終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?#05 (角川スニーカー文庫)
- KADOKAWA/角川書店 (2016年3月31日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (388ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041040393
感想・レビュー・書評
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最後の最後まで〈想い〉が美しく、だからこそ痛かった話でした。終わる世界と残酷な運命の渦の中で、それでも人を想い続けた少女たちと青年の物語だったと思います。
絶望的な展開だった前巻から物語前半は、比較的穏やかな小康状態が続く。ヴィレムやネフレンといった地上に残された組や、ナイグラートやラーントルク、そして新たに〈兵器〉としての素質が芽生え始めたラキシュやティアットたちのその後が描かれます。
一方で不穏な雰囲気もちらほら。世界全体がこれまでよりも平穏な雰囲気が出てきたことによる、妖精倉庫の解体論や、妖精不要論。そして国同士の軋轢。
「獣」という共通の敵がいたからこそ守られていた、平和が少しずつ乱れていきそして……
権力者や、強国による闘争。このあたりのきな臭さというのは、悔しいけどよくできている。登場人物それぞれの想いの美しさや切なさ、そして一生懸命さがある一方で、こういう強国や権力者の論理が、それを振り回すのを見ているのは、なかなか辛いものがある。
妖精たちの母親的存在であるナイグラート。宿命により、多感な少女の時期に、兵器として死地に向かう妖精たちを想い。だからこそ、妖精たちを兵器としてしか扱わない国や軍部に対し怒りをぶつける。この辺の描写も切ない。
そして物語のクライマックス。ヴィレムが仕掛けたある思惑と、それに応える妖精たちの決戦。
『本気で強く望む未来を持ちながら、その未来が決して手に入らないのだと受け入れた者だけが、この剣を手に、別の未来に手を伸ばすことができるのだ』
変な日本語になるけど三巻のクトリであったり、この巻であったり、この剣の設定が心憎く、そして本当に憎かった。クトリの常識を超えた力の発現であったり、大切な人を守るため、勇者を目指していたヴィレムが最後の最後にたどり着いた皮肉な、どうしようもない最適解であったり。最後まで優しく美しく、そして残酷な決意と悟りの物語だったのだなあと思います。
元々アニメきっかけで手に取った作品で、アニメで描かれていたのは三巻まで。そしてそのアニメ、および三巻の盛り上がりというか、感情のふり幅がとにかく大きかったので、その後の四・五巻はどうなるか、と思ったのですが、四・五を通して、ある意味エピローグというか、
一~三巻までがクトリとヴィレムのW主人公で、四・五がヴィレムの物語の終着点、という印象でした。この世界の謎の一端に触れつつ、この作品らしい、キレイなまとまり方だったと思います。
アニメ後の展開だけ追えればいいかな、と軽く考えていましたが、意味深なラストシーンはさておいても、普通に第二部以降の展開も気になってきました。また追いかけるシリーズが増える……詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読んでてつらいわ…
もっといい方法なかったのか -
五巻でいろいろな世界の仕組みもわかった。 終盤にクトリがキーとして出てくるのはずるく、ニヤニヤしてしまった。 このタイトル、秀逸よな。
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まさかクトリでもネフレンでもなく、最後に行き着く所はナイグラート!?
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はたしてこれはハッピーエンドなのかバッドエンドなのか……ここまで来るとよく分かりませんが(苦笑)、とにかく第1部は完ということで。
アニメ化のほうは未読の人でも楽しめる内容になっているといいなぁ。