トオチカ (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 116
レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (396ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041038833

作品紹介・あらすじ

「頼むから、やさしくさせろよ。そうさせてくれない女、おまえくらいだよ――」
「頼むから、やさしくさせろよ。そうさせてくれない女、おまえくらいだよ……」
あまくて、切なくて、ハッピーになれる
ひと粒のショコラのような、極上恋愛小説


親友と2人で鎌倉に小さなアクセサリー店「トオチカ」を営む里葎子。
都内で働いていたころ、恋愛により手酷いトラウマをおったが、時間をかけて人生を立て直したことに、ひそかな誇らしさを感じていた。
そんな彼女の心をひさしぶりに動かしたのは、店に立ち寄るバイヤーの千正だった。
けれど彼のおおらかな男らしさに、無意識にからだが竦んでしまう。
戸惑いながらも自分の気持ちにむきあった里葎子は……。
不器用な大人に訪れた、恋という奇跡の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 一言で言えば、大人の女性が読む少女漫画。
    思わず「大当たり!」と言いたくなるくらいにドストライクな一冊。糖度の高い恋愛が好きな人にお勧めしたい。甘いだけではなく苦い部分もあるけれど、それが甘さをより引き立たせてる。
    読み出したら止まらないので、家で一気に読むのがいいと思う。一気に読んでしまうのは、女性が好きそうな文体も理由のひとつかもしれない。
    個人的に文体もお話もとても好きなので、他の本も読みたいと思った。

  • 他のレビューの方も書かれていましたが「大人の少女漫画」って感じ。
    少女漫画でもなくレディコミでもなく…。
    そして「じれじれ」「もだもだ」という単語が思い浮かぶ。
    ある事から大きい男性、そして大きい声にトラウマを持つ里葏子。その理葏子にちょっかいを出す千正。
    千正は里葏子に「思春期か」なんて言いうけれど、千正のちょっかいの出し方が思春期以前に小学生男子そのものなんだが。
    比奈が2人を見ながら笑うのもわかる。
    登場人物の中で1番達観してるのは比奈だと思う。
    里葏子の周囲の人たちは暖かい人たちばかり。
    久々にこういう恋愛小説も良いものですね。
    私的に凄く気になるのか里葏子たちよりも「あの店」の店長だったりする。
    何者だろう?彼。

  • 恋愛ものとしてそれなりに面白く読めましたが、自分のニーズには合っていない。
    作品の良し悪しではなく選択ミスです。

  • エロに頼った話ではなくて、主要キャラクターの傷などが描かれていました。
    様々な描写が丁寧だと思います。

    当作のヒロイン・里葎子は三十二歳ですが、生真面目で少女のような繊細さがあります。
    ハッキリ言って、面倒な女です。
    大抵、このテのタイプの主人公にはイライラしてしまいますが、里葎子は負けん気が強くて頑張り屋さんなので、好感が持てました。
    所々で鈍いというか天然なところがありますが、許容範囲でしょう。
    そういえば、「ミルクラ」の希くんも面倒なコでしたね。

    里葎子にちょっかいを掛けてくる男性は千正といいます。
    名前がお坊さんみたいだなと思いましたが、恐らく寺とは関係ないでしょう。
    長身の美形で、チャラく見えます。
    真面目な里葎子は、千正を快く思っていません。
    ただ、千正が苦手な理由は、過去のトラウマに寄るものが大きいです。

    主要キャラクターの二人よりも、サブキャラクターの方が好きでした。
    崎谷さんの作品に登場する女性のサブキャラクターは、性格が男前というか頼もしいんですよね。

    里葎子の親友・比奈は、小柄で童顔、ロングヘアにロングスカートのフェミニンな容姿に反して、食に対しての熱意が凄まじいです。
    比奈ちゃん(里葎子とタメだけど『ちゃん』付けが似合う)がパンやおにぎりを頬張るシーンは美味しそうだなと思いました。
    理想的な親友像ですね。
    心が弱った親友を甘やかすだけではなく、たしなめたり後押ししたりします。
    気にはなっても、無理に聞き出すことはしません。
    比奈ちゃんに想いを寄せる男性が登場しますが、今のところ恋愛に発展しそうにないですね。

    里葎子が贔屓にしている名のないレストランの店長さんがミステリアスです。
    里葎子は美し過ぎて男か女か分からないと言っていますが、男性でしょうね。
    そうであって欲しいという願望もありますが。
    厨房の人との指のサインが耽美だなと思いました。
    コックの性別も分かりませんが、やっぱり男性かしら。
    このレストランが舞台のBL作品が作れそうです。
    出てくる料理がどれも美味しそうで、レストランのシーンが出る度にゴクリと唾を飲んでいました。

