USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門
- KADOKAWA (2016年4月23日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041041413
作品紹介・あらすじ
2015年10月には過去最高の月間175万人を集客し、USJの3倍の商圏人口に陣取る東京ディズニーランドをも超えて、単月ではありますがついに集客数日本一のテーマパークになることもできました。<中略>USJはなぜ復活し、大成功をおさめることができたのか? なぜ次から次へと新しいアイデアが出てきて、なぜやることなすこと上手くいくようになったのか? その秘密は、たった1つのことに集約されます。USJは、「マーケティング」を重視する企業になって、劇的に変わったのです。(「プロローグ」より)
感想・レビュー・書評
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仕事に役に立つといいなと思い読んでみた、マーケティング入門書のような本。
仕事の部署はマーケでもプレスでもPRでもないけど、自分のいる会社のことを考えながら読むと
自社改善点ありまくりだなと反省。
あぁなるほど!っていう箇所は沢山あったので
また読み返して自分の仕事に当てはめれる部分で使えることもありそうだった。
しかしUSJまだ行ったことないけど、凄いわ。 -
1.Youtubeの動画で出てきたので、気になりました。
また、自分がマーケティングについて本を読んできたものの、実践的ではなく、難しかったため、実践家の人の本を読むほうが良いと思い購入しました。
2.マーケティングとは「人間心理の理解」をすることです。その手段として市場調査や分析が行われます。ではなぜ日本では進んでいないのか?それは、日本は「技術があるから売れる」という世間の流れが強すぎたため、何もしなくても売れる時代だったからです。その結果、現在では完全に後れを取ってしまっています。
そこで、マーケティングとは何なのか、実際に仕事にする上でどんなことが必要なのか?ということを本書で述べています。
3.マーケティングというと「分析」が仕事だと思っていましたが、それでは表面的なことしかとらえられないと気づきました。数字を分析することはもちろんですが、その数字は人間が行動したことによって出てきた数値です。つまり、「この人たちがどんな気持ちでこの行動をとったのか?」ということを常に考えなくてはなりません。なぜなら、数字が全てではないからです。アンケート調査を鵜吞みにした失敗するという話はよく聞きます。みんなそのことを知っているとはいえ、なぜかその失敗を繰り返してしまう。これは、まだまだマーケティング風で終わっているということです。
大切根のは「人への理解」そうすることで本書のサブ目的である業務効率とプロジェクトの成功確率を上げることに繋がると思いました。 -
・「マーケター」の最初にすべき最重要な役割は「どう戦うか」の前に「どこで戦うか」を正しく見極めること。それが会社を勝たせる軍師であるマーケターの最初にして最重要な仕事である。
・会社側のどんな事情もどんな善意も、消費者価値につながらないのであれば(消費者に伝わらないのであれば)、一切意味がない。
・マーケターは消費者理解の専門家。
・マーケティングの真髄は消費者理解。
・作ったものを売る会社から、売れるものを作る会社に変わる
・マーケティング優勢で技術力を活用する会社
・「商品を売る」のは営業の仕事、「商品を売れるようにする」のがマーケティングの仕事。
・放っておいても売れる=選ばれる必然。
・消費者と商品の接点を制することで売れるようにする
1) 消費者の頭の中を制する
Awareness (認知率)
Brand Equity (ブランド エクイティ)
- ブランドエクイティを築くための一連の活動が“ブランディング”
- 消費者に選ばれる強い理由になっているもの=Strategic Brand Equity 戦略的ブランドエクイティ
2) 店頭(買う場所)を制する
- Distribution 配荷率 (消費者に強く求められる必然→流通に選ばれる必然)
- Display
- Trial (Sample campaign, first purchase)
- Repeat
- Pricing
- Purchase frequency
3) 商品の使用体験を制する
・Purchase Flow (認知→購入→再購入)
売上個数=消費者の数×認知率×配荷率×購入率
売上金額=売上個数×平均価格= 消費者の数×認知率×配荷率×購入率×平均価格
・戦略とは、目的を達成するために資源(リソース)を配分する「選択」のこと。
経営資源(リソース): カネ、ヒト、モノ、情報、時間、知的財産(代表的な知財は、ブランド)の6大経営資源
※この中でヒトだけがこの6つの経営資源の全てを増減させたり遣いこなしたりすることができる
目的;objective
・目的は1)ぎりぎり届く高さで、2)人が理解できるシンプルさ、3)魅力的かどうか(例:ハリーポッターという宣言をした時の社員の目の変わりよう)
戦略: strategy - what?
