望み

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 1233
レビュー : 211
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041039885

感想・レビュー・書評

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  • 魂が揺さぶられる一冊でした。
    著者の作品はすべて読んでいますが、
    その中でも、特に忘れられない作品になりました。

    高校一年生の少年が殺された。
    被害者は息子の同級生だった。

    現場から逃げる少年たちが目撃され、
    時を同じくして、行方がわからなくなった息子。

    犯人かもしれない…
    もう生きていないかもしれない…
    生きていたほうがいいのか、それとも…

    生きている。それは加害者であること?
    被害者であることは死を意味する?
    生きていてほしいと願うことは、信じているということなのか?

    望みなき望みの中で、翻弄される家族。
    父・母・妹それぞれの想い。 
    「僕は信じます。あいつはそういうやつじゃないから」
    純粋に息子を信じてくれる友達の存在がせつない。

    苦しかった…
    この家族に感情移入しすぎて、結末がわかるまで、ほぼ300ページ、
    たった数日間のできごとが、気が遠くなるくらい長かった。

    読了後、本を閉じ、目に飛び込んできた二文字。
    これほど堪え難く、哀しい『望み』を私は知らない。

  • 小説を読んで落涙したのは、いつ以来だろうか・・・
    同じような少年犯罪を扱った作品に、薬丸岳著『Aではない君に』がある。
    『A』が、犯罪を犯した少年の父親の苦悩を描いているのに対し、本作は、加害者なのか被害者なのかわからない立場の両親の懊悩に焦点を当てている。
    加害者でもいい生きていてほしいと望む母親に対し、父親は息子の無実を信じ、また世間との兼ね合いから被害者であってほしいと望む。
    事件を巡って、娘を含めた家族へのバッシング、無責任なうわさが拡散するSNS、取引先の豹変等々。そして事件は終幕へ・・・
    作者の筆力に絡めとられたまま、読み終えた。
    中高生を持つ世代の読後感は、自分の子供に限ってこんなことはないという安堵感か、それともこんなこともあり得るかもとの不安感か。
    読者に、家族のありようを問いかける感動作。

  • もしこの現実が自分の身に起こってしまったら、私はどうするのだろう。どんな現実になったとしても、それを受け入れる覚悟が出来るだろうか…。
    本文中で初めて「望み」という文字を目にしたとき、タイトルの重みをずっしりと感じた。どう変わっていくかわからない、家族を取り巻く環境。誰の望み通りになったとしても、悲しい現実からは逃れられない。先のことは考えても仕方がないと思いつつも、各々が想像の中で不安にとらわれていく心理描写に、こちらまで不安になる。物語は読者をも巻き込んでゆく。読む側の心境もページをめくるたびに変わるのだ。
    指の間をするすると零れ落ちていく常識、価値観、想い。正解はどこにもない。
    こんなに胸の苦しくなる物語は読んだことがなかった。私のように、思春期の息子を持つ家族だけでなく、すべての世代に読んでみてほしいと思う。

  • わが子には生きていてほしい、それが加害者としてでも。
    人を殺すような人間ではなかったと信じたい、結果、被害者だったとしても。
    両親どちらの思いも一理あり、正解が見つからない。
    共に胸が苦しくなる。
    揺れる家族の苦しみがひしひしと伝わり、読み応えがある。
    最後はぐっときた。

  • ブクログさんの献本企画で頂きました。
    ありがとうございました。

    二度と読みたくない…
    こんなにも悲しくて苦しくなる物語なんて二度と読みたくない。

    私には三人の子供がいる。
    その子供達の誰かがこの物語のように何かの事件に巻き込まれ、
    こんな結末を迎えてしまったら、どうやって受け止めたら良いのかわからないし、そのあとどうやって生きて良いのかもわからなくなっちゃいます。
    私はどちらを願うだろうか…
    加害者としての現実と被害者としての現実
    どちらにせよ待っているのは地獄だ。
    どんなに時間を費やしても、
    どんなに謝罪や自己憐憫を積み上げても
    答えなんか見つけられないんだろうな…
    出来ることならこんな境遇にはなりたくないなぁ

    自分が本作の当事者ような立場になったらどうしよう…
    そんな想像ってしたこと僕にもありますよ。
    ただ、あくまでも想像した事があるだけで、
    現実に自分や家族の身にこんな事件が起こった訳じゃない。
    だから日頃目にする事件事故の報道なんかを自分に当て嵌めて考えても当事者家族の気持ちなんて分からなかったし、こんなにも身近に感じる事なんかなかったです。

    だからこそ読んでいてムチャクチャ怖かった。
    もう「どうなるんだ、どうなっちゃうんだ」って気持ちが渦巻いちゃって…
    こんなにも苦しくて辛い心情ってどこでどうやって、探してくるんですか?事件事故に巻き込まれた家族の手記とか取材報告みたいなもの、いろんな資料を読み込んだら書けるんですか?

