代償 (角川文庫)

  • KADOKAWA (2016年5月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (464ページ) / ISBN・EAN: 9784041039922

作品紹介・あらすじ

平凡な家庭で育った小学生の圭輔は、ある不幸な事故をきっかけに、遠縁で同学年の達也と暮らすことに。運命は一転、過酷な思春期を送った圭輔は、長じて弁護士となるが、逮捕された達也から依頼が舞い込む。「私は無実の罪で逮捕されました。どうか、お願いです。私の弁護をしていただけないでしょうか」。裁判を弄ぶ達也、巧妙に仕組まれた罠。追いつめられた圭輔は、この悪に対峙できるのか? 衝撃と断罪のサスペンスミステリ。

みんなの感想まとめ

緊張感に包まれた物語は、主人公圭輔が幼少期に経験する過酷な運命から始まります。彼は、運命のいたずらによって幼馴染みの達也と関わることになり、その関係は次第に忌まわしいものへと変わっていきます。達也は冷...

感想・レビュー・書評

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  • 1.著者;伊岡氏は小説家。50歳の時、夫人からやってみればと言われ、専業作家になる。広告会社勤務を経て、「いつか、虹の向こうへ(約束)」で横溝正史ミステリ大賞受賞。他にも、日本推理作家協会賞や徳間文庫大賞を受賞。モットーは、「人間の実像を突き詰めていくと、家族に集束していくしかない」。
    2.本書;本書は、サスペンスで二部構成。第一部;圭輔(主人公)は、平凡な家庭に育った。しかし、不幸な事故で両親を亡くし、遠縁に引取られ過酷な思春期を送る。生活は奴隷とも言える酷さだった。第二部;大人になった圭輔は、弁護士となる。そこへ強盗殺人容疑の達也から弁護の依頼が舞込み、引受けます。達也の巧妙な罠に翻弄されながら、過去の因縁に決着をつける姿を描く。
    3.個別感想(印象に残った記述を3点に絞り込み、感想を付記);
    (1)『第一部の11』から「校外学習で、養豚場を見学に行った・・。きれいに掃除された豚舎で、大切に飼われていた。今の自分(圭輔)は、あれよりひどい生活をしていると思った。臭くて狭いゴミだらけの部屋で、ぷんと臭うような惣菜を買い、着るものは三日に一度ぐらいしか洗濯させてもらえない。もちろん、新しい服など買ってくれる訳がない。・・優しい言葉をかけてくれた友人達も、髪をべたつかせ異臭を漂わせている圭輔に、近寄りたくないのは仕方がない」
    ●感想⇒圭輔は突然両親を亡くす。小学生の圭輔の面倒見で、親戚は誰も引取れないと逃げ回る。遠縁の道子と達也親子と暮らす事になるが、道子の狙いは金目当てで親代わりなどする気は無い。酷い生活とは、「理髪店に行かせてもらえないので、鏡を見ながら自分で刈った髪、サイズの合わないワイシャツ、・・」等と。食事は、家族とは違い粗末なもの。小説とは言え、こんな鬼女がいるのかと、気が滅入ります。自分達の生活と異なり、圭輔には必要なものを与えないどころか、奴隷のようにこき使う道子には人間の血が流れているとは思えません。圭輔は施設で暮らした方が幸せだったかも。こういう事は、類似の経験がないと理解が難しく、他人事に思えるかもしれません。手前事ですが、私は母子家庭で貧乏でした。子 供ながらに辛い事もありましたが、圭輔とは違い、実母と暮らせただけで幸せでした。世間には悲惨な生活を強いられている人もいます。他人事と言わず、自身の現状に感謝の心を持ちたいものです。
    (2)『第二部の4・7』から「今は、牛島夫妻と圭輔の三人暮らしだ。もしも、この人達と出会えてなければ、自分はいったいどんな人生を歩んでいたかと考えそうになるだけで、いまだに吐き気にも似た肌寒さを覚える」「・・圭輔も牛島夫妻の強い勧めで高校進学を果たした。アルバイトに励んだが、圭輔が稼 いだ金を牛島夫妻は受け取らなかった。それどころか、七百万円も大学進学の資金にするための定期預金にしてあると告げられた。・・収容所の如き家から救い出してくれた上に、実の親のように接してくれ、家庭というものを思い出させてくれた牛島夫妻にが、返しきれない程の恩があると圭輔は思っている」
