ドクター・デスの遺産

著者 : 中山七里
  • KADOKAWA (2017年5月31日発売)
3.61
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041039977

作品紹介

「死ぬ権利を与えてくれ」・・・・・・
命の尊厳とは何か。安楽死の是非とは。

警視庁にひとりの少年から「悪いお医者さんがうちに来てお父さんを殺した」との通報が入る。当初はいたずら電話かと思われたが、捜査一課の高千穂明日香は少年の声からその真剣さを感じ取り、犬養隼人刑事とともに少年の自宅を訪ねる。すると、少年の父親の通夜が行われていた。少年に事情を聞くと、見知らぬ医者と思われる男がやってきて父親に注射を打ったという。日本では認められていない安楽死を請け負う医師の存在が浮上するが、少年の母親はそれを断固否定した。次第に少年と母親の発言の食い違いが明らかになる。そんななか、同じような第二の事件が起こる――。

ドクター・デスの遺産の感想・レビュー・書評

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  • 安楽死、それは殺人なのか…
    ネットを通じて安楽死を請け負うドクター・デス。
    それは正義か悪か───

    誰一人として不幸になっていない。
    誰一人としてドクターデスを恨む人はいない。
    それでも罪に問われるのか…
    いくら考えても答えがわからない。

    「ドクターデス」になった理由に、共感できる部分もあるけれど、
    紛争地帯におけるそれは、現在の日本の医療にはあてはまらない気がした。

    医学が発達した今日、人はそう簡単には死なせてもらえない。
    最期まで苦しみもがく姿を見たくはない。
    それでも、もしかしたら明日、特効薬が見つかるかもしれない。
    助かる可能性が少しでもあるのなら、辛くても苦しくても生きていてほしい。
    もしも自分だったら、自分の大切な人だったら…
    想像するだけで、全身が震えてくる。

    ただ一つ確かなことは、延命させることも、苦しませたくないことも、同じ愛情だということ。
    どの選択をしても、後悔にさいなまれる。
    それは法を犯すとか、そんなものでは言い表せない別の罪。
    その人自身が一生背負っていく罪。

    ”安楽死”本当は考えなければいけないテーマなのだと思う。
    でも、今はそう感じても、きっとまた目を背けてしまう。

  • 犯人にやられた! そして、安楽死がテーマとして、非常に読み応えがありました。苦しみから早く解放させたいか(したいか)、最後まで戦い少しでも長く生きて欲しいか(生きたいか)、人それぞれ思うところはあるでしょう。自分自身も考えながらも読みました。
    最後は息もつかず一気読み。
    犬飼隼人シリーズ、初めて読みました。麻生とのやりとりもいい。他作品も読みたくなりました。

  • 犬養隼人シリーズ第4弾。
    少年の110番通報は、本当なのか。冒頭から引きこまれる展開で、面白かった。
    安楽死は、ありか、なしか。消極的安楽死に比べると、薬物を使っての積極的安楽死には、抵抗がある。しかし、治療すべがなく、苦しみ続けるとしたら?
    考えさせられるテーマ。

  • 犬養刑事シリーズ4作目。安楽死がテーマ。物語として読みながらも深く考えさせられるテーマ。大切な愛する尊い命を前にして何をしてあげられるのか?考えると正しいことが何かわからなくなる。法を守る、それは間違えなく正しいこと。でも気持ちだけで考えられるならドクター・デスに傾いてしまうかも。

  • 犬養隼人刑事シリーズ。
    『安楽死』についてとても考えさせられました。
    是非はいくら考えても今の私には出そうにありません。
    歳を取るにつれて老後の事を考える機会も増えています。延々と続く苦痛にそれでも生き続けないといけないのかと疑問に思ってしまいます。
    これだけ寿命が延びている日本、それにともない弊害も出てきて当然です。『安楽死』が認められている国々があるという事はこれからの可能性として日本でも考えるべき事のひとつでもあるんじゃないかなと思っています。
    ベッドの上で送る余生はイヤだな...

  • 今回も犯人を当てました。段々とどんでん返しのパターンも判ってきました。
    文章はいつも鮮やかで、本当に読みやすい。ありがとうございます。水泳のレースで呼吸回数を減らすことでタイムを縮められるらしいですが、まさに中山さんの文章は息も継がせてくれません。あっという間に読み終わってしまいました。
    犯人が犯人になる理由の説明がいつも考えさせられる内容なので、今回は本当に安楽死について改めて勉強してみようという気持ちにさせられました。
    日本人の死生観についても触れていましたが、いかに自分はは死ぬべきか、自分はどの様な手段で死ぬべきか、なんていうのは現在健康な私は考えもしていなかったが、病気を抱えて弱ってきた時のことも予め考えて置かなければならない。弱っている時に考えても、碌な考えが浮かばないだろう。でも、本当に病気になったら、たぶん意識がなくなる最後の最後まで闘うと思うな。

  • 「安楽死」という答えのない問題をどのようにフィクションとして提示するのか。しかも著者が著者だけに、最後にどんでんがえしがあるのかないのか。興味は尽きず読み進めました。まあ著者の作品が好きな人でも、好き嫌いがわかれる内容とストーリーだと思いますのでそれについて言及はする気はないですが、私にとっては最後の1ページ(単行本の293頁です)にすべてが凝縮された内容だと思いました。最初から292頁までは壮大なプロローグだったような感想を持ちました。ミステリーではない一味違った面白さです。久坂部羊さんならどんな感想を持つのか聞いてみたい気がします。

  • お勧め度:☆7個(満点10個)。安楽死というかなり重たいテーマなんだけど、中山さんの小説はいつも何某かを考えさせられる。ここで、題材となっている「死ぬ権利」とは何だろう。当然、自殺とはまた意味合いが違うと思うけど・・・。
    いずれにしても、これは究極の問題だと思う。人間、死ぬことで安楽を求めるという考えもあるが、私は違うように思える。死ぬことは単なる逃げではないのだろうか?もちろん、「死」は自分だけの問題ではない。そこには残った家族という問題も生じる。
    本当に難しい問題です。安楽死は違法か?賛否両論あると思うけど、私としてはどちらかとうと、犬養警部側かもしれない。さて、皆さんはどっち派?

  • 犬養刑事シリーズ。
    たくさん出ているような気がするが、シリーズとしては4作目なのだそう。
    前回の「ハーメルンの誘拐魔」でも医療を扱っていたが、今回のテーマは安楽死。
    通信指令室にかかって来た「お父さんがお医者さんに殺された」と言う子供の電話から、ドクター・デスと名乗る人物がカリウムを使った安楽死を請け負っていることを知る犬養たち。しかし、捜査を進めても、なかなかドクター・デスの正体にたどり着かない犬養は自分の娘を引き合いに、ドクター・デスをおびき出すが…
    安楽死が法で定められていないことは分かっているが、日本の現状が抱える問題を考えると、一概に「犯罪」とは思えず、その苦悩が犬養や麻生を通じても描かれる。
    そして、中山七里ならではのラストのどんでん返し!慣れたはずが、またやられてしまった…

  • 罪にはなるが、望まれたら?難しいところ。

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