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Amazon.co.jp ・本 (216ページ) / ISBN・EAN: 9784041038840
作品紹介・あらすじ
宝塚の娘役と、ひそかに彼女を見守り続ける宝塚ファンのヤクザの組長。決して交わるはずのない二人の人生が一瞬、静かに交差する――。
宝塚歌劇団雪組の若手娘役・野火ほたるは新人公演でヒロインに抜擢され、一期上の憧れの先輩・薔薇木涼とコンビを組むことになる。ほたるの娘役としての成長とバラキとのコンビ愛。そんな彼女をひそかに遠くから見守り続ける孤独なヤクザ・片桐との、それぞれの十年をドラマティックに描く。『男役』に続く、好評の宝塚シリーズ第二弾。
感想・レビュー・書評
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前作の『男役』は、宝塚大劇場に永遠に存在し続けるファントムさんの、
切なくもひたすら美しいファンタジーでした。
今回もてっきり宝塚の『娘役』さんのお話かと思っていたら、
いきなり、ヤクザのヒットマン登場!
宝塚とヤクザ、最初は違和感たっぷりでしたが、とても良かったです。
(ただ一箇所、どうしても受け入れられない部分が…。)
義理人情に厚く、昔気質の任侠道を貫く天下の大親分・オニケン。(通称・ムッシュ)
オニケン暗殺の密命を受け、尾行する鉄砲玉・片桐。
この二人の師弟関係がとても好き。
反社会勢力ではあっても、五十年来、宝塚をこっそり愛し続けたムッシュが率いる
組のモットーは「品格・行儀・謙虚」
(本当は「清く・正しく・美しく」にしたかったらしい。笑)
ムッシュとの出会いがきっかけでヅカファンになった片桐。
その片桐が憧れ続けた娘役・野火ほたる。(通称・のび太)
このタカラジェンヌの話もとても良かったんですが、
ヤクザ達の印象が強すぎてしまって…。
あぁ、でも、どうして花の道なんだろう…。
のび太のトップ娘役のお披露目公演、
その晴れ舞台の初日に花の道でなんて、あまりに惨い。
片桐はカタギになったはずなのに…。
「神聖な宝塚大劇場を、極道の血で穢したらあかん」
かつて、オニケンだってそう言っていたのに。
のび太の晴れ姿、一目観させてあげたかった。
あぁ、せつない。
でもこれからは、誰憚ることなく観劇できるんですね。ムッシュと一緒に。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「男役」に続く、宝塚を舞台にした物語。
今回は、娘役の野火ほたると、それを見守るヤクザの話。前作に登場した男役の花瀬レオも出てきます。
やくざの片桐が殺そうとした敵対組織の親分が、実は50年来のヅカオタで、あれよあれよと片桐もヅカオタに落ちて行く様が面白い。わかるで…その気持ち!!
(ただし、ワニケン死後猫は引き取ったのに犬を保健所に持って行ったというくだりだけは許さん)
トップスターをいかに立てるか、はトップ娘役の力量にかかっている部分も大きいと思う。男役と娘役がお互いに信頼しあい、血のにじむような努力をして、あの夢のような舞台を作っているんだなぁ。
「男役」を読んだ時は、はまだ宝塚用語がよくわかっていなかったりしたけど、あれから色々ブルーレイで見たり、ライビュに行ったりして(大劇場での観劇はコロナで阻まれた)各組の傾向や、ファンをざわつかせる組替え人事などのことも少しずつわかってきたので、より楽しめました。着実にヅカオタへの階段を上っている私。沼は深い。 -
宝塚歌劇団の娘役さん独特の立ち位置が細かく詳しく描かれており、実際のタカラジェンヌさんの心の中もこう思っているのかなというリアルさが中山可穂「宝塚」シリーズの醍醐味だと思っている。
その分、今作のヤクザのシーンは本当の所は分からないけど、リアルさや迫力がなく、前作「男役」よりイマイチなように感じてしまった。
ラストもわかり易すぎたし、生徒(劇団員)とファンというありがちな題材だけど、宝塚とヤクザという特殊な世界がゆえ、新鮮さや面白さに対して期待し過ぎたようだ。 -
娘役独特の立ち位置がよく表現されていた。
現実にはもはやいないと思われる、いわゆる任侠道を極めたづかファンのヤクザさんがいい!