    ●感想⇒圭輔は、前述で書いたように両親と死に別れ、悲惨な生活を送りました。その後、幸いにも牛島夫妻に面倒を見てもらい、大学に進み弁護士になりました。「捨てる神あれば拾う神あり」と言いますが、圭輔は前途に光明を見出しました。❝良かった❞。私事です。とても高校進学出来る家庭ではなく、定時制高校に進み勉学。昼間は働き、夜間に学びました。そこで出会った人々に勇気や支援を貰いました。親友とは、休日に図書館で勉強し、ささやかな贅沢であるラーメン一杯を「汁まで飲むぞ」と励ましあったものです。昼間の仕事では関係者の支援で受験勉強する環境を作ってもらい、大学進学し、卒業出来ました。誰もが育った環境が違うので、良い事ばかりではないと思いますが、与えられた条件の中で精一杯頑張るしかないと思います。苦しい時を忍耐強く乗り越えれば、きっと勝利の女神が微笑むでしょう。
    (3)『第二部の14・18・19・30』から「達也は、人の心を乗っ取る天才なんだ。怒りや悲しみや猜疑心を与え続けて、判断力を奪う。そして、自分の思い通りに相手を動かすんだ」「他人の人格を汚す事、破壊する事に喜びを見出すのです。他人が不幸になる事がうれしくて仕方ないのです」「世の中には矯正できない人間がいる。達也がそうだ。こいつは世の中に存在してはいけない邪悪な化け物だって」「一つ確かなことがある。怪物は達也ひとりじゃないってことさ。それこそ、そこら中にいる」
    ●感想⇒組織や人材育成で❝262の法則❞という理論があり、人の集団でも適用されます。本書を例にとれば、❝善人(20%):普通人(60%):悪人(20%)❞という事でしょうか。私の定義でいえば、「善人=人の気持ちを理解し、気配りが出来、社会のルールを守り、弱い者いじめをしない人」です。悪人は、善人の裏返しです。オレオレ詐欺や投資詐欺で金品を騙し取る輩等は悪人の中で少数派ですがいるのです。達也は、「他人の人格を汚す事、破壊する事に喜びを見出すのです。他人が不幸になる事がうれしくて仕方ない」人間です。私はこれ程の悪人は知りません。しかも、「怪物は達也ひとりじゃないって事さ。それこそ、そこら中にいる」。付き合う人の見極めが重要ですね。
    4.まとめ;伊岡氏のベストセラーミステリー。第一部は、どこにでもありそうな人間模様の中で、幼い圭輔の虐げられた生活を読み、感情移入する私でした。圭輔の将来に気をもみ、第二部を一気に読みました。達也は、「一か月が経つ今も、ベットから起き上がれず」になる。バチが当たったのかも。伊岡氏曰く、執筆動機は「全く人を顧みない、全く反省しない根っからの悪を書いて見たかった」と言います。ストーリー展開はまずまずの出来栄えです。しかし、私は個別感想でも書いたように、個人的体験も影響して、❝奴隷のような幼少生活を送った圭輔❞と❝人を貶め続ける達也❞の対比に心が引かれました。書中の「 人は一人では中々悪に立ち向かえないが、仲間がいれば勇気も気力も沸く」に賛同です。人間は集団の中で生活しています。個人で解決できない問題は、悩む前に信頼のおける人の意見を聞く事です。最近、頻発している詐欺に遭遇したら、先ず相談ですね。 (以上)

    • 土瓶さん
      私事が凄いですね。
      尊敬します。
      私事が凄いですね。
      尊敬します。
      2024/09/07
    • ダイちゃんさん
      プライベートな事を書き過ぎました。失礼しました。
      プライベートな事を書き過ぎました。失礼しました。
      2024/09/08
    • 佐方さん
      星5つ
      星5つ
      2026/01/04
  • 伊岡瞬さんの作品を読んでみようと思い、このアプリで一番登録されていたこちらの「代償」を選択。

