はなとゆめ (角川文庫)

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  • KADOKAWA (2016年7月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784041041147

作品紹介・あらすじ

なぜ彼女は、『枕草子』を書いたのか――。28歳の清少納言は、帝の妃である17歳の中宮定子様に仕え始めた。華やかな宮中の雰囲気になじめずにいたが、定子様に導かれ、その才能を開花させていく。機転をもって知識を披露し、清少納言はやがて、宮中での存在感を強める。しかし幸福なときは長くは続かず、権力を掌握せんとする藤原道長と定子様の政争に巻き込まれて……。清少納言の心ふるわす生涯を描く、珠玉の歴史小説!

みんなの感想まとめ

清少納言の視点から描かれる物語は、彼女が中宮定子に仕え、才能を開花させる過程を追いながら、平安時代の華やかさと裏に潜む政争の緊張感を伝えます。主人公は引っ込み思案でありながら、恋愛や結婚に対しては強い...

感想・レビュー・書評

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  • この作品は清少納言のひとり語りという形で進みます。
      最初の夫である橘則光との別れから始まります。

      則光の母親が花山天皇の乳母だったために、将来を期待されていたがたった二年で出家するとは思わなかったことでしょう。
      彼女は長男を連れて父の清原元輔の元へ戻った彼女。けれども、父である元輔は七十九歳で肥後守になり、彼女とはそれが永遠の別れとなります。仕官をした則光の元へ長男も行ってしまい……。
      二十八歳になった時に清少納言は宮中へ、しかも中宮定子に仕えることになります。定子の年齢は十七歳。
      若く美しいその華に清少納言はその生涯と一冊の書物を捧げることになるのです。

      身分、美しくないわが身への引け目。そうしたことから、宮中は決して清少納言にとって居心地が良い場所ではなく、それを変えてくれたのが、だれでもない最も尊い女性である中宮。

      ふさわしくありたいという気持ちが彼女を変えていく。それでも、宮中に恐れを感じる彼女に定子は上質な紙を与えるのです、いつか彼女が描く『枕』のために。

      そして、定子の父である藤原道隆の死後、道長と伊周との政局争いに巻き込まれて、定子は髪を切り、清少納言は口さがない人々のうわさ話に疲れ果てて、定子の元から離れてしまい、そこで様々な思い出を書き綴り始まるのです。それはかつて定子が『枕』と呼んだもの、のちの世に『枕草紙』として歴史に残る書物になるのです。

      道長と定子との政治的な争いは続き、結果として道長が勝利を収めたかのようにも思えるのですが、その後、定子をモデルにした『源氏物語』を書いていた紫式部を宮中に招いたり、彼女が彰子の漢文を教授したりということを考えると、あくまでも彰子は定子のコピーでしかなかったと思われて、切ないですね。

      宮中で多くの人が続きを待ち望んだ『源氏物語』
      定子が読み、苦しい生活の中で笑みを浮かべたと言われる『枕草子』

      どちらにも価値があり、どちらの妃も辛い日々を送っていたと読み終えたときに思っていました。

      この作品では淡々と、静かに語られていく日々が愛おしいと思わせてくれるものでした。だからこそ、歴史に翻弄された一人の女性の生涯が胸を打つのでしょう。
     

  • 「千年の黙 異本源氏物語」という紫式部視点での物語を読んだことがあるが、これは清少納言(中宮定子)視点なので、読み比べをしている感じが面白かった。

  • 大河ドラマその他のおかげでマイブーム平安時代が続いてるうちに、教科書でさわりを読んだ程度の『枕草子』をちゃんと読もうと思っていたのだけど、図書館は予約待ちでなかなか届かないので、ひとまずこちらの小説を読むことに。本作は清少納言が主人公、中宮定子様の女房となった彼女が、定子様のお人柄に惹かれ尽くすうちに枕草子を書くことになる物語。

    私は大河ドラマの、ファーストサマ―ウイカ演じるイケイケの清少納言ききょうさんが大好きなのですが、こちらの清少納言は才女ながらも性格は引っ込み思案で控えめ、容姿や年齢(女房としてはアラサーは年齢高め)にコンプレックスがありつつも、恋愛については相思相愛でなければ結婚しないという頑固な意思の持ち主。最初の夫とは離婚、次の夫とは死別、三度目の結婚までに藤原実方、藤原斉信、藤原行成らと浮名も流すあたり、なかなかのモテだと思うのだけど、本人は自己肯定感低め。

    個人的に本書の清少納言のキャラクターは、私にはちょっと掴みにくかった。結婚歴や恋愛遍歴だけざっと見るなら、大河のイケイケ少納言のほうがキャラとしては説得力ある気がする。しかし本書の清少納言はどこまでも引っ込み思案。無論そういう内向的な面がなければ、書物を書くことはできなかろうとは思う反面、彼女のうじうじいじいじしたところに、少々イラっとしたりもしてしまった。つまりあんまり彼女を好きになれなかった。

