泣き童子 三島屋変調百物語参之続 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
4.22
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本棚登録 : 605
レビュー : 60
  • Amazon.co.jp ・本 (475ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041039915

作品紹介・あらすじ

おちか一人が聞いては聞き捨てる、変わり百物語が始まって一年。三島屋の黒白の間にやってきたのは、死人のような顔色をしている奇妙な客だった。彼は虫の息の状態で、おちかにある幼子の話を語るのだが……

感想・レビュー・書評

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  • 宮部みゆきの人気シリーズ第三弾。連作短編。

    【魂取り】
    いいハナシ♪顎無し夫に情が湧いた瞬間の描写が、キュンとくる。
    短気は損気 ならず 悋気は損気 

    【くりから御殿】
    長坊の胸の中にだけあったくりから御殿。彼を40年の呪縛から解放したのは、妻のお陸。
    夫婦っていいな、と、しみじみと。
    通勤電車で思わず落涙(恥)。

    【泣き童子】
    表題作だが、好きではないハナシ。
    単なる「世にも奇妙な物語」的な展開&結末なら、なにも宮部みゆきでなくとも読もうと思えばいくらでもあるはず。宮部さん“らしさ”が欲しかった。

    【小雪舞う日の怪談語り】
    小編×5、みたいな一編。千里眼じいさんの一言に、胸がスカッとさせられた♪
    青野先生の再登場にもニンマリ。
    半吉さんの“紅半纏”に聞き覚え(読み覚え)が・・・。彼の生国はたしか西の方だとか。宮部作品『孤宿の人』の舞台かしら?
    井筒屋七郎右衛門も、再登場でお目にかかれそうな予感。

    【まぐる笛】
    手に汗握るホライックな展開。
    東北の山村のことだと言い、“まぐる”退治は女性が受け持つという設定といい、ちょっと前に読んだ「荒神」と地続きの物語なのかと思った。
    ・・・が、違った模様。

    【節気顔】
    <商人>登場。シリーズ1作目に出てきて再登場の匂いを残していった奴(シリーズ通しての敵として立ちふさがる予感)。そのときは確か<家守>だったかと。
    “顔”を貸すことで死者と生者の心を繋ぐ「仕事」は、ある意味で有意義であろうかと思う。

    ーーーー全体ーーーーー
    安定の連作もの。次巻に期待。

    ★4つ、8ポイント。
    2017.11.27.新。

  •  おちかが様々な人の不可思議な話を聞いていく、三島屋シリーズ三作目となる連作短編。

     今回も宮部さんの技が、あますことなく発揮されている短編集となっています。

     まずなんといっても今作は今まで以上に話のバリエーションが豊か! 第一話目は、おちかと同じ年くらいのまもなく結婚を迎える女の子が話の語り手となりますが、これがまさかの恋バナ(笑)

     怪談的な要素もしっかりと含みつつも、女の人の嫉妬だとか欲だとかを、可笑しさを交えて語ります。これを読んで改めて宮部さんの作風の幅広さを感じさせられました。

     続く二編目では、かつて鉄砲水で故郷を失った男性の語る不思議な夢の話。

     なぜ自分だけ生き残ったのか、そんな疑問を持ち続ける男。一度生死の境をさまよったときに、男は友達の夢を見るのですが、その時に語られた男の思い。それを聞いた妻の思い。いずれもべただけど、心にじんわりと染み入ります。ほのかな暖かさを感じさせる、これもまた素晴らしい短編です。

     可笑しさ、暖かさはもちろんのこと、人の怖さを感じさせる怪談もばっちりと取り揃えられています。表題作の「泣き童子」は、骸骨のように痩せた男が語る不思議な子供の話。一切しゃべらない男の子が、ある時だけ、火が付いたように強烈に泣き出すのです。その真相は?