    緊張感に似た不穏な空気感が常に漂っているような物語だった。

    物語は2部構成。主人公である圭輔の小学6年生から24歳迄の幼馴染み達也との悲壮の仲合が描かれている。
    この因果とも運命とも感じられる二人の相関がとても忌まわしく、とても苦々しい。

    1部では両親を故意なのか事故なのか分からぬ状況で亡くし、傷心で幼すぎて少ない選択肢の中からいいように強引に他人に踏み込まれるだけの圭輔。
    一方達也はある程度のパワーバランスの地位を築いており、その頃からサイコパスに似た犯罪者特有の色に染まっている。

    物語は終始達也が事件やら問題やらの起点であり、圭輔が自分の不遇の根本に頭を悩ますという展開。
    達也は頭が良く度肝も強く、圭輔も頭はいいのだが肝心の心が弱い。そして幼い。

    2部では成人し圭輔は駆け出しの弁護士として法律事務所で働いている。そこに圭輔名指しで達也から弁護依頼。

    その後は終始達也が嘲笑う様に一歩も二歩も出し抜いてくるのだが、その姿は圭輔もだが読者も気に触り癇に触る。犯罪者や詐欺師特有の軽さと口の上手さ、そういった狡猾さががそう思わせる。
    実体がないとも見えるが自分には達也には温情がないのだろうと感じた。凄く野生動物的でありサイコパスとも少し違うかと感じた。

    「代償」というタイトル、起きてしまった事柄にどう向きあうか?どう自分と折り合うか?
    読む前と読後でこのタイトルに感じていた言葉の意味合いが変わっていることに気付く。

    あいにく自分の近い所に達也みたいな輩はいないので一安心だが、いつどこで逢うかもしれないし、何かのきっかけで誰かがそうならないとも言いきれない。
    自分の目と感性を磨くしかない、自分のために、家族のために、仲間のために、そう考えさせられた。

  • 伊岡さんの本は6冊目。
    これはおもしろかった。特に後半は一気読み。
    今まで読んだ伊岡作品の主人公たちはあまり好きになれなかったが、今回は圭輔が聡明だからかな。
    寿人も賢くて冷静で、素直に二人を応援できた。

    対してどうしようもなく鬼畜な親子。次第に明らかになっていく事件の真相。どんな『代償』でも足りない。目には目をという気持ちで読んだが、この程度じゃ全然懲りないでしょ。どうしたって反省なんかしないんだろうなぁ。

  • 伊岡さん曰く、全く人を顧みない、全く反省しない根っからの悪を書いてみたい。それが、許せない気持ち悪さが滲み出る「代償」です。
    小学6年生の圭輔は、平凡な家庭の穏やかな生活を送っていた。その日常を崩壊させたのが、左目の上に痣をもつ達也、そしてその親。この二人の悪党ぶりの描写が際立ちます。
    圭輔が、父母の焼死について秘めた償いの代償は、大きく、彼を過酷な思春期へと誘う。
    圭輔が、彼の弱さから巻き込んでしまった少女への代償は、達也に罪を償わせること。
    生まれもった悪党達也の数々の罪へ相応しい代償を求める事ができるか。
    小学生だった圭輔は、弁護士となり、第2部は、過去への精算のリーガルサスペンス風。
    小説だから弱みの無い悪党が描けるだけでなく、社会に潜む現実の悪党が存在するであろうことに悪寒がする。

    • みんみんさん
      ちゃんと気づきましたよ♪
      読後感はいかがですか?
      スッとはしないのかしら_φ(・_・
      ちゃんと気づきましたよ♪
      読後感はいかがですか?
      スッとはしないのかしら_φ(・_・
      2023/02/14
    • 土瓶さん
      見つけた( ´∀`)bグッ!
      次は「本性」とか「祈り」を入れ込むのかな。
      見つけた( ´∀`)bグッ!
      次は「本性」とか「祈り」を入れ込むのかな。
      2023/02/14
    • おびのりさん
      読んでいただきありがとうございました♪
      読んでいただきありがとうございました♪
      2023/02/15
  • 物凄く面白かった!
    基本犯人は残酷だったり、サイコパスな犯人が多いが…

    ぃやぁぁぁ…達也は強烈でした…
    卑屈、狡猾、卑猥…トップオブクズ!!

