確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力

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  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041041420

作品紹介・あらすじ

世界屈指のマーケター&アナリストが、USJに導入した秘伝の数式を公開。

ビジネス戦略の成否は「確率」で決まっている。
その確率はある程度まで操作することができる。

八方塞りに思える状況でも、市場構造や消費者の本質を理解していると、
勝てなさそうに見える局面や相手に対しても勝つチャンスのある戦い方、
つまり勝つ確率の高い戦略を導き出すことができる。
その戦略を導き出すのが「数学マーケティング」である。

感想・レビュー・書評

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  • # 書評☆2: 確率思考の戦略論 | 抽象的な話も多く個人事業への導入は無理

    ## 概要
    - 書名: 確率思考の戦略論
    - 副題: USJでも実証された数学マーケティングの力
    - 著者: 森岡 毅 and 今西 聖貴
    - ISBN: 9784041041420
    - 出版: 2016-05-31
    - 読了: 2020-09-16 Wed
    - 評価: ☆2
    - URL: book.senooken.jp/post/2020/09/17/

    ## 評価
    個人事業で新しいビジネスを考えており,その際の勉強としてマーケティングについて調べていた。Amazonのマーケティングのカテゴリーで上位にあり,引用・言及の多かったので興味を持って読んだ。

    USJの売り上げに大きく貢献した立役者である著者による,ビジネスマーケティングの方法論について書かれていた。

    市場を支配するのは,消費者のプレファレンスということで,これに的をあてたマーケティング戦略について書かれていた。書名にある通り,確率に基づいてやっているとのことで,ところどころに確率のグラフや数式がでてくる。

    最初の3章くらいまでは理解できる話だったのだが,後半から自身のUSJやP&Gでの事例や経験などの話が織り交ぜられながら,抽象的なよくわからない話が展開され,あまり理解できなかった。

    数字に熱を込めるだとか,予想は大きく外さないとか,抽象的な話があったり,書籍の内容に直接関係ないようなUSJでの奮闘録のようなものも間に入っていたのが,余計にわかりにくかった。

    本書の後半ではグラフのMを大きくすることを強調していたが,結局これも具体的にどうやればいいのかわからず,少なくとも自分には取り入れることはできないと思った。

    既に大中企業でマーケティングを担当していて,ある程度知識があるならば取り入れられるのかもしれないが,マーケティング未経験の個人事業主が取り入れられるようなものではなかった。

    ## 引用
    > ### p. 022: 3 市場構造とは何か?
    > 冒頭で述べた市場構造を形作っている「本質」を、市場構造に見える様々な現象の奥底から探してみましょう。それら市場構造を決定づけているDNA、あるいは震源とも言うべき「本質」は一体何でしょうか?いきなり核心の答えを申し上げますが、それは消費者のPreference (プレファレンス) です。プレファレンスとは、消費者のブランドに対する相対的な好意度 (簡単に言えば「好み」) のことで、主にブランド・エクイティー、価格、製品パフォーマンスの3つによって決定されています。

    本書の核となるプレファレンスについて説明されていた。

    > ### p. 034: 6 経営資源を集中すべきは、プレファレンスである
    > これらを結論づけると、「市場競争とは、1人1人の購入意思決定の奪い合いであり、その核心はプレファレンスである」という真理に辿りつきます。
    > ___
    > 市場の大きさは以下の式で計算できます。
    >
    > 市場の売り上げ=延べ購入回数×1購入あたりの平均購入個数×平均単価
    >
    > ここで競合と奪い合っているのは、延べ購入回数におけるシェアです。1購入あたりの購入個数や平均単価において、直接的な奪い合いが起こっている訳ではありません。すなわち、我々は購入意思決定の争奪戦を行っているのです。購入意思決定は、そのカテゴリーにおける消費者が持つ相対的なプレファレンスによって決まっています。我々が奪い合っているのは消費者のプレファレンスそのものなのです。

    直前で説明されたプレファレンスが重要な理由がここで説明されていた。

    > ### p.039: 2 戦略の焦点は3つしかない
    > 第1章で確認したように、ビジネスの売上は、自社ブランドに対する消費者のプレファレンスによって最大ポテンシャルが定まるのです。その最大ポテンシャルが「認知」と「配荷」によって制限されて、現実のビジネスの結果が決まります。ということは、市場規模が一定と仮定すると、売り上げを伸ばすためには、1) 自社ブランドへのプレファレンスを高める、2) 認知を高める、3) 配荷を高める、の3つしかないということです。
    > ___
    > 私の経験上、問題のあるビジネスのたいていはプレファレンス以前に、「認知」と「配荷」にわかりやすい大きな問題があります。
    > ___
    > 認知を伸ばすこと、そして配荷率を伸ばすことは、一番わかりやすくて確実性の高い勝てる戦なのです。