ドラマか映画で見たい。 -
中山可穂さんの宝塚作品2冊目です。
面白かったです。こちらも熱量がすごかったです。
前作の「男役」は宝塚のジェンヌさんの中でのお話でしたが、今回は娘役のジェンヌさんのストーリーとヅカファンのヤクザのストーリーとあって、ヅカファンの気持ちに入り込んで読めました。
のっけからヤクザ描写で何が始まるんだ…と思いましたが、ムッシュとギリさんのヅカファン心理が、宝塚の舞台は一度しか観ていないわたしでも、こんな感じなんだろうな、と思わされました。
宝塚歌劇団の描写も好きでした。
「娘役とは宝塚以外の世界にはいない、一から十まで作り込まれた、男役のためだけに存在する幻の女なのだ」。
そして、花組を退団する二番手さんの台詞「男役は黙って黒燕尾、クサく、匂い立つようにクサく、黒燕尾のテールに至るまで流れるようにキザるべしと先輩方に叩き込まれて幾星霜、私はもはや花組でしか生きていけない体になりました。」などで、宝塚は組によってカラーが違うんだなと改めて思いました。
娘役のほたると、ギリさんの一度きりの会話がなんだかとても切なかったです。
ラストはなんとなく…でしたがやっぱり悲しかったです。
近々、月組のバウホール公演のライビュを観に行くので、ますます楽しみになりました。 -
ヤクザの片桐は敵組の組長であるムッシュを殺そうと尾行していた、ある日珍しく一人行動をしていたムッシュの行き先はなんと宝塚大劇場。その公演中に初舞台生野火ほたるのパンプスが飛んできて、それを受け止めた瞬間から片桐の人生は変わり始める...。
ギャグとして楽しみました。ガタイのいい片桐が毎回良席で観劇してると生徒の間で話題になっちゃうとか、他の組員に知られないように歌劇を隠し部屋にしまってるとか、寿司屋でほたると組長さんに遭遇して差し入れをすることになったとき、”組員のみなさまへ!”と言っちゃうところとか、想像して笑えました。宝塚の内部事情的なところは完全にファンタジーなんだけど、嘘くさくなく結構リアルぽくうまく描かれていて感心しました。もっと素人のドリーム小説的なものを想像して、ハードルをめっちゃ下げて臨んだので、意外と話として成り立っていて一気に読めちゃいました。ラスト、花の道での殺人騒動(!)の末、ほたるのお披露目姿を見ることなく死んでいく切ない終わり方も良かったです。
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令和6年度第4回大人のためのゆるい読書会
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このブクログさんの星採点、もう少し刻んでほしい。
星三でも3,0から3.9まであるんだもの。
この本は3.7星です。
恐怖と憧れに突き動かされ、流される様にヤクザの道に落ち、
その上司に恵まれなかった彼は、組長をこき下ろす筋書きの鉄砲玉の一個として使い切られようとしていた。
それを救ったのは、命を狙っていた大鰐組の組長ことムッシュと、彼の密かな趣味である宝塚歌劇の観劇だった。
そこから彼はなんとか組を抜け、恩義のあるムッシュのいる大鰐組へとうつる。
病の為に長くはなっかったムッシュのヅカ友として親交を深め、そして亡くなった後も、彼の残した本物のヤクザを通すために奔走していく。そして時間をかけてただの建築業種へと会社を建て替えていく。
そんな彼の物語に並走するのは、
宝塚の新人ののび太というニックネームの少女。
彼女はのんびりしているけれど、誰より努力家、本当は男役をしたかったけれど、身長の問題で娘役をすることになった心中を押し隠し、娘役という、もしかしたら男役よりも鍛錬の必要な、裏の仕事の多忙を極める役柄を懸命に勤めていく。
けれど、運命のように出逢った相手の男役とはリフトでうまくいかず、
それがそこからの彼女のヅカ人生を少し力の強い渦にしていく。
そんなふたりの交わりそうで交わらない人生の模様が丁寧に、エンタメに描かれていく。
今までの中山さんになかった外連味?別の迫力、男性陣の幅広さや、沈み込むような暗さ、そして誇り高い宝塚というものを一心の憧れで書き上げている元舞台人である作者の捧げるような描き方が、とても華やかであり、そして誇りを拭うような、汗を拭きとるような、ふとそこにある日常を匂い立たせてくれる文章で、とても面白かった。
『銀橋』も読まなくては! -
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前作よりも中山可穂先生のヅカファン度マシマシでおもろい、おおっぴらなあとがきも好き
粋な女になりて〜 -
宝塚の娘役というより、娘役によって人生を変えられたヤクザの片桐がメインの話。
面白かったけど、宝塚モノとしては物足りない。 -
