望み

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
3.92
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041039885

感想・レビュー・書評

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  • どちらにしても悲しい。
    当たり前の日常が壊れるのは一瞬なんですよね。
    平凡な日々が幸せ。

  • 全ての人の感情が 胸に迫り 心が乱されて苦しいくらいだった

    結末が ハッピーエンドなのかバッドエンドなのか 色んな受け取り方があるだろう

    気持ちを鷲掴みにされるとは こういうことかと 読み終えたときには ため息がでた

    切なく 苦しいお話だけど 理屈ではない 気持ちに翻弄される人という生き物をがっつりと描いた物語

  • 少し悲しいストーリー展開。もう少し違ったラストを期待していたが、想像通り。ただ母親と父親のそれぞれの心の葛藤とラストに涙する。
    マスコミや心ない世間の目が、いかに事件関係者の心を傷つけるのか考えさせられた。
    映画化されるようなので、そちらも楽しみ。

  • 堤真一さん石田ゆり子さん主演
    あの子は殺人犯なのか被害者なのか、揺れ動く父と母の思い。衝撃の心理サスペンス。

  • 息子の友人が殺された。行方不明になっている息子は、事件の加害者なのか、それとも被害者なのか――。家族、そして自分の未来を案じ被害者側であって欲しいと願う父。ただ、生きていてくれればいい...加害者側を切望する母。ネットやマスコミ、情報に振り回され続ける家族。何が誰が一番の被害者なのか。重くてとてつもなく長い数日間だった。貴方なら私なら、この結末に何を望む?それは望みなき望みだった。

  • 読んでいても読み終わっても苦しく考えさせられる話。
    話はシンプルなのに、雫井さんの細やかな描写で登場人物に感情移入しならどんどん読まされる。
    どちらに転んでも、ただ不幸。どちらが救われるのだろうか‥

    子どもがいないわたしは、ひたすら妹に感情移入しながら、でも子どもができた時自分はどちらに振れるのか、考えながら読む作品でした。

  • 読んでいて思ったのはこれを文章力のない人が書いたら読めたもんじゃないということ。
    今時にしては珍しくシンプルなストーリーと構成で、あくまでも純粋に主題について描いている話。
    ・・・なだけに、筆の力のない人が書いたらとても最後まで読めずに陳腐な感想になっていたと思う。

    この話は4人家族の両親の目線それぞれから描かれている。
    父親は建築家、建築デザイナーの男性で、妻は自宅で校正の仕事をしている。
    子供は高校生の男の子と中学生の女の子。
    その高校生の男の子がある日、行方不明になる。
    その直後に知った、高校生殺害事件。
    行方不明の子と殺された子とは面識があったと分かり、もしや我が子が事件に関与していたのでは?と両親は思う。
    父親は我が子が事件の被害者ではないかと思う。
    しかし、その望みは我が子が既に死んでいるという事に自然につながる。
    母親は我が子が事件の加害者ではないか?と望みをもつ。
    しかし、それは加害者の家族として生きていくという覚悟を要する。
    二人の望みは時に交差しつつ、ストーリーは進行していく。

    事件そのものは大した真相というものでもなく、あくまでも子供が被害者なのか、加害者なのか、そのどちらかに望みを託す登場人物の心情を丁寧に描いている話となっている。

    読んでいて思ったのはこの物語の主人公となっている両親は家に押しかけるマスコミや周囲の理不尽な態度にとても常識的、大人な対応をとっているということ。
    私なら感情的になってとてもこんな冷静で理性的な対応はとれない。
    そんな人たちだからこそ、考えていることをちゃんと受けとめようとしたし、じっくり読もうと思えた。