    ストーリーや、犯罪事態の流れは先読みしやすいんですが…達也の言動や、とる行動が毎回クズすぎて驚かされた…
    彼の中に正義も悪も愛情も…なんなら理由も何もない…

    伊岡さんの作品で1番引き込まれたなぁ…

  • 伊岡瞬さん初読み。
    結論から言うと、面白かった!
    展開がスピーディーでグイグイ読ませてくれます。

    作者は根っからの悪を書きたかったそうですが、マジで悪すぎて超絶ムカつきながらも、ページを捲る手が止まらない。

    ラストもハッピーまではいかないまでも納得でした!オススメです!

  • 伊岡瞬 著

    遅ればせながら…読了。
    本棚には登録してない別の本もつまみ食いして寄り道しながら(^^;; やっとこさ。

    これは気合い入れて読もうと思ってた作品。akodamさんにご紹介頂き、ありがとうございます。伊岡瞬さんの魅力に浸りつつ楽しめました(^^)
    楽しめたと言っても、イヤミス風のこの作品は、読んでいてやるせないと言おうか…気分悪くなるほどの(ㆀ˘・з・˘)怒りを溜めながらの読書(・・;) こんな悪魔のような(いや悪魔だ!)サイコパス野郎!(おっと失礼(-。-;ついつい悪い言葉を使ってしまった(~_~;)それほどに作品に登場する達也に苛立ちより憎しみと憤りを感じながらも圭輔のことが気がかりで、読む手を止められず読み進められた。

    内向的な圭輔に対して達也は大柄で敏捷、野性的な雰囲気を漂わせ、上辺は如才なかったが、その半面、下品で冷酷そうな一面も見せており、圭輔は最初からウマが合わなかったと感じている。大体こんな下品でタチの悪い達也の性根の腐ったようなヤツが小学生の頃から上辺では調子よく如才なく世渡りしている態度が一番気に食わないし、要注意人物だと思う(ワタシの一番嫌いなタイプ~_~;)
    圭輔!しっかりしてよ!(心の声)
    何で声をあげないんだ!と歯痒く思う気持ちが苛々を押し上げてゆくけれど…考えたら、おとなしい性格も相まって、まだ小学生だもんね…(-。-;仕方ないよね。
    正義感に燃えていた小学生の頃の自分を思い出してたら、おてんば娘だった自分でさえ、マインドコントロールされているわけではないが、相手の無遠慮で強気な態度に圧倒され、自分一人では対抗出来ないほど非力を感じまだ小さく弱い存在だったのかもしれないって思えてきた。
    そういえば、言えなかった、言いたくても無意味に感じて、俯き、言葉をのみこんだことも沢山あった気がする、、子どもなのに…子どもだからこそか。
    今だから、思うのだ!大人になって良かった〜(かなり意味が違うけれど(・・;)
    それにあり得ないような状況や想像にも及ばない不幸に圭輔は見舞われたのだ。まだ小学生の頃に…( ; ; )独りぼっちに追い込まれ、相談したい一番頼りにしていた存在の両親を失う喪失感は一体どれほどの辛さ、悲しみだったんだろう、きっと想像することさえ出来ない。
    それがこんなかたちでの出来事であれば、
    そうならざるを得なかったのかもしれない。
    気の毒さと詫びる気持ちがごっちゃになりながら、冷静な判断が出来ない年頃で、噛みつき叫び立ち向かうことがすべてなのではないのか…と改めて考えさせられた。
    地道で静かに衝動を抑え物事をそれなりに見極めた結果の冷静さが、弁護士という職柄に圭輔を手繰り寄せたのかもしれない。
    気弱に見える実直な彼は弁護士に向いてないような気もする反面、だからこそ、人の思いに真摯に向き合う弁護士という職業は天職とも言えるのかもしれない。
    随分、持論を息巻いて横道を逸れてしまったが、弱者の再生譚を軸にじわじわとこちらを追いつめてゆくような、作者伊岡作品のプロットは見事で、思わず物語に、はまって読ませてもらい堪能することが出来ました。

    題名の『代償』から、人を顧みない、全く反省しない根っからの悪者に対して、どのように制裁を加え、代償を払わせてくれるのか⁉︎
    期待と憤りを落ち着かせる着地点を探しながら、
    一気に読んでしまいましたが、結局何らかの決定的な証拠やこれまでやってきた非道な行いや罪深さを問うても、反省どころか意に介せず他人事のように楽しんでいる者に対して、虫唾が走りこのままでは気分がスッキリしない(−_−;)と思えたけど、反省することなどないのだ、こういう人間は!

