オカルト 現れるモノ、隠れるモノ、見たいモノ (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 82
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (377ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041041079

作品紹介・あらすじ

「オレは結局スプーン曲げちゃうよ。本音は曲げたくないけど、みんなの期待がわかるから」
“超能力者”はふてくされたように言った。

「わからないから研究したい」
科学者たちは当然のように答えた。

「僕たちはイロモノですから」
“エスパー”は即答した。

職業=超能力者。ブームは消えても、彼らは消えてはいない。
超常現象、その議論は「信じる・信じない」という水掛け論に終始していた。
不毛な立場を超え、ドキュメンタリー監督がエスパー、超心理学者、陰陽師、メンタリスト等に直撃!! 

数年ごとに起きるオカルト・スピリチュアルブーム。繰り返される真偽論争。何年経っても進歩なきように見える世界。
だが、ほぼフェイクだと思いながらも、人は目をそらさずに来た。
否定しつつも、多くの人が惹かれ続ける不可思議な現象。
その解明に挑んだ類書なきルポ。
多くの作家を魅了した、オカルト探索の名作が、ついに文庫化!!

感想・レビュー・書評

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  • 私の大好きなドキュメンタリー作家によるノンフィクションだ。なぜファンなのかと考えてみると、きっと森達也の立ち位置が好きなんだろう。彼が向かう対象は、いつも世間から敵対視されている人物であったり集団で会ったりする。

    今回は超能力者や霊能力者など、世間的には眉唾な人物ばかりだ。
    私はオカルト的なものが大好物なので、すんなり入っていける。(入り口は。)
    同じテーマを扱った「職業欄はエスパー」もそうだったけれど、入り口は楽しい。
    しかし奥に進むにつれて、理解者だと思っていた私ですら、何かがおかしいと思い始めてしまう。
    この人、嘘ついてないよね?と。

    最先端科学のフロントラインとオカルト的なものは地続きなのではないかと考えてしまう。
    とにかくおもしろい。
    わくわくしながら読むが、最後にもやもやするのは森達也作品では毎度のことだ。

  • いつものこの人通り、対象の周りをグルグル回って答えは出ない。でもだからこそオカルトという素材はピッタリハマる。最後の方に登場するメンタリストは、著者の一方のメインテーマでもあるメディアとの関係で捉えても面白そうだと思うけど、どうなんだろ?

  • 森達也の視点はいつも刺激的であり、ラディカルである。

    「なんだかよくわからない」と、あえて白黒はっきりつけずに、わからないことを受け止めることの大切さ。

    世界は、わからないことに満ちている。だから面白い。

  • ゴーストライター騒動で日本中の注目を集めた佐村河内守をとらえたドキュメンタリー映画「FAKE」が素晴らしく面白かった。至上のエンタメ作品として楽しんだ。改めて森達也が気になり「オカルト」を読んだ。
    本書はいわゆる超常現象に密着したルポタージュ作品で、恐山のイタコ、スプーン曲げ少年、陰陽師、UFO観測会、臨死体験者、霊能力者など、「いかがわしい人々」のインタビューと、彼や彼女達との関わりの中で森達也自身が体験する「不思議な出来事」のレポートで構成されている。取材中に起こる心霊体験などは読んでいて思わずゾッとする。森達也が書くと、「本当に起こったんだな」と思う。
    とはいえトンデモ本の類ではなく、森達也氏の半信半疑な絶妙の視点で淡々と「起こったこと」だけが綴られており、「オカルト」に対する確信的な否定も肯定もしない。信じる・信じない、存在する・存在しないを明示することが著者の主題ではなく、どちらかというと「一つの視点」の提示だ。安易に結論を出すことへの警鐘とも解釈できる。

    オウム真理教、放送禁止歌、佐村河内守、そして「オカルト」、メディアによってイメージが固定化されやすい対象こそ、森達也のドキュメンタリー作家としての一貫性は伝わりやすい。善悪、白黒の二項対立ではなく中間地点のグレーゾーンに豊かさがあると。
    「中立的視点」とも解釈されがちだが、著者はそれも否定する。完全な中立はありえない。必ずどこかで作者の主観に傾倒する。
    いかにもテレビ向きでないが、昨今のメディアリンチへのカウンターとして再考されるべき作家ではなかろうか。

  • <目次>
    開演   「でもオレは結局曲げちゃうよ」”超能力者”はふてくされたように言った
    第1幕  「よく来てくれた。そしてよく呼んでくれた】恐山のイタコは語り始めた
    第2幕  「現状は、誠実な能力者には不幸でしょう」オカルト・ハンターの返信はすぐに来た
    第3幕  「僕たちはイロモノですから」”エスパー”は即答した
    第4幕  「いつも半信半疑です」心霊研究者は微笑みながらつぶやいた
    第5幕  「わからない」超心理学の権威はそう繰り返した
    第6幕  「批判されて仕方がないなあ」ジャーナリストは口から漏らした
    第7幕  「当てて何の役に立つんだろう」スピリチュアル・ワーカーは躊躇なく言った
    第8幕  「毎日、四時四〇分に開くんです」店主はてらいがなかった
    第9幕  「解釈はしません。とにかく聞くことです」怪異蒐集家は楽しそうに語った
    第⒑幕  「これで取材になりますか」雑誌編集長は問い質した
    第⒒幕  「僕はこの力で政治家をつぶした」自称”永田町の陰陽師”は嘯いた
    第⒓幕  「匿名の情報は取り合いません」UFO観測会の代表は断言した
    第⒔幕  「今日はダウジングの実験です」人類学者は口火を切った
    第⒕幕  「今日の実験は理想的な環境でした」ダウザーはきっぱりと言った
    第⒖幕  「あるかないかではないんです」超心理学者は首をかしげてから応じた
    第⒗幕  「夢の可能性はあります」臨死体験者は認めながら話し出した
    第⒘幕  「わからないから研究したい」科学者たちは当然のように答えた
    第⒙幕  「僕らは超能力者じゃありませんから」メンタリストはあっさりと言い放った
    終幕   パラダイムは決して固着しない。だからこそ、見つめ続けたい

