終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか? (4) (角川スニーカー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041038352

作品紹介・あらすじ

妖精兵クトリ・ノタ・セニオリスは消滅し、ヴィレム・クメシュ二位技官は妖精兵ネフレンと共に闇に呑まれた。
物語は、終わったはずだった。――しかし。

ヴィレムは、見覚えのある部屋で目覚める。
「……おとー、さん?」語りかけるのは、すでに亡き存在の娘アルマリア。そして、かつての仲間ナヴルテリが伝える真界再想聖歌隊(トゥルー・ワールド)の真実。それは時の彼方に過ぎ去ったはずの終末の光景――。
夜闇の中、新たな《獣》が咆哮を上げる。

感想・レビュー・書評

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  • 言葉の見つからない結末……
    これまでの物語の終わりでも、始まりでもあり、救いでもあり、破滅でもある一冊。この世界観だからこその、優しさと残酷さと絶望が押し寄せてきます。

    前巻で死に瀕したヴィレムとネフレン。二人が目を覚ますとそこは、すでに滅びてしまっているはずの500年近く前の地上世界が広がり、さらにヴィレムの家族や仲間たちも、かつてのように生きていた。
    何者かからの精神攻撃により、幻を見せられている、と考えたヴィレムは懐かしさに囚われそうになりながらも、幻の世界を脱出する手がかりを探り始める。

    1巻から3巻で描かれた終末の世界観だけど、なぜ世界はそういうふうになってしまったのか、という具体的なところが、この4巻で明らかになっていきます。世界観の作り込みは、1~3巻で相当なされているのが伝わってきたので、そのあたりがスッキリしたのが良かったです。

    戦いに出る者と、待つことしか出来ない者。それぞれの悲しさと相手を想う気持ちが、切なく痛いシリーズだったけど、今回も切なく痛かった……。たとえ幻と分かっていても、目の前の家族の危機には、動いてしまうヴィレム。そして500年以上、ヴィレムを待ち続けたアルマリア。
    二人が真の再会を果たしたときに、待つ結末は、あまりにもあまりにもでした……。心のどこかで、「これは時間改変になって、世界の行方は変わるんじゃないか」と思ったりもしたのだけど、やっぱりそんな甘くはなかった……

    次巻で第一部は完結だそう。ストレートなハッピーエンドはおそらくないだろうけど、どう落としどころをつけるのか。とても気になるところです。

  • 【電子書籍・再読】冒頭ナイグラートの号泣シーンから涙が…。地上でヴィレムとネフレンが目を覚ましたのは、終末に向かいつつある500年前の地上世界。そこには愛娘アルマリアもいて、2人は養育院で平和に生活を始めるが…。そこは精神の牢獄、夢の世界。そこは<最初の獣>になったアルマリアの箱庭。おとーさんの帰りを500年ずっと待っていた娘の世界。そこを壊したとき、娘は救われ、父は<獣>となった。冒頭で希望を見出したはずなのに、また悲劇が襲う。ネフレンの存在と彼女の献身のみが救いなのでは。

  • 今まで断片的に登場していた人間族の掘り下げ。
    結末はそれとなく想像はつくが相変わらず予想外の展開で終わる

  • 3巻を読み終わった直後、ヴィレムが過去のゴマグ村に迷い込んでしまった展開はどんな道が待っているにせよクトリを助ける何かに繋がっていくと思っていたんだけどな……
    まさか、第4巻の序盤からあんな描写が出てくるとは全く予想していなかったよ……
    もっと言ってしまえば、この巻ではクトリに対する言及すらその序盤の話を除けば殆ど無い。それは前巻の描写があれ程までにこちらの感情を揺さぶってくるものであったことを考えると、とても意外なものだった

    代わりにこの巻でメインとなってくるのはヴィレムとアルマリアの話。そこにネフレンという存在が面白い感じに関わってきた印象
    世界が滅びる前にヴィレムはアルマリアの元へ帰ってくると約束した。けれど、約束は果たされずに終わってしまった。それを思えば舞台となるゴマグ村が夢で有ったとしてもヴィレムがその夢を満喫する道だって有ったはず。しかし、ヴィレムがそうしなかったのはきっとネフレンが傍に居たからなんだろうな

    この巻では、ヴィレムのクトリへの言及は異様なまでに少ない。物語の割と早い段階でクトリ達への依存が始まり、前巻でプロポーズまでしたヴィレムがここまでクトリの事に触れないのは一種異様に映る。
    クトリが既にどうやっても助けられないと知っているという点も有るのだろうけど、それ以上にヴィレムはどうしたって弱いから、あまりにクトリのことを思い出すとクトリを守れなかった事実に耐えられなくて壊れてしまうのかもしれない
    クトリを助けられなかった事実から目を逸らしつつ、ネフレンを助けるために夢から脱出しようとする。そうすることでヴィレムは自身を守っているように感じられた


