望み

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
3.94
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本棚登録 : 1244
レビュー : 214
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041039885

感想・レビュー・書評

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  • (図書館本)お勧め度:☆6個(満点10個)。何ともい言いようのない小説だと思う。あまりにも切なく無慈悲に思える。それでいて、家族愛がそこかしこに見えてくる。最後の最後まで息子を信じてやることができなかった両親。自分の都合だけを考えていた娘。彼らを見守る親族や住民。いろんな柵が家族の存在を脅かしていく・・・。ストーリーは単純に高校生同士のもめごとからリンチにまで発展した事件。それに息子がかかわっているのか?あるいは加害者なのか?そういう立場に立たされた家族の苦悩を面面と綴っている。最後は悲しみしか残らない。

  • 自分の息子が、人を殺してしまったかも。
    もしくは殺されてしまったかも。

    あなたはどっちを望みますか?
    四人家族の建築家のパパのおうち。
    息子が突然行方不明になり、
    友達を殺してしまって逃走しているのかもと疑われます。
    マスコミにも警察にも近所の人たちにも。

    お母さんは息子が人を殺したとしても生きていてほしい。
    お父さんと妹は自分の未来のことを心配したりして、
    被害者のがいいかも・・・と
    それぞれ心の中で願う。そしてぶつかる。

    結果的に息子は死んでいたのですが
    結果が出ている中で家族が色々が状況にさらされ
    ただ愛情だけで人を見ることが難しいことが良く分かる。

    息子が死んでしまったらいやだけど、
    殺人をしてしまっていたらその後どうやって生活すればよいか
    生きていけるのか
    行きたい学校にいけるのか
    引っ越さねばなど色々な葛藤に襲われて
    綺麗ごとじゃない人間の心理が見える作品

  • 人間は社会的な生き物だと思う。自分らしく生きたくとも、他者からの評価も必要としている。常に他者と比べられ、他者を疑っている。学歴、職業、配偶者、子供……自分が望んで得たものであるはずなのに、社会に望まれる存在であるかをつい計る。
    その一方で、人間は夢や希望を見る。盲目的と思えるほど誰かを信じることもできる。
    矛盾しているようだが、人間は自分の価値観と他者の価値観の両輪ぇ生きているのだろう。

  •  自らがデザインした家に住み、時にはそれをお客さんに紹介しつつ建築デザインの仕事を続ける石川一登、フリーで校正の仕事をする喜代美、そして息子の規士と娘の雅。平和な4人の暮らしはある日一変する。規士の同級生が殺害され、その日から規士が行方不明になったのだ。一切連絡がとれなくなった息子は果たして加害者なのか、もしくは被害者なのか?

     加害者=この先の家族の将来はなくなる、被害者=息子は死んでいる。どちらになっても絶望的な中、生きてさえいれば更生の余地はあると願う母親の喜代美と、とても息子が加害者になるとは想像もできないから被害者の可能性の方が高いだろうと考える一登。双方、自分がどちらを望んでいるのかわからなくなったり、その意味を考えて自らを責めてしまったり、相手を責めたり。息子の行方がわかるまでの数日間の警察や近所の動き、家族の苦悩や葛藤が描かれている。楽しいと思えるものではないが、いろいろ考えさせられる話だった。最後、読者に結末をゆだねる終わり方もできるかなと思ったのだが、しっかり結論が出ていたのでその点は良かったかも。

  • 2019.5.3 読了


    高校生の息子が 最近
    悪い友だちと つるんでいるようだ。。。

    夏休み頃から 何日か帰って来なくなるとか。

    行方不明になったとき 町に事件が起きる。
    息子の仲のいい友だちが 亡くなった。
    息子とは連絡が取れない。

    果たして 息子は加害者なのか、
    被害者なのか?

    親としては 加害者でもいいから
    生きていてほしいのか、
    自分の息子は 人を殺すような子じゃないから
    被害者でもいい、のか?


