代体

  • KADOKAWA
3.81
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感想 : 86
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  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041041260

作品紹介・あらすじ

『百年法』(第66回日本推理作家協会賞)から4年。新たに現代社会に問いかける衝撃の問題作にして、一気読み必至のエンターテインメント大作!
人工知能が実現しつつある現代に生きる全ての人に問う――「あなたは、本当にあなたですか?」

近未来、日本。そこでは人びとの意識を取り出し、移転させる技術が発達。大病や大けがをした人間の意識を、一時的に「代体」と呼ばれる「器」に移し、日常生活に支障をきたさないようにすることがビジネスとなっていた。
大手代体メーカー、タカサキメディカルに勤める八田は、最新鋭の代体を医療機関に売り込む営業マン。今日も病院を営業のためにまわっていた。そんな中、自身が担当した患者(代体を使用中)が行方不明になり、無残な姿で発見される。残される大きな謎と汚れた「代体」。そこから警察、法務省、内務省、医療メーカー、研究者……そして患者や医師の利権や悪意が絡む、壮大な陰謀が動き出す。意識はどこに宿るのか、肉体は本当に自分のものなのか、そもそも意識とは何なのか……。科学と欲が倫理を凌駕する世界で、葛藤にまみれた男と女の壮大な戦いが始まる!

感想・レビュー・書評

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  • 一時的に肉体から意識を移す“代体”という技術のある世界で起こる不可解で壮大な事件を描くSF小説です。
    傷病による治療中に“代体”を利用することが普及し始めている社会で、それを扱う会社の一つに勤務する八田輝明を中心に物語は進みます。
    人間の意識や魂と呼べるものを肉体から抜き取り違法でありながらも技術的に不死が可能となっている世界観、実際に起こり得る未来の姿なのでしょう。
    それに伴う倫理について読者は葛藤することになりますが、物語は予想を超える展開に…。
    400頁以上あるのですが夢中にさせられ、読了後には気持ちの良い満足感が残りました。

    • goya626さん
      探耽さんのまとめ方、上手いですねえ。この話は面白かった。人間の繋がりみたいなものを描いていますね。山田宗樹の小説は後味がいいです。
      探耽さんのまとめ方、上手いですねえ。この話は面白かった。人間の繋がりみたいなものを描いていますね。山田宗樹の小説は後味がいいです。
      2021/05/20
    • 探耽(たんたん)さん
      goya626さん

      ありがとうございます。
      レビューは毎回長文になってしまうのですが、投稿前に削って簡素化しています。
      読書は体力と時間を...
      goya626さん

      ありがとうございます。
      レビューは毎回長文になってしまうのですが、投稿前に削って簡素化しています。
      読書は体力と時間を使いますが、このような良書に出逢えると報われますね。
      2021/05/20
    • goya626さん
      確かに、体力は使いますが、楽しいですね。
      確かに、体力は使いますが、楽しいですね。
      2021/05/22
  • 今から5年前に出た作品、何とも面白かった!
    代車ならぬ代体とは!
    近未来のSF小説だけど、重病や重傷になった場合にその身体から意識だけ取り出して代体なる器に移し代体有効期間中は代体で普通に生活、その間に本体を修復して再度 意識を移送し本体に戻すという高級ビジネスが興隆しているという時代設定。
    死の線引き 医療の進化 ビジネスとしての医療 政官学の絡み合い 更にはコロナ禍を彷彿とさせるリスクとの攻防などと、登場人物が多数だけど苦にならないのは話の運びが巧みでどんどん読み進めてしまうからだろう。
    こういうの男子は大好きです♪
    とても科学的な部分と 如何にも情緒的な部分が上手にミックスされていて楽しめる本でした。

  • 凄い本です。テーマも、ストーリーも、見せ方も!個人的には、今年の半年ちょいの間で読んだ本の中ではベストです。ブクログでレビューを拝見して読了。選書眼凄い…もう感謝しかないです。
    敢えて言えば素っ気ないタイトルだけが中身の面白さを感覚的に伝えるものではないのが残念ですが(笑、かと言って代案が思いつく訳でもなし。

    「代体」は、病気治療中等でも患者が社会生活を継続できるよう開発された、意識を収容できる仮の肉体だそうで。車の修理中に提供される代車の人間バージョンですね。
    そんな技術が実用化された近未来。ちょっとお金はかかるけど、意識を代体に転送して…ができる世の中。
    その利用シーンが冒頭にあまりにもスムーズに提示されるので、「意識」と「身体」が離れることについて、読んでいて思慮が足りなかったと言うか…その後の本著の展開で著者が余すことなくこのテーマを描き切ってくれたので、うわーってなりました(^^;
    代体が登場した日本における「死」の定義は、実に日本的で有り得そうな話で、「肉体の死」な訳です。仮に意識だけが抜けてしまったとして…?
    その見せ方は見事だったし、展開の回しにおいても登場人物の使い方が丁寧と言うか…(全員ではないですが)終盤までちゃんと役割が振られていて、著者の手腕を感じました。