    プレファレンス以前の成果の出やすい部分として認知と配荷の重要性について説明されていた。

    ## 結論
    個人事業のマーケティングの参考になればと思って読んだのだが,結果として全く参考にならなかった。

    著者の背景が大中企業の幹部でいろいろ実務で関わってわかっているからこそできる方法だろうと感じた。

    背景の似た大中企業のマーケティング担当者なら評価が高くなるのかもしれないが,マーケティング未経験の個人事業主が取り入れるのは無理だと思った。

    後半などもいちいち細かいことを長ったらしく書いており,何がいいたいのか具体的にどうすればいいのか全くわからなかったのでパラパラめくって読み飛ばした。

    凡人が読んでも時間の無駄な本だと思った。

  • 図書館。

    ・p117・・・「そもそも意思決定に際して必要な情報が8割も9割も揃うなんていうことは滅多にないのに、大局に影響のないもう少しの情報が足らないことを言い訳にして、決定を先延ばしにする上司を見たことはないですか?悩み困った顔で、以前に話したはずの論点を蒸し返し、議論をグルグル回したりして、なかなか決められない上司を見たことはありませんか?選択による結果が重大であればあるほどストレスは猛威を振るいます。自己保存の本能の強い人間は意思決定をしたくないのです。(中略)ほとんどの人間がそのような性質を持って生まれてきている(後略)」

    →その決断に巻き込まれる人が多いほど、それは顕著だよなあ。そりゃそうだよなあ、と。そのために、感情に左右されずに冷静に分析して、分析結果を割り切って検討して決断する必要がある、と。難しいけど、大切なんだよなあ。

    ・p120・・・「日本人は感情と理性を切り離すのが苦手な人が多いと私は感じています。意思決定に情緒が深く入り込んでいるのです。英語では、感情(Heart)と理性(Mind)を言葉で使い分ける人よりも「心-こころ」という1つの言葉で、その2つを一体として感じている人の方が圧倒的に多いのではないでしょうか?(中略)情緒的なベクトルが入り込んで、目的に対して正しい選択肢よりも、できるだけ痛くない方向へ進もうとする。あるいは皆が納得しやすいように調和を重視するあまり、皆の意見を足し合わせて丸めた「落としどころ」を最初から考えている。それらは、本当に中長期的に全体にとって正しい意思決定なのでしょうか?」

    ・p126・・・「一見すると偶然に思えるようなビジネスの様々な「現象」の中から、「本質」を、つまり勝つための法則を見つけ出す技術が必要(中略)企業としては組織の能力としてそれができるかどうかということが問われているのです。私の場合は、そのために確率思考を使います。」

    →この後、ご自身が決して特別に頑丈なわけでも、何も感じないわけでもないこと。痛すぎて「人に好かれようなんてこれっぽっちも思わない」という鎧を着ることに決めたこと、USJに来てから毎冬のように血尿生活だったこと等、ご自身の心の中で暴れる激烈な感情といつも戦っておられたことが書かれていた。「マーガレット・サッチャーが実は感情豊かで人間味に溢れた女性だ」という彼女に近しい人の発言、そんな彼女が強い意志と訓練によって決断の際には自分の豊かな感情を押し殺していたこと。「情緒を配した正しい意思決定をすべく、卓越した努力を重ねて、「鉄の女」の異名を持つほどのリーダーに成長していった(p126)」ことについて触れていた。

    私は全くスケールは違うけれど、特に子どもが生まれてからは決断の軸をどこに置くのかを見誤りそうになることがある。子どものため家族のためと言いながら、自分のためでは?それは子どもの為と言いつつ、自分の責任を遠まわしに子どもに転嫁していることになりやしないか?と。

    適宜、どこに軸や重心を置くべき課題なのかを考えるようにしているつもりだけれど、なかなか感情や周りとの関係を考えると決断に時間がかかることもあり。そんなことにつながる話だなと思った。場面場面で冷静に考えたり学ぶ時間を持つ余裕が今の私には必要だし、そんなことを重ねていくことで、優しく強くあれるようになりたいと思う。

