望み

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
3.94
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本棚登録 : 1391
レビュー : 236
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041039885

作品紹介・あらすじ

あの子は殺人犯なのか。それとも被害者なのか。揺れ動く父と母の思い――。

東京のベッドタウンに住み、建築デザインの仕事をしている石川一登(かずと)と校正者の妻・貴代美(きよみ)。二人は、高一の息子・規士(ただし)と中三の娘・雅(みやび)と共に、家族四人平和に暮らしていた。規士が高校生になって初めての夏休み。友人も増え、無断外泊も度々するようになったが、二人は特別な注意を払っていなかった。そんな夏休みが明けた9月のある週末。規士が2日経っても家に帰ってこず、連絡すら途絶えてしまった。心配していた矢先、息子の友人が複数人に殺害されたニュースを見て、二人は胸騒ぎを覚える。行方不明は三人。そのうち犯人だと見られる逃走中の少年は二人。息子は犯人なのか、それとも……。
息子の無実を望む一登と、犯人であっても生きていて欲しいと望む貴代美。相反する父と母の望みが交錯する――。心に深く突き刺さる衝撃の心理サスペンス。

感想・レビュー・書評

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  • 魂が揺さぶられる一冊でした。
    著者の作品はすべて読んでいますが、
    その中でも、特に忘れられない作品になりました。

    高校一年生の少年が殺された。
    被害者は息子の同級生だった。

    現場から逃げる少年たちが目撃され、
    時を同じくして、行方がわからなくなった息子。

    犯人かもしれない…
    もう生きていないかもしれない…
    生きていたほうがいいのか、それとも…

    生きている。それは加害者であること?
    被害者であることは死を意味する?
    生きていてほしいと願うことは、信じているということなのか?

    望みなき望みの中で、翻弄される家族。
    父・母・妹それぞれの想い。 
    「僕は信じます。あいつはそういうやつじゃないから」
    純粋に息子を信じてくれる友達の存在がせつない。

    苦しかった…
    この家族に感情移入しすぎて、結末がわかるまで、ほぼ300ページ、
    たった数日間のできごとが、気が遠くなるくらい長かった。

    読了後、本を閉じ、目に飛び込んできた二文字。
    これほど堪え難く、哀しい『望み』を私は知らない。

  • 小説を読んで落涙したのは、いつ以来だろうか・・・
    同じような少年犯罪を扱った作品に、薬丸岳著『Aではない君に』がある。
    『A』が、犯罪を犯した少年の父親の苦悩を描いているのに対し、本作は、加害者なのか被害者なのかわからない立場の両親の懊悩に焦点を当てている。
    加害者でもいい生きていてほしいと望む母親に対し、父親は息子の無実を信じ、また世間との兼ね合いから被害者であってほしいと望む。
    事件を巡って、娘を含めた家族へのバッシング、無責任なうわさが拡散するSNS、取引先の豹変等々。そして事件は終幕へ・・・
    作者の筆力に絡めとられたまま、読み終えた。
    中高生を持つ世代の読後感は、自分の子供に限ってこんなことはないという安堵感か、それともこんなこともあり得るかもとの不安感か。
    読者に、家族のありようを問いかける感動作。

  • 石川一登は建築デザインの仕事をしている。
    妻、貴代美は自宅で校正の仕事を。
    長男の規士(ただし)は高校生。
    妹の雅は中学生。
    ごく平凡な4人の家族。

    外泊をするようになった規士を気にかけていた一登と貴代美。
    そんな矢先、事件は起きる。
    石川家の近所で高校生が遺体で発見される。
    その場から立ち去った2人の若者。
    規士は外泊をしたまま帰らない。

    警察から規士が事件に関わっているようだと知らされた一登と貴代美。
    規士は加害者か?、それとも被害者か?
    自分たちは加害者家族か?、被害者家族か?

    事件の全容がわかるまで、真実がわかるまで、家族が望むものは…
    息子の無実?
    被害者であってくれること?
    加害者であっても生きていてくれること?

    重いテーマでした。

    ネット社会の今、否が応でも触れてしまう情報がある。
    その正確さは二の次で、人々の興味を引くものはあっという間に拡散される。
    そして、拡散された情報が、まことしやかにささやかれ始め、いつのまにやら真実のように語られる。

    私自身、情報に振り回されない!という自信がない…
    恐ろしい…

  • 東京のベットタウンに住み、建築デザインの仕事をしている石川一登と校正者の妻・喜代美。
    二人には高一の息子・規士と中三の娘・雅とともに平和に暮らしていた。
    規士が高校生になって初めての夏休み。友人も増え、無断外泊も度々するようになった。
    そんな夏休み明けた9月のある週末。規士が2日経っても家に帰ってこず、
    連絡すら途絶えてしまった。
    心配していた矢先、息子の友人が複数人に殺害されたニュースを見て、
    二人は胸騒ぎを覚える…。

    少年犯罪を扱った著書ですが、本書は犯罪に関わった少年の家族に
    焦点が当てられています。
    現場から逃げた少年は2人。行方不明になっている少年は3人。
    この矛盾から、夫婦の辛くて長い時間が始まって行きます。
    行方不明になっている規士は、加害者で友人をリンチ殺害したのか…?。
    被害者でもう亡くなっているのか…?
    どちらにしても、親としてはこれ程辛い事はありません。
    生きていれば加害者である事を被害者であれば死んでいる事を意味します。
    この可能性、望みなき望みの間で父と母の心は翻弄それ続けていく。
    夫婦の気持ちのすれ違い。揺れ動く心。移りゆく気持ちが丁寧に描かれていた。
    丁寧過ぎてちょっと長くてなかなか話が進まない…じれったくも思いましたが、
    なのに先が気になって仕方がない!
    酷いマスコミの取材攻勢。家にされる嫌がらせ。
    離れていく仕事仲間に親戚。
    面白おかしく書き立てるネット住民。
    読んでいて苦しかった。
    最後には祈る様な気持ちで読んでいました。涙が零れました。

