望み

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
3.94
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本棚登録 : 1250
レビュー : 215
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041039885

感想・レビュー・書評

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  • 犯罪被害者と加害者に関する小説は古今東西沢山有ります。人間の罪悪や善良は小説として大きな題材の一つなので当然だと思います。最近読んだ本の中でも一番多い題材でした。それも少年犯罪は加害者、被害者に加害者、被害者の保護者も絡む為、複雑な上に居たたまれないです。
    この本では主人公家族の息子が被害者なのか加害者なのか分からずに進んで行きます。まさに針のむしろです。加害者でもいいから生きていて欲しい母親、息子の潔白を祈る父親。潔白で生きているのがベストですが、状況的にもし加害者でなければほぼ生きてはいないという状況です。お互い息子を愛しながらもすれ違う夫婦、そして妹。
    角度を変えた方向からの一撃で結構効きました。単純な加害者被害者ではない色々な可能性。何もわかっていないのに世間から傷つけられる尊厳。マスコミに流された情報によって引っ掻き回される人間関係。とてもとても考えさせられました。

  • 評価は4.

    内容(BOOKデーターベースより)
    東京のベッドタウンに住み、建築デザインの仕事をしている石川一登と校正者の妻・貴代美。二人は、高一の息子・規士と中三の娘・雅と共に、家族四人平和に暮らしていた。規士が高校生になって初めての夏休み。友人も増え、無断外泊も度々するようになったが、二人は特別な注意を払っていなかった。そんな夏休みが明けた9月のある週末。規士が2日経っても家に帰ってこず、連絡する途絶えてしまった。心配していた矢先、息子の友人が複数人に殺害されたニュースを見て、二人は胸騒ぎを覚える。行方不明は三人。そのうち犯人だと見られる逃走中の少年は二人。息子は犯人なのか、それとも…。息子の無実を望む一登と、犯人であっても生きていて欲しいと望む貴代美。揺れ動く父と母の思い―。

    息子が加害者か被害者か・・・そりゃ~その後の家族も本人も人生が違ってくるので重要な事だ。それは分かる。しかも、この本はその部分に焦点を当てているだし。
    やはり高校生の死を思うと私は冷静にこの本が読めない。どんな理由があっても若者の未来を消しちゃいけない。

  • 途中まで私も両親と同じようにひやひやしながら
    警察からの連絡を待っていました。

    自分だったら……
    何度考えてもどちらの方が良いのか、
    判断がつきません。
    犯人でも生きていてほしいのか、
    死んでいても犯人じゃなければいいと思うのか。
    難しい…。
    答えは出ませんが深く考えさせられる作品でした。

  • 久しぶりに、続きが気になる本だった。息子が殺人事件の加害者(被害者)かも知れない……揺れ動く父と母、そして妹の物語である。結末はなんともいえない悲しさ。どっちに転んでもハッピーエンドにはならない作品だったのだけれど。こういう状況に陥った時に最後まで自分の子供を信じられるだろうか。難しい問いかもしれない。

  • 一気に読めたけど。辛い。辛すぎる。
    そして悲しい。
    子どもとはちゃんと向き合わないといけないなとか、そうはいっても思春期の時期は一筋縄ではいかないんだろうな、とか。色々と考えてしまった。

  • 2018 4/3

  • もしも、自分の息子が事件に巻き込まれたのならば。
    殺人犯でもいいから加害者として生きていてほしいと望むか、人を殺し断罪される生涯を送るくらいならば被害者であってほしいと望むか。
    究極の「望み」を描いた物語だ。

    建築デザイナーとして成功をおさめている一登と、校正者として在宅で働いている貴代美はふたりの子供に恵まれ、小さな問題はあれど穏やかな毎日を送っている。
    高校生の息子と中学生の娘は反抗期であったり生意気であったりはするが大きな問題はなく、このままの日々が続いていくと信じていたが、ある日、長男の規士が家を出たまま連絡がとれなくなる。

    最初は夜遊びの延長と考えていたが、近所で一人の少年の遺体が発見されたというニュースが報じられ、状況は一変する。
    行方不明の長男は、この事件に関係しているのか。関係しているのであれば、加害者なのか、被害者なのか。

    物語に大きな動きはない。
    一組の夫婦の数日間を描いているだけだ。
    ただ、丁寧に、揺れ動き、時に翻る父親と母親それぞれの思いが描写されていて読まされる。
    保身、愛情、不安、さまざまに乱れる心の動きがすごくリアルに伝わってきて、圧倒されるように読んだ。最後の最後まで、加害者と被害者どちらであれば救いがあるのかがわからなかった。どちらを望むのが親として正しいのかもわからなかった。

