望み

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
3.94
  • (130)
  • (218)
  • (119)
  • (16)
  • (3)
本棚登録 : 1241
レビュー : 214
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041039885

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 2016/10/28

    少年の遺体が見つかった現場から逃走した2人、その後行方不明となっているのは3人...息子は犯人かそれとも
    読んでいる間ずっと鳥肌立ってた。どうなの、どっちなのって。被害者家族にも加害者家族にもなりたくない。苦しいのにもう一度読み直したくなる。今夜眠れるかな。

  • 自分の息子が行方不明となり
    どうやら殺人事件に巻き込まれたようだが
    加害者なのか被害者なのかが分からない
    どちらであったにしても地獄。
    そんな中、夫婦それぞれが子供の事を思っていても
    それぞれの考えが違ってしまうと
    これだけの葛藤が起きるのかと
    考え深かった。

    よくある少年事件であっても
    当事者たちは心身ともに
    そうとうな重荷を背負うことになると
    細かい描写でよく分かった。

  • 2016.10.20.ある日、息子の規士が行方不明になり、近くの高校生が無残な死体で発見される。その高校生は規士と友人関係であったらしい。建築士石川一澄、校正を仕事とする貴代美夫婦は突然、事件に巻き込まれる。家族にとっては心配てしかかない行方不明と思われた規士は警察やマスコミによって加害者の一員として認識されるようになる。例え死んでいても被害者てあってほしい一澄、加害者であっても生きていてほしい貴代美の気持ちはすれ違っていき、そして、加害者側か捕まりはじめわかる規士の運命。
    息子を持つ身としては身につまされる話だった。私の心の中にも加害者になるくらいなら被害者として死んで欲しいという気持ちはあるかもしれない。いろいろ考えさせられ作品だった。それにしても『世間』というもの、自分は正義の味方と思っているマスコミ、野次馬、なんとかならないものかとあらためておもった。

  • 自分の子が
    加害者であっても生きていて欲しいか。
    被害者として死んでいてくれた方が良いのか。
    と~っても難しい・・・
    私には答えは出せません。
    物語では殺人事件だったが、傷害事件だったら考え方もちょっとは変わるかもしれない。
    被害者がこの世に存在するのと存在しないのでは、大きな違いだから。

  • ○なんて残酷な検討であり、残酷な結末だったろう。主人公に感情移入しすぎて、涙も出なかった
    「望み」というタイトルだけからはなんとなく幸せな結末しか思い浮かべられないが、今回はどのような望みが実現されようとも幸せな結末にはならないだろう、ということを最初にネタばらししておく。

    建築家の石川一登は、校正家の貴代美と、高校生の息子・規士と中学生の娘・雅とともに、幸せに暮らしていた。一登と貴代美双方が順番に語る形式で本は進む。

    一登は、規士の素行が悪いということことを貴代美から聞き、部屋でナイフを見つける。注意し取り上げたものの、素行はよくはならなかった。
    ある日、規士がいつもは帰ってくるだろう時間にすら家に帰ってこない日があり、一登は貴代美にメールで帰って来いというように指示をする。その返信で「今は帰れない」とのメッセージがあり、その日のうちにある事故のことを耳にする。
    まさかその事故と、車に乗っていた遺体に規士が関わっているとは思いたくなかったが、警察やいろんな証言から規士も何らかのかかわりがあると知り、残された3人は狼狽する。

    警察の無感情な聞き取り。記者たちの容赦ない取材攻勢。
    ネットや巷で広まるうわさ話と、それに呼応したかどうかわからないが玄関にぶつけられる卵やペンキ。
    遺体になった少年がいる前提から考えると、被害者として殺されているか、加害者として殺しているか、である。生きて帰ってきてほしいという思いはあるものの、息子が犯人である可能性が否定できないということも、3人を混乱に陥れる。
    果たして、規士は無事に帰って来れるのか。そして、この事件への規士のかかわりはいかに。


    本当にあるニュースなのではないかと思うくらいにリアリティがあり、ニュースのウラに込められている関係者や遺族の心情がありありと見えてくる。
    雫井氏の作品には思い入れもあり、可能なら最後、幸せな涙で終わりたかった。
    けれど、そうはいかなかった。最後の結末では、主人公たちに感情移入しすぎて主人公たちと同じく虚無感に襲われてしまった。達観し、涙も出ない。ある意味では事件に巻き込まれた家族の喪失の物語なのかもしれない。

    未成年者事件報道や当事者・外野としてのふるまいのあり方も考えさせられたが、とにかくこの物語に引き込まれあなたも「当事者」として、イッキ読み必至だ。

  • 未成年の運転する自動車が事故を起こし、そのトランクからはリンチにあったと思われる少年の遺体が発見される。同じ時期、建築家・一登の息子も行方不明になり、事件との関わりが疑われる。行方不明になっている少年は3人。しかし、現場から逃走したのは2人。自分の息子は犯人なのか?それとも被害者なのか?父、母、そして妹の複雑な感情が細かに描かれる。自分の未来のことを考え、被害者であって欲しいと願う父。たとえ加害者でも生きていれさえすればと祈る母。一見、自分勝手に思ってしまうところもあるが、自分がもしも同じ立場になった時、やはり心は揺れ動くだろうと思うと、心が痛くなる作品。

