望み

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 1250
レビュー : 215
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041039885

感想・レビュー・書評

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  • 平穏だった家族の中の高校生の息子が帰ってこなくて連絡も取れず、そんな中TVで息子の同級生が殺害されるという事件が起きる。自分の息子が事件に関わってることは間違いないが、果たして息子は加害者なのか被害者なのか、、、、という葛藤に悩む家族のお話。息子が人を殺すはずがない!と信じている父親と、加害者でもいいから生きて帰ってきて欲しいと願う母親と、自分の将来が不利になるから加害者だと困る妹。
    いやー、、、父親のように人殺しのはずがない!と思う=被害者=もう生きていないっていうのも辛すぎるし、加害者でも生きていて欲しいといっても壮絶すぎる今後が待ってるし、、、すごい葛藤だなと。
    それと、まだ加害者なのか被害者なのかわからないのに、世間は勝手に加害者だと決めつけて家に卵ぶつけたり、外に出れないほどマスコミに囲まれたりひどい。ひどいけど、実際そうなんだろう。で、実は被害者だとわかると打って変わった態度で同情されるんだよなぁ。。。嫌だね、、、
    最後の結末も本当にやるせないし、辛い。
    特に、泣き崩れて懺悔する妹ね。わたしも兄がいるからきっと同じことを思って自分を保身すると思うからものすごく痛かった。

  • 夫婦二人の望みは全く別の方向を向いている。しかもそれらは、どちらを向いても望みなき望み。明るい光を放つものではない。二つの可能性の狭間で、望みなき望みの間で、心は翻弄され続ける。どうすれば良かったのか、いくら考えても正しい答えは出てこない。考えれば考えるほど奈落の苦境に落ち込んでいく。少しずつ明らかになっていく真実にも、悲しくただ受け入れるのみ。厳しい現実の前に人はどう向き合っていくべきなのか。深く考えさせられた。

  • うわーいろいろ考えさせられたな。殺人事件の加害者か被害者、自分の息子にどっちであってほしいのか?息子を信じる父親と、信じるよりも生きてることを望む母、両親の揺れ動く気持ち、すごくよく描かれていたな。

  • 自分の息子が殺人犯、もしくは殺人の被害者かもしれない、という事態に巻き込まれた家族の姿を描くサスペンス。どちらに転んでも最悪の事態には間違いなのだけれど。果たしてどちらがましなのでしょうか。
    自分や家族の未来を思い、息子が被害者であることを望む父親。たとえ殺人犯でもいいから生きていてほしいと望む母親。どちらが正しいだなんて言えるはずもなく、ひたすら苦しい物語でした。真相はどちらなのかもとにかく気になって、読む手が止まりません。
    もちろん結末は言えませんが。幸せな結末であるはずはなく。それでも、どこかしらに救いは残されているような印象でした。だからひたすらつらくて苦しい物語だけれど、嫌な作品という気はしません。
    でもきっと、同年代の子供を持つ人が読めばさらに苦しいだろうなあ……。

  • どんどん追い詰められていく。
    一家と一緒に時間を過ごしていくのがつらかった。

  • しずくい しゅうすけ

    石川一登(かずと)
    妻・貴代美(きよみ)
    高校生の息子・規士(ただし)
    中学生の娘・雅(みやび)

    殺人犯であってほしくないと望めば規士が死んでいることを願っていることになるし、生きていてほしいと願えば彼が人殺しであることを望んでしまう。

    一登、貴代美の両方の気持ち分かる
    どんな形であっても生きていてほしいと願う貴代美
    母親は強いと感じた
    小説で泣けるのあんまりないが泣けた

  • 無断外泊をしたまま行方が分からなくなっていた高校生の長男はどうやら殺人事件に関与しているらしい。しかし、被害者なのか加害者なのかそこまでは分からない。父親は「加害者であるくらいなら被害者であってくれた方がいい」と願い、母親は「加害者でも構わないから生きていて欲しい」と願います。対象的な二人ですが、周囲の空気に翻弄される心理描写が秀逸で両者の想いが痛いほど伝わって来ます。
    また、不利益を被りやすい自営業を父親の職業にするなど設定もよく考えられていると思いますし、ほんの僅かな救いを用意して余韻を残す終わり方も巧みで、高い完成度を誇る作品だと思います。

  • 私も主人公と同じ家族構成なだけに、非常に深い内容の考えさせられる一冊でした。
    ある殺人事件をきっかけに行方不明になった主人公の息子が、殺人事件の加害者なのか?被害者なのか?というところで、勝手に加害者とみなされ、マスコミなどからバッシングを浴びて、家族崩壊の危機にみまわれますが、家族としては、これまでの社会的信用を全て失い、今後、贖罪し続けることになるが、加害者としてでも息子に生きて帰ってきて欲しいという一方で、被害者として亡くなっていたほうが、息子の人間性らしく、家族の今後の社会的立場を守るという観点から言うと救われるという両極端な葛藤に揺れ動きながら、家族それぞれが、もがき苦しむという姿というのが身につまされましたね。
    いずれの結果にしても、結局は家族は自責の念にかられてしまうことになるという悲しいことになりますが、そこも深いなぁと思いました。

  • 被害者側(殺されている可能性)

    加害者側(どんな形であれ息子に生きていて欲しい。仕事、家なくなる可能性あり、世間体)

    どちらも地獄だけど・・・。望はあるのか・・・。

  • 行方不明になった息子が殺人の被害者なのか加害者なのか。何を信じるのか何を望むのかを究極の状況の中で葛藤する家族の心理描写が見事だった。事件は皆を不幸にするだけ。息子の覚悟が救い。読み応えのある一冊。

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著者プロフィール

雫井 脩介(しずくい しゅうすけ)
1968年、愛知県生まれの小説家・推理作家。専修大学文学部卒業後ひとたびは就職。出版社などを経て、1999年内流悠人(ないる ゆうと)という筆名で応募した『栄光一途』が第4回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し、2000年同作でデビューする。
2004年『犯人に告ぐ』が、2004年版「 週刊文春ミステリーベスト10」で第1位、2005年版「このミステリーがすごい!」で第8位、第26回吉川英治文学新人賞の候補として選ばれ、第7回大藪春彦賞を受賞。豊川悦司主演にて映画化・ドラマ化。代表作となる。
2006年に恋愛小説『クローズド・ノート』を発表し、沢尻エリカ主演で映画化。2013年刊行の『検察側の罪人』は2013年度「週刊文春ミステリーベスト10」4位など評価を受け、2018年8月24日木村拓哉・二宮和也共演で映画化。

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