なぎさ (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 163
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (385ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041039892

作品紹介・あらすじ

故郷を飛び出し、静かに暮らす同窓生夫婦。夫は毎日妻の弁当を食べ、出社せず釣り三昧。行動を共にする後輩は、勤め先がブラック企業だと気づいていた。家事だけが取り柄の妻は、妹に誘われカフェを始めるが。

感想・レビュー・書評

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  • 色んな視点で語られる様は、とても面白い。ただ誰が主人公なの?と感情移入し難い面もある。
    あらすじ(背表紙より)
    故郷を出て佐々井と二人、久里浜で暮らす冬乃のもとに、連絡を絶っていた妹・菫が転がり込んできた。一方、芸人に挫折し会社員となった川崎は、勤め先がブラック企業だと気付いていた。だが上司の佐々井はどこ吹く風で釣り三昧。妹の誘いでカフェを始めることになった冬乃だが、夫に言い出せずにおり―。小さな秘密が家族と暮らしに変化をもたらしてゆく。生き惑いもがきながらも、人生を変えてゆく大人たち。傑作長篇!

  • 故郷を捨て、夫と二人で暮らす冬乃のもとに、数年ぶりに妹から連絡があった。
    居着いてしまった妹、屈折した感情を持つ姉、全てを抱え込む夫、何もかもが未熟な部下… 行き惑いもがきながらも人生を変えてゆく大人たち。

    冬乃と、冬乃の夫の部下、二人の目線がメインとなって物語は進んでいきます。
    妹の提案からカフェを始めることになり、そこから色々と好転していくのだと思ったけど一筋縄にはいきません。
    カフェ始めました、お店大繁盛、みんなハッピー、それじやあ、あまりに嘘臭い。
    もちろんそういう幸せほっこり小説もありだと思いますが、どん底を経験したからこそ気付けた大切なもの。とてもリアルに感じられた作品でした。

  • 2018.2.17 読了

  • 久しぶりの山本文緒さん。よくある日常、よくある話なのに読み手を揺さぶるのが上手でやっぱり好きだーと思った。

    ぐいぐい引き込まれるというわけでなく、クライマックス、どーんというのはないのだけどとてもよい作品。

  • 久々に読んだ山本文緒氏の作品。最近見かけないなとは思ってたけど、休筆してたとは知らなかった。それも鬱で。図書館で見つけて手に取る。
    最近夫となんだか上手くいっていない主婦の冬乃と、冬乃の夫の部下である川崎。どちらも生きにくい日々の生活の中でもがきながら人生を変えていく物語。
    うーん、読後感としてはさっぱりとして何も残らないというか、良くも悪くも休筆前の作品のような毒々しさはないというか。
    鬱を患っていたという先入観があるからか、登場人物たちの病的な危うさは伝わってきた。
    でも決してマイナスなイメージで終わるわけではなく、力強く一歩を前に踏み出すパワーを感じた。
    舞台である久里浜の海岸や、おしゃれカフェなど、その雰囲気を何となく味わっているだけでも楽しめた。
    2017/11

  • 休筆を経て、久々の長編小説。山本文緒さんの小説は大好きで全て読んでいたので、休筆は大変残念で、再開されてとても嬉しかったのだが、なぜかなかなか読む気持ちになれなくて今頃になってしまった。
    一読して、さすが山本文緒さんという感じ。「話したいのに話せない」「向き合いたいのに目を逸らしてしまう」ーーそんな心の機微を描くのが本当に上手だ。好きな作家は何人もいるが、登場人物に共感しすぎて心が苦しくなるくらいなのは、山本文緒さんだけではないだろうか。

  • 夫婦がそれぞれに悩みを抱えているのに、
    それが夫婦なのにある一定の隙間で保ち生活を送ってしまう。
    そしてそれがとうとう心身共にギリギリになったところで
    お互いの悩んでいた所にやっと踏み込むでいくという
    よくある夫婦のタイプでもありますが、
    これがお互いに信頼していたから言い出せないのか、
    それとも信頼できないから言い出せないのか。
    これは実際の夫婦でもギリギリのせめぎ合いがあるのでよく分かります。
    これが夫婦ではなかったらどんな風な展開になっていたのだろうかと
    思ってしまいました。