    p191・・・「我々は、種々の消費者データを使い現実を診ます。その際にとても重要なことは、「現実」と「認識」の間には必ずギャップがあることを予め知っておくことです。 
    我々の頭の中にある「認識の世界」と「現実の世界」の間には、どうしてもズレや誤差が生じるのです。「現実の世界」を知るには、現実をサンプル抽出したデータや言語などの「記号の世界」に一度翻訳しなくてはなりません。我々は現実の全体を直接診たり触れたりできる訳ではありません。その一部を「記号の世界」に通すことで、我々の頭の中の「認識の世界」を構成することができるのです。 逆の場合も同じです。(中略)文字と言う「記号の世界」に落とし込めるのは、頭の中にある我々の「認識の世界」のほんの一部に過ぎないのです。 しかし、それでも我々は「認識」と「現実」の間に、データや数字や言語といった「記号」を媒介させて、現実の世界をできるだけ正しく知るしか方法がないのです。そのためには、間に必ずズレが生じていることを知った上で、
    1)あらゆる「データ(記号)」の性格をよく理解し、できる限り現実に符号させながら読み解いていくこと。
    2)できるだけ多角的な「データ(記号)」を用いて整合性のある現実の認識を構成していくこと。
    この2つのアプローチしかないと私は考えています。」

    →日ごろ「言葉」について考えるときに、言葉にすることによって頭の中のものが陳腐になってしまう感覚にあることがあって、そのことともリンクする話だなと思った。
    また、最近、電力需給逼迫についての分析の記事を読んで、かつそれに対する賛否(?)の意見を読んで、感じたギャップも、このこととリンクするなと素人の不勉強者が言うのははばかれるが、そう思った。そのギャップを分断ではなく連帯に持っていこうとする中で課題解決に向かっていくのだろうし、その過程の中で先に出た「情緒を配して意思決定できるリーダー」が必要なのだなとも思った。森岡さんなら、エネルギー政策についてどんなロードマップを描くのだろう。電力、歴史、政治、経済、地方社会、雇用、科学…要素が多すぎる世界。森岡さんならどう考えるのか、気になるし、頼りたい気持ちも。
    さあ、今の自分は?へっぽこ。分析できるだけの技能と、課題とその周辺に対する知識と経験を積み重ねるとき。

  • 今まで私個人として掘り下げたことのなかった「プリファレンス」の概念を学べたのが良かった。データアナリストではないので5-7は軽めに読んだが、1-4章はじっくり読むに値するものであった。以下読書メモ。

    ・エボークト•セットとプリファレンスの組合わせ

    ・経営資源の配分先は結局プリファレンス、認知、配荷に集約される

    ・消費者が認知している内容が単にブランド名だけなのかそれともブランドの戦略的ブランド・エクイティまで認知しているのかで消費者の購買行動に決定的な差を生み出す

    ・Aided AwarenessとUnaided Awareness。後者の中でもTop of mind brand awareness

    ・Store Keeping Unitの最適化という観点(パンテーンの種類の話)。消費者のプリファレンスに合わせたSKU数の種類配分の重要性

    ・マーケティングにおける大目的は自社ブランドの市場全体における魅力度(プリファレンス)の拡大であって、セグメンテーション、ターゲティング、差別化などはあくまでその手段に過ぎない。ここを勘違いしてはいけない

    ・プリファレンスの正体はブランド・エクイティ、商品パフォーマンス、価格

    ・1人目の恋人は忘れられなくても、2人目の恋人を忘れるのには苦労しないのが人間。一度所有した強固なエクイティはなかなか陥落しない

    ・手段として差別化が使われるが、これはあくまで市場全体におけるMを増やすためにやるもの。資生堂のTSUBAKIはあっぱれな商品であった

    ・水を売るマーケターにとって勝負になるのは製品パフォーマンスではなく、ブランド・エクイティの増強

    ・人間は意思決定を避ける生き物

    ・プリファレンスの構成要素のブランド・エクイティはそのブランドの提供する便益と市場への参入時期に影響される。同じような便益で、あまり製品のパフォーマンスが変わらないのであれば、既にエボークト・セットに入っているブランドの方が有利