    そして夢のゴマグ村では世界が滅びる直前の束の間の平和が描かれるのだけど……。何と言うか更に世界の謎が深まった印象
    今回の描写で獣の正体、そして人類はどのようにして獣に変わっていったのかが描かれたのだけど、どうやって聖歌隊は人を獣に変えることが出来たのか、そもそも聖歌隊はどのようにしてそんな手段を手に入れたのか。また、師匠と聖歌隊の関連は?などなど気になることばかり
    現代を基準に見れば昔の話だから、今後関わってくる可能性って低いような気がするけどヴィレムからすれば自分の故郷を舞台に人体実験が行われたようなもの。いずれ真実に辿り着きたいと思ったりするのだろうか?


    そういえばこの巻では、ヴィレムの準勇者時代の数々のエピソードが披露されたね。こうして見るとヴィレムは化け物揃いの勇者一行の中で別方向の化け物であったことがよく判る
    特殊な最終奥義でしか倒せない亜竜を蓄積ダメージで撃破、戦闘中に聖剣を調整しつつの二刀流。
    超人というわけではないんだろうけど、自分の持てる技を出来る限り磨き上げ超人に近い存在になった化け物のような印象を受ける
    つまりは誰にも出来ないことは全く出来ないが、誰かに出来ることなら飛んでもなく高いレベルで出来てしまう。ヴィレムはきっとそういう存在だったんだろうね


    結局の所、夢のゴマグ村でヴィレムが出来たこととは何だったのかな?
    夢の中だから何をしたって史実に影響を与えることはない。そして史実では果たせなかった約束を守る道もヴィレムは選ばなかった
    もし、出来たことが有ったとするならば、もうどうしようもないほど助かる見込みのなかったアルマリアの嘆きをきちんと終わらせてあげたことだけ
    それはあまりに悲しいことであるように思える

    ただ、その行動によって現実の身体が壊れかけていたヴィレムは獣になり、延命する道に繋がった
    ここから助かる道なんてあるようには到底思えないけど、アイセアやティアットによってヴィレムを終わらせる道に繋がるかもしれないならまだましだと言えるのかな?
    それでもやはり悲しいことであるように思えてしまう


    ヴィレムが夢のゴマグ村を駆け回る裏で何やらしていたエルク。今後は彼女も物語に関わってくるのだろうか?

  • 夢?やけど、過去のお話し。
    相変わらず予想のつかん展開でおもろいな。
    バターケーキ、かなわなんだな。

  • 死の危機に瀕していたはずのヴィレムとネフレンが目覚めた場所は、500年も昔に滅んだはずの、ゴマグ市だった。
    ヴィレムの記憶を元にした、何物かによる精神攻撃を疑うものの、ヴィレムが知らない情報まで内包したあまりにも高い再現度に驚く二人。
    人々はごく普通に生活し、ヴィレムが育った養育院もまた、当たり前のように存在する。
    この世界は一体何なのか。



    かなり多才に見えるヴィレムをして、自分には才能がないと言わしめる、本物の化け物な準勇者(クアシブレイブ)や冒険者(アドベンチャラー)達。
    正規勇者(リーガルブレイブ)のリーリァは言わずもがな。
    魔力使わずに砂ぼこりを避ける走法とか、普通は予め用意しておくはずの呪跡(ソーマタージ)の、しかも超複雑なやつを即興で組み上げて辺り一面消し飛ばす等の絶技。
    ヴィレム自身もその状況対応力の高さから最強の準勇者と呼ばれる事もあったらしいものの、上を見れば遥か高くて、そりゃあ自信無くすわ。

  • いつの間にか新シリーズが始まってるのをみると打ち切りはなくなったようで何より。
    相変わらずひどいところで終わっててバッドエンドに向かっているような気がするんだけど、わずかな希望も感じさせるのはなぜだろう?

  • ドラクエ8は途中まで面白かったんですよ、でもヒロインが途中でさらわれて退場しちゃうんですね。しかも割と長い間。そんなときにたどり着いたカジノから出ないで放置となったままセーブデータもそのうちどっかいっちゃいました。そんな昔の事を思い出させてくれた作品です。

  • 誰かにいてほしい時に、誰かがいてくれる。それだけのことで幸せになれるということは、もしかして何よりも幸せなことなのではないだろうか

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著者プロフィール

2002年にPCゲーム『Wind -a breath of heart-』のノベライズで富士見ファンタジア文庫よりデビュー。代表作は「銀月のソルトレージュ」(富士見ファンタジア文庫)、「終末なにしてますか?」シリーズ(角川スニーカー文庫)。PSPソフト『サモンナイト5』(2013年)のシナリオを担当するなど、多方面で活躍。

「2022年 『砂の上の1DK』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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