宝塚の場面はとても良かったです。やくざパートは、他のやくざ小説と比べると、リアリティや迫力が足りない。
でも、総じて、楽しめました。 -
読み進めると結末は何となく想像がついてしまうのですが、それでも良い物語でした。
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宝塚の娘役のほたるとラインダンスで飛んで来た靴をきっかけに彼女のファンになった片桐のほぼ交錯しない物語に徹底した夢があって良い。男役達、娘役達のひたむきな日々と華やぎに引き込まれ、ファンとして見守る片桐やムッシュのヤクザな日常とは裏腹な無垢さも良かった。夢に生きられないヤクザの結末が悲しかった。
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この人の小説は、『白い薔薇の淵まで』と『感情教育』の2冊を読んだことがある。いずれも素晴らしかった。
この最新作は、過去に読んだ2作の緊密な文体に比べると、肩の力を抜いて書いている印象だ。
ただ、そのリラックスした感じは悪くないし、すこぶる読みやすい。
ヒロインは、宝塚歌劇の娘役。そしてヒーローは、なんと“ヅカファンのヤクザ”というぶっ飛んだ設定である。
その娘役・野火ほたると、彼女のファンになったヤクザ・片桐蛍太の、10年間に及ぶ物語。
ほたるを中心とした宝塚の舞台裏と、片桐を中心としたヤクザの世界が、並行して描かれる。
小林まことの『ホワッツマイケル』には、無類の猫好きであるヤクザの組長が、そのことを組員たちに知られまいとする様子が笑いを生むシリーズがあった。
この小説にも、ヤクザが場違いなヅカファンの世界に入り込むことから生まれる“ギャップの笑い”が、随所にある。
その一方、映画『冬の華』を彷彿とさせる哀切さもある。
あの映画で、高倉健演ずるヤクザは、自分が殺してしまったヤクザの娘(池上季実子)を、「あしながおじさん」と化して陰からそっと見守りつづける。
同様に、片桐はヤクザとしての分を守り、女優としてのほたるをただ見守るだけで、それ以上近づこうとはしない。
物語の中で2人が直接言葉を交わすのは、偶然からのたった一度だけ。2人は手さえ握ることなく、ほたるは最後まで片桐がヤクザだとは知らないままだ。ストイックでプラトニックなラブストーリーである。
難を言えば、宝塚のパートにはリアリティがあるものの、ヤクザ同士の会話のやりとりなどにやや不自然さがある。作者がヤクザの世界のことを「にわか勉強」してそれ風に書いている感じで、いま一つ雰囲気が出ていないのだ(「そういうお前だって、宝塚の世界もヤクザの世界もよく知らないだろ」とツッコまれるかもしれないが、知らなくても、作者の知識レベルは行間から伝わるものなのだ)。
とはいえ、それは全体からみれば小瑕で、なかなか面白い小説だった。
宝塚の世界だけで通用する符牒が飛びかう会話を読んでいるだけで、門外漢の私には、そこはかとなくおかしい。
たとえば――。
「私は花男ひとすじ十五年、ウインクや投げキッスや腰振りに磨きをかけ、ひたすらエレガントにキザることに精魂傾けてきた人間です。(中略)男役は黙って黒燕尾、クサく、匂い立つようにクサく、黒燕尾のテールに至るまで流れるようにキザるべしと先輩方に叩き込まれて幾星霜、私はもはや花組でしか生きていけない体になりました」
著者の宝塚シリーズ第一弾『男役』も読んでみよう。 -
男役がより宝塚の内面を書いたなら、娘役は宝塚を支える外側を書いた話。
なににおいても、エピソードやら芝居やらがこの話をモチーフにしてるのでは?とかもろもろ考えちゃうのは仕方ない。
でも、今回はギリというヤクザもんが絡んできて
まったく違ったファンタジー感激しい話に。
こんなんあるわけない!と思いつつ、それでもなんだか一心にファンを続けるその思いに酷く心打たれる。
そして最後は泣いてしまう。
劇画のようなあるわけないやん!な訳だけど
でも泣けるんです。 -
宝塚の世界はわからないけれど、ヤクザの世界はもっとわからない。でも、こんな世界があるのかも、と思わせてくれる。それぞれの感情が鮮やかに伝わってきました。
ラストは切なく、しかし美しく。
映像が脳裏に浮かびあがりました。 -
宝塚愛にあふれるいい作品でした。
片桐さんがかっこいい!
でも、ラストは絶対こうなる! と思った通りだったので、星は4つです。
一番好きな場面は、片桐が泣いているほたるに寿司屋で出会って励ます場面。
『男役』も読んだけれども、私は『娘役』の方が好き。
実際の宝塚も結構娘役さんが好きだったりもするし。
宝塚好きのヤクザという設定はファンタジーかもしれないが、あるとおもしろいな、と思ったりもした。
こんなヤクザ、あったらいいな。
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