    加害者と被害者、まったくの対極にある存在なはずなのに、そのどちらであっても苦しむという事実の重さ、やりきれなさが胸を強く打つ。

  • 最後まで想定通りのストーリー
    ミステリではなく家族の話

  • 主役となるのはある家族
    序盤はその家族の構成説明

    父親は家のデザイナー
    埼玉?だかの自宅も自分でデザインし、事務所も敷地内にある
    お客に自分の自宅を見せたりする事もある

    子供は二人
    上は高校1年生の男子、サッカーをやっていたが怪我など諸々の事情で今はやっていない
    下は高校入試を控えた女子

    奥さんは子育ても一段落し、フリーの立場で校正の仕事をしている

    「絵に描いたような」と言える家庭だろう
    今の日本では中流以上と言えそう
    この作品全体を考えると、こういった設定でないとダメだったのだと思わえる
    普通の生活を描く中で、そういった家庭構成がわかってくる

    至って普通だったのだが、普通ではない事が起きる
    奥さんが長男の部屋で切り出しナイフを発見した
    一旦没収、この一件も作品全体の中では意味がある話

    長男が朝になっても帰ってこない
    まぁ高校生ならそんな事も、、、帰ってきたら怒ってやろうというレベル
    で、事件発生
    自宅のエリアで車のトランクから遺体発見
    車は事故を起こしており、その車からは高校生くらいの2人が逃げたという
    遺体も高校生

    高校生、、、?
    最初は少し気になる程度だった
    で、遺体の身元が判明
    長男の友達だった

    遺体は長男ではない
    では、逃げた高校生が長男?しかし、長男の日頃の態度を見るにそういったことをやらかす人間ではない。。。

    あるいは長男は二人目の被害者なのではないか?
    あのナイフ、、、長男はそういった危機を感じ取って自己防衛のために購入したのではないか?それを没収してしまった、、、自己防衛の手段を奪ってしまった
    そう考えると、まだ発見されていないが長男も被害者なのかもしれない

    長男が姿を消したタイミングなど、様々な状況を考えるとこの事件に長男が絡んでいることは間違いなさそう
    あとはどちらの立場でこの事件に絡んでいるのか

    この家族の葛藤が始まる

    実は遺体が父親と一緒に仕事をする事もある人の孫だった
    加害者だった場合、今の仕事はもう続けられない
    引っ越して一からというのも並大抵ではない
    被害者であれば仕事はまだ続けられる
    父親としては被害者であって欲しいという「望み」

    加害者であった場合、父親が仕事を続けられないのは母親も承知している
    ただ、母親は校正の仕事がある
    父親が仕事できなくても、自分の校正の仕事で一家を養っていける
    何より自分がお腹を痛めて産んだ子供
    被害者であってほしいというのは、はっきり言えば「遺体になっていてほしい」ということ
    そんな「望み」は持てない

    両親がギスギスしている中、長女も長女で加害者と被害者で自分の立場がどう変わるのか、自分の「望み」はどうなのか考える

    事件が終息していく
    まずは主犯が逮捕
    長男ではなかった

    もう一人の犯人も逮捕
    長男か?イヤ違った
    長男は既に殺害されていた

    そこから家族はまた葛藤
    結論は出た
    自分が望んでいた事は父親として正しかったのか?自分の子供の死を望んでいたのは正しかったのか?
    母親としてどうだったのか?
    妹としてどうだったのか?

    絵に描いた幸せが崩れる
    究極の立場を描いている
    素晴らしい作品でした

  • 読んでて辛かった。でも読んでよかった。

    自分だったら・・・どうなのか答えは出ない
    どちらか選べと言われることがない限り、割合こそ違えど
    父と母、両方の気持ちの間で揺れ動いてしまい、そんな自分が嫌になりそう

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著者プロフィール

雫井 脩介(しずくい しゅうすけ)
1968年、愛知県生まれの小説家・推理作家。専修大学文学部卒業後ひとたびは就職。出版社などを経て、1999年内流悠人(ないる ゆうと)という筆名で応募した『栄光一途』が第4回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し、2000年同作でデビューする。
2004年『犯人に告ぐ』が、2004年版「 週刊文春ミステリーベスト10」で第1位、2005年版「このミステリーがすごい!」で第8位、第26回吉川英治文学新人賞の候補として選ばれ、第7回大藪春彦賞を受賞。豊川悦司主演にて映画化・ドラマ化。代表作となる。
2006年に恋愛小説『クローズド・ノート』を発表し、沢尻エリカ主演で映画化。2013年刊行の『検察側の罪人』は2013年度「週刊文春ミステリーベスト10」4位など評価を受け、2018年8月24日木村拓哉・二宮和也共演で映画化。

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