ひとり吹奏楽部 ハルチカ番外篇 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 408
レビュー : 68
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041040003

作品紹介・あらすじ

〈ハルチカ〉シリーズ番外篇が文庫書き下ろしで登場!
捨て犬をめぐり後藤朱里とカイユが奮闘する「ポチ犯科帳」。芹澤直子と片桐が駄菓子屋でお婆さんの消失に遭遇する「風変わりな再会の集い」。謎のアルバイトをしている名越をマレンが危惧する「巡るピクトグラム」。そして副部長になった成島美代子がかつての吹奏楽部の活動日誌に思いを馳せる「ひとり吹奏楽部」。運命的に集まった、個性豊かな吹奏楽部メンバーたちの知られざる青春と謎を描く、贅沢な番外篇!

感想・レビュー・書評

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  • 今回は〈ファイター〉チカちゃんと〈シンカー〉ハルタコンビはお休みです。他の南高吹奏楽部の主要メンバーたち(+名越演劇部部長+???さん)がペアになって、ちょっとした日常の謎解きをしながら、一途に部活にかける青春をそれぞれ振り返ってます。
    みんな個性が強いですよね。このメンバーをまとめるマレンくんはさすがの〈コネクター〉です。
    トップバッター〈ビリーバー〉のカイユくんと後藤さんのお話も捨てがたいですが、今回のわたしの一番は〈リアリスト〉成島さんのお話でした。副部長としてマレンくんと部を支える成島さんは草壁先生がいつまでもここにいちゃいけない人だと分かってます。そして、優秀な指導者が去ってしまった後の吹奏楽部がどんな運命を辿るかも見てきました。そんな不安に過去の活動日誌の中になにか答えになるものがあるかもしれないと日誌を遡っていくうちに、ある言葉が書かれたページを見つけます。2006年度。たったひとりぼっちになって、音楽室を出ていくことになった部員、望月さん。その先輩の書いた文章に彼女は希望を見いだします。結果を言えば、残念ながら今の段階では望月さんに会うことは叶えられませんでした。それでも、今の彼女と吹奏楽部にとって最強の4人そして自分がいることで、何があっても吹奏楽部が失くなってしまうことはないと勇気づけられました。その4人とは誰だか分かりますよね……?
    いつか、望月さんに会えたらいいですよね。もしかしたら、それは近々叶うかもしれません。教頭先生から手渡された望月さんの愛読書であった一冊の本。その本が導くのは、仲良くなりたいのに距離感を感じさせる部員へと繋がっているようではありませんか。これはまた楽しみな出来事になりそうです。

  •  「退出ゲーム」などハルチカシリーズの登場人物それぞれの番外編。短編が4編と、「退出ゲーム」のときの没ネタを見つけてしまった掌編1編。

     ハルチカシリーズを読んでいること前提に書かれているとは思います。本編で書かれている清水南高校の吹奏楽部の状況や、それぞれの人物の性格などが番外編でもそのまま表れています。
     まあ、これまでのシリーズを知らずに初めて読んだときでも、軽快なテンポであっという間に読めると思います。

     それぞれがちょっとした謎解き風味。面白かったです。

  • ハルもチカもほとんど登場せず、吹奏楽部の主要メンバーの周辺で起こる出来事、それぞれなかなか面白かったし、次に繋がりそうな伏線もひかれたようだ。だがなんで文庫本でしか出ないのだ、やはりラノベ扱いなのだろうか、それに装丁がイラストは別としてあまり凝ってなく本屋に縦に並べてあるといかにも地味だ、出版社が力を入れてないのだろうか、この前の映画もひどい出来だったし、ちょっと著者が気の毒だ。まだまだ続編が出そうだが、普門館に出場するまであと何作待たねばならないのだろうか。

  • 猪突猛進タイプのチカと、冷静沈着だけどどこかとぼけたハルタの名コンビが日常の謎を解き明かしつつ、吹奏楽部の活動に邁進するハルチカシリーズのスピンオフ。
    主役のふたりは登場せず、吹奏楽部のその他の個性的な面々のあほらしくも奇妙な短編が詰められている。
    ハルチカシリーズを知らないと何がなにやらな感じだろうけれど、本編が好きな人間にはちょっと嬉しいおやつのような存在だ。

  • ついに発売されたハルチカシリーズの番外篇。
    2016年春頃から待ち続けていたので、発売は素直に嬉しい。映画化万歳。

    ▼収録作品
    「ポチ犯科帳」―檜山界雄×後藤朱里―
    「風変わりな再会の集い」―芹澤直子×片桐圭介―
    掌編「穂村千夏は戯曲の没ネタを回収する」
    「巡るピクトグラム」―マレン・セイ×名越俊也―
    「ひとり吹奏楽部」―成島美代子×???―