    だから『代償』か…。
    本作品のタイトルの意味が自分なりに腑に落ちた気がした。

    • akodamさん
      hiromida2さん、おはようございます!
      本作で芽生えたあらゆる感情と思いの丈がひしひしと伝わってくる私の大好きなhiromida2さん...
      hiromida2さん、おはようございます!
      本作で芽生えたあらゆる感情と思いの丈がひしひしと伝わってくる私の大好きなhiromida2さんレビュー、美味しゅうございました(*´﹃`*)

      そうなのです!私はいつも作品通読後にすぐ表紙と表題名を眺めるのですが『あぁ、だから代償なんだ』とひとりごちました。

      しかしhiromida2さんの小学生時代、正義感が強くておてんば娘だったとのこと、とても想像つきニヤリしました( ̄∀ ̄)

      素敵なレビューありがとうございました^ ^
      2022/06/18
  • 平凡な家庭で育った小学生圭輔は、ある不幸な事故をきっかけに遠縁で同学年の達也家族と暮らすことに。その後達也や達也の母道子のせいで過酷な思春期を送る。でもある出会いで圭輔は救われる。
    大人になり圭輔は弁護士になる。そこへ逮捕された達也から弁護依頼がくる。
    裁判を弄ぶ達也、巧妙に仕組まれた罠。追い詰められた圭輔は達也とどう対峙するのか...

    達也がもう本当に根っからの悪いやつ。胸糞悪いとはまさにこのこと。
    達也が登場すると眉間に皺がより、険しい顔で読んでいた気がする。
    圭輔の弱腰にもイライラするが、寿人の存在が救いに。
    胸糞悪い展開ではあるが、どう展開して行くのかが気になってほぼ一気に読めた。
    ラストはもっと代償を!とも思うところもあるが、きっと圭輔の望む形で進んでいくんだろう...と願う。
    グイグイ引き込まれ、あっという間に読め、面白かった。
    ★4.5

  • 途中で何度も読むのを止めようかと思うぐらい気持ちが暗くなる。
    小学生なのに悪行三昧を繰り返しながら生きている達也と、気が小さくて行動に起こせない主人公の圭輔。達也は自分の継母だけでは無く、圭輔の母まで欲望のおもむくまま性欲を満たす。また、圭輔の両親の死亡まで達也の仕業のように見え、自分の犯行を仄めかすも圭輔は何もできない。この辺がやり切れない。何人かの手助けがあるものの、この人達も毒牙に掛かってしまう。
    二部は一転して圭輔が弁護士になっていたが、救い手が居てのことで、ホッとする。ここでまた圭輔は達也に嵌ってしまう。達也の弁護をなぜ拒否しないんだと、つい怒ってしまう。
    窮地に嵌ってからの反撃にやっと面白さが出てくる。最終的な判決も恋の行方も無いのが寂しい。
    直近で誉田さんの胸糞の悪いマインドコントロールの殺人事件の小説を読んだばかりだったが、同様な人物の犯罪事件だった。

  • 初伊岡瞬作品。
    長きに渡り積読で寝かし続けていたが、もっと早く読めば良かったと思うほど夜を徹して一気読み。

    登場する悪役の非道たるや否や(あかん、めっちゃ腹立つ、ごっさムカつく)と久々に怒の感情が湧き上がったほど、物語に惹き込まれた。

    結末に望んだ悪への制裁は、罰は、正義への代償は、私には少々物足りなかったのだけが残念だったが、他の積読本も楽しみに感じさせてくれた作品であった。

  • 「痣」に続く伊岡瞬さん2作目。
    主人公:圭輔の身に起きた災難やその後に置かれた状況が酷くて読み進めるのが辛く、何度も休憩しながら読んだ。
    本編読了後に香山二三郎さんの解説を読んでこの作品が「嫌ミス」として挙げられる作品だと初めて知り、それも納得!特に終盤、苦しみの元凶を追い詰めるまでの圭輔の気持ちに感情移入しすぎると物語とはいえホント辛かった…。

