娼婦たちから見た日本 黄金町、渡鹿野島、沖縄、秋葉原、タイ、チリ (角川文庫)
- KADOKAWA (2016年5月25日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041041086
作品紹介・あらすじ
街は、女たちが彩ってきた。
男は、女たちが知っている。
黄金町、渡鹿野島、沖縄、秋葉原、タイ、シンガポール、
フィリピン、マレーシア、チリetc.10数年、夜の街を行脚し続けた著者が紡いだ、女たちの日本史!!
本書に登場する娼婦たち
●黄金町の盛衰を見つづけた外国人娼婦
●沈みゆく島で信仰とともに生きるタイ人娼婦
●国策に翻弄されたからゆきさんと、じゃぱゆきさん
●ジャパーニーズドリームの体現者・アニータのいま
●沖縄、フィリピン、タイ。基地の町でネオンに当たり続ける女たち
●無自覚に“お散歩JK”に入っていく秋葉原の少女
もの言わずに、日本各地の売春街から消えていったじゃぱゆきさんや、日本人娼婦たち。
日陰に生きる彼女たちは、社会の弱者でもある。彼女たちの身に起ったことは、次に私たちに起ることである。
彼女たちは、日本人をどのように見てきたのか。そして、日本社会をどう捉えてきたのだろうか。
感想・レビュー・書評
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目次に 黄金町の文字があったので
思わず 読んでみました。
普通なら あまり手には取らない 知らない世界でしたが
黄金町のちょんの間。
学生時代 伊勢崎町に遊びに行き
少し足を伸ばすと 裏通りに それはありました。
当時は単なる 飲み屋としか 見ておらず 記憶にもとどまっていませんでした。
今回 読んでみて そういう場所で
数々の女性達が 色々な思いで 働いていたのかと 知ることができました。
こういう 職業は今でこそ お小遣い欲しさにという人も多いけど、
過去には 貧しい農村の娘達が 家族の為に 自らを犠牲にして
最後には命までも犠牲にする人も 少なくなかったそうだ。
この本は 日本人の国内での活動だけではなく 外国人の国内での活動 そして
日本人が海外に出稼ぎに行ったという 話も含まれていた。
外貨を稼ぐ為に 沢山の女性達が異国に行き、そして 亡くなっていったそうだ。
私は 家族のため、国の為に 自分を犠牲になんて 多分 できないです。
多くの女性達の 悲しみの上に 私達の命がつながっているのだと
しみじみ思う本でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
貧困かが貧困を苦しめて逃れられない状況が未だにある。
だけど社会的な意識は本能とは別の方向へ変化しようとしている。
社会的な要請は思想上の問題というだけではなく、誰かの強い希望なのだから、まちの浄化は必要だとは思う。
それと性産業がセーフティーネットとして機能しなくなることは別のこと。
そういうセーフティーネットとして産業として、体一つを資本とする職業を、どう考えたらいのかはよくわからない。 -
文章がいささか文学的にすぎると思った。また「~と言っている気が した」等、自分の考えの羅列に過ぎないものをあたかも風俗嬢がそう思っているか のように記述している箇所がいくつかあり、それは不誠実だと思った。
街を「浄化」し社会から風俗嬢がいなくなれば、その職についている人達はどこ にいけば良いのか(別のまともな職を得ることができるのか)という「貧困」に関 する問題と、需要側・供給側問わず、風俗に癒しを見つけ生きている人達は、風俗がなくなった後どうやって生きていくのかという「性そのもの」にかんする問題があるように感じた。
性そのものに関する問題としては難しいし安易に答えなど出ない。徹底的に抑圧することに は反対だが、かといって風俗を擁護したいがために、働いている人達をあたかも 主体的な選択の結果としてその職につき日々仕事に励んでいるプロフェッショナ ルだ、などと礼賛することも違うと思う。その中間のいずれかに妥協点があるだ ろう、としか言えない。 -
期待したほどのドキュメントではなかった。どうにも中途半端な、余り踏み込まない取材姿勢と変に高尚な文章が、読み手を事実から遠ざけているように感じる。
黄金町、渡鹿野島、沖縄、秋葉原、タイ、チリの外国人娼婦の眼を通じて描いたドキュメントのつもりらしい。解説が小説家の諸田玲子だったことに、成る程と納得してしまった。
著者プロフィール
八木澤高明の作品





