代体

著者 : 山田宗樹
  • KADOKAWA/角川書店 (2016年5月28日発売)
3.77
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041041260

作品紹介

『百年法』(第66回日本推理作家協会賞)から4年。新たに現代社会に問いかける衝撃の問題作にして、一気読み必至のエンターテインメント大作!
人工知能が実現しつつある現代に生きる全ての人に問う――「あなたは、本当にあなたですか?」

近未来、日本。そこでは人びとの意識を取り出し、移転させる技術が発達。大病や大けがをした人間の意識を、一時的に「代体」と呼ばれる「器」に移し、日常生活に支障をきたさないようにすることがビジネスとなっていた。
大手代体メーカー、タカサキメディカルに勤める八田は、最新鋭の代体を医療機関に売り込む営業マン。今日も病院を営業のためにまわっていた。そんな中、自身が担当した患者(代体を使用中)が行方不明になり、無残な姿で発見される。残される大きな謎と汚れた「代体」。そこから警察、法務省、内務省、医療メーカー、研究者……そして患者や医師の利権や悪意が絡む、壮大な陰謀が動き出す。意識はどこに宿るのか、肉体は本当に自分のものなのか、そもそも意識とは何なのか……。科学と欲が倫理を凌駕する世界で、葛藤にまみれた男と女の壮大な戦いが始まる!

代体の感想・レビュー・書評

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  • 割と面白かった。倫理的に重苦しくしなかったのがある意味では良かったのだろうし、逆に深みを欠いてしまったような気もする。「ギフテッド」を読んだときにも思ったことだけれど、過不足ない落とし所になんとか帰結させた感じかな。

  • 3月-4。4.0点。
    意識を『代体』へ移せる近未来。
    創設の科学者が、陰謀を考える。
    意識の暴走が。。。

    面白い。さすが、こう言うの書かせるとうまい。
    ラストもホロリ。

  • 長期入院、治療中でも社会生活が出来るように開発された仮の肉体という設定が妙にリアルでそう遠くない未来を感じさせる。エンタメとして読むと後半は少し失速気味な感じもするけどSF的な目線で見ると後半の方が面白い。特殊案件処理班の面々が良いキなャラをしている割にはさらっと流れているようでちょっと勿体無い感じがした。でも面白かった。

  • 2016.11 百年法と同じくすごい小説でした。

  • 前に読んだ「百年法」という作品はかなりの長編でしたが、非常に完成度の高い作品でした。

    今回読んだ「代体」という作品も非常にクオリティが高かったです。

    SFのようだけど近未来に本当に起きそうなリアルティもあり、長編にかかわらず無駄のないストーリ展開はすごいです。

    ハラハラドキドキのストーリ展開なのに、最後の一文だけで涙が溢れそうになりました。

    思わず「天才」という言葉を使って表現したくなる作家です。

    大満足の作品です。

  • 今読み終わった。拍手喝采だ。
    ハードな部分とソフトな部分が織り交ざり、物語のトーンは若干統一性に欠けるところはあると思う。個人的な好みから言えば、もっともっとハードに攻めてもらいたかった。でも、エンタメに徹して人間賛歌を謳いあげるその心意気は著者の矜持なのではないかとも思う。
    そして、ラストには泣かされた。ベタだけど。でもいいじゃん別に。ベタでも。
    ハチやアリにはたぶん、確固たる集合意識はある。人間にもたぶん、気付かないだけでそれはあるんじゃないかと思う。
    ミクロとマクロ、低次元と高次元の壁は、きっとどんどん取り払われていくのだろう。その先に何が待っているのか。SFは本当に興味深いな。
    どちらかといえば「百年法」のほうが好みだけれど、負けないくらいに十分面白かったです。

  • 分厚いので読むのに時間かかるかな、と思ったらどんどんページをめくらされた。
    オチがすごいな、神はいたんだ、みたいな。
    あれだけ超然としたガインの、本当の心の中にあった願いが「あの向かいの家の子と遊びたかった」なのが、切ない。

    ただ残念なのは、自動運転する車があって、意識を別の体に移せるような技術が発達した世界なのに、「女性の平均所得が低いまま」というところ。そこだけなんで現代ぽいのか理解に苦しんだ。

  • 「~これは事実上の不老不死だ。倫理的にきわめて厄介な問題を突きつけられることになる。だが、現代の人間社会はそれに向き合うだけの準備ができていない。」序盤でこんな表現が出て来て、ふと「百年法」を思い出す。

    代体自体は発想としてそこまで特異ではないかもしれないが、そこからの派生がすごい。代体のエネルギー残量、代体の安楽死、クリンガやブランク、ラザロの存在、全人類の総和的な五感などといった概念。細かく挙げればきりがないが、膨大で魅力的な妄想がこの世界を構築している。これを発想して形にできることが驚異的。 「サトラレ」がヒットした当時、自分が「サトラレ」なんじゃないかと密かに思ったことのある人も多いかと思うが、これもまた似た思いを抱く読者が出てきそう。

    Φ次元移動の下り(これに関しては実在する理論なの?)では筧さんと一緒に脱落しました。 虚無の新世界の主についても、つい思いを巡らせてしまうが、細かい理論をまったく理解できていない己の頭がたてる仮説には全く信用がおけない。