    番外篇なので、ハルタとチカ(+草壁先生)はたびたび名前が出る程度。だけど、吹奏楽部のメンバーにとっていかに彼らの存在が大きいかが改めてわかる。

    ハルチカ以外のメンバーでは、マレンとカイユがお気に入りだから、二人が主役の話が読めて良かった。

    後藤さんは面白い子だなあ。弟も素直でかわいいし。

    片桐(元)部長は、あのメンバーをまとめてただけあって器がでかい。
    「スプリングラフィ」(※『初恋ソムリエ』収録)でのエピソードがここで生きてくるとは。さすが。
    片桐妹が何も知らずに南高吹奏楽部に入部したらどうなることやら。楽しみが一つ増えたよ。
    そして片桐(元)部長を探す芹澤さんがかわいかった。

    名越も本当にブレないね。そこが彼のいいところでもあるけど。

    成島さんの話は表題作になっているだけあって、やはりじんとくる。

    まず、成島さんの中学時代の師の教えがいい。
    成島さん同様、心があっての身体だとばかり思っていたけど、おかげで考え方が変わった。

    かつて南高の吹奏楽部に在籍し、活動休止に追い込まれた望月さん。
    彼は部の活動日誌で、困難や逆境を乗り越えられるひとを五つのタイプに分けた。
    ファイター、シンカー、ビリーバー、コネクター、リアリスト。
    この五人がそろえば、優秀な指導者が去ろうと部員が減ろうと、なんとか持ちこたえることができるというのだ。

    それからいくつもの時間が流れ、今、南高の吹奏楽部にはこの五人が集っている。
    望月さんが日誌の最後に書いた願いは、現実になったのだ。そしてそれは紛れもない奇跡なのだな、と目頭が熱くなる。

    成島さんが会いたいと願う人は、近くにいるのになあ。それがすごくもどかしい。
    いつか芹澤さんとの壁が取っ払われて、先生を紹介してもらえる日が来ることを願う。


    ブクログさんの献本企画にて頂きました。素敵な本との出合いに感謝。

  • 片桐部長推しなので、メインのはなしが読めて満足!
    あとベルマークがすごい。奥が深い。
    最後のはなしは、吹奏楽強豪校も弱小校も経験したので色々懐かしく読みました。

  • 番外編だけあって、普段は一人称で語ることが少なくレギュラーメンバーたちの本心が語られていて面白い。
    みんな良い子で、青春だ。

  • ハルチカ・シリーズの書下ろし短編集。本作ではハルタとチカは合間の掌編を除いてほとんど出てこず、吹奏楽部メンバーのサブキャラが語り部となったスピンオフの番外編である。基本的には二人一組のサブキャラがそれぞれの身に起こった小さな事件を解決するという体裁なのだが、本来のシリーズの探偵役でないことを意識しているせいか、謎そのもののスケールはどれも小さく、ささやかな日常の謎であり問題としても重くはなく、読後感はどれも軽い。ただ、その分日常要素がどれも強くなっており、部活動を離れている間の部活動メンバーたちのやり取りを拝めるのはファンなら垂涎モノの出来であろう。本編では描ききれない部分を書いているという意味では極めて真っ当なスピンオフであり、芹澤のコーチが成島の探し人のOBだったり、芹澤がキツく当たった後輩がマレンの関わったベルマーク事件の首謀者だったりと、短篇同士の出来事が緩やかにつながっているのも魅力的である。全編を通して読んで思ったのは、高校の部活動は一人ではとてもできないことで、部活動の仲間だけでなく、OBや教師や他の人間の絆や善意で保たれているというのがとてもよく伝わる作品群である。自分の所属する場所の歴史やその居場所を守ってくれた人間に対する敬意やあこがれなど、部活動にのめり込んだことのある人間なら、通じる感情の一つだろう。このあたりが青春要素と上手く絡んで非常に学生っぽい雰囲気が出てていいと思う。肩のこらない、良質な出来の番外編です。

  • 吹奏楽部員あれこれ。逆上がり補助器が、ある日自分の小学校にやってきた時のことをふと思い出した。どれも、部員やその家族の個性が炸裂しててとても面白かった。最後は少ししんみり。

  • ハルチカシリーズの番外篇。いつもと違い、チカ視点じゃなかったので、とても新鮮だった。本編よりさらに笑える巻。だけど最後は…。

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著者プロフィール

1973年静岡県生まれ。法政大学卒業。2002年『水の時計』で第22回横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビュー。著書に『1/2の騎士』『退出ゲーム』がある。

「2017年 『ハルチカ 初恋ソムリエ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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