    このおもたる主人公の二人は全く違う望みをもっているかのように見えるけど、実は同じ望みなのだと私は思う。
    それは家族も自分も幸せに暮らしたいということ。
    だからこそ、話の中で母親の母が言った言葉は一瞬何かいい事を言ってるようだったけど、違和感があった。
    もう十分に幸せに過ごしたのだからこれからはそれをあきらめよ、もっと大切な事があるんだ、というような言葉だったけど、幸せになる以上に何が大切で、それをあきらめてまで守るものってあるん?と、後からじわじわ思いがわいてきた。

    こんなシンプルなストーリーでラストに衝撃的な事がある訳でもない話なので、読んでいて退屈と思う人もいるかもしれない。
    私はこういう気をてらってない、文章だけで読ませるという話は大好きで、あっという間に読んでしまった。
    とてもいい本だと思う。

  • 重くそして苦い。
    心情に訴える作品。

  • もしこの現実が自分の身に起こってしまったら、私はどうするのだろう。どんな現実になったとしても、それを受け入れる覚悟が出来るだろうか…。
    本文中で初めて「望み」という文字を目にしたとき、タイトルの重みをずっしりと感じた。どう変わっていくかわからない、家族を取り巻く環境。誰の望み通りになったとしても、悲しい現実からは逃れられない。先のことは考えても仕方がないと思いつつも、各々が想像の中で不安にとらわれていく心理描写に、こちらまで不安になる。物語は読者をも巻き込んでゆく。読む側の心境もページをめくるたびに変わるのだ。
    指の間をするすると零れ落ちていく常識、価値観、想い。正解はどこにもない。
    こんなに胸の苦しくなる物語は読んだことがなかった。私のように、思春期の息子を持つ家族だけでなく、すべての世代に読んでみてほしいと思う。

  • うわーいろいろ考えさせられたな。殺人事件の加害者か被害者、自分の息子にどっちであってほしいのか?息子を信じる父親と、信じるよりも生きてることを望む母、両親の揺れ動く気持ち、すごくよく描かれていたな。

  • わが子には生きていてほしい、それが加害者としてでも。
    人を殺すような人間ではなかったと信じたい、結果、被害者だったとしても。
    両親どちらの思いも一理あり、正解が見つからない。
    共に胸が苦しくなる。
    揺れる家族の苦しみがひしひしと伝わり、読み応えがある。
    最後はぐっときた。

  • 石川一登・貴代美夫婦は高校一年の息子・規士が、度々夜遊びや外泊をするようになり心配していた。そんな矢先、息子が昼になっても帰らず心配していると、近所で少年の遺体が発見される。この事件に規士が関与している疑いが出るが、他にももう一人の少年が殺されている可能性も浮上。規士は加害者なのか、それとも既に・・・
    ミステリー的に警察の動きや犯人逮捕の経緯などはほとんどなく、妹の雅を含めた石川家3人の胸の内が描かれている。
    非常に重かった。息子を信じればこそ加害者でないと思うが、そうであれば生きて会える希望は絶望的な状況。生きていてくれと願うことは、息子が殺人犯になること。その葛藤が繊細に描かれていて、胸に重くのしかかった。一登・貴代美夫婦の考え方の違い、どちらが良いということでないのだろうが、男性と女性の違いもあるのだろうかと。実際に子供を持つ親としては、スパッと割り切ることは無理だろうなと自問自答する場面も。
    この本のタイトルに「望み」という言葉を持ってくるのはさすが。

  • 今の世の中、毎日のように悲しい事件が起きている。その中でも自分の感情をどこへ持っていけばいいのかわからないのが少年犯罪。もし、自分の子どもが同じ立場だったら。そんな時は必ず被害者であることしか想像出来ないのは、やはり子どもを信じているからなのか、それとも加害者にはなって欲しくないという望みからなのか。
    この物語は、高校生の息子がどうやら殺人事件に関わってしまっているらしいとわかった両親の物語。そこで父親と母親とでは、考え方が真逆になる。父親は、息子を加害者になって欲しくないと考え被害者であることを望み、母親は、生きていて欲しいという望みから加害者であることを望む。ただ悲しいのは、父親が息子を信じているから、被害者でいて欲しいと望むのではなく、加害者でいて欲しくないという思いも含まれているところ。
    真実を知った時には深い悲しみが訪れます。ただ、これは現実でもある話で、実際に加害者になる子も、被害者になる子も存在しているということ。
    もう一度考える。もし、自分の子どもが同じような事件に巻き込まれたなら、加害者と被害者、どちらを望むのだろう。