    おとなしい性格の圭輔の近くに浅沼家がきたのは本当に不幸だし、遠縁といえど違和感を覚えたときに絶縁するくらい完全にシャットダウンしてほしかったな。でも普通の交流でもはっきり断るって難しいから、特に人が良かった圭輔家族は受け入れてしまったのだろう。
    圭輔は内向的な性格に加えて小学生というまだ幼く経験も少ない時期に自立した判断をすることは難しいし、浅沼家に身を寄せてからは更に正常な判断ができなくなっていて、正常な思考力も後退していくのが明白だった。

    でも辛い状況が続くなかでも唯一、圭輔にとってよかったと思えたのが友人:諸田寿人との出会いだと思う。
    いざという場面で自分にできる最大限の行動をして圭輔を助けた寿人や牛島夫妻の人間力に脱帽したし、第2部の後半(文庫本:P.398)に圭輔自身が寿人と出会えたことへの想いが表現されている箇所があり、それまでに圭輔が受けた不幸の全てを、消せはしないけれど少し浄化してくれるような温かい気持ちになった。

    作中、圭輔は寿人から「弁護士には向いていない」とよく言われているけれど、壮絶な経験をして心の痛みを知る圭輔だからこそ寄り添える相談者もいるだろうし、圭輔が働く事務所の人たちからの信頼は厚く、認めてくれる仲間が周りにいてよかったなと安心した。

    明確には描かれていないけれど、幼少期からずっと圭輔を苦しめてきた達也を圭輔と寿人の手(証拠集め)によって然るべき判決(断罪)をしてほしいし、圭輔は温かい人に囲まれて幸せになってほしいと思う。

  • #読了 #伊岡瞬

    誰が代償を払うのか。払わせる事ができるのか。あまりに不条理な思春期を経て、立ち直った圭輔にまたしてもまとわりつく達也。なかなか読むのが辛い一部が終わって、どう言う展開になるのかと思ったら、なるほど続くのね。ずっと泥濘にいるような、なんとも形容し難い読み心地。ただ二人が対決する事件は読み応えあり面白かった。
    周りにいるであろう、サイコパスとどうやって対峙するのか。いや対峙せずに逃げる事も大事かも。
    最近関連書籍が目に入ったので、そのうち読んでみよう。

  • 伊岡瞬さん、三作品目!

    『本性』『悪寒』どちらもおもしろかったが、本作も読ませる読ませる!こちらも一気読みでした。

    第一部はとにかく眉間に皺が寄りまくり、もうやめてと祈りながら読んだ。こんな人間の姿をした悪魔が身近にいたらと思うと本当に恐ろしい。
    第二部、スカッとさせてください!とはやる気持ちで読み進めた。まぁ、まずは弁護、圭輔引き受けるの!?と突っ込みつつ、もうお願いだから関わらないでほしい。とこちらの心も達也に折られていたことに気づく。
    だがしかし、昔も今も友人の寿人の存在があったことが本当に救いである。達也という悪に出会い、人生を壊されたが、また寿人という友人と出会えたことで、人生を取り戻せたのだなと。圭輔に救いがあり、本当に良かった。

    それにしても、達也の代償はちょっと軽いんじゃないかな…。

    • しんさん
      さすがです!
      めちゃくちゃ良い評価で感動しました(^o^)
      さすがです!
      めちゃくちゃ良い評価で感動しました(^o^)
      2022/07/19
  • 厳しい小中学校時代。女性が襲われることや様々な罠などに、小説とはいえ、怖くて怖くて無事に読んでしまえるかと思いました。なんとかおさまりましたが、それはネタバレになりました。

  • 1Qさんの投稿を見て♪
    クズ中のクズが出てくると聞いて、いったいどんなクズ野郎が出てくるんだろうと思って、笑

    うわぁ、これは強烈すぎた〜。
    達也、ほんとにクズすぎた(・・;)ついでに道子もクズ。
    イヤミスとか読むの好きな方だけど、これは序盤から胸糞悪すぎて、読むのしんどくなる程。
    だけどどうなるのか気になりすぎて〜。