    とてもとても重いテーマでした。とっても読み応えのある素晴らしい作品でした。

    • けいたんさん
      こんにちは(^-^)/

      この作品読んでいる人多いですよね。
      私も気になっていますがまだまだ読めそうにないです。
      早く読んでしのさ...
      こんにちは(^-^)/

      この作品読んでいる人多いですよね。
      私も気になっていますがまだまだ読めそうにないです。
      早く読んでしのさんと語り合いたいです♪
      しのさん☆4つなのでとても楽しみです◟(๑•͈ᴗ•͈)◞
      2016/12/04
    • しのさん
      こんにちは(*'▽')
      コメントありがととうございます(#^^#)

      犯罪に関わった少年家族に焦点を当てた作品で、とっても重いテーマで...
      こんにちは(*'▽')
      コメントありがととうございます(#^^#)

      犯罪に関わった少年家族に焦点を当てた作品で、とっても重いテーマでした。
      とても読み応えのある素晴らしい作品でした(*^-^*)
      うん、早く読めると良いですね。
      お話出来るのとっても楽しみです(*´ω`*)
      2016/12/05
  • ああ、予想と逆の展開だった。色々思い悩んでいたことが突然ブツッ、と断ち切られた感じ。逃亡者が二人で行方不明が三人。自分の息子は加害者なのか被害者なのか…どちらも絶対嫌だと思いながらも、やっぱり…生きてて欲しかった…。
    被害者側、加害者側どちらの気持ちも味わった気分。どちらになっても地獄なのに、世間の好奇の目にさらされて二度殺された気持ちになる。読んでてつらかった。

    • ひとしさん
      望み読んだんですね!
      辛いですよね
      望み読んだんですね!
      辛いですよね
      2017/06/01
  • 私には高1の息子がいる。
    だからこの親たちを自分に置き換えて読んだ。

    ナイフを取り上げたことを悔やむより
    夜遊びさせ放題だった躾を悔やむべきだろう。
    うちの息子は別に真面目な高校生ではないけど、門限の9時を過ぎることなくちゃんと帰ってくるし
    もし朝帰りなんてことがあったらきつく叱るよ。怒るんじゃなく叱る。

    それと加害者でもいいから生きていて欲しいなんて考え方わからない。
    人殺しだよ…
    なんか登場人物が自分中心。

    例え我が子が犯人ではないと信じていて確証していても
    被害者のお葬式に参列する気持ちがわからない。遺族の気持ちもくみとれないのか?自分の気持ち中心。

    でも私にも子どもがいるのだから
    いつこの本の登場人物のひとりになるかわからないな。

    きっとお母さんは息子のこと人殺しとは本気では思っていなかったはず。死んでしまうくらいなら…と両天秤にかけたんだろうけど
    でも人殺しって罪は重すぎるよ。
    私は愛する息子が人殺しの方が辛いわ。

  • やりきれない結末ではある。
    どちらに転んでもやりきれない結末にしかならない物語だったが、事件の謎解き、誰が犯人なのかということを推理する作品ではない。
    家族が事件に巻き込まれた時、家族が遭遇する、外を取り巻く環境と、内面の精神がさらされる嵐。

    母は、人を殺していても、息子が生きていることを望む。
    母性とはそういうものだ。

    父は、自分たちが人殺しを育ててしまったという事実を肯うことはできない。

    妹は、身内から犯罪者が出たとしたら、自分の人生はどうなるのかを心配する。

    はたして、行方不明の家族は、被害者なのか加害者なのか。
    どちらを望むかと言われれば、どちらも望まないのだが、その選択は無い。
    どちらを望んだとしてもそれは『望み(希望)のない望み』だ。

    ていねいに、細やかに描写され、誰の気持ちも分かるだけに、結末が近づくのを恐れた。
    マスコミの迷惑さは、いつものことだが、それよりも悪質だと思うのは、何も分からないうちから犯人を勝手に決め付け、自宅に玉子を投げつけたりペンキを吹きかけたりした輩だ。
    明日には自分の軽犯罪を反省することもなくけろりと忘れて次の興味の対象に湧いてしまうのだろう。
    ストーリーに直接関係は無いが、そんなことも考えてしまった。

  • 全ての人の感情が 胸に迫り 心が乱されて苦しいくらいだった

    結末が ハッピーエンドなのかバッドエンドなのか 色んな受け取り方があるだろう

    気持ちを鷲掴みにされるとは こういうことかと 読み終えたときには ため息がでた

    切なく 苦しいお話だけど 理屈ではない 気持ちに翻弄される人という生き物をがっつりと描いた物語

  • 少し悲しいストーリー展開。もう少し違ったラストを期待していたが、想像通り。ただ母親と父親のそれぞれの心の葛藤とラストに涙する。
    マスコミや心ない世間の目が、いかに事件関係者の心を傷つけるのか考えさせられた。
    映画化されるようなので、そちらも楽しみ。

  • 息子の友人が殺された。行方不明になっている息子は、事件の加害者なのか、それとも被害者なのか――。家族、そして自分の未来を案じ被害者側であって欲しいと願う父。ただ、生きていてくれればいい...加害者側を切望する母。ネットやマスコミ、情報に振り回され続ける家族。何が誰が一番の被害者なのか。重くてとてつもなく長い数日間だった。貴方なら私なら、この結末に何を望む?それは望みなき望みだった。

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著者プロフィール

作家

「2019年 『引き抜き屋(2) 鹿子小穂の帰還』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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