    • chie0305さん
      新品の本!貸出一人目で読みました。
      私の予想とは真逆で「え~」となり呆然としたまま読了。父親目線と母親目線で読み方が違うのかも。(一登と喜...
      新品の本!貸出一人目で読みました。
      私の予想とは真逆で「え~」となり呆然としたまま読了。父親目線と母親目線で読み方が違うのかも。(一登と喜代美もそうでしたね)つらくて…。少しでもどこかで救いが欲しかったです。生きてて欲しかった。
      2017/05/31
  • ブクログさんの献本企画で頂きました。
    ありがとうございました。

    二度と読みたくない…
    こんなにも悲しくて苦しくなる物語なんて二度と読みたくない。

    私には三人の子供がいる。
    その子供達の誰かがこの物語のように何かの事件に巻き込まれ、
    こんな結末を迎えてしまったら、どうやって受け止めたら良いのかわからないし、そのあとどうやって生きて良いのかもわからなくなっちゃいます。
    私はどちらを願うだろうか…
    加害者としての現実と被害者としての現実
    どちらにせよ待っているのは地獄だ。
    どんなに時間を費やしても、
    どんなに謝罪や自己憐憫を積み上げても
    答えなんか見つけられないんだろうな…
    出来ることならこんな境遇にはなりたくないなぁ

    自分が本作の当事者ような立場になったらどうしよう…
    そんな想像ってしたこと僕にもありますよ。
    ただ、あくまでも想像した事があるだけで、
    現実に自分や家族の身にこんな事件が起こった訳じゃない。
    だから日頃目にする事件事故の報道なんかを自分に当て嵌めて考えても当事者家族の気持ちなんて分からなかったし、こんなにも身近に感じる事なんかなかったです。

    だからこそ読んでいてムチャクチャ怖かった。
    もう「どうなるんだ、どうなっちゃうんだ」って気持ちが渦巻いちゃって…
    こんなにも苦しくて辛い心情ってどこでどうやって、探してくるんですか?事件事故に巻き込まれた家族の手記とか取材報告みたいなもの、いろんな資料を読み込んだら書けるんですか?

    この本をこの物語を読んで、スゴイ体験をさせてもらいました。
    けど二度と読みたくないです。
    正直、こんなにツライ体験をもう一回する気になれません。
    ただこの体験はものすごく大事な何かがある気がします。

    子供のいるお父さんとお母さんに読んでみて欲しい作品です。

    後悔すること必至ですが、
    内に残るものは大事なものかもしれません。

  • 石川家とほぼ同じ年代の子どもがいて、同じ構成なだけに他人事とは思えなかった。
    2人の子ども持つオヤとしては、一登と貴代美の揺れ動く心境に400%シンクロ。一挙に読み進めてしまった。
    読んでいる最中も読み終わった後も心のザワつきは治らない。
    唯言えるのは事件の加害者になるのも被害者になるのも御免被りたいということだな。

  • 息子が加害者なのか被害者なのか分からず翻弄される家族。その「望み」の声があまりに生々しく、読んでいてとても辛く苦しかった。
    生きていて欲しいから加害者であって欲しいという望みと、人を殺すような人間じゃないから被害者であって欲しい、という望み。
    警察からの電話に、一緒になってどっちだ⁈と息を飲みました。
    中盤以降は一気に読み、涙腺崩壊。

    映画化もされていますが、私は断然こちらの本の方が良いと思いました。

  • 生きていてほしい、との気持ちを優先すれば殺人者。罪を犯す子ではない、との気持ちを優先すれば殺害された被害者。どちらを選んでも地獄だし、自分が親の立場であればどうだろうか。