    しかし、仮に今後の未来でヒトの意識を移動する技術ができたとして、そのやり方が本著のような「カット&ペースト」になるんでしょうか。普通に考えたら、コピペできますよね…(それが面倒な問題を引き起こすのは必然ですが)。
    酷く卑近な話をすると、異動しちゃう超デキる上司の人格をコピーして残しておきたい…とかできちゃう訳ですよね(笑
    そして、こういうケースで人権ってどうなるの?と、本著をキッカケに色々なコトを考えてしまいます。

    そう思わせてくれる良著。疾走感も、読後感も、すっごい良かったです。SFやアクション物を読みたい方にはぜひ。

  • 難しい部分もあって、読むのに時間がかかったが、設定が面白く、最後はどうなるか気になり読み進めた。
    代体はすごい便利そうだし、将来的にあるかも!と思った。でも、意識の死と体の死の問題が出てくると、確かに難しいところだと考えさせられた。

  • 山田さんらしい近未来SF小説だった。
    人の意識だけを体から取り出し、代体に移すことができる技術が生まれた世界。
    辛い手術後の痛みとかを避けられるならいいなーと思った。
    意識を代体に移転し続ければ永遠に生きることも理論上は可能というのが、百年法にちょっと似てた。
    山田さんの本は難しいけどなぜか読みやすい。

    でも今回はガインの登場の主旨がよくわからなかった…
    なんで人類を統治したいわけでもないのにφボットを作り出したのか。

    『存在しない時間の中で』や『百年法』のほうが同じ近未来SFならおもしろかったかなあという感じ。

  • 割と面白かった。倫理的に重苦しくしなかったのがある意味では良かったのだろうし、逆に深みを欠いてしまったような気もする。「ギフテッド」を読んだときにも思ったことだけれど、過不足ない落とし所になんとか帰結させた感じかな。

  • 前に読んだ「百年法」という作品はかなりの長編でしたが、非常に完成度の高い作品でした。

    今回読んだ「代体」という作品も非常にクオリティが高かったです。

    SFのようだけど近未来に本当に起きそうなリアルティもあり、長編にかかわらず無駄のないストーリ展開はすごいです。

    ハラハラドキドキのストーリ展開なのに、最後の一文だけで涙が溢れそうになりました。

    思わず「天才」という言葉を使って表現したくなる作家です。

    大満足の作品です。

  • 今読み終わった。拍手喝采だ。
    ハードな部分とソフトな部分が織り交ざり、物語のトーンは若干統一性に欠けるところはあると思う。個人的な好みから言えば、もっともっとハードに攻めてもらいたかった。でも、エンタメに徹して人間賛歌を謳いあげるその心意気は著者の矜持なのではないかとも思う。
    そして、ラストには泣かされた。ベタだけど。でもいいじゃん別に。ベタでも。
    ハチやアリにはたぶん、確固たる集合意識はある。人間にもたぶん、気付かないだけでそれはあるんじゃないかと思う。
    ミクロとマクロ、低次元と高次元の壁は、きっとどんどん取り払われていくのだろう。その先に何が待っているのか。SFは本当に興味深いな。
    どちらかといえば「百年法」のほうが好みだけれど、負けないくらいに十分面白かったです。

  • 百年法ほどではなかったが面白かった


  • 怪我や病気の療養を目的としてロボットに意識(脳機能)を移し身体から一時的に離れることができる未来の話
    死とは身体の死を指すのか意識の死を指すのか、、、
    本当にこんな未来が来てブランクの家族だった場合、意識側の家族だった場合、私は受け入れることができるのか、、、
    本当に考えさせられる話だったし続きが気になってあっという間に読み終えてしまった。
    山田宗樹の小説を読むのは『ギフテッド』『人類滅亡小説』『百年法』『存在しない時間の中で』に続いて5作品目。期待通りとても面白かった!読んでよかった!

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著者プロフィール

1965年愛知県生まれ。筑波大学大学院農学研究科修士課程修了後、製薬会社で農薬の研究開発に従事した後、『直線の死角』で第18回横溝正史ミステリ大賞を受賞し作家デビュー。2006年に『嫌われ松子の一生』が映画、ドラマ化される。2013年『百年法』で第66回日本推理作家協会賞を受賞。その他著作に『ジバク』『ギフテット』『代体』『人類滅亡小説』『存在しない時間の中で』など。

「2022年 『SIGNAL シグナル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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