  • +++
    東京のベッドタウンに住み、建築デザインの仕事をしている石川一登と校正者の妻・貴代美。二人は、高一の息子・規士と中三の娘・雅と共に、家族四人平和に暮らしていた。規士が高校生になって初めての夏休み。友人も増え、無断外泊も度々するようになったが、二人は特別な注意を払っていなかった。そんな夏休みが明けた9月のある週末。規士が2日経っても家に帰ってこず、連絡する途絶えてしまった。心配していた矢先、息子の友人が複数人に殺害されたニュースを見て、二人は胸騒ぎを覚える。行方不明は三人。そのうち犯人だと見られる逃走中の少年は二人。息子は犯人なのか、それとも…。息子の無実を望む一登と、犯人であっても生きていて欲しいと望む貴代美。揺れ動く父と母の思い―。
    +++

    絵に描いたような幸せな家族、の筈だった。思春期の子どもの心の中は、段々と親には読めないものになっていく。それは成長の過程で当然のことであり、親がなにもかも把握している方が却って不自然なくらいだろう。子どもが親と口をきくのを億劫がるのは、親に心配を掛けたくないという思いもあるだろう。そんなとき、親はどこまで踏み込むべきなのか。本作を読んだ親は、おそらく誰でも少なからず揺れるだろう。我が子を信じたい気持ちと、それでももしや、と不安になる気持ちの狭間で一瞬ごとに揺れ、気が狂いそうになるのは容易に想像できる。早く結末が知りたいという思いと、知ってしまったらそのあとどうしようという思いに、多くの読者が胸を揺さぶられたことだろう。どんな結末になっても、不幸でしかないということが、身悶えするほど切なくやるせない一冊である。

  • よかったです。
    行方不明の高校生の息子は加害者なのか被害者なのか?
    父親と母親の心理描写は、とてもリアルでした。
    自分がその立場だったら、父親の気持ちになるのか?母親の気持ちになるのか?
    読み終わって、ずっと考えても分かりません。どっちを望むのか。

  • 私だったらどうする。規士が自分の息子だったらどうする。
    行方不明の息子は加害者か被害者か…もし加害者なら、この先家族の暮らしは悲惨なものになる、何の罪もない妹の人生さえもズタズタにされてしまう。けれど、けれど、生きていてさえくれたらなんとでもやり直しができる。たとえ家族の人生が犠牲になったとしても。
    でも、もし被害者なら。大切に育てて来た息子はもう生きていない。息子が罪を犯すはずはない、と信じるなら、彼はもう生きていないことを肯定することになる。
    親として母親として多分心が半分に引き裂かれるだろう。信じたい、でも生きていて欲しい。
    息子の無実を信じたい、つまりもう生きていないだろう、と思おうとしている夫に対する妻の怒りと不信感、それもものすごくよくわかる。

    辛かった。読みながら辛くて辛くて。
    親が子どもを育てるときに、願うのはひとつ。この子が、被害者にも加害者にもなりませんように。ただそれだけなのに。

  • 父親母親どちらの望みも理解できる、がそれは第三者的な視点でみているからこそ、当事者となった場合…想像すら難しいが究極的には子に対する思いというのは一致するはず。
    結果が突きつけられるまでの望み方は父親と母親という違いでも変わってくるのだろうか、それも安易な考え…結末が逆だった場合はどうだったのだろう… 相当考えさせられたという点でよかった。
    しかし辛すぎる。

全214件中 41 - 50件を表示

著者プロフィール

雫井 脩介(しずくい しゅうすけ)
1968年、愛知県生まれの小説家・推理作家。専修大学文学部卒業後ひとたびは就職。出版社などを経て、1999年内流悠人(ないる ゆうと)という筆名で応募した『栄光一途』が第4回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し、2000年同作でデビューする。
2004年『犯人に告ぐ』が、2004年版「 週刊文春ミステリーベスト10」で第1位、2005年版「このミステリーがすごい!」で第8位、第26回吉川英治文学新人賞の候補として選ばれ、第7回大藪春彦賞を受賞。豊川悦司主演にて映画化・ドラマ化。代表作となる。
2006年に恋愛小説『クローズド・ノート』を発表し、沢尻エリカ主演で映画化。2013年刊行の『検察側の罪人』は2013年度「週刊文春ミステリーベスト10」4位など評価を受け、2018年8月24日木村拓哉・二宮和也共演で映画化。

雫井脩介の作品

ツイートする