  • 読書メモ

    ・マーケティングには本書で紹介されているUSJのハリーポッター施設導入のような、本来絶対に失敗できない領域が存在する
    ・そのようなケースにおいて重要なのが、「合理性で担保されている領域を大きくすること」
    ・上記を加味すると、戦略として注力すべきなのは①プレファレンス②認知③配荷の3つ
    ・その中でも最も注力して取り組むべき項目が、プレファレンス
    ・プレファレンスはNBDモデルを使って分析,予測が可能
    ・NBDモデルは、「M(一定期間内の自社ブランドに対する一人当たりの投票数)」と「K((消費者の購入確率がどのような分布の形になるかを決めている指標)」で、マーケターがコントロール可能なのは、「M」のみ
    ・M=プレファレンスは、1)ブランド・エクイティー,2)価格,3)製品パフォーマンスによって決定される
    ・プレファレンスを決定する3つ要素で最も重要な項目は、1)ブランド・エクイティー
    ・ブランド・エクイティーは競合との相対で決定される。(消費者の重視点を押さえているブランドは何か?それを保有しているのはどのブランドは?)その為、消費者の頭の中を想像して、自社のポジショニングを規定する。
    ・ポジショニング設定後の戦略作成においてよくあるのは「差別化」だが、その目的は「M」を増やすこと。それを忘れずに。
    ・プレファレンスを延ばす方法は2つ。一つは、水平拡大(ファンの数を増やす)。もう一つは、垂直拡大(一人当たりの頻度を単価を上げる)。垂直拡大よりも水平拡大の方が成功する場合が多い(市場の大きさ故)
    ・戦略規定においては、まず目標を明確に規定する。その上で、目標達成時と現状のギャップを定量化し、必要な「M」の数量を明確にする
    ・上記のように目的および目的達成に必要な要素を定量化して規定すれば、各アクションの必要性を確立に基づいて規定できる。そうすれば、感情ではなく理性に基づいてマーケティング上の意思決定ができる(日本人はこれが苦手というのが森岡さんに主張)
    ・戦略家は、A)戦果最大化の為に自分の時間をどこに集中するか?B)戦果最大化の為に他人の時間をどこに集中するか?の思考に注力すべきで、戦術の実行に意図なく入りすぎるべきではない
    ・上記のような確率思考マーケティングを実現するためには、そのための組織になる必要がある。それはマーケターが会社の意思決定に入り込むこと、経営陣がそれを許容すること等。とにかく消費者志向。加えて、思考の異質化がなされたチーム構成が必要。調査部とマーケ部は直つなぎ。

  • 著者の森岡さんの凄まじい脳内の宇宙を、とても我々に分かりやすい言葉に落とし込まれていて新しい発見ばかりだった。ビジネスを行う上で、そのどれもが数式で記述できることを知って、説得力しかない。
    ※数学が不得手、文系の方でも読めると思います。

  • P&G出身のとんでもなく大きな結果を残したマーケターによる数学的マーケティングの考え方がわかりやすく紹介されており非常に面白い。
    しかし、私自身きになるところには線を引くタイプだが、本にすでにかなり太い下線が初期設定で付いていて、逆にすごい気になった。最近のビジネス本の流行でしょうか、、?

  • 著者の熱い思いが伝わってくる良書。

    計画は感情を廃して、冷静に客観的に数値とファクトと確率論で打ち手の有効性を検討し、打ち手が決まれば強い思いをもって遂行することが大切とのこと。

    正直、数式については理解しきれていない部分が残っているが、売上を構成する要素についての概略は理解できた。プレファレンス(好意度)が上限値となり、認知度と配荷率が制約条件になるということや、需要予測の考え方などは、言われてみれば納得だが、そんな角度で捉えたことがなかった考え方であり、面白かった。もう一度ゆっくり読んでみたい本。

  • 素晴らしい良書でした。
    マーケティングの本ですが、胸に刺さる言葉がたくさんありました。
    個人的には、今西さんが担当されている市場調査などの部分などが理解するのが難しく、流し読みになってしまいました。私は文系で頭も良くないので、そこを読み解くのが困難でしたが、マーケティングに明るい方や数字に強い方は理解できると思います。
    森岡さん、今西さんの熱意を感じる一冊でした。
    今後も読み継がれていって欲しい名著だと思います。
    この本を読んだ人々が会社、組織を発展させ、日本経済が発展していきますように。

  • とんでもない本だ。全マーケター必読だなぁ。

    ど頭に明示される「市場構造の本質は消費者のプレファレンスである」を確率と数学的根拠を用いて立証し、実務とケースに落としながら詳説。概念としては単純だけど、膨大な思考と理論の轍が包含されていて、とにかくすごいの一言

  • マーケティングを行う際にどこの数値に注力しながら、グロースさせていくかという本でした。ネタバレをするとプリファレンスという数値を最大化することが重要と書かれているのですが、どちらかというとリアルマーケットだったり、中小から大企業に当てはまる話なのかなと思いました。 ベンチャーやweb業界はもう少し良い公式が存在しており(数あるサービスからプリファレンスを伸ばすというのはあっているはず)、組織の動かし方も変わってくるのではないかと思いました。

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著者プロフィール

株式会社刀 代表取締役CEO

「2020年 『誰もが人を動かせる! あなたの人生を変えるリーダーシップ革命』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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