    その一方で芸人に挫折し会社員となった夫の後輩が
    程良い距離感で上手く付き合いながらも、
    一人しきれず夫婦とは違った青年らしい悩みを抱えて
    生き方を出していく姿が泥臭いですが
    自分に正直に生きている感じが好感を持てました。

    姉妹で良い仲だと思ったらまたここにも少しの隙間があったり。
    その原因にもなっているのがこの家族の秘密があり
    これが夫婦の悩みに少し加担したところもあり
    前半よりも後半はかなり状況が蜜になってきた場面が
    多くて思わずページを捲る手が止まりませんでした。

    妻が誰にも悩みを言うことが出来ず、
    自分の膝を抱えて泣き過ごしていくという気持ちが
    とてもいたたたまれなかったです。
    側に誰かいるのに誰も打ち明けることができなくなってしまうと、
    自分で自分を慰めるしかないかと
    大人になればなるほど孤独な世界があるかとこの本でも痛感します。
    けれど妻に仕事をはじめてから徐々に本来の自分を
    取り戻していく場面は、とても生き生きとしている環状が伝わり
    思わずそのまま頑張れと励ましたくなりました。

    夫婦とのあり方も大事だと思わせる作品でもありましたが、
    家族とは別に側にいて誰かいて励ましてくれている人の姿や言葉が
    とても心を動かされました。
    中でも
    「力まなくていいよ。
     生きていくということは、やり過ごすということだよ。
     自分の意思で決めて動いているようでも、
     ただ大きな流れに動かされているだけだ。
     成り行きに逆らわずに身を任すのがいいよ。
     できることはちょっと舵を取るくらいのことだ。」
    この言葉に私も背中を押された気持ちなので、
    辛く悲しくなった時には思い返したいと思っています。

    久しぶりに山本さんの作品を読みましたがとても心が温まり、
    夫婦、家族をはじめとして全てを取り巻く状況の中で
    それぞれに目を向けることに大切さ、
    そしてまた前向きになっていこうと思える作品でした。

  • 幼い頃から縁のあった久里浜が舞台なので読んでみた。久里浜感がちゃんと出てる。たまに横浜も登場する。あー、あそこの事だな。なんてそれぞれの場所が浮かんできて入り込みやすかったし、久しぶりに久里浜に行きたくなったな。
    3分の2くらいまでは色々ありつつもふんわりと話が進む。飽きることはないが、終盤一気に展開しあれもこれもどうなるの⁉︎ってまま終わってしまった…
    続きが読みたい。この人の文章は好きだ。
    所ジョージ似の韮崎さん、素敵すぎる。私もそんな人に巡り逢いたいもんだ。

  • 久々の長編。
    故郷を離れて夫と暮らす冬乃のもとに、妹の菫が現れ、静かで平凡な生活に変化が生まれる‥。
    複雑な事情が見え隠れする冬乃の実家。一方で本心をなかなか見せない夫の佐々井。不思議な均衡を保つ彼らを、絶妙な視点で描写する佐々井の部下川崎。
    ああ、そうだった。この描き方が作者だった。と思う反面、こんなに分かりやすく希望を残したラストを描くのだったか、と意外な感じがした。

  • 平坦なまま物語が進み飽きも感じられる頃ラストに向かい「毒親」の出現やらで抱えていた闇の深さに気付く。
    サラっと書いてあるけどブラック企業だったり毒親だったり闇を書くのが上手いと思う。

    山本文緒さん昔たくさん読んだのですごく懐かしかったです。もっと最新作が読んでみたい。

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著者プロフィール

1962年11月13日横浜生まれ。 神奈川大学卒業後、OL生活を経て、87年「プレミアム・プールの日々」でコバルト・ノベル大賞、佳作受賞。 99年「恋愛中毒」で第20回吉川英治文学新人賞、 2001年「プラナリア」で第124回直木賞受賞。

「2016年 『カウントダウン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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