    この本をこの物語を読んで、スゴイ体験をさせてもらいました。
    けど二度と読みたくないです。
    正直、こんなにツライ体験をもう一回する気になれません。
    ただこの体験はものすごく大事な何かがある気がします。

    子供のいるお父さんとお母さんに読んでみて欲しい作品です。

    後悔すること必至ですが、
    内に残るものは大事なものかもしれません。

  • 息子の友人が殺された。行方不明になっている息子は、事件の加害者なのか、それとも被害者なのか――。家族、そして自分の未来を案じ被害者側であって欲しいと願う父。ただ、生きていてくれればいい...加害者側を切望する母。ネットやマスコミ、情報に振り回され続ける家族。何が誰が一番の被害者なのか。重くてとてつもなく長い数日間だった。貴方なら私なら、この結末に何を望む?それは望みなき望みだった。

  • 自分の家族が行方不明になり
    関連していると思う殺人事件が起きる。
    加害者なのか被害者なのか分からず
    ネットで色んな憶測が飛び交う中
    加害者のわけがないと信じるか?
    でもそれは死を意味すること…。
    加害者としてでも生きていて欲しいか?
    どちらにしても不幸で
    事件とは無縁に普通に生きられることのありがたさを思う。

  • 本を読んで久しぶりに泣いたぞ。

    「生きていてほしい」から加害者でもいい、と思う気持ち。
    「息子を信じる」からこそ被害者になっている、と思う気持ち。

    どちらも否定できないよ、親として。
    辛すぎる、親として。

  • 殺人事件が起こり、自分の息子がそのグループに関わっている事がわかった家族の葛藤。
    息子は加害者なのか、被害者なのか。

    自分の立場、家族のこれからを考え、息子が被害者であることを望む父親。
    加害者であろうとも生きていてくれることを望む母親。
    自分の未来のために、兄が加害者であっては困る妹。

    父と母の気持ちを交互に描く展開のため、結果に至るまでには助長気味ではありましたが、終わりが来るのは正直怖かったです。

    生きていて欲しいけれども自分の子供は信じたい。
    だからこそ、加害者なんだと信じこもうとしている母親が辛かった。
    どちらの立場も有り得ることだし、真実にたどり着くまでの時間こそがこの物語のキモだと思いますが、キツイです。

    高一の子が、夜帰宅しないことを、もう少し気に留めていたら、違った展開になったかもしれないのでは、と、これは物語のテーマにはそわない意見ですが、その時期を無事終えた親としては思わずにはいられません。

  • しずくい しゅうすけ

    石川一登(かずと)
    妻・貴代美(きよみ)
    高校生の息子・規士(ただし)
    中学生の娘・雅(みやび)

    殺人犯であってほしくないと望めば規士が死んでいることを願っていることになるし、生きていてほしいと願えば彼が人殺しであることを望んでしまう。

    一登、貴代美の両方の気持ち分かる
    どんな形であっても生きていてほしいと願う貴代美
    母親は強いと感じた
    小説で泣けるのあんまりないが泣けた

著者プロフィール

雫井 脩介(しずくい しゅうすけ)
1968年、愛知県生まれの小説家・推理作家。専修大学文学部卒業後ひとたびは就職。出版社などを経て、1999年内流悠人(ないる ゆうと)という筆名で応募した『栄光一途』が第4回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し、2000年同作でデビューする。
2004年『犯人に告ぐ』が、2004年版「 週刊文春ミステリーベスト10」で第1位、2005年版「このミステリーがすごい!」で第8位、第26回吉川英治文学新人賞の候補として選ばれ、第7回大藪春彦賞を受賞。豊川悦司主演にて映画化・ドラマ化。代表作となる。
2006年に恋愛小説『クローズド・ノート』を発表し、沢尻エリカ主演で映画化。2013年刊行の『検察側の罪人』は2013年度「週刊文春ミステリーベスト10」4位など評価を受け、2018年8月24日木村拓哉・二宮和也共演で映画化。

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