    第1部は仕方ないとして、第2部では圭輔に対しても"なんでやねん"と思うとこいっぱいでちょっとイライラした。
    「代償」こんなもんでいいのか?
    現実だとせいぜいこんなもんなのかも知れないけど、読者としてはもっとこてんぱんにいって欲しかったな〜。

    後々まで印象に残るくらいの胸糞悪さだったけど、面白かったです。
    伊岡さん他の作品もこんなかな?
    読むときは構えて読まないとだな笑

    • mihiroさん
      どっちも一緒だし〜笑笑ꉂꉂ(ᵔᗜᵔ*)
      伊岡さん追いかけるんですね〜!!
      私は「悪寒」と「痣」が気になってるんですよねぇ〜
      あ、参考にしたい...
      どっちも一緒だし〜笑笑ꉂꉂ(ᵔᗜᵔ*)
      伊岡さん追いかけるんですね〜!!
      私は「悪寒」と「痣」が気になってるんですよねぇ〜
      あ、参考にしたいからこれ読んで〜!なんて言ってませんよ、イッテマセンヨ〜笑笑
      またどんな伊岡さん読まれるか楽しみにしてますね〜♪
      2023/10/20
    • 1Q84O1さん
      参考にしたいから…
      言ってませんよ…
      イッテマセンヨ…

      言ってますよねー!w
      「悪寒」「痣」とφ(..)メモメモw
      参考にしたいから…
      言ってませんよ…
      イッテマセンヨ…

      言ってますよねー!w
      「悪寒」「痣」とφ(..)メモメモw
      2023/10/21
    • mihiroさん
      ププ━(〃>З<)━ッッ!!!笑
      気長〜に待ってます笑←
      ププ━(〃>З<)━ッッ!!!笑
      気長〜に待ってます笑←
      2023/10/21
  • 話題作とは知らなかった。
    あっという間にのめり込み、流石 沢山の方が面白いと認めた作品だなと感服。1章と2章のタイムトラベルがやや気になるが、それでもこの内容をこのサイズ感まで抑え手に取りやすく、そしてとても読みやすい。

    気付いたら、悪に侵された人間の不幸を望むのは正義だと、私自身も歪んだ正義感を振りかざしていた。気付かせてくれてありがとう。

  • 序盤は胸糞悪くて読むのが辛くなるが、第二章に入ってからの無駄のない話の運びとスピード感でページを捲る手が止められなくなる 悪役の描写がとにかく容赦ない そして法廷ものは映画でも小説でもやっぱり面白い

  • 伊岡さんを読むのは3冊目。
    ぎょえ〜〜。
    2部構成で前半はもう読むのが辛い。
    でも、そんな中でも暖かい人物が出てきて心が救われるシーンとかあって良かった。
    後半は応援モードであっという間に読み終えた。

    読後感トータルとしては、
    もう恐い。。恐ろしい。。


  • 第一章ではとことんイヤミス、不快、
    これ苦手な人が多そうだ
    達也の怖さが際立っていた。


    第二章ではリーガルミステリー
    圭輔は達也を弁護するのか…

    なぜか関わる人を言葉巧みにコントロールしてしまう達也

    こんな人が人生で、近くにいたらとても怖いと思ってしまった…

  • 第一部はエグい、辛すぎる。
    第二部の裁判から一気に面白くなってくる。ヒヤヒヤしながらも一気読みしてしまうほどに。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。2005年『いつか、虹の向こうへ』(『約束』を改題)で、第25回「横溝正史ミステリ大賞」と「テレビ東京賞」をW受賞し、作家デビュー。16年『代償』で「啓文堂書店文庫大賞」を受賞し、50万部超えのベストセラーとなった。19年『悪寒』で、またも「啓文堂書店文庫大賞」を受賞し、30万部超えのベストセラーとなる。その他著書に、『奔流の海』『仮面』『朽ちゆく庭』『白い闇の獣』『残像』等がある。

伊岡瞬の作品

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