     これは語り口が絶妙な短編です。話を聞いていけばいくほどに、男が抱えた罪の重さ、闇に深まっていく感覚が伝わってくるのです。そういう意味では、この短編集の中では最も読み応えのある作品だと思います。

     ほかにも村を襲う怪物の話や、一定の期間ごとに一日だけ顔が、死者のものに変わる男の奇妙な晩節、さらには
    おちかが他の百物語の会に参加するなど、各編非常にバラエティー豊か! 特に驚いたのが、おちかが百物語に参加する回で、4人の人がそれぞれの物語を披露するのですが、これがいずれも、本編とそん色ない完成度だということ。いつになったら宮部さんのネタは尽きるのでしょうか…

     シリーズ三作目となり、単に怖い、恐ろしいだけでない様々な味わいあふれる怪談物語が増えてきたという印象です。宮部さんによるとそれもおちかの聞き手のスキルが上がってきたから、ということで、今回の事件を通し、またスキルを積んだおちかがどんな話を聞いていくのか、非常に楽しみです。 

  • 恐ろしいものが冷たい温度を持って、隣や背後に音もなく座っている感覚を、文字だけでこうも表現できるのかと、毎回このシリーズを拝読するたび震えるものです。
    底冷えする恐ろしさを携えながら、おちかちゃんが普通の娘のように振る舞えるようになっていくことだけが、ほんのりと暖かく、それを見守ることで読み進められるような気がしています。いやほんとに怖い。恐ろしい。

    余談ですが、この中の「まぐる笛」を旅行中のバスで読み進めておりました。山形から仙台空港へ向かう山中、この恐ろしい話の舞台が「奥州」だと知った時、夕暮れの窓の外を見つめながら、もう読みたくない…(怖くて)と天井を仰いだ次第であります…。ぞっとした。

    怖い怖いと申しておりますが、ほっこりしたり、涙に濡れたり、十二分に心揺さぶられる内容となっておりますので、人様を選ぶものの、おすすめしたい逸作であります。是非。

  • 三島屋のおちかちゃんが聞いて聞き捨て語って語り捨てをする
    黒白の間のお話。
    第三弾待ってました!
    タイトルの泣き子童子はなかなか…背筋がぞくりとするような世にも不思議な赤ちゃん。
    人間の業ってこうやって読むとすごいなーと思う宮部みゆきワールド。
    とんでも化物が出てくるまぐるという妖怪?に対峙する語り手の母の話は
    読むと結構エグいなーと。
    数十年前に遊んだ仲良しだった友の話くりから御殿とか。
    ドキッとしたり切なかったり、今回も当たり。

  • 三島屋シリーズ第3弾。

    聞き手のおちかと彼女を支える三島屋の人達との、安定した温かいやり取りに癒される。
    今回もちょっと怖くてゾクゾクする話あり、じんわり心に染みる話ありと楽しめた。

    特に東日本大震災のすぐ後に発表された『くりから御殿』は言葉に詰まる位切なく泣ける。
    仲良しの幼馴染み達との切なくも儚い「かくれんぼ」。
    そして優しい「いけず」。
    いくつになっても何十年経とうとも、決して忘れることの出来ない大切な幻。
    宮部さんの震災に遭われた方々への想いが伝わってくる。

    この百物語はおちかにとっても私にとっても「心の煤払い」のような存在になっている。

  • ”三島屋変調百物語”第3集。
    凄惨な表題作、怪物パニックホラー「まぐる笛」、主人公と石仏の優しいやり取りに心温まる「小雪舞う日の怪談語り」、3・11後文学として胸を衝かれる「くりから御殿」などなど。
    第2集で登場した新キャラが活躍する話が多い。それがそのまま、物語世界の広がりを示しているようにも。

    詳しくは此方に。
    http://rene-tennis.blog.so-net.ne.jp/2017-02-20

  • 好きなシリーズの一つです。今回百物語にふさわしい読んでいても怖いな、と思う語りから怖いんだけどちょっと微笑ましい語りまでバラエティー豊かで次々読み進めたくなりました。

  • このシリーズを引っ張るのはちかと利一郎の成り行きかと思っていましたが、そればかりではないようです。
    今後の展開が気になる、さすが宮部さんだなと思わせる終わり方です。
    次作の文庫化が今からたのしみ♪

  • シリーズ3作目にふさわしい内容でした。
    ひとつひとつの物語がすごく読み応えありました。
    さすがは宮部さんですね。
    宮部さんの時代物にはずれ無しです。

  • 「おそろし」「あんじゅう」に続く「三島屋変調百物語」シリーズの最新刊。

    第五話の「まぐる笛」は『荒神』のモトになったお話でしょうか? 「まぐる笛」の初出が『オール讀物』2012年8月号で、『荒神』の朝日新聞連載は2013年3月からだったから、こちらが1年半くらい早いということになります。ちょうど『シン・ゴジラ』を見たばかりだったので、「まぐる」の外見はゴジラっぽいものを想像しながら読みました。

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