    <内容>
    超能力・幽霊・予知・ダウジング・UFO・エスパー・イタコなど、”オカルト”とされる様々な事象や人々を取材して回ったノンフィクション。種本は2012年。けっこうな量があるが、意外と淡々と読める。著者の立ち位置が傍観者的なので、是非を語ることもなく、失敗があっても、本当に不思議なことでも著者の観たままに綴られているのが特徴。また科学者たちにも取材をしていて(大槻教授のように全否定ではない)、彼らのスタンスもよくわかる。そういう点で巷の”怪しい”本ではない。これは読んで損はないと思う。

  • 山羊 羊効果が示しているように
    オカルト 超常現象の類いは
    見たい人には見えるし、
    信じない、信じたくない人には見えない。

    もう一つ
    これらは実験という枠組みにしてしまうと
    再現性や公平性を欠く。
    (普段なんてことなくできていたスプーン曲げが実験でハイ、今からやってくださいというと突然うまくいかなくなる)

    ただそんな目くじらを立てて
    ある.なし論で語らなくていいんじゃないかと思う。

    占い師の使う
    ホットリーディング
    コールドリーディング
    ストックスピールは
    交渉ごとの時に覚えといて損はないだろうし、

    スピリチュアルワーカーの
    オーラ
    グループソウル 出身地 DVDラック ヘルパー
    などの話は
    ラベルわけ 分類の話として面白い。

    人間は予測不能なことに対して忌み嫌ったり
    訝しんだりする。

    幽霊はいるのかもしれないし
    いないのかもしれない。

    疑いながら受け入れる

    すべてのことわりなんて
    人間ごときにわかるわけでない。

    面白がった方がいいではないか。

  • (01)
    不可思議な現象に出会った人たちを取材し,その不可思議さを文字で再現しようと試みた本書であるが,面白く不可思議なのはその現象そのものではなく,案外,この取材された人たちなのかもしれない.
    オカルト現象は,対象に潜むものであったり,対象間の物理的な現象でもないことを本書は苦しみながらも表出しているが,つまりは属人的な現象(*02)であり,もっといえば属人類的な現象であることが読まれる.

    (02)
    その点で,オカルト現象は,技術といってもよい人間と環境を取り結ぶ何かである.著者が「見え隠れ現象」と指摘しているいわばメタ・オカルト問題,オカルト現象に発生するオカルト現象や,超能力に近いテクニック,タネやシカケ,視覚やコミュニケーションの死角に発生している現象などにも肉薄している.
    記録できないこと,再現できないことであるからこそ,証言者にとっては切実な生の問題であることも,本書を通した取材から感じるとることができる.それはもちろん信仰の問題,そして思想や政治や現代社会の問題に接続している.政界や学会からもオカルトが,訝しさも伴いつつも注目されてきたことには,歴史的な意味もあるだろう.

  • 「オカルト」を肯定派/否定派両方の視点から分析する。基本的にどちらにも依らないが(オカルトの失敗もそのまま描写する)、山羊羊効果(オカルトは観測者等の状況如何で発現したりしなかったりする)がこの本での一番の主張である以上はややオカルト肯定のテイストを含む。分析自体は真新しいことはないのだが、オカルト自体のバリエーションの広さを知る上で面白い本だった。

  • オカルトと現実、科学との境目が解らなくなるような、なかなか面白いルポルタージュだった。

    超能力、心霊現象、イタコ、UFO、陰陽道、臨死体験などなど、様々なオカルトの正体に真正面から迫る。

    もしかしたら、本書に描かれたオカルトの一つや二つは現時点で科学的には立証されていないだけの事実なのかも知れない。

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著者プロフィール

1956年、広島県生まれ。ディレクターとして、テレビ・ドキュメンタリー作品を多く製作。98年オウム真理教の荒木浩を主人公とするドキュメンタリー映画「A」を公開し、2001年には映画「A2」を公開。11年『A3』(上下巻、集英社文庫)で講談社ノンフィクション賞を受賞。現在は映像・活字双方から独自世界を構築している。16年、ドキュメンタリー映画「FAKE」で話題を博す。著書に『死刑』(角川文庫)、『「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい』(ダイヤモンド社)、『ニュースの深き欲望』(朝日新書)など多数。

「2018年 『虐殺のスイッチ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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