- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041040058
感想・レビュー・書評
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アラムハラドを読んで、これは宮沢賢治をもう一回読み直さなければ、彼を誤解したままに終わってしまう、そうと思って。
やはり、彼は「わかって」しまった人なのだと思う。そして、すべての人を善くするために、理性が彼を突き動かした。どんなつらくても。しかし、彼の身体はそれほど丈夫ではなかった。そこが彼の弱みであったのかもしれない。善く生きるためには、まずは生きねばならない。死んでは善く生きられない。
たとえ理解されなくても、粘り強く、何度も。彼は農民と語り続け、死ぬその時まで書き続けた。それが、彼の善く生きた証となって、今も生きている。
はじめの作品は彼の生の声が、物語のように加工されることなく語りつけられている。しかし、年が下るにつれ、それは徐々に洗練され、文語詩に至ってはとても格調高いすばらしいものに仕上がっていると感じる。
自己犠牲や日蓮宗、妹との関係など彼を語る上では欠かせないように、あるいは彼の行動の原因のように語られるが、決してそれらが原因ではない。彼の行動は、彼の善く生きる結果であることを強く感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本の純文学にも興味があり、最近、読み返すことの事の多い1冊です。
彼の詩の中で、今、1番好きなのが、彼の妹に対する思いを込めた作品です。
「お茶碗にすくった雪」
...情景を想像すると、思わず涙してしまう、そんな切ない表現が素晴らしいです。 -
前書きより
透明な人類の巨大な足跡を
発見するかもしれません
すべてこれらの命題は
心象や時間それらの性質として
第四次延長のなかで主張されます
大正13年1月20日 宮澤賢治
春と修羅(mental sketch modified)
などが収録されています。 -
童話でお馴染みの宮沢賢治さんですが、「雨ニモ負ケズ」に代表される詩も、かなり良いです。そして、この詩集には、かなりブラックな作品も収録されてます。
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死を覚悟した夜、汗みどろの枕元にこれを置いた。
死んでしまった友人も、賢治が好きだった。
どれでもいいけれど、取りあえず手に入りやすかったので角川版。
言語の広がるイメージの壮大さと、心に残る特徴的な擬音、
なにより痛切な心象が、読む私たちの心も癒してくれている。
……かも知れない?
わからん。
読むクスリ代わりに気休め。こればかりだと食傷するけれども、
毒にならん程度に、どですか? -
彼の人生を感じさせる詩が多数収録されています。一見どういう意味かわからない言葉の羅列も、その端端に彼の生き様が描かれています。
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血が『がぶがぶ湧いて』『今にも死にそう』なのに、見えるのは『やっぱりきれいな青空とすき透った風ばかり』