    三十代の男女の恋愛物としては、少女趣味なところがあるし、ドリームが入っています。
    里葎子がトラウマを思い出す度に訪れる恐怖や克服しようとする意思、千正への素直な感情などは手に取るように伝わってきました。

    表題作の他に短編が三作あって、こちらは後日談になっています。
    内二作はバカップルになってしまった里葎子と千正のイチャイチャした内容です。
    もう一作は比奈ちゃん視点になっています。

    ◆トオチカ
    四年前に会社を辞めた里葎子は、比奈と共に鎌倉に小さな店「トオチカ」を作る。
    比奈の作るアクセサリーと里葎子が仕入れる雑貨が好評を得ていた。
    里葎子は「トオチカ」の商品をネットで販売する為にやってくるバイヤーの千正が苦手である。
    自己アピールが強くて、プライベートスペースに遠慮なく踏み込んでこようとしてくる。
    ようやく手に入れた、穏やかで、好きなものと親友に囲まれたエリアをかき乱そうとしてくるからだ。
    何より、自分より大きな男は過去の傷を思い出させる。

    どんなに邪険にあしらっても、千正は里葎子に構い続けていた。
    行動の端々に優しさを滲ませる千正に、里葎子はドキリとする。

    里葎子が会社勤めをしていた時、同じ課に忠が配置された。
    忠は、前の課で人目を憚らずに恋人とイチャイチャしていた。

    当初、忠は恋人と引き離されて不満を漏らしていたが、里葎子に想いを寄せはじめる。
    これはマズいと思う一方で、里葎子も満更ではなかった。

    忠が恋人と別れた後、里葎子に交際を申し込んでくる。
    元恋人から詰られることもあったが、付き合いはじめたばかりのころは幸せだった。

    しかし、忠の本性が露わになると、喧嘩ばかりするようになる。
    忠は里葎子を束縛し、他の男性社員の世話をすると良い顔をしない。
    雑用はしなくて、課の重要な仕事を勝手に処理していた。
    忠の理想の女性像を押し付けられて、里葎子の姿が元恋人と重なっていく。
    別れを切り出しても、忠は取り合ってくれない。

    里葎子は仕事の一環として、休みがちな男子社員に会社へ来るようにメールを送っていた。
    忠は、無言で机をバンバンと叩きはじめる。
    尋常ではない仕打ちに、里葎子は恐怖を覚えた。

    ある日、里葎子の課から個人情報が漏れてしまう。
    情報を管理しているのは里葎子なので、容疑が掛けられた。
    同僚が庇って進言してくれたお陰で、忠の仕業だということが分かる。
    忠はクビに、里葎子は自主退職をする。

    その後もアパートに忠が来ては、ドアをバンバン叩いてくる。
    恐怖が限界に達した里葎子は、鎌倉にいる叔母の元まで逃げて、現在に至る。

    大きな男ではあるが、忠とは対照的な千正。
    もう男には甘えないと思うのに、千正に包まれると体から力が抜けた。
    そして、体を許してしまう。

    千正への気持ちを認めつつも、簡単には頼れない。
    対等になりたいと思う。

    その後、里葎子を悩ませた下着泥棒騒動が解決し、忠が元恋人と元の鞘に納まったことを知ります。
    里葎子はセキュリティ的に不安のあるアパートを引き払って、亡くなった叔母から譲り受けた家に引っ越します。
    千正は一人にしては危険だと言って、一緒に住むと言います。

    里葎子さんは、これまで男性とお付き合いしているようなのに、おぼこいタイプです。
    真っ直ぐな気質だから、比奈ちゃんや千正が惚れ込んだんだろうと思います。

    分かりやすい千正のアプローチに、ここまで気付かないのか(笑)
    分かっていても、「二の舞にならない」と警戒していたところもありますが。

    読みはじめた頃は、千正は軽いタイプかと思っていましたが、少女マンガに出てきそうな奴ですね。
    好きな相手の前では思ってもないことを言ってしまうけど、本当は滅茶苦茶優しくしたいと思っています。
    行動が裏目に出まくるところが、不憫ながらもおかしかったです。
    どこでもセックスが出来るように、避妊具を持ち歩いているところも優しさの一つですかね。
    後の話を読むと里葎子と会ってからは他の女性に興味がなさそうなので、隙を狙っては抱こうと思っていたのかしら。