  • これほど結末を早く知りたい!もしくは知ってから途中を読みたい!とジリジリした気持ちで読み進めた本は久しぶりだ。
    男と女でも、長男と次男でも考えの根本が違っていたり、そもそもが加害者が被害者かで180度感情が揺さぶられる内容が続いて一気に読み上げた。
    マスコミはやっぱマスゴミなのと、いつも見る人にこう感じて欲しいと勝手に操作させるような報道したりするからやっぱゴミだ。迷惑なリポーターも多いしやっぱゴミだ。事実だけをきっちり伝えろや!
    あと殺人を犯す人。相手も殺してるけど自分の周りの大切な人の人生も殺すことになるって分かってんのかな?

  • とても考えさせられる話だった。
    大切な我が子を思う気持ちは同じなのに、
    加害者でもいいから、とりあえず生きていて欲しいと願う母親と
    自分の子はそんなことするはずがないと信じる父親

    家の外の世界との関わりがある父親からすると、世間体も少しは気にした望みであり

    逆に家の中がほとんどの生活の全てである母親からすると、世間体はまるで頭になくて、息子の命があることを、ただ望む


    私には小学生の息子がいますが、今はなんでも分かる気がするし、話し合えて、受け入れ合える気がしますが、
    成長していくにつれ、今この時を懐かしむ日が来るのでしょうか。
    あの時は、なんでも話せて良かった、今では息子が何を考えているのか分からないと思う日がくるのでしょうか。
    何か叱っても、ちゃんと届いてるのか分からない態度になってしまうのでしょうか。

    でも、今まで育てて一緒に過ごして来た時間があるから、何かに巻き込まれた時に、
    「人を傷つけるようなことなど絶対にする子じゃない!」と言い切れるでしょうか。


    本当に考えさせられる話でした。

    この話を読んで、涙を流し、感動することはありませんでしたが、
    とてもとても心が動かされ、考えさせられ、忘れない作品になったと思います。

  • 映画を先に見た。結論を知った上で読んでいても涙がでてくる。どちらにしても辛い。

    息子は加害者なのか、被害者なのか。
    母親は生きていて欲しい、それなら加害者でよい、でもその感情は一瞬でそのあとさらに苦しむのか。

    父親は冷静に息子を信じた上で被害者だと、ただその感情は信じただけなのか?社会的な自分の立場のためではないのか?仕事を失う恐怖から目をそらしていないのか…
    だんだんと悩んでわからなくなる家族それぞれの気持ちが男性的、女性的、今の時代は不適切表現かもしれないが男女の相容れない違いからの考えのような気もして、とても深いと感じた。

    そしてもし自分ならどう思うのか…
    テンポも良くて一気読み。
    映画もほぼ再現されていたが、やはり本の方が心情が詳しくとても良かった。

    大人になったら自然に何でもできるようになると思ったら大間違いだ、何もしなかったら、何もできない人間になるだけだ   p33

    おかしなことに、現実をねじ曲げて考えていると、それに同調するような空気が周りから流れてくる。そうして、ますますねじ曲がった考えが強固なものになる    p247

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著者プロフィール

1968年愛知県生まれ。専修大学文学部卒。2000年、第4回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作『栄光一途』で小説家デビュー。04年に刊行した『犯人に告ぐ』で第7回大藪春彦賞を受賞。他の作品に、『火の粉』『クローズド・ノート』『ビター・ブラッド』『殺気!』『つばさものがたり』『銀色の絆』『途中の一歩』『仮面同窓会』『検察側の罪人』『引き抜き屋1 鹿子小穂の冒険』『引き抜き屋2 鹿子小穂の帰還』『犯人に告ぐ2 闇の蜃気楼』『犯人に告ぐ3 紅の影』『望み』などがある。

「2021年 『霧をはらう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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