    とはいえとにかく清少納言といえば、定子さま推し!定子様尊い!なところはブレず。その気持ちが枕草子を書く原動力となるのはこれもう史実。その背景にあったことを知る面白さはありました。

  • 清少納言が『枕草子』を書くまでのお話。中宮定子に仕えた時から始まり、都を去るまで。
    中宮定子に才能を見出され、その時代では少し異端であるが雅な趣を追い求めている姿が描かれていた。
    最後の解説まで面白かった。

  • 枕草子のできるまでの、清少納言のみた世界。

    カラッとしたサバサバした女子の平安エッセイ
    と思っていたら、切なくなりました。

    和歌もたくさんでてきて、おすすめします。

  • 源氏物語と枕草子、両者を読んだ時に枕草子の方が奥が深いと感じ、清少納言には興味があった。「こう言ったら褒められた」とか「こんなことするなんてダサっ」的な内容で、やっぱり鼻につくな~と思いましたが、それが定子のイメージアップ戦略だったとしたら、やはり優秀な参謀だったのだと思う。有名な歌が随所にちりばめられていて、解釈はもちろん、どういう状況で詠まれたものなのかもわかり、勉強になった。

  • 苦手だった時代小説のイメージを著者である冲方丁「天地明察」で変えられ、読んでみようと手にした一冊。

    清少納言「枕草子」の物語であるが、読後の感想としては実に深い物語であった。

    読め始めてからは私自身の無知さ故に時代小説特有の言葉遣いや登場人物の名前、相関関係等、やはりとっつきにくさもあり世界観に引き込まれるまでに3日を要した。

    清少納言が生きた平安時代中期(藤原氏全盛の時代)に帝位にあった一条天皇とそのきさき中宮定子の愛の物語なくして「枕草子」が誕生する事はなかった事に気づき、定子の人生をかけた愛の物語が本作により深みを与え、一途なまでに定子に仕え、時代に翻弄され続けた清少納言の存在を際立たせている。

    私自身、本作ではもっと「枕草子」について深く掘り下げた内容になっているものだと思い込み読み進めたが、あくまでも個人の感想としては時代に翻弄されながらも愛に生きた2人の女性(中宮定子と清少納言)の物語であった。


    説明
    内容紹介
    なぜ彼女は、『枕草子』を書いたのか――。28歳の清少納言は、帝の妃である17歳の中宮定子様に仕え始めた。華やかな宮中の雰囲気になじめずにいたが、定子様に導かれ、その才能を開花させていく。機転をもって知識を披露し、清少納言はやがて、宮中での存在感を強める。しかし幸福なときは長くは続かず、権力を掌握せんとする藤原道長と定子様の政争に巻き込まれて……。清少納言の心ふるわす生涯を描く、珠玉の歴史小説!
    内容(「BOOK」データベースより)
    なぜ彼女は、『枕草子』を書いたのか―。28歳の清少納言は、帝の妃である17歳の中宮定子様に仕え始めた。華やかな宮中の雰囲気になじめずにいたが、定子様に導かれ、その才能を開花させていく。機転をもって知識を披露し、清少納言はやがて、宮中での存在感を強める。しかし幸福なときは長くは続かず、権力を掌握せんとする藤原道長と定子様の政争に巻き込まれて…。清少納言の心ふるわす生涯を描く、珠玉の歴史小説!

  • 中宮定子に仕えた清少納言の、美しく切ない物語。
    平安時代の空気に包まれて、私もひとときの夢を楽しんだ。

  • 『光る君へ』の放送中に読むつもりだったのに!
    すっかり忘れていまさら(そして久しぶりに)再読。

    『枕草子』をもとに清少納言の半生を描いた歴史小説。とはいえ、作者は冲方丁さん。語り口は軽く、読みやすい。
    中宮礼讃は『枕草子』そのままだが、藤原道隆一家の栄華とともに没落も描き、そのうえでなぜ『枕草子』は栄華だけなのか、作者なりの答えが小説を通して浮かび上がってくる。
    清少納言と藤原行成をシンクロさせた場面には思わず唸る!
    それでも、『枕草子』からもう一歩離れて書かれたものが読みたかった。清少納言の眼に藤原道隆一家の没落がどう映ったか?栄華の頂点から底までを定子の傍らで見て、なにを思い、考えたのか?
    小説だからこそ、もっと掘り下げてほしかった。

  • 紫式部より清少納言派と熱く語る人の気持ちがわかった。紫式部日記等のせいで賢ぶっている印象が強いけれども、忠義に厚く、主君のために生きる人だった。
    それにしても、道長め、権力の使い方がひどい。中宮定子の気丈さが際立つ。気づいたら定子に肩入れして読んでいた。
    中高生のときに読みたかった。枕草子の書かれた状況を知って読めば、きっともっと楽しめる。