・「人々は4分の1インチのドリルを欲しいのではない。人々が欲しいのは4分の1インチの穴である」
消費者が欲しいのはドリルではなくドリルで得られる穴である。ハーバードのレヴィット博士。
(消費者はUSJのアトラクションではなく、体験した時の感情。感情がwhat. モノはhow)
・what = 戦略的ブランドエクイティ
(例:TDLの戦略的ブランドエクイティは「幸福感」、ミッキーに会えることや演出はhow)
目標: target - who
・ターゲット一人当たりのマーケティング予算が十分となるようにターゲットを選ぶ必要がある。
・戦略ターゲット
=メディアターゲット。小さくなりすぎないことに注意。
・コアターゲット(戦略ターゲットの中)
さらにマーケティング予算を集中投資する対象。
サンプリング、ダイレクトメール、特典プロモーションなど。
コアターゲットの内側と外側を明確に。who?
①ペネトレーション:
自社ブランドの世帯浸透率を増やせるグループはいないか?空白地を見つける
②ロイヤルティ:
競合ブランドをブロックし、連続でそのブランドを消費させるように仕向ける
③コンサンプション
1回当たりの消費量を増やせるグループはいないか?
(例:味の素の容器の穴を増やす。USJで日帰りを宿泊客にする)
④システム
既存使用者の中で使用商品のSKU数を増やす
(化粧品で有効)
⑤パーチェスサイクル
購入サイクルを短くできるグループはいないか
⑥ブランド・スイッチ
競合ブランド使用者の中にブランド変更の高いグループはないか
戦術: how?
・what をwhoに届けるための仕掛け。execution.
・消費者が目に触れるものほとんど全てがhow:
商品パッケージ、プロダクト、CM、Website、価格戦術、流通戦術
▪️4P:
□Product 製品をどうやって作るか
目的: 顧客に提供するものを決める
アプローチ:
商品のスペックを決める
(形状・形体、ネーミング、包装(パッケイジング)、セット/パッケージ販売)
□Price 価格をどうやって作るか
目的: ポジションに適した価格を決める
アプローチ: 価格戦略の決定
(需要に応じた設定、コストに応じた設定、競合他社との関係、価格弾性)
□Place 流通をどう設定していくか
目的: 効率的・効果的な顧客のアクセス方法を決める
アプローチ: 流通経路の設計
(卸売業&小売業、販売会社&小売業、小売店のみ、ダイレクトマーケティング)
自社製品が消費者に届くまでの流通経路を設計するのはマーケターの重要な仕事。
□Promotion どうやって顧客に販売促進をするのか
目的: 効率的・効果的な顧客への情報提供方法を決める
アプローチ:
ターゲット設定
コミュニケーション目標設定
プロモーション手段の選定
(広告、販売促進、人的販売、パブリシティ)
深くwhoを理解した消費者の視点からhowを判断すれば良い。(ヘアケアなら金髪にしたり…、USJではゲームプレイに時間をつぎ込む)
▪️5C:
□Company 自社の理解
・会社全体の戦略を理解する。
・自社の使いうる経営資源をできる限りたくさん把握する
・自社の能力や性格としての特徴(強み・弱み)を把握する
□Consumer 消費者の理解
・量的に消費者を理解する
(年齢、性別、収入、人口、対象商品の世帯浸透率、認知率、購入頻度、消費者の認識を理解)
・質的に消費者を理解する
(ビジネスの文脈を超えて消費者心理を人として包括的に理解できているか。根源的な深い消費者理解=消費者インサイト)
→消費者の認識を大きく変えるインサイト
=Mind Opening Insight
(例:除菌できる選択洗剤、部屋干しは菌が繁殖しているからというインサイト)
→消費者の感情を大きく変えるインサイト
=Heart Opening insight
(例:消費者インサイトを突いたコミュニケーション。娘とのクリスマスは後数回しかない貴重なクリスマス。)
□Customer 流通など中間顧客の理解
□Competitor 競合他社の理解
