望み

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
3.92
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041039885

感想・レビュー・書評

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  • 自分の子供が事件に巻き込まれた状態で、犯人グループとしては誰も発見されていない場合、①子供が殺人犯であっても、生きていてほしい②殺人の被害者として亡くなっていたとしても、潔白であってほしい、の究極の選択を迫られる家族の葛藤を描く。ワンテーマで最後まで話は続くのだが、ラストの終わり方が説明的になってしまっており、何か物足りない。

  • 答えが出ない

  • 201905グアム旅行中

    反抗期の息子が行方不明になり、一緒に逃亡していた子供の遺体が発見される。息子は犯人なのか、被害者の一人なのか父と母で息子への信じ方が異なり苦しむはなし

    おもしろい
    推理小説の犯人がきになるていう単純な好奇心で素早く読み進めちゃうけどそういう単純な読書体験じゃなくて
    母と父どちらの思いも苦しくてその心情描写が痛いほど共感できてずんずん読んでいた 上手に伝えられんな

  • (図書館本)お勧め度:☆6個(満点10個)。何ともい言いようのない小説だと思う。あまりにも切なく無慈悲に思える。それでいて、家族愛がそこかしこに見えてくる。最後の最後まで息子を信じてやることができなかった両親。自分の都合だけを考えていた娘。彼らを見守る親族や住民。いろんな柵が家族の存在を脅かしていく・・・。ストーリーは単純に高校生同士のもめごとからリンチにまで発展した事件。それに息子がかかわっているのか?あるいは加害者なのか?そういう立場に立たされた家族の苦悩を面面と綴っている。最後は悲しみしか残らない。

  •  自らがデザインした家に住み、時にはそれをお客さんに紹介しつつ建築デザインの仕事を続ける石川一登、フリーで校正の仕事をする喜代美、そして息子の規士と娘の雅。平和な4人の暮らしはある日一変する。規士の同級生が殺害され、その日から規士が行方不明になったのだ。一切連絡がとれなくなった息子は果たして加害者なのか、もしくは被害者なのか?

     加害者=この先の家族の将来はなくなる、被害者=息子は死んでいる。どちらになっても絶望的な中、生きてさえいれば更生の余地はあると願う母親の喜代美と、とても息子が加害者になるとは想像もできないから被害者の可能性の方が高いだろうと考える一登。双方、自分がどちらを望んでいるのかわからなくなったり、その意味を考えて自らを責めてしまったり、相手を責めたり。息子の行方がわかるまでの数日間の警察や近所の動き、家族の苦悩や葛藤が描かれている。楽しいと思えるものではないが、いろいろ考えさせられる話だった。最後、読者に結末をゆだねる終わり方もできるかなと思ったのだが、しっかり結論が出ていたのでその点は良かったかも。

  • 2019.5.3 読了


    高校生の息子が 最近
    悪い友だちと つるんでいるようだ。。。

    夏休み頃から 何日か帰って来なくなるとか。

    行方不明になったとき 町に事件が起きる。
    息子の仲のいい友だちが 亡くなった。
    息子とは連絡が取れない。

    果たして 息子は加害者なのか、
    被害者なのか?

    親としては 加害者でもいいから
    生きていてほしいのか、
    自分の息子は 人を殺すような子じゃないから
    被害者でもいい、のか?


    どうなっても ラストはモヤモヤしかなさそう。。。
    と思いながら 読みました。

  • 親としての岐路に立つ
    息子が殺人犯でも生きていてほしいか?それとも殺人犯ではない変わりに亡くなっているか?
    建築家の父親と校正家の母親、高校生の息子と中学生の娘とごく一般的な家族に巻き起こる波乱、反抗期に加え、サッカー部を怪我で辞め、夏休みを境に外泊が続きはじめ、ちょっと出掛けてくるといって、帰ってこない息子、速報で高校生の死体が車のトランクから見つかる・・・
    父親として、母親として、息子の生死を信じる、、、何が正しくて何が間違っているのか。

  • 久しぶりの雫井作品。
    どっち?どっちどっち?と結末が気になり、
    後半一気読みでした。
    母親、父親と妹の望みにフォーカスしながら物語は進みます。それぞれの心の揺れ動きにどんどん引き込まれていく。そして、あるアイテムにより確信に変わります。どっちに転んでも救われない望みに救われるという…なんともやりきれない気持ちになる。
    【2018.08】

  • もしも、自分の息子が事件に巻き込まれたのならば。
    殺人犯でもいいから加害者として生きていてほしいと望むか、人を殺し断罪される生涯を送るくらいならば被害者であってほしいと望むか。
    究極の「望み」を描いた物語だ。

    建築デザイナーとして成功をおさめている一登と、校正者として在宅で働いている貴代美はふたりの子供に恵まれ、小さな問題はあれど穏やかな毎日を送っている。
    高校生の息子と中学生の娘は反抗期であったり生意気であったりはするが大きな問題はなく、このままの日々が続いていくと信じていたが、ある日、長男の規士が家を出たまま連絡がとれなくなる。

    最初は夜遊びの延長と考えていたが、近所で一人の少年の遺体が発見されたというニュースが報じられ、状況は一変する。
    行方不明の長男は、この事件に関係しているのか。関係しているのであれば、加害者なのか、被害者なのか。

    物語に大きな動きはない。
    一組の夫婦の数日間を描いているだけだ。
    ただ、丁寧に、揺れ動き、時に翻る父親と母親それぞれの思いが描写されていて読まされる。
    保身、愛情、不安、さまざまに乱れる心の動きがすごくリアルに伝わってきて、圧倒されるように読んだ。最後の最後まで、加害者と被害者どちらであれば救いがあるのかがわからなかった。どちらを望むのが親として正しいのかもわからなかった。

    加害者と被害者、まったくの対極にある存在なはずなのに、そのどちらであっても苦しむという事実の重さ、やりきれなさが胸を強く打つ。

  • 最後まで想定通りのストーリー
    ミステリではなく家族の話

著者プロフィール

1968年愛知県生まれ。専修大学文学部卒。2000年、第4回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作『栄光一途』で小説家デビュー。04年に刊行した『犯人に告ぐ』で第7回大藪春彦賞を受賞。他の作品に、『火の粉』『クローズド・ノート』『ビター・ブラッド』『殺気!』『つばさものがたり』『銀色の絆』『途中の一歩』『仮面同窓会』『検察側の罪人』『引き抜き屋1 鹿子小穂の冒険』『引き抜き屋2 鹿子小穂の帰還』『犯人に告ぐ2 闇の蜃気楼』『犯人に告ぐ3 紅の影』『望み』などがある。

「2021年 『霧をはらう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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