真実の檻

  • KADOKAWA/角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041038215

作品紹介・あらすじ

大学生の石黒洋平は母の遺品整理の際、本当の父親が元検察官で『赤嶺事件』と呼ばれる殺人事件を犯した死刑囚であることを知る。父の無実を信じる洋平は、雑誌記者の夏木涼子と『赤嶺事件』を調べ始めるが……。

感想・レビュー・書評

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  • とりあえず先が気になる話だった。

    主人公は母親の遺品から、自分の本当の父親が死刑囚だと知ることになる。

    プロローグで殺害現場で事件の証拠を捏造する衝撃的な始まり…鑑識、刑事のいる中での事なので、現場に入ることのできる者の捏造だと最初にわかる。

    大学生の主人公がちょっと頼りないのですが、事件を調べるうちに冤罪なのでは?警察に嵌められたのでは?死刑を受け入れている父親は何を隠しているのか?

    色々と上手くいきすぎの感はあります…
    スムーズに運びすぎる…
    そして真実にもう少し重みが欲しかった!

    しかし警察、検事、裁判官への凄まじい批判が作品中出てきて驚いたわ。
    ここまで凄いのは初めてかも笑


    私的にはエピローグはいらないかなぁ_φ(・_・



  • 内容紹介
    大学生の石黒洋平は母の遺品整理の際、本当の父親が元検察官で『赤嶺事件』と呼ばれる殺人事件を犯した死刑囚であることを知る。父の無実を信じる洋平は、雑誌記者の夏木涼子と『赤嶺事件』を調べ始めるが……。

    重々しい内容ながらスピード感があり、久々に目が離せないリーガルサスペンスでした。
    二転三転する展開ですが筋がすっきりしており、読んでいて頭を整理する事も無く都度都度納得できます。大概途中で小枝が理解不可能になる本が多いので(自分の頭が悪いのは棚に上げておく)、最後まですっきりキレのあるフィナーレを迎える事が出来たこの本は個人的お勧めです。ネタバレ絶対したくないので内容については何も書きません。
    嫌なら見なきゃいいんですが、読んだ他の人の評価見るとちょっと辛めですね。若干二十歳の主人公がそこまで出来るかなんて突っ込みもありますが、いいんですよお話なんですから。そんな事言ってたらコナン君見れなくなっちゃいますよ。
    あと、文庫の帯はネタバレしているみたいなんで絶対に見てはいけません。僕は図書館だったんで関係ありませんが、もし文庫で読むなら読まずに即座に破り捨てるように。

  • 2023.09.19読了。

    いやいや、名探偵 三津谷彩だろ、この小説名。コナン君並み 笑

    ただ、流石に血の色が違うってくらいは誰でも気付くだろ。。。

    そして、石黒洋平君が何も考えない感情任せのポンコツ君過ぎる 笑

    読んでいる途中で「由美に紹介されて_P227」がヒントであることが直ぐに分かってしまう。

    このテーマを選んだ時点で“真犯人は他に居る”という結論は決まっていたと思うが、そこに向かってどのように構成を展開していくのかという点に興味を持って読み進めていた。

    やや現実感に欠ける展開だった印象は受けたが、その代わり法律関係含め学びがあった小説でした。

  • 真犯人については途中で察しがついたが、その犯人探しが物語の終着点ではないと、途中で気づいた。果たして真実は明かされるのか、それとも曖昧に終わるのか。もしすべてが明らかになれば主人公の人生はどうなるのか。こんなことを心配しながら読み進む。

    しかしそんな思いは杞憂に終わった。主人公が想像よりもはるかに逞しかったからだ。現代人は自分も含め、安易な方向へ行きたがる。真実を曲げても周りの平和を優先させた方がいい、と考えてしまう。世の中には真実を見ようとせずに生きる例が多いと思う。

    本書はそんな傾向に警鐘を鳴らしている。主人公の人生に対する決断が、虚構の世界とはいえ、現実の明るい未来に思えた。気持ちの良い読後感だった。これも「物語ゆえ」なのだが。

    司法関連の膨大な資料も、ぎっしりと詰め込まれ、その方面にも関心が持てた一冊である。

  • #読了。
    母親が亡くなり遺品の整理をしている際、石黒洋平は手紙を見つける。そこから自分の実の父が、殺人事件を犯し、死刑囚として収容されていると知る。実父の潔白を信じ、冤罪を晴らそうと奔走するが、無実の罪を証明するためにはあまりにも重くのしかかる真実が・・・
    途中少し遠回りしているような気がしなくもなかったが、司法の矛盾のようなものをうまく描いていて面白かった。また、単に司法小説ということでなく、他の事件も含め、親(「生みの親」、「育ての親」など)という観点においても、様々な事情の中での思いやりが伝わってくる。蛇足ではあるが、途中薬丸さんの作品だっけ?と思ってしまった。

  • 大学生の洋平は母の遺品を整理している時に実の父親の存在を知る。調べると、その父親は母の両親を殺し、死刑囚として刑務所に収監されていた。
    週刊誌の記者や冤罪事件で出会った子たちの力を借りながら、父親の無実を証明しようと奔走する。そんな彼らの前に次から次へと真実が明らかになっていき、ラストでは本当に苦しい選択を強いられる。
    正義とは何か。また、冤罪の恐ろしさを垣間見た気がする。それにしても、親の愛の大きさに大いに感服した。

  • 面白かった。ただ雑誌の記者さん優秀すぎる?

  • 知らない法律関連のことも多く、違った意味で面白い内容でした。

  • 母の遺品を整理していて知った真実。自分の本当の父親は収監されている死刑囚だった。実父の無実を信じ奔走する洋平。冤罪問題という重い内容なんだけど、洋平の行動や思慮の浅さゆえに苛立ちが募る。途中から真犯人も想像つくのだけど、なんとも辛い。洋平には最初から首を突っ込むなといいたい。洋平に感情移入できなかった。「生みの親より育ての親」はたまた「血は水よりも濃い」なのか。

  • 自分が読んだ下村氏の小説3本目。3冊を読んで、下村氏の小説には下記2点の特徴があることがわかった。
    ・主に主人公の視点で話が進む。内面の葛藤が丁寧に描写されている。あーでもない、こーでもない、と考え、同じところで思考を繰り返したり、一歩踏み出せなかったり。
    トントン拍子で進まないので、人によってはくどいと感じるかもしれない。
    ・現実の問題を丁寧に調べて描写しているので、勉強になる(参考文献の多さにその事実がよく表れている)。今回は、冤罪が生まれるまで、裁判官のひとりあたり裁判の抱える件数の多さ、警察の調書の作文、代用監獄、有罪率99%、という社会問題を浮き彫りにしている。
    自分はぐるぐると考える思考の描写は好きだし共感できる。また勉強も好きなので、下村氏の話はかなり好き。
    ただ、評価はわかれるかもしれない。

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著者プロフィール

1981年、京都府生まれ。2014年に『闇に香る噓』で第60回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。同作は「週刊文春ミステリーベスト10 2014年」国内部門2位、「このミステリーがすごい! 2015年版」国内編3位と高い評価を受ける。著書に『生還者』『難民調査官』『真実の檻』『失踪者』『告白の余白』『緑の窓口 樹木トラブル解決します』『サハラの薔薇』『法の雨』『黙過』『同姓同名』『ヴィクトリアン・ホテル』『悲願花』『白医』『刑事の慟哭』『アルテミスの涙』『絶声』『情熱の砂を踏む女』『コープス・ハント』『ロスト・スピーシーズ』などがある。

「2023年 『ガウディの遺言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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