    どうなっても ラストはモヤモヤしかなさそう。。。
    と思いながら 読みました。

  • 家を出たまま帰らない息子。
    息子が被害者になったかも知れない。いや、同級生を殺した加害者かもしれない。
    被害者であった場合は死んでいるだろう。
    加害者の家族として生きるなら、死んでいても被害者の家族として生きた方が楽だ。
    製紙が分からない息子への父の思い、母の思い、そして妹の思い。
    犯罪を犯した者の、家族の思いを描いた秀作。

  • 自分が大切に育ててきた息子が、殺人犯なのか、それとも、死んでしまっているのか。
    自分の息子が人殺しであるぐらいなら、いっそのこと被害者であって欲しいと望む父親。
    たとえ加害者であってもいいから、とにかく生きていて欲しいと望む母親。
    そんな切実で複雑な心境を、父親の立場から、母親の立場から非常に丁寧に巧く描かれてる。

    まだ自分の小さな世界しか見えてない年頃の娘の振る舞いや、社会に自軸をおいて考える父親と、家庭に自軸をおいて考える母親との意見の相違、愛犬ための散歩ですら呑気な行動に映ってしまう世論、マスコミやネットや世間の心無い行動、親戚の対応、義母の宗教的なこと、保守性の強い岐阜の土地柄の見え隠れ、家庭の象徴である家や建築的なこと、細かいディティールが他人事とは思えないほどリアルで諸所で「あるある」と共感してしまった。

    特に母親の立場で書かれている文章が、女性ならではの細かい心理描写が違和感なく描かれているのが素晴らしい。
    人の考え方の違いに偏りがないため、雑念なくその世界にすっと入っていけ、とても読みやすい文章ですらすらと読めた。

  • ある日突然自宅に帰らなくなった高校生の息子に対して, 父親・母親・妹やそれぞれを取り巻く人たちの話。
    状況証拠から, 自分の息子(家族)が被害者として絶命しているか, 生存はしているが加害者として逃亡しているかという究極の二択の望みに対する苦悩が綴られている。
    事件の真相が明らかになる最後, 特に父親の懺悔にも近い後悔の情が綴られているところは涙が自然と流れた。
    最近, 雫井作品を読み漁っているけど, 捜査機関サイドからのストーリーはついつい突っ込みを入れたくなって没頭できずに不完全燃焼で終わることが多かったけど, 法曹があまり絡まない展開のものは没頭でき, そして面白いと思えた。

  • 父は建築家、母は翻訳家、裕福でそれなりに幸せそうな石川家の長男、規士が
    ある日、外泊したまま帰らず、犯罪に関わったと思われる。
    規士は加害者なのか、それとも被害者として殺されているのか…。
    両親と妹の苦悩に、読んでいて苦しくなる。
    子を持つ親として、このような作品を読むたびに、怖くなる。

  • 加害者か被害者か…
    後半はどうなるか、心理戦になりつつ、どちらのご両親の気持ち、妹の気持ちが重なり涙しました。

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著者プロフィール

雫井 脩介(しずくい しゅうすけ)
1968年、愛知県生まれの小説家・推理作家。専修大学文学部卒業後ひとたびは就職。出版社などを経て、1999年内流悠人(ないる ゆうと)という筆名で応募した『栄光一途』が第4回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し、2000年同作でデビューする。
2004年『犯人に告ぐ』が、2004年版「 週刊文春ミステリーベスト10」で第1位、2005年版「このミステリーがすごい!」で第8位、第26回吉川英治文学新人賞の候補として選ばれ、第7回大藪春彦賞を受賞。豊川悦司主演にて映画化・ドラマ化。代表作となる。
2006年に恋愛小説『クローズド・ノート』を発表し、沢尻エリカ主演で映画化。2013年刊行の『検察側の罪人』は2013年度「週刊文春ミステリーベスト10」4位など評価を受け、2018年8月24日木村拓哉・二宮和也共演で映画化。

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