    オウラさんがかっこいいのに、終盤急激に存在感が薄くなったのが残念。

    いろいろ小難しい要素の上に成り立つ物語だが、とりあえず「母親は存在自体が偉大」ってことでいいでしょ。

  • 面白かった…。
    体に不具合があったとき、意識を一旦他の入れ物に入れておいて治療などを行えたらという発想力。凄いなぁ。全くの根っからの文系の私は、SF作品を読んでも理解しきれない場合が多い。今回もそう。感覚で読んでる部分も多かった。
    でも、終盤に向かって、物語の中の「スピード」と一緒に、理解しきれないのに読む早さも増していった。好きな話のときはだいたいそうなる。大事に読みたいけど、早さがましちゃう。「その世界」の景色が怖かったけれど、自分を顧みても、そんなものかもなと。思ってしまった。(ネタバレしたくないからみんな読んで。)

  • 『百年法』で、「不老化」という先端技術とそれを管理する「寿命制限法」を対置させ、近未来の社会構造や人間関係の変化を描き、一気読み必至のエンタメに仕立てた著者が、今作では最新の意識研究をヒントに書き上げたのが本書。
    今回は、パーマンのコピーロボットならぬ「代体」という人形への意識転送が中心となる先端技術。重病人などの長期療養や苦痛の回避を目的とした医療技術なのだが、それによって生ずる社会問題も複雑。
    肉体の死によって帰る場所を失った意識の処置や、転送の繰り返しによる不死を禁ずる法律など、幾重にも重層化している。

    代体を使った近未来の医療の形は果たして実現されるだろうか?
    怪我や病気による苦痛や寝たきりなどによって縛りつけられたベッドから解放され、今までどおりの日常生活を営みながら、抜けながらとなった体をその間に集中治療する。
    まだ高額ではあるが保険も適用されてくれば普及が進み、「代体を使った医療が当たり前になる日が必ず来る」と確信している。

    その一方で、代体を売り歩く営業マンも不安を口にする。
    「俺たちの感覚が、そうやって一つ一つばらばらに分解されて、代体で再現されていく。そのうち、人間と代体の境界が曖昧になってしまうぞ」
    「つまりさ、死が肉体の機能停止を指すなら、自分は本体の心臓が止まった時点で死んだことになる。代体の中に残された意識は、あとはただ消滅するだけで、それは死じゃない。だから、自分はもう永遠に死ぬことを経験できないって」

    巻末の参考文献にガザニガやコッホの脳科学や意識研究が上げられているように、本書には最新の意識研究の知見が随所に見てとれる。
    すでに固有の肉体を持たない意識体となった麻田ユキオ(ガイン)が、意識転送用のナノロボットを世界中に拡散させて、自由に意識を操作できるようになった時、何を目指したか? 従来のマッド・サイエンティストでは「世界征服」という言葉が思い浮かぶが、なんとガインは、「全人類の脳にアクセスして新しい思考世界を創造しよう」と企む。
    φポットに感染した脳を高速で周回することで、40億の脳を統合すれば、そこから新しい宇宙が生み出されるはずだと計算する。もしくはそれが適わぬなら、<神>に比肩しうるような高次元の集合意識がすでに存在しているはずだと考え、転送の旅に発つ。結果的には後者の事実を確認して終わるのだが、このクライマックスのオチを読んでも多くの読者には、「へ!?それで?」ではなかっただろうか。
    このあたりは、コッホのネットワークに意識が宿る可能性についての議論や、ガザニガの意識は創発特性で、他の脳とのやり取りなど社会的文脈を無視しては意識や精神を語ることはできないとする議論を踏まえたものになっているのだが、やや唐突な印象を受ける。もう少し物語の中で最新の知見をちりばめて解説しておかないと、読者は意識をめぐる冒険に旅立つ前に、狂った科学者の暴走を止め捕まえることだけにフォーカスを当ててしまうだろう。
    「人の意識とはなにか。心か。魂か。否。膨大な記憶の複雑きわまるネットワークと、情報処理の相互作用から生じる、流動的なフィードバックの連続する煌めきに過ぎない。すべての源はシステムにある」
    「意識転送」というキーワードの他に、「意識改変」や「偽記憶の貼り付け」も本書のテーマの1つだ。この技術は、国の法務省や警察が積極的に研究していて、「再犯性の高い犯罪者の意識を改変することによって、更生させたり犯罪を未然に防いだりする」プロジェクトとなっている。
    では、どのように記憶を操作するかと言えば、「古い記憶へのアクセスを遮断した上で、新しい偽の記憶を転写する」とのこと。「転写用の偽記憶として使うのは、ブランク側の人が持っていたであろう記憶を人工的に作成したものです。すべての記憶をカバーする必要はありません。両親のこと、子供のころの思い出、抱いていた夢、憧れた異性、目標を達成したときの喜び、挫折したときの鬱屈。そういったポイントとなるものだけでいい。ブランクにされた人の性向をそこに加味すれば、脳がその文法に沿って認識パターンを形成し、筋の通った物語、すなわち、新しい意識に書き替える。消滅させられた意識と同一のものができるわけではありませんが、似通ったものにはなる。古い記憶が封印されるため、別人の身体に入っているという自覚すら生じない。まったく違和感なく、新しい人生に移行できるのです」
    このアイデアは、さきほどのガザニガやコッホの知見と矛盾していて違和感が残った。無意識のプロセスや分裂したプロセスが、無数に分散して生じてはじめて意識経験が形作られるという話ではなく、意識経験が規則的で単純な有意味なプロセスの連鎖といった従来の考えに立脚しているように思えた。

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