・広義においての競合理解までやっておかなければならない。自ブランドが消費者に提供している価値が何なのか?を正しく理解していれば着眼すべき競合の姿は明らかになっていきます。
(USJの狭義の競合はTDL、その他遊園地。
広義はスマホ、その他エンターテイメントなど)
□Community ビジネスを取り巻く地域社会の理解
・法律、世論、税率、景気、為替など。
あらかじめcommunity要素を明確にしておき、その動静をモニターして変化の兆しに細心の注意を払う
・ポジショニング
=消費者の頭の中にある競合との相対的な位置付け
(消費者の頭の中で購入の強い理由となるブランドエクイティに最も近い場所にポジショニングしているブランドが有利になる)
→車なら安全信頼、掃除機なら吸引力。自ブランドがそのブランドエクイティを単独もしくは有利にポジショニングすれば消費者に選ばれる確率が増す。
Whoの洞察を深めて消費者がそのカテゴリーを買っている根源的な理由を深く理解すればするほど、その軸は見えてくる。
多くの場合、そのカテゴリーNo.1ブランドがすでに単独で所有しているか有利に所持している場合が多い。
・自分が動かなくても相手が動くことで自分のブランドエクイティが動かされてしまうことが起こる。
逆に自分のポジショニングを動かすことによって、全く動かない相手を消費者の頭の中で動かしてしまうこともできる。
・ブランド=lovemark
・好きなことを列挙してどれに当てはまるかチェック
a) リーダーシップに関するもの
b) 思考力に関するもの
c) 対人関係構築力、コミュニケーションに関するもの
d) 革新性や創造性に関するもの
e) 行動力や任務遂行力に関するもの
f)各職能の専門スキルに関するもの
・年→半期→四半期→月→週→その日
それぞれ3つづつ達成することを戦略的に選ぶ -
マーケティング初心者に向けたマーケティング入門書。とてもわかり易く、難しい言葉は排除されて書かれている。エピローグでも著者自身が書いている通り、よくある入門書とは一線を画していて、とても読みやすい。ただ物足りなさも感じるところは、著者の読者を引き付けるマーケティング能力によるものと感じた。テレビの出演番組も見せていただいたが、森岡毅ファンが多く存在するのも頷ける、戦略と戦術がわざとらしくなく駆使されている。自分の目標達成のためにもとても参考になる一冊と感じた。
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わかりやすい!マーケティング初学者向け。
もっと早くに読んでおきたかった本。
USJや著者の古巣であるP&Gの例を見ながらマーケティングの基本をわかりやすく学べる一冊。マーケティングについては全く学んだことがないが、難しい表現もなく丁寧に読者目線で解説されているため、無事一周することができた。目的→目標→戦略→戦術 の流れはどの分野においても活きるはず。時折読み返すようにしたい。
後半は著者の熱い想いが綴られている。人によって抱く感想は様々だと思うが、心に響く箇所は少なからずあるのではないか。自分のために、そして他者や企業、国のために何か生み出せる人間になりたいという思いが強まった。 -
マーケティングを知らない人でも
マーケティングの基礎を学ぶことのできる良書。
個人的にマーケティングのインターンに参加して、自分の能力不足に悩みつつも、あー好きだなーって思ったので改めて勉強してみた。
本書に書いている通り、結局実戦でたくさん成功失敗を繰り返さないと成長しないなって思いました。普通の平均台渡りとブレイブメンロード渡りとは全く違うように。
理論とか深い思考が苦手なので最低限を勉強して、自分の強みを活かすように取り組みたい。
好き=最強 -
新卒で入社したP&Gでは得意の数学を駆使したマーケティングスキルを会得、のちに瀕死状態ともいえる関西最大手のテーマパークUSJをマーケティングの力でV字させた日本のビジネス界の軍師。
「結果以上」の価値をもたらすことこそがマーケターの使命と語る森岡毅さんがマーケティングの基本のき、を語る。
■マーケターとは?
