- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041039885
作品紹介・あらすじ
あの子は殺人犯なのか。それとも被害者なのか。揺れ動く父と母の思い――。
東京のベッドタウンに住み、建築デザインの仕事をしている石川一登(かずと)と校正者の妻・貴代美(きよみ)。二人は、高一の息子・規士(ただし)と中三の娘・雅(みやび)と共に、家族四人平和に暮らしていた。規士が高校生になって初めての夏休み。友人も増え、無断外泊も度々するようになったが、二人は特別な注意を払っていなかった。そんな夏休みが明けた9月のある週末。規士が2日経っても家に帰ってこず、連絡すら途絶えてしまった。心配していた矢先、息子の友人が複数人に殺害されたニュースを見て、二人は胸騒ぎを覚える。行方不明は三人。そのうち犯人だと見られる逃走中の少年は二人。息子は犯人なのか、それとも……。
息子の無実を望む一登と、犯人であっても生きていて欲しいと望む貴代美。相反する父と母の望みが交錯する――。心に深く突き刺さる衝撃の心理サスペンス。
感想・レビュー・書評
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小説を読んで落涙したのは、いつ以来だろうか・・・
同じような少年犯罪を扱った作品に、薬丸岳著『Aではない君に』がある。
『A』が、犯罪を犯した少年の父親の苦悩を描いているのに対し、本作は、加害者なのか被害者なのかわからない立場の両親の懊悩に焦点を当てている。
加害者でもいい生きていてほしいと望む母親に対し、父親は息子の無実を信じ、また世間との兼ね合いから被害者であってほしいと望む。
事件を巡って、娘を含めた家族へのバッシング、無責任なうわさが拡散するSNS、取引先の豹変等々。そして事件は終幕へ・・・
作者の筆力に絡めとられたまま、読み終えた。
中高生を持つ世代の読後感は、自分の子供に限ってこんなことはないという安堵感か、それともこんなこともあり得るかもとの不安感か。
読者に、家族のありようを問いかける感動作。 -
子を持つ親として、これ程切ない「望み」があるのだろうか。加害者なのか被害者なのか、分からない状況での数日間は、家族にとっては永遠にも感じることだろう。
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石川一登は建築デザインの仕事をしている。
妻、貴代美は自宅で校正の仕事を。
長男の規士(ただし)は高校生。
妹の雅は中学生。
ごく平凡な4人の家族。
外泊をするようになった規士を気にかけていた一登と貴代美。
そんな矢先、事件は起きる。
石川家の近所で高校生が遺体で発見される。
その場から立ち去った2人の若者。
規士は外泊をしたまま帰らない。
警察から規士が事件に関わっているようだと知らされた一登と貴代美。
規士は加害者か?、それとも被害者か?
自分たちは加害者家族か?、被害者家族か?
事件の全容がわかるまで、真実がわかるまで、家族が望むものは…
息子の無実?
被害者であってくれること?
加害者であっても生きていてくれること?
重いテーマでした。
ネット社会の今、否が応でも触れてしまう情報がある。
その正確さは二の次で、人々の興味を引くものはあっという間に拡散される。
そして、拡散された情報が、まことしやかにささやかれ始め、いつのまにやら真実のように語られる。
私自身、情報に振り回されない!という自信がない…
恐ろしい… -
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こんにちは(^-^)/
この作品読んでいる人多いですよね。
私も気になっていますがまだまだ読めそうにないです。
早く読んでしのさ...こんにちは(^-^)/
この作品読んでいる人多いですよね。
私も気になっていますがまだまだ読めそうにないです。
早く読んでしのさんと語り合いたいです♪
しのさん☆4つなのでとても楽しみです◟(๑•͈ᴗ•͈)◞2016/12/04 -
こんにちは(*'▽')
コメントありがととうございます(#^^#)
犯罪に関わった少年家族に焦点を当てた作品で、とっても重いテーマで...こんにちは(*'▽')
コメントありがととうございます(#^^#)
犯罪に関わった少年家族に焦点を当てた作品で、とっても重いテーマでした。
とても読み応えのある素晴らしい作品でした(*^-^*)
うん、早く読めると良いですね。
お話出来るのとっても楽しみです(*´ω`*)2016/12/05
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ああ、予想と逆の展開だった。色々思い悩んでいたことが突然ブツッ、と断ち切られた感じ。逃亡者が二人で行方不明が三人。自分の息子は加害者なのか被害者なのか…どちらも絶対嫌だと思いながらも、やっぱり…生きてて欲しかった…。
被害者側、加害者側どちらの気持ちも味わった気分。どちらになっても地獄なのに、世間の好奇の目にさらされて二度殺された気持ちになる。読んでてつらかった。 -
未成年の運転する自動車が事故を起こし、そのトランクからはリンチにあったと思われる少年の遺体が発見される。同じ時期、建築家・一登の息子も行方不明になり、事件との関わりが疑われる。行方不明になっている少年は3人。しかし、現場から逃走したのは2人。自分の息子は犯人なのか?それとも被害者なのか?父、母、そして妹の複雑な感情が細かに描かれる。自分の未来のことを考え、被害者であって欲しいと願う父。たとえ加害者でも生きていれさえすればと祈る母。一見、自分勝手に思ってしまうところもあるが、自分がもしも同じ立場になった時、やはり心は揺れ動くだろうと思うと、心が痛くなる作品。
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やりきれない結末ではある。
どちらに転んでもやりきれない結末にしかならない物語だったが、事件の謎解き、誰が犯人なのかということを推理する作品ではない。
家族が事件に巻き込まれた時、家族が遭遇する、外を取り巻く環境と、内面の精神がさらされる嵐。
母は、人を殺していても、息子が生きていることを望む。
母性とはそういうものだ。
父は、自分たちが人殺しを育ててしまったという事実を肯うことはできない。
妹は、身内から犯罪者が出たとしたら、自分の人生はどうなるのかを心配する。
はたして、行方不明の家族は、被害者なのか加害者なのか。
どちらを望むかと言われれば、どちらも望まないのだが、その選択は無い。
どちらを望んだとしてもそれは『望み(希望)のない望み』だ。
ていねいに、細やかに描写され、誰の気持ちも分かるだけに、結末が近づくのを恐れた。
マスコミの迷惑さは、いつものことだが、それよりも悪質だと思うのは、何も分からないうちから犯人を勝手に決め付け、自宅に玉子を投げつけたりペンキを吹きかけたりした輩だ。
明日には自分の軽犯罪を反省することもなくけろりと忘れて次の興味の対象に湧いてしまうのだろう。
ストーリーに直接関係は無いが、そんなことも考えてしまった。
著者プロフィール
雫井脩介の作品