  • 平安時代に生きた清少納言の物語です。
    なぜ、「枕草子」を書こうと思ったのかが描かれています。
    永井路子さんの「この世をば」で、藤原道長の物語を読んでおり、人間関係やしきたりなどの予備知識があったためすんなり読めました。
    歴史小説ですが、文体は読みやすかったです。

  • 枕草子の裏方本のような作品。清少納言がどんな気持ち、どんな経緯で枕を書いていたかがリアルに描かれている。
    時代が違いすぎることもあって共感しにくいところも多々あるが、主君の定子をひたすら褒めて愛する感じは現代の「推し」活さながら。批判もあったようだが、逆境に負けず真っ直ぐに推しを信じ抜く人生は楽しそうで眩しく思えた。

  • 前から気になっていたけど、来年の大河もあるし友人も読んでいたので。
    清少納言が語り部の、生い立ちから定子様に出会って別れるまでの話。一乗の法とか香炉峰の雪とか知っている言葉の意味を初めて知った。俺は愛の話が大好き。

  • 2024大河への助走①
    前に読んだんだろうけど覚えていないので再読

    清少納言のクソデカ感情にやられた。「春はあけぼの」で気持ちがぐちゃっとなった。とっくに既知の一節なのにな。
    道長陣営視点のも読まないとフラットな感情で光る君へ観られないな…。

  • 春はあけぼの を読む前に、この本に出会っていたら。
    背景を想像できると、作品の理解も変わるでしょう。今の子たちが羨ましい。

  • 読んでいて全然頭の中でイメージができなくて、全く感情移入できなかった
    歌が登場するたびにその歌の意味の説明が入るが、説明を読んだところで、結局よくわからなくて、読み終わるのに苦労した

    でも清少納言ってこんな境遇だったのか〜っと言うことはわかったのでそれだけが収穫

  • 冲方丁は、『天地明察』と『光圀伝』を読みましたが、歴史上の人物に対する解像度の高さに脱帽です。

    その歴史の特色を描き口に表し、
    キャラクターがそのままその時代に生きているかのように地の文(主人公の語りなど)を書き上げる。

    先に上げた『天地明察』や『光圀伝』の時代よりも古く、さらに性別が違い、宮中内で中宮・定子の女房であるという特徴のある清少納言は、先に読んだ2つの作品とさらに書き方が違ってびっくりしてしまう。

    この解像度!

    さて、清少納言といえば“枕草子”です。
    この枕草子を書き始めるきっかけとなるのが155ページなのですけど、もう本の半ば!

    本の半分で、清少納言という人がどのように生きてきて価値観を持ってあるのか、また中宮・定子との関係性を学ぶようにできています。

    この時代の人たちって、
    今の科学で明かされた、一般の人でも知っているような「知識」というものは無いけれど、
    文学を楽しむ「教養」や豊かな「知性」がある。

    もちろんこの本の中で描かれているのは清少納言やその周りの宮仕えの人たちのような、平民の立場では無い人たちなので、平民では無い人限定での「教養」や「知性」ではあるのだけど、
    この雅な感性や心や気持ちを膨らませて解釈するような部分というのは、今の時代の人には持ち得ない豊かさだよなぁとため息

    はんなりとした、時間の流れ方の違いに美しさを感じます。

  • 冲方丁の「はなとゆめ」読了。これはつくづく大河ドラマ「光る君へ」と並行して読みたかったですね。さすれば裏側の帝と中宮についてもっと深く考察出来て楽しめたであろうと。それにしてもこちらでは本当に道長が悪者になっていて面白かった。ウイカ様も嫌ってたけど、ここまでとはw

  • 第131回アワヒニビブリオバトル テーマ「コミュニケーション」で紹介された本です。ハイブリッド開催。
    2025.9.2

  • きれいな文体です。するすると読みこなせますが、文体フェチだと進むのがもったいなくて、いちいち感動を胸に留めてため息つくのでなかなか読了できません。忙しい方には大変危険な書物です。笑
    しかし、ゆとりのない世の中は殺伐として心身に良い影響を与えないのも事実です。敢えてこのような作品に身を浸して、失われそうな時間を取り戻そうとするのも、決して悪くはない行為かと思います。

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著者プロフィール

1977年岐阜県生まれ。1996年『黒い季節』で角川スニーカー大賞金賞を受賞しデビュー。2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞、2010年『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞、第4回舟橋聖一文学賞、第7回北東文学賞、2012年『光圀伝』で第3回山田風太郎賞を受賞。主な著書に『十二人の死にたい子どもたち』『戦の国』『剣樹抄』『麒麟児』『アクティベイター』などがある。

「2022年 『骨灰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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