マーケターとは消費者理解のプロ。作ったものを売るのではなく、売れるものを作る存在でなければならない。
マーケターは、「カレー」がいいという意見や「すき焼き」がいいという意見に対し、「消費者が寿司を求めているので寿司でいきます」と言えなければならない。間違っても「カレーすき焼き」を作ることがあってはならない。
■戦略とは?
戦略とは目的を達成するためにリソースを分配する選択のこと。資源分配の選択とも言い換えられる。
マーケティングにおけるwhoとwhatの選定がここにあたる。
なお、戦略が必要になる理由は資源に常に不足しているからである。
また、素晴らしい戦略とは相手と自分の特徴の差を自分に有利に運ぶことができることである。
戦略①whoの選定
whoは常に不足している限られた経営資源を投下する的のこと。
⑴戦略ターゲット
ある程度広さを持った購買想定者
⑵コアターゲット
特に売り上げに直結させる集中投下先
この2者を定める。
whoが決まったら、who=消費者のインサイトを見定める。
⑴マインドオープニングインサイト
認識を変える、理性をハッとさせるもの
例)「部屋干しの衣類には菌がいる」アリエール
⑵ハートオープニングインサイト
感情を動かす、感情をエグるもの
「娘と一緒に過ごせるクリスマスは後何回もない」USJ
これを見極めておくと、whatの選択にいきる。
戦略②whatの選定
whatとは自ブランドの消費者価値=valueを選ぶこと。設定したターゲットは自社製品の何に価値を感じているのか?何にお金を払うのか?アンケートでは「それにお金を払ってるんじゃない!」と否定されてしまうような口にはされないインサイトを明確にすることが大切。
■戦術とは?
成果を分けるもの。成功と失敗を分ける重要な部分。
戦術how
howとはwhatをwhoに届けること。(4Pの磨き上げが大事だがここでは割愛)
大切なことは、実際に購入者目線に降り、現場で目を凝らすこと、時には手を動かしてみること。決して誰かに任せたり、押し付けたりしないこと。
■最後に
日本は精神的にタフだが、それが仇となり戦略も感情に左右されてしまう傾向にある。
合理的に戦略を立て、感情的に戦術に向き合うことが大切。
また、マーケターに限らずビジネスの世界では弱点を克服することは難易度が高いため無理に克服する必要はない。
が、強みを殺してしまう弱みは改善しなければ損。自分の首を絞めるので、強みを生かすための阻害要因は排除しておくことが肝要。
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P&GからUSJに転職し、
マーケティングの面から再建した森岡さんのマーケティング本。
若手向けのマーケティングの全体感が理解できて、
初学者でも分かりやすい(手に取りやすい)本を探していて、
見つけた本。
読んでみたけど、事例もそれなりにあって、
USJ(テーマパーク)の話は誰でもイメージしやすく、
自分の目的にも結構、目的合致度合いが高い本でした。
だだし、やや(就活生を含めた)初学者向け。
森岡さん自身が本の中で言っていらっしゃいますが、
森岡流のイムズを感じ、それがこの本の個性にもなっている一方、
純粋な「マーケティング(の全体像)」を学びたい人にとっては、
不要な情報もあるのは事実です。
(例えば、ダフ屋の話は正直この本には不要な気がする。
森岡さんの熱い思いは理解するけど。)
ライトに読める、けど奥が深くて、
事例が豊富で理解しやすい、そんな本が中々ないので、
(そんな目的に)完全には一致していないけれど、
結構近くて良い本だと思います。 -
また読みたい。
著者プロフィール
森岡毅の作品





