を見つける。そこから自分の実の父が、殺人事件を犯し、死刑囚として収容されていると知る。実父の潔白を信じ、冤罪を晴らそうと奔走するが、無実の罪を証明するためにはあまりにも重くのしかかる真実が・・・
    途中少し遠回りしているような気がしなくもなかったが、司法の矛盾のようなものをうまく描いていて面白かった。また、単に司法小説ということでなく、他の事件も含め、親(「生みの親」、「育ての親」など)という観点においても、様々な事情の中での思いやりが伝わってくる。蛇足ではあるが、途中薬丸さんの作品だっけ?と思ってしまった。

  • 途中はなかなか焦れったいというのかテンポが遅いというのか若干読む推進力を失いそうになった。このままでは実父の無罪は無理だと感じつつ最後にはこれしか無いと思った。

  • 下村氏作品ということで敢えて評価2で。下村氏作品の中で唯一駄作だと思います。内容が薄っぺら過ぎます。展開もご都合主義だし、この主人公がエピローグで司法試験に合格し、司法修習生になれる訳がない。非現実的過ぎて啞然としました。下村氏でこのような作品は二度と読みたくないです。

  • 冤罪の話なんだけど、中身の濃い本だった。検察官や警察の問題点など、考えさせられた。

  • 死刑判決の冤罪の可能性を掘り下げていく。
    「もし父親が大きな事件の犯人だったらどうする?」母親のセリフが後に残る。

  • 石黒洋平は母由美の遺品を整理していて,実の父が死刑囚であることを発見する.母の病気を原因として離婚した父剛に問いただすが明快な答えが得られなかった.実の父赤嶺信勝の存在が頭から離れなくなり,調べていくうちに冤罪を取材している夏木涼子に会う.柳本弁護士とは冤罪関連で三津谷彩の事件で知り合うが,洋平の当初の思い違いもあり,洋平と涼子の調査の後ろ盾となる.赤嶺は由美の両親を殺害した事件の犯人として死刑判決を受けた.柳本が担当検事で,証拠の不可解な点もあったが,無視したとの証言を得て,洋平は赤嶺と面会する.赤嶺は再審請求を拒み,洋平の調査は行き詰まる.多くの登場人物がそれぞれ重要な枠割を担っていることは,著者の綿密な構成力を示している.最終的に,真犯人が判明し,赤嶺は釈放されるが,その過程は法律的な難しさはあるが,氷がじわっと溶けていくような感じで非常に楽しめる.

  • 1つの冤罪事件と司法制度の問題、双方を描き切れず仕舞いのどっちつかず。
    穢れた血 → 冤罪だったら・・・→ 調べてみたら冤罪だった
    この展開に無理を感じる。
    http://blogs.yahoo.co.jp/rrqnn187/14609735.html

  • 冤罪を扱った話。最後主人公がロースクールではなく予備試験経由なのが個人的に面白かった。
    主人公の感情が薄っぺらい気がしました。真犯人の動機が弱かったように思います。

  • 母が亡くなり、実家で遺品整理をしていた一人息子の主人公洋平。
    天井裏のアルバムから出てきたのは、妊娠中の母と父ではない男の写真ー実の父であることが20年目にしてわかったその男は、死刑囚だったー
    洋平は冤罪を主張する実父を助けるため、操作にあたる。
    結局、育ての父が犯人というわかりやすいオチ。伏線も親切すぎる。
    他の冤罪事件をうまくはめて、全体的にテーマを持たせているのは上手。
    言いたいテーマがハッキリしすぎて、ミステリ表かとしてはもう一息。

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著者プロフィール

1981年京都府生まれ。2014年に『闇に香る嘘』で第60回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。同作は「週刊文春ミステリーベスト10 2014年」国内部門2位、「このミステリーがすごい! 2015年版」国内編3位と高い評価を受ける。翌年に発表した短編「死は朝、羽ばたく」が第68回日本推理作家協会賞短編部門候補に、『生還者』が第69回日本推理作家協会賞の長編及び連作短編集部門の候補となった。他の作品に『難民調査官』『サイレント・マイノリティ 難民調査官』の「難民調査官」シリーズ、『真実の檻』『失踪者』『告白の余白』『緑の窓口 樹木トラブル解決します』『サハラの薔薇』『黙過』がある。

「2018年 『失踪者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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