    ナカナカ好きと言わないところが、良い意味で中二っぽいです。
    お互いに想いを寄せているのに、擦れ違ってしまうじれったさを堪能させていただきました。

    下着泥棒の件や忠と恋人が里葎子のところに来る件は蛇足な気がしました。
    これ以上、里葎子に恐怖を植え付けなくてもいいのに。

    ◆ねこのいる庭
    千正視点で、後日談になります。
    商品の買い付けで海外を飛び回っているので、一緒に過ごす時間はあまりないようです。
    結婚を前向きに考えていて、薬指には比奈が作ったリングを嵌めています。

    これまでのことを回想しています。
    比奈ちゃんとのやり取りには笑わせて貰いました。
    お互いに、皮肉っぽいことを思いながら会話をしていたのね。

    里葎子と初対面の時、テンパって「でかい」と言ってしまったようです。
    チャラいどころか、健気じゃないか。

    里葎子さんが怒っている理由は、久々会った千正が寝ているところを襲ってきたからか。
    千正、辛抱堪らなかったのね。

    ◆ねこは夜に恋をうたう
    里葎子視点で、「ねこのいる庭」で千正に寝込みを襲われた時の話です。
    そんな訳で、エロメインです。
    BL小説の時に比べれば、控え目な表現になっています。
    「ミルクラ」は結構しつこかったもんね。

    ◆ウァジェトの目
    比奈視点で、千正に指輪を渡すエピソードです。
    千正のアプローチを傍から見て、くすくすと笑っていたようです。
    千正が里葎子に邪険にされる度、「不器用か!!!」と突っ込みたくなるもんね。

  • こういう不器用な恋愛、したいなー

    どうにか突き放そうとしても
    ぐいぐい入ってくるひと
    いいなー

    北鎌倉の景色が思い浮かびます

  • 不器用な自分を支えてくれるのはめんどくさい周囲の人たち。
    誰よりも自分がめんどくさいけど、そんな自分を支えてくれるくらいなんだからめんどくさいに決まっている。
    自分が主役だと思える時期はすぐに過ぎ去ってしまい、そんな素振りを見せず自分は脇役だとしていても
    いつか選ばれる自分になりたいと願ってしまう。
    それなのに変化したくないという気持ちが先に出てしまう。
    そういう自分を進めてくれるのは不器用で嘘のない優しさで千正は名前の通り正しい優しさで接してきてくれる。
    お互いにめんどくさいからこそ支えることができると思う。

  • 著者初読。不器用なところがありながらも、人生にもがきながらも、恋に落ち、お互いに頑張っていくという展開に興味をそそられ、読んだ次第。職場でのある過去により同じ特徴を持つ男性に苦手意識を持ってしまうが、雑貨店を営み始めてから年月が立ち、元彼と再会したのだが、苦手意識を無くし、よりを戻せたきっかけが気になる。バイヤーの男性の人格によるところも二人の関係をぎこちなさがありつつ良い関係性があるのだと感じる。最初は大人のビターな感じがしたが、物語の終盤が近づくにつれ、また、番外編の話も甘みが強く、甘甘な印象が残る。

  • キュンとした。
    ときめいた。
    想い合うのにちょっとすれ違ったり、
    暖かい気持ちになるのがすごく良かった。
    恋愛したくなる本でした(*´∀`)

  • なんというか、、こういうの待ってました!!って感じでした。ライトなんだけどちゃんとしてる、っていうか。すっごく読みやすいんだけど、目が離せない。最後までどどどって読める。
    崎谷節!全開!崎谷さんのBLファンにはもちろん、崎谷さん読んだことない人にも全力でおすさめしたい恋愛小説です。

  • 久々に、好みの恋愛小説だった。
    年齢層こそ大人だけれど、少女漫画のような展開。
    こんなこと現実にはないって思いながら、それを楽しむ。
    不器用で、鈍くて、遠くて近い二人。素敵でした。

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プロフィール

小説家。3月16日生まれ、九州出身。
1998年、『楽園の雫』でデビュー。
ブルーサウンドシリーズ」や「白鷺シリーズ」「グリーン・レヴェリーシリーズ」など、多くのシリーズ作品を生み出したほか、漫画原案なども手掛ける。代表作として『トオチカ』など。

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トオチカ 単行本 トオチカ 崎谷はるひ
トオチカ (角川文庫) Kindle版 トオチカ